福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

月報記事

「転ばぬ先の杖」(第27回) 福岡入国管理局に弁護士を派遣する制度ができました

会員 丸山 明子(61期)

今年6月から、福岡入国管理局に収容されている外国人のために、弁護士を派遣して、相談を実施する制度の運用が始まりました。この制度は、福岡入管局に収容されている外国人が、弁護士の助言を必要とする時に、入管の職員に申し出れば、48時間以内(土日祝を除く)に弁護士が入管に出向き、無料で相談に応じるというものです。

入国管理局内の収容施設に収容される外国人は、退去強制事由に該当すると疑うに足る相当の理由があるとして、主任審査官という入国管理局の職員が発布する令状に基づき収容されており、電話などで連絡を取ったり、施設内で家族などと面会したりすることは可能ですが、施設外に出ることができません。その後の手続で退去強制令書が発布されれば、そのまま国外に退去させられてしまいます。

日本では、退去強制事由に該当すると疑うに足ると判断された外国人は全件収容するという全件収容主義が取られているのですが、収容された外国人でも仮放免許可を受ければ、施設外で生活をしながら退去強制手続を受けることができるため、この仮放免許可の申請手続で弁護士の助言や代理が必要な場合が想定されます。仮放免許可が出される場合、300万円以下の保証金を納める必要がありますが、弁護士が身元保証となる場合や出頭義務の履行に協力を申し出る場合には、仮放免許可の判断にあたり積極要素として適正な評価がされるとともに、保証金の決定に当たっても最小限の額となるよう配慮されるようになっています。

また、退去強制事由自体を争う、退去強制事由に該当するとしても在留特別許可を取ることにより退去強制を免れる、難民としての認定を求めるという場合も想定されます。この場合、その後の退去強制手続で予定される違反審査、口頭審理、異議申立、訴訟等の手続において、弁護士の助言や代理人としての活動が必要な場合が想定されます。この他、一般的な民事や刑事の法律相談にも応じています。

中国や東南アジアからの観光客の増加に加え、外国人の創業を促進するため福岡市が国家戦略特区に指定されたことも相まって、福岡を訪れる、または滞在する外国人の数は年々増加しています。万が一のため、新たに始まったこの弁護士会の取り組みについて、身近な外国人の方にお知らせください。

関野秀明先生講演会 「アベノミクスの現状と私たちの対抗策―賃上げ、社会保障充実、平和」に参加して

会員 南正覚 文枝(67期)

平成28年9月2日から同3日にかけて、生存権の擁護と支援のための緊急対策本部の合宿が、かんぽの宿別府で行われました。

その中で、下関市立大学教授の関野秀明先生の講演会「アベノミクスの現状と私たちの対抗策―賃上げ、社会保障充実、平和」が行われましたので、そのご報告をさせていただきます。

1 関野秀明先生のご紹介

関野先生は、下関市立大学の経済学部の教授で、マルクス経済学原論、独占資本主義論、現代日本経済論を専門分野とされています。今回先生には、政府や省庁、OECDなどが出している各種統計資料などに基づいて、経済の素人である我々にもわかりやすくかつ説得的なお話をしていただきました。

2 講演の概要

まず始めに、アベノミクスの現状について、各種統計を示して、詳しくご説明いただきました。アベノミクスにより国民の経済状態が上向きになっているかのように言われていますが、実際は、平成27年までの世帯人員別標準生計費は概ね低下しています。この背景には、労働規制の緩和により、正規社員が減少し非正規社員が増え賃金の低下を招いているという事実があります。その結果、「正規と非正規との対立」を利用した資本と貧困の同時蓄積が生じているとのことです。

次に、このような現状を生じさせているアベノミクスに対抗する具体的な方法をお話しいただきました。

日本においては、生産性が上がっても賃金が下がっている現状にあり、まずは最低賃金を大幅に引き上げる必要があるとのことです。そのためには、雇用維持のための中小企業に対する支援が不可欠ですが、それは現在大規模企業支援に使われている3兆円の予算の一部を中小企業支援予算に回せば可能であるとのことです。

