弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
生物
2017年12月31日
日本犬の誕生
(霧山昴)
著者 志村 真幸 、 出版 勉誠出版
私はイヌ派です。幼いころから我が家には犬がいました。忠犬ハチ公の話は泣けてきます。ネコは飼ったことがありませんし、ネコパンチなんて敬遠したいです。
犬は形態はオオカミに近いが、生態的な側面からするとジャッカルが近い。オオカミは人家に近づかず馴致(じゅんち)しにくいが、ジャッカルは村落周辺に集まり、容易に人間に馴(な)れる。
現在、日本に988万頭の犬が飼育されている(2016年度)。このうち秋田犬、甲斐犬、紀州犬、柴犬、四国犬、北海道犬という日本犬は100万頭。
昭和の初めころ、平岩米吉は自由ヶ丘に広大な庭をもつ家をもっていて、そこでオオカミを飼っていた。朝鮮半島産6頭、満州産1頭、モンゴル産2頭。
ニホンオオカミは明治38年に絶滅してしまった。
狆(チン)が江戸時代に渡来してきたという説は誤っていて、平安時代から日本で飼育されてきたという説が今では有力。
明治末に日本犬の危機が自覚され、大正に入って日本犬の保有運動が始まった。秋田犬は、東北のマタギ犬が祖先だとされている。ハチ公によって秋田犬は忠犬としてのイメージを得て人気を高めた。
私がフランスに行ってロアール河のシャトーホテルのレストランで夕食をとっていると、大きな犬がテーブルの下におとなしく寝そべっていました。マダムは私が日本人だと知ると、「この犬は秋田犬なのよ、すばらしいわ」と絶賛しました。私も、少しだけ鼻を高くしてしまいました。
この秋田犬は戦争中は軍用犬として献納されたりして、終戦時にはわずか十数頭しかいなかった。ところが、日本に駐留したアメリカ兵士がアメリカへ持ち帰ってアメリカで人気犬種となり、見直されて、日本でも急速に人気を回復し、昭和47年には4万頭をこえるまでになった。
昭和の初めまで、日本犬が蓄犬商で扱われることはなかった。その後、日本犬といえども、お金を払って購入するものという意識が生まれた。
日本犬は軍用犬に不向きだった。特定の主人には忠実だが、別の操継者には従わない。しかし、戦場では誰が指揮官になるか分からない。ひとりの主の命令しか聞かないようでは、戦闘現場では役に立たない。なーるほど、そういうこともあるんですね・・・。
柴犬をふくむ日本犬を見直してしまいました。ちなみに、私の家ではスピッツと柴犬を飼いました。
(2017年3月刊。2400円+税)
2017年12月29日
したたかな魚たち
(霧山昴)
著者 松浦 啓一 、 出版 角川新書
脊椎動物のなかで体の軸が地球表面に対して垂直にあっているのは人間だけ。他のすべての脊椎動物の体軸は地球表面と平行になっている。
動物学では、「縦」とは、体軸にそった方向のことであり、「横」とは体軸に対して垂直となる方向のこと。
脊椎動物の全種類は6万種。魚の種類は3万2000種。脊椎動物の半数以上を占めている。日本には4200種がいる。
砂地の海底にミステリーサークルをつくる魚が発見された。アマミホシゾラフグのオスである。
私が唯一欠かさず見ているNHKテレビ番組「ダーウィンが来た」(録画で見ています)で紹介されました。
魚の新種が今も次々に見つかっていて、日本では年に10種ほど。60年間では491種。オーストラリア740種、中国202種。日本は多い。
リュウグウノツカイは体長が8メートルにもなる。
左ヒラメに右カレイ。ヒラメは体の左側に両目があり、カレイでは体の右側に両目がある。先日の「ダーウィンが来た」で、この魚の両目が次第に一方に寄っていく仕組みを解説していました。エサのとり方も違うのですね・・・。
多くの魚は陸から離れられない。浅海という8%の狭い海に全海水魚の8割がひしめいている。なぜか・・・。水深200メートルより深い海には光合成ができないためプランクトンがいないことによる。
マグロの巡航速度は時速7キロ。ダッシュ速度は時速50キロ。マグロは太平洋を往復できる。ずっとずっと時速7キロで泳いでいられるのだ。マグロは海中で止まると沈んでしまう。マグロのウキブクロが小さいからだ。マグロは体の一部を温かく保つことができる。体温を外界よりも高く保つことができるため、高速で持続的に泳ぐことができる。
マグロやカツオは血合筋が発達しているため赤身の魚。メバルやカサゴ、タイやヒラメは白身の魚。白身の魚は長時間にわたって泳ぐことができない。
魚のあれこれを興味深く知ることができました。
(2017年3月刊。800円+税)
2017年12月25日
昆虫の交尾は味わい深い
(霧山昴)
著者 上村 佳孝 、 出版 岩波科学ライブラリー
昆虫の交尾の研究をしている学者がいるのですね・・・、驚きました。いったい、それが何の役に立つのか、なんて野暮な質問はしないでおきましょう。
じつは、昆虫の交尾器のもつ形の不思議に魅せられて研究しているのです。それは昆虫の進化の歴史を反映するものでした。いったい、どんな・・・。
オスとメスは、どう違うのか・・・。卵をつくる側をメス、精子をつくる側がオス。
では、卵と精子の違いは・・・。鞭毛(べんもう)のない、泳げない精子をつくる動物がいる。そこで、大きな配偶子(卵)をつくるのがメス、小さな配偶子(精子)をつくるのがオスなのである。
昆虫のもっとも古いやり方では、精子の授受は間接的。シミ類がそうである。コオロギやキリギリスの交尾は、多くの場合、メスがオスの背後から背中に乗る。
オスの交尾器の腹側は、メスの交尾器の背中側にかみあうというのが昆虫の多くのグループで原則となっている。
生物全般において交尾器の進化は速い。形のなかではもっとも変化が速いと考えられている。交尾器を見ない限り、種を見分けられない。1000万種もいる昆虫たちは、それぞれオンリーワンの交尾器をもっている。
セイヨウミツバチの新女王は最大で17匹ものオスと交尾してから巣づくりを始める。その交尾のとき、オスは手持ちの精子のすべてを新女王に渡してしまい、交尾器の柔らかい部分が破れてショック死してしまう。
ブラジルの洞窟に棲むトリカヘチャタテは、なんとメスがペニスをもっている。オスの側にはペニスにあたる構造は一切なく、そのかわり、メスペニスのトゲ束を受けとめるポケットがある。トリカヘチャタテの交尾時間はとても長く、平均して50時間にも及ぶ。その間に、精子を含む巨大な精包がオスからメスへ渡される。オスは精子だけでなく、大量の栄養物質もあわせてメスに与えると、メスはたくさん交尾するほど、子の数が増えることになる。逆にオスは栄養補給のために次々に複数のメスと交尾するのは難しくなる。オスの獲得をめぐって、メス同士が競争するケースもある。
いやはや学者の世界って、こんなにも奥深いものなんですね・・・。
(2017年8月刊。1300円+税)
2017年12月11日
歌うカタツムリ
(霧山昴)
著者 千葉 聡 、 出版 岩波科学ライブラリー
カタツムリが歌うだなんて、何かのたとえ話かなと思うと、そうでもないようです。歌うカタツムリの伝説は、ハワイにある昔からの言い伝え。しかし、著者も確かに聞いたというのです。
小笠原の島で、雨上りの夏の真夜中、耐えることなく湧きあがるように聞こえてきた不思議なざわめき。短い口笛のような音、軋(きし)むような音、ガラスのコップが触れあうような音、そんな一つひとつの小さな音が幾重にも重なり、共鳴し、ついに波濤のような響きとなって、森や谷間にあふれていた。この不思議な音色がカタツムリのものだとは、にわかには信じられなかった。これは、足の踏み場もないほど地上にあふれだした、おびただしいカタツムリの群れが、互いに貝殻をぶつけあい求愛し、硬い歯をむさぼる音だった。
およそ200年前、ハワイの住民はカタツムリが歌うと信じていた。しかし、20世紀の今日、ハワイにはカタツムリがいない・・・。ええっ、本当でしょうか。
ダーウィンはガラパゴス諸島で、三つの島で、15種のカタツムリを採集している。