さらにアベノミクスに対抗する方法として、社会保障削減を阻止することが挙げられました。日本は高齢化率が世界一高いので社会保障を下げなければならないなどと言われていますが、日本の社会保障支出は対GDP比でみるとドイツやフランスなどより低いそうです。また、日本の社会保障費の負担は企業よりも労働者の方が大きいのに対し、ヨーロッパの社会保障費の負担は企業がメインとなっています。今後日本においても、巨額の資産を有する大企業による社会保障費の負担増が図られれば、社会保障削減を阻止することが可能であるとのことです。

最後に、国内の貧困、長期停滞が多国籍大企業の海外自由市場拡大を要求し、その結果、日本が戦争をする国への道へ突き進む恐れがあることが指摘されました。即ち、日本企業が海外に進出した場合、その日本企業の権益を守るため軍事力の需要が増大し、日本が国際的な責任を果たすために、自衛隊を海外に送るべきという流れになっていくということが考えられます。

海外進出を拡大し戦争をする国になるのか、内需中心の新しい福祉国家を作っていくのかという、わが国の大きな方向性が問われる時代になっているとのまとめで講演は締めくくられました。

3 講演を聴いての感想等

今回、90分間の講演でしたが、時間が経つのがとても速く、講演が終了した時には、もっと色々な話をお聴きしたいという思いに駆られました。

講演を聴いていた他の会員も思いは同じであったようで、講演会後の質疑応答も非常に活発に行われました。

今回の関野先生の講演で、経済学の観点からのアベノミクスの問題点が明確に指摘され、何が問題であるかを具体的にイメージできたことは、とても有意義でした。

お忙しい中、生存権の擁護と支援のための緊急対策本部の合宿での講演のため、わざわざ別府までご足労頂いた関野先生に心から感謝いたします。

広報関連委員会だより ほぅ!な話 ラジオ版~RKBで収録してきました!

会員 向原 栄大朗(60期)

1 ラジオの難しさ→聴きやすくするための工夫

去る8月6日(土)、RKBラジオ「安藤豊どんどこサタデー」という番組内の「"ほぅ!な話"ラジオ版」コーナーにおいて、遺言・相続に関するお話をさせていただきました。

私は以前、KBCラジオ「PAO~N(パオーン)」に出演した経験がありますが、このときは弁護士2名体制での出演だったのに対し、今回は私1名で出演させていただきました。

ところで、ラジオでは、テレビとは異なり、視聴者には声しか伝わりません。すなわち、声だけで勝負する必要があります。また、テレビでは、ディレクターとの打ち合わせで「番組を作る」感覚で、実際にはディレクターを中心としたスタッフの皆さんが内容面をテレビ向けにして下さいますが、ラジオの場合、弁護士が準備した原稿をかなりの部分でそのまま使っていただきます。そこで、パーソナリティさんにとっての読みやすさを考えて、文章に工夫を入れる必要があるように思います。

したがいまして、原稿作成段階では、(1)聞き取りやすい文言・言葉を選択すること、(2)一文を長くしないこと、(3)文章のテンポをよくすること、(4)内容は複雑にならず、一聴了解できるものとすること、といった工夫が必要と考えます。例えば、今回テーマにした「遺言」を、業界用語の「いごん」ではなく「ゆいごん」と言い換えているのは、その一例です。

2 内容について

今回のテーマは、遺言・相続です。大きくは①相続人の一人に全財産を「相続させる」遺言があった場合の対応、(2)生前に相続人の一人が被相続人の財産を使い込んでいた場合の対応に分けてお話をさせていただきました。

内容の詳細は、もう話すまでもないと思いますので割愛させていただきますが、このテーマにした理由はいくつかあります。

  1. 「ほぅ!な話」のネタに使われていたこと
  2. ラジオにおいて、これまで遺言相続がテーマとして扱われていなかったこと
  3. 近年、遺言・相続関係の案件が、弁護士のところにあまり来ず、弁護士以外によって処理されるケースが散見されるので、「遺言・相続は弁護士ヘご相談ください!」というメッセージを視聴者に伝える必要があること