ナメクジは、カタツムリとともに陸貝のメンバーである。殻のないカタツムリがナメクジの仲間。ナメクジは、多くのカタツムリと同じく雌雄同体で、一匹の個体にオスの機能とメスの機能が両方そなわっている。雌雄胴体の動物は、普通、二匹が交尾をして、卵は別の個体から受け渡された精子と受精する。ナメクジは、それだけでなく、好んで自分の精子を自分の卵と受精させる。
北海道にいるエゾマイマイは、捕食者オオルリオサムシに襲われると、大きな殻を激しく振り回し、相手に打撃を与えることによって敵を追い払う。殻を武器として振り回すことによって敵を撃退するのだ。
同じく北海道にいるヒメマイマイハ他の多くのカタツムリと同じくオオルリオサムシの攻撃を受けると瞬時に身を殻内に引っこめ、引きこもって防御する。
オナジマイマイ系は、交尾のとき、恋矢を繰り返し相手に突き刺す。これによって自分の精子の受精確率を高めるため。恋矢を刺されると、以降の交尾意欲が失われ、受け渡された精子の受精機会はいっそう高まる。そのうえ、恋矢を刺されると、寿命まで縮んでしまう。
交尾相手が自分より大きいと、自分の身が危ない。小さい相手は、子孫を残す相手として好ましくない。できたら、体の大きい相手、つまり質の良い相手と交尾したほうが、この適応度は上がる
なるほど、カタツムリの研究って、大変ですけど、よくもここまで観察したものです。学者稼業も楽じゃありませんね・・・。
(2017年6月刊。1600円+税)
2017年12月 8日
人を襲うクマ
(霧山昴)
著者 羽根田 治 、 出版 山と渓谷社
山でクマと出会ったときにどうしたらよいか・・・。人を襲うクマは昔からいた。音を立てたら逃げるクマばかりではなく、しつこく人間を狙うクマもいるというのは歴史が教えるところだ。
なぜなのか・・・。その最大の理由は、山々に杉林などの人工植林が増えてクマの食べるエサが少なくなって、人里にあるおいしいものをクマが狙っているからだというのです。
私もたまに近くの山をハイキングします。幸い九州の山ではクマは既に絶滅していていないようです。九州で怖いのはイノシシとハチです。私も気を付けています。
本土ではクマと遭遇して大ケガしたという人が毎年、少なくありません。
ヒグマに襲われたら30%以上が死亡している。ツキノワグマだと死亡事例は数%ほど。
ヒグマはツキノワグマと比べて体格が大きいことにもよるが、実は被害者の半分は狩猟者。ヒグマは一発必殺しないと危険だということ。
人身事故を防ぐためにもっとも重要なことはいかにクマと遭わないように工夫するかということ、鈴やラジオを持って山中を歩いていてもクマ避けには万全ではない。イヌを連れて山に入ったとき、イヌが怒ったクマを引き連れて飼い主のところに戻ってくる危険もある。
トレイルランとか、クマの想定をこえるスピードでの移動をしているときも注意が必要。
枯れ葉や土がかけられたシカなどの動物遺体を見つけたときには、決して近づいてはいけない。クマが自分の占有食物として、近くで見張っている可能性が大きく、とても危険な状況にある。
クマに遭ってしまったときには、クマを刺激しないように相対したまま、できるだけ落ち着いて後方にゆっくり下がって距離を取り、その場から遠ざかる。
このとき、背中を見せて走って逃げてはダメなようです。クマの走るスピードにはかないません。すぐに追いつかれてしまうのです。
また、大きな声で叫んでクマを無用に刺激して興奮させるのもいけない。
クマの攻撃は、威嚇だけのこともある。本当に襲われたら、地面に腹ばいになり(腹をやられないようにする)、手を首のうしろで組んで首を守り、両肘で顔面をカバーして守る。急所を守ってクマの襲撃に耐える。うひゃあ、そんな勇気はありませんよね・・・。
クマは人を攻撃するときには顔面を狙う。クマと取っ組み合いをするときには、顔面をしっかり守ること。ペッパースプレーも有効だが過信してはいけない。
この本には1970年7月に福岡大学ワンゲル部のメンバーが日髙山脈で襲われた状況が詳細に紹介されています。私と同学年の人など3人がクマに襲われて亡くなっています。
このときのクマは、人を見ても、音を聞いても恐れず、しつこく人間を追って、襲って殺した。そして、クマが人を加害するときは、衣類と体毛をはぎとる。なので、食害がひどいのは、顔面、下腹部、肛門周辺。ですから遺体は丸裸のうえ、顔もお腹もお尻もないという無残な状況になってしまうようです。
クマに殺された学生の一人が、夜、テント内でその直前に書いたメモ(日記)の一部が紹介されています。どれほど恐かったでしょうか・・・。読んで涙が出てきました。
クマをふくめて大自然の恐ろしさを改めて実感させられます。山歩きを楽しもうという人は読んで損しない本というか、読むべき本だと思いました。
(2017年10月刊。1600円+税)
2017年11月 4日
昆虫こわい
(霧山昴)
著者 丸山 宗和 、 出版 幻冬舎新書
昆虫がこわいというから、地球上にいる凶暴でこわい昆虫の話かと思うと、さにあらず。昆虫を愛しすぎてこわいというのです。いやはや、地の果てまで、寝食を忘れて昆虫さがしの旅へ出かけるのです。まさしく昆虫少年がそのまま大人になったというわけです。
それにしても昆虫って、本当に不思議な形と色をしていますよね。万物の創造主は、なんでこんな妙ちきりんな形と色をした生物(昆虫)をこしらえて地上に置いたのでしょうね・・・。
ところで、「昆虫こわい」は、いい虫に出会うコツだと著者は言うのです。なぜか・・・。昆虫採集は、ほとんど運であり、「あの虫を見つけてやる」と期待するほどダメ。その気迫が虫を追いやってしまう。逆に、「あの虫はこわい」くらいに自分にウソをついて、無心になって初めて見つかるもの。
毎日が「小学生の夏休みの延長」という日々を過ごしている著者の面白くてタメになる新書です。カラー写真がふんだんにあって、まるで採集現場に一緒にいるように思えてくるのが不思議です。
ツノゼミというのは、まさしく信じがたい姿をしています。なんで、こんな格好をしているのか、不思議でなりません。まるでオスプレイのようなヘリコプターです。
アマゾンの森に入りアリを求めてさまよい歩いて遭難しかかってもいます。目印に置いたつもりの白い紙がアリにたちまち食べられ運び去られてしまったのです。
ホタルの光より何倍も明るいヒカリコメツキという昆虫がいるそうです。何匹か集めたら本が読めるレベルだといいます。
サシガメに刺されると、感染して数十年後に心臓や消化器に異状が発生する。しかし、その治療法はない。うひゃあ、こわいですね・・・。
「ムシヤ」の著者が、どれだけ「昆虫こわい」なのかは、最後の「後遺症」を読むと、よく分かります。
昆虫探しを始めると、毎晩3~4時間の仮眠をとるだけ。というのは建前で、実は3時間も寝ていない。灯火採集をしていると、「いつ、すごいツノゼミが来るか」「いつタイタンが来るか」とドキドキしている。すると、その昂りがベッドに入っても冷めず、どうにも寝付けない。
最終日には、ほとんど死にそうになりながら、それでも採集を中断することはできなかった。そして、日本に帰国しても、その状態が続く。いくら疲れて眠っても、3時間ほどで起きてしまい、虫たちを思い出して、目が冴えてしまう。
そこで、著者は思い切って診療内科を受診した。
「南米での調査があまりに楽しくて、そのときの気持ちの昂ぶりがよみがえって、短時間しか眠れないのです・・・」
医師は、あまりに変わった訴えを聞いて、怪しんだ。著者は睡眠薬をもらい、2ヶ月かけてやっと正常に戻った・・・。
いやはや、これこそ典型的な虫屋の絶頂状態なんですね・・・。すばらしいです。人生の生きる目標、ここにあり、ですね。虫が嫌いな人以外には、絶対おすすめの新書です。
(2017年7月刊。1000円+税)
2017年10月15日
サバイバル登山入門
(霧山昴)
著者 服部 文祥 、 出版 デコ