とくに(3)については、所属する非弁委員会においても時々問題として上がってきます。遺言・相続は、紛争性がない限り、弁護士以外でも代書することが可能という理解が一般的なので、他士業のみならず、銀行のアピールも盛んであり案件を多く獲得しているとも聞きます(団塊世代リタイア時期だからでしょう)。

しかしながら、この分野における弁護士の役割は、予防法務という面でも高いと考えられますから、弁護士も負けずにアピールする必要があると思います。

3 ラジオに出ることによって得たもの

上記1で述べたとおり、原稿作成において色々と考え、文章を推敲しながら考えることは、まさに「人に何かを伝える」という、普段している弁護士の仕事の根幹に関わることであり、ラジオ出演の機会は、そうしたことのトレーニングの機会ともいえます。

また、ラジオだとテレビのような大セットではないものの、様々な機器に囲まれた重厚そうなスタジオには、一定の緊張感が迸っており、目の前には、プロのパーソナリティさんたちがおられます。その話し方などは、やはり普段している弁護士の仕事にも何らかの刺激なり好影響を与えてくれたような気がします。

4 さいごに

末筆となり恐縮ですが、本件番組出演にあたりましては、電通九州の原田様・田中様、また、RKBのパーソナリティで私の拙い原稿をお読みくださいました安藤豊さん、壽老麻衣アナウンサー、並びにRKB内でご案内くださいましたスタッフの副田様はじめ、様々な方々にお世話になりました。この場を借りましてお礼申し上げます。

「実務に役立つLGBT連続講座」第2回/LGBTに関する世の中の動き

両性の平等委員会・LGBT小委員会 井上 敦史(62期)

先月から連載が始まった「実務に役立つLGBT連続講座」。

祝・第2回!!今月はLGBTに関する世の中の動きについて、ご紹介させていただきます。

1 地方自治体における取り組みの広がり

2015年4月1日、東京都渋谷区で渋谷区男女平等及び多様性を尊重する社会を推進する条例が施行され、同性パートナーを結婚に相当する関係と認める同性パートナーシップ証明書が発行されるようになりました。

その後、東京都世田谷区、三重県伊賀市(実は産まれ故郷)では、兵庫県宝塚市、沖縄県那覇市でも同性パートナーシップ制度が創設されました。

渋谷区では、パートナーシップ証明書を発行してもらうにあたり、公正証書の作成が必要なため時間と費用がかかってしまいますが、世田谷区や伊賀市、宝塚市、那覇市では、条例ではなく要綱という形で制度化されたため、申請手続きが簡素化され、よりパートナーシップ宣誓書受領証(ただし、那覇市では「登録証明書」)の交付が得やすくなりました。

また、同性パートナーシップ証明書や、同性パートナーシップ宣誓書受領証の発行だけではなく、東京都文京区や多摩市などでは男女共同参画の条例にLGBTに関することが盛り込まれたり、大阪市淀川区、沖縄県那覇市、和歌山県橋本市、岐阜県関市では、首長が「LGBT支援宣言」を出したりするなど、地方自治体におけるLGBTへの取り組みが広がってきています。

2 国における取り組みの広がり

2015年4月30日には、文部科学省から、LGBTの子どもについて配慮を求める通知が全国の国公私立の小中高校などに出されました。

この通知には、子どもが相談しやすくするために、教員がLGBTについての心のない言動を慎むことや、子どもの服装や髪形について否定したり、からかったりしないよう明記されています。

また、学校側は、原則として生徒の事情に応じた対応をすべきとして、複数の教員や教育委員会、医療機関と連携して対応するよう求め、サポートチームの設置なども推奨されています。

さらに、学校での支援策として、「生徒が自認する性別の制服を認める」、「着替えの際に皆とは別に保健室の利用を認める」、「修学旅行で入浴時間をずらす」等、具体的なものが示されています。