私は勇気がないし、臆病な人間ですので、誰もいない山中で一人で寝るなんて出来ませんし、するつもりもありません。そんな私が、著者の本を読み続けているのは、要するに怖いもの見たさです。活字を通してなら、いくらでも知りたいのです。その場に身を置く勇気はなくても、もしもそこにいたら、どうしたらいいだろうと想像するくらいは許されるでしょう。
山ではヘビは貴重なタンパク源。ベトナム戦争が盛んなころ、解放戦線の兵士(べトコン)は、ヘビを見つけたら逃がすことはなかった。同じことは、南方戦線の日本兵士もしていた。
マムシはヘビの中でもっともうまく、山ウナギとも呼ばれる。肉と骨を石でつぶしてミンチしてから炒めると美味しい。うひゃあ、そ、そうなんですか・・・。つかまえたシマヘビを著者がかじっている、とんでもない写真があります。
イノシシは「豚汁」がおいしい。豚肉の味を濃くした感じで、味噌との相性が良い。
シカ肉は当たりはずれがないが、劇的にうまいこともない。イノシシは当たりはずれがあり、当たると舌がとろけるようなうまさ。クマ肉も当たりはずれが大きく、うまいクマ肉は、「肉とはこれだ」と思わせるような光り輝く脂で、とてもおいしい。
シカなどを鉄砲で撃つときの状況、イワナの釣り方が図解されていて、イメージがつかめます。そして、解体作業は写真つきです。
山でキノコをとって食べたいとは思いますけれど、毒キノコを食べたら大変です。ところが、著者は、おいしいキノコと、おいしいキノコに似た毒キノコを覚えればいいと言います。本当でしょうか・・・。
「寝る食う出す、がうまく出来たら、その登山は成功」
そうでしょうが、そのどれもが山の中では簡単なことではありませんよね。
野営地の選び方、野営の手順、タープの張り方、夜の過ごし方が図と写真で説明されています。ステンレス製の茶こしを蚊帳(かや)がわりにするなんて、そんなワザがあったんですね、驚きました。
サバイバル登山でもっとも辛いのは、害虫に食われたり、刺されたりすること。クマとかイノシシではないんですね・・・。ハチによるアナフィラキシーショックが起きたら、そういう人生だと思いなさいって・・・。トホホ、です。
いやはや、手取り足取り、なんでも親切に解説してあります。でも、私にはとても出来ません。サバイバル登山を繰り返してきた著者も、今では3児の父親だそうです。これからも引き続き元気に過ごしていただき、読ませて下さい。私にも、ちょっぴり疑似体験を味わわせて下さい。よろしくお願いします。
(2016年1月刊。2500円+税)
2017年10月 9日
発光する生物の謎
(霧山昴)
著者 マーク・ジマー 、 出版 西村書店
私が発光する生物を初めて見たのは、ホタルを別にすると、伊豆諸島の戸田(へた)の海岸での夜行虫でした。夜の海岸で怪しげに光っているのを見て、その美しさに驚きました。
ノーベル化学賞をもらった下村脩氏はオワンクラゲをアメリカの海岸で大量に集めたのでしたよね。
自然に発光するダンゴイカ、チョウチンアンコウ、クラゲなどのほか、人工的に発光させて病理研究に役立てている話も紹介されています。
チョウチンアンコウは、口の前方に生物発光するアンテナをもっている。アンテナの先には、何万匹もの発光バクテリアが棲息し、その光に犠牲となる魚が惹き寄せられる。
オワンクラゲの傘の部分には緑色の光を発する数百の発光器がある。その光の点滅がどのように制御されているのか、まだ分かっていない。
蛍光タンパク質をつかってマラリア原虫の動きを探り、ガンとのたたかいに役立てようとしています。
蛍光タンパク質によって鳥インフルエンザの感染もすぐに判明するようになりました。
遺伝子操作は怖いものですが、こうやっていろんな生理現象の解明に役立っているというのはすばらしいことです。
蛍光タンパク質をつかった地道でカラフルな探究がさらにすすむことを願っています。
(2017年8月刊。1800円+税)
2017年10月 7日
にっぽんスズメしぐさ
(霧山昴)
著者 中野 さとる 、 出版 カンゼン
夕方になると、駅前の街路樹でスズメの集団がかまびすしいですよね。大勢のスズメたちが、あっちうろうろ、こっちうろうろして、鳴きかわしています。いったいぜんたい、何を話しているのでしょうか・・・。私は、ぜひぜひ、その会話の中味を知りたいです。
この本は、日本のスズメの生態を写真で紹介するシリーズ第二作。
スズメは、3月、桜の花が咲くころ、メスは卵を産みはじめる。産んだ卵をすぐに温めるのではなく、すべての卵を産み終えてから抱卵をはじめる。これは産卵順で成長に差が出ないように、卵のかえるタイミングをそろえるため。卵のほうも、温められてから成長スイッチが入るようになっている。
抱卵して2週間ほどでヒナが誕生する。そして、親は毎日せっせとエサを運ぶ。1日300回、2週間で4200回、親はエサをヒナに運ぶ。そして、ヒナのフンを外へ放り出して、巣の中を清潔にたもつ。
巣だってしばらくの間も、エサをとるのが苦手な幼鳥は親鳥がエサを与えて、ケアする。
その後、親は次の子育てに入り、8月から9月にかけて2回、多いときには3回も子育てする。そんなにヒナの子育てしたら、スズメが爆発的に増えるはず。ところが、現実には、そんなにスズメは増えていない。なぜか・・・。
野生のスズメの平均寿命は1年3ヶ月。自然のなかでは仔スズメは、ほとんどが生きのびれない。生き残った、ほんの一部が子孫を担うことで命がつながっている。
カラスやツミがスズメのヒナを襲う。
亡くなった作家の半村良は、スズメが大好きで、庭に来る100羽のスズメの全部に名前をつけて個体識別していた。
山の中で道に迷ったらスズメを探したらよい。なぜか・・・。日本のスズメは、人の暮らしの周囲にしかいないので、山の中でスズメに会ったら、人家が近くにあることを意味しているからだ・・・。
スズメは、水浴びと砂浴びの両方をやる。そして、不思議なことに水浴びのほうが先。そのあと砂浴びをする。
スズメの生態をよくとらえた写真集です。
(2017年5月刊。1400円+税)
2017年9月25日
にっぽんスズメしぐさ
(霧山昴)
著者 中野 さとる 、 出版 カンゼン
夕方になると、駅前の街路樹でスズメの集団がかまびすしいですよね。大勢のスズメたちが、あっちうろうろ、こっちうろうろして、鳴きかわしています。いったいぜんたい、何を話しているのでしょうか・・・。私は、ぜひぜひ、その会話の中味を知りたいです。
この本は、日本のスズメの生態を写真で紹介するシリーズ第二作。
スズメは、3月、桜の花が咲くころ、メスは卵を産みはじめる。産んだ卵をすぐに温めるのではなく、すべての卵を産み終えてから抱卵をはじめる。これは産卵順で成長に差が出ないように、卵のかえるタイミングをそろえるため。卵のほうも、温められてから成長スイッチが入るようになっている。
抱卵して2週間ほどでヒナが誕生する。そして、親は毎日せっせとエサを運ぶ。1日300回、2週間で4200回、親はエサをヒナに運ぶ。そして、ヒナのフンを外へ放り出して、巣の中を清潔にたもつ。
巣だってしばらくの間も、エサをとるのが苦手な幼鳥は親鳥がエサを与えて、ケアする。
その後、親は次の子育てに入り、8月から9月にかけて2回、多いときには3回も子育てする。そんなにヒナの子育てしたら、スズメが爆発的に増えるはず。ところが、現実には、そんなにスズメは増えていない。なぜか・・・。
野生のスズメの平均寿命は1年3ヶ月。自然のなかでは仔スズメは、ほとんどが生きのびれない。生き残った、ほんの一部が子孫を担うことで命がつながっている。
カラスやツミがスズメのヒナを襲う。
亡くなった作家の半村良は、スズメが大好きで、庭に来る100羽のスズメの全部に名前をつけて個体識別していた。
山の中で道に迷ったらスズメを探したらよい。なぜか・・・。日本のスズメは、人の暮らしの周囲にしかいないので、山の中でスズメに会ったら、人家が近くにあることを意味しているからだ・・・。
スズメは、水浴びと砂浴びの両方をやる。そして、不思議なことに水浴びのほうが先。そのあと砂浴びをする。
スズメの生態をよくとらえた写真集です。
(2017年5月刊。1400円+税)