そして2016年6月27日には、厚生労働省が職場におけるLGBTへの差別的な言動がセクハラに該当することを発表し、男女雇用機会均等法に基づく事業主向けのセクハラ指針に、「性的指向、性自認によらず対象」という文言が明記され、2017年1月から施行されることとなりました。

このように国におけるLGBTへの取り組みも広がってきています。

3 企業における取り組みの広がり

企業におけるLGBTへの取り組みも広がってきています。

渋谷区や世田谷区の取り組みを受け、ライフネット生命保険は、2015年11月4日から、死亡保険金受取人の指定範囲を拡大し、同性のパートナーを受取人に指定することをできるようにしました。

また、携帯電話大手3キャリアと言われているSoftbank、au、NTTdocomoにおいて、同性パートナーに対しても家族割引の適用がされるようになりました。

他にも、トヨタや日産、ソニーといった大会社においても、LGBTに対する雇用機会均等ポリシーの策定や、同性パートナーへの福利厚生の適用、トランスジェンダーに必要な医療の保険適用を認めるなど、様々な企業において、LGBTへの取り組みが広がっています。

4 これからの課題

このように、LGBTに対する理解を広げ、平等な社会を作り上げていこうとする意識が高まり、様々な場面においてLGBTへの取り組みが広がっていますが、まだまだ偏見や差別の問題等課題が残っています。

誰しもが苦しまずに生活を送ることができる社会を作り上げていくために、これから支援の輪を広げ、取り組みを拡大していく必要があると思います。

さて、次号からはより実践的なお話となります。次号が待ち遠しいですね!!

2016年9月 1日

「実務に役立つLGBT連続講座」第1回/LGBTってなに?

両性の平等委員会・LGBT小委員会 郷田 真樹(53期)

「LGBT」という単語を見聞きすることが増えた昨今。「LGBTって何?」とか、「情報が多すぎて何を知っておくべきかわからない」とかお考えの方もいらっしゃるかと思います。そこで、両性の平等委員会・LGBT小委員会から、「実務に役立つLGBT連続講座」を連載させていただきたいと思います。毎月1回LGBT、どうぞよろしくお願いいたします。

早速ですが、オリンピック選手の性別判定方法の変遷をご存知でしょうか。その人が「男性」なのか「女性」なのかは、身体的外見・DNA・ホルモンなどの何れで決まるものでしょうか。性別は当然に明らかなもののように思われがちですが、このように、極めて曖昧かつグレーゾーンを多く含む概念でもあります(答えは文末)。

こうした身体的な性別のほかにも、性自認(自分で自分の性をどう捉えるか。)、性的指向(恋愛や性愛の対象となる性が何か。「嗜好」ではありません。)が異性か同性か両性かなど、私達の性のありかたは多様です。

このうち、LGBTとは、女性同性愛者(Lesbian)、男性同性愛者(Gay)、両性愛者(Bisexual)、性同一性障害含む性別越境者(Transgender)などの頭文字をとった略語です。なお、本来はLGBTという枠囲いは不可能ですし、望ましくもないため、国連や国会では「SOGI(性的指向と性自認。Sexual Orientation and Gender Identity)と表現されています(本連続講座では、わかりやすさを優先して、当面はLGBTとして表記をします)。

このLGBTについて、まず知っておくべきことは何でしょう。

第一に、レズ、ホモ等の略称や、オカマ、オネエといった単語は当事者以外の人が使うと蔑称であり不適切です。呼称が必要な場面では、「レズビアン」、「ゲイ」などと正式名称で呼びましょう。

LGBTと言われる人たちは、少なくとも7.6%はいる等と報告されています。「佐藤 +鈴木+高橋+田中」の名字の人達とほぼ同じ割合です。つまり、弁護士本人や会館ないし各事務所の職員、裁判所や検察庁の人たちにも、当然LGBTの方たちはいらっしゃいます。相談者・依頼者・プライベートの友人知人も、もちろんそうです。ただし、長年の社会の不寛容さや差別意識などから、多くの人が自分の個性を隠したまま不自由な生活をしている現実もあります。日頃から、そうしたことを前提にした言動ができるよう意識してみましょう。

「男性」「女性」が、一括りの同じ人の集まりではないように、LGBTのあり方もそれぞれです。誰かが性自認や性的指向について何かを語ったとしても、「Lだね」、「それはTと言うんだ」等と勝手にネーミングやカテゴリー分けをする必要はありませんし、それは不適切です。ご本人の個性をそのまま受け入れたうえで、もしも何か調整を要することがあれば、お互いの気持ちや都合について、誠実に話し合ってみましょう。

LGBTの人たちが、その個性をカミングアウトするか否かは、本人の自由です。無理にカミングアウトを勧める必要は全くありません。本人の承諾なくそうしたことを話題にすることも不適切です。

他方で、本人がカミングアウトしたい時にそれができない環境は、他者の個性を認めない不寛容な環境であり、望ましくありません。LGBT以外の人も生活のしづらさを感じている可能性が高く、労働効率も悪いと推測されます。

急速に進むLGBTに関する議論は、私達が、自分のなかの固定観念に縛られず、目の前にいるその人を、ただその人らしく受け入れられるかどうかという試金石のように思えます。(次号に続く)

クイズの答え:ホルモン(テストテトロン)。DNAだけでは簡単に判別できないケースが存在するため。

『ジュニアロースクール2016夏 in福岡』報告

会員 吉田 幹生(67期)

1 2016(平成28)年7月22日、西南学院大学法科大学院で行われました『ジュニアロースクール2016夏in福岡』について報告いたします。

2 ジュニアロースクールとは、中学生・高校生を対象に、法や司法制度の背景にある基本的な価値観(正義・公平等)やルールを学んでもらうイベントです。

今回のジュニアロースクールは、今年から選挙権年齢が引き下げられ、参院選などで、18歳、19歳が初めて投票したため今まで以上に関心の高まっている主権者教育をテーマとし、中高生に身近な学校の文化祭を題材に「民主主義と代表制」について考えてもらうということで行いました。

3 とある高校で、「生徒みんなで作る文化祭!」をコンセプトに、生徒の代表として、24名の実行委員による実行委員会と、1名の実行委員長をおき、実行委員会では、文化祭についてのいろいろなルールを決め、実行委員長は、そのルールにしたがって、判断・運営していくという設定のもと、以下のプログラムの内容を行いました。

(1) 第1部 ミニクイズ

最初の第1部ミニクイズは、参加者にイメージをつかみやすくしてもらい、実行委員と実行委員会の違いを理解してもらうために、「バンド発表で1つのグループが演奏する曲数を決めるのは実行委員会と実行委員長のどっち?」などのクイズを出題しました。

(2) 第2部 実行委員会、こんなルールを作っていいの?

第2部では、まず、最初に「ステージ使用は女子が優先する」などの「こんなルール作っていいの?」というようなルールを作ろうとしている実行委員会の話し合いの様子を、弁護士による寸劇で表現しました。各々の弁護士が迫真かつ体を張った演技で、参加者の心をがっちりと掴んだのではないかと思います。

その後、「こんなルール作っていいの?」というようなルールを実行委員会が作っていいのか、中高生が各班に分かれて話し合いを行いました。中高生の話し合いには弁護士が参加し、弁護士が中高生の議論をうまく引っ張って、議論を盛り上げていきました。中高生の表情を見ていると非常に活き活きして自分の意見を発表していました。また、中高生たちの率直な意見や鋭い意見も出て、見ていて頼もしく感じました。

(3) 第3部 実行委員はどうやって選ぶべき?

「実行委員はどうやって選ぶべき?」というテーマで、A案:クラス内で選挙を行って、クラス毎に2名ずつ選ぶ、B案:全校で立候補者を募り、全校で選挙を行って得票数の多い人から選ぶ、という2つの立場を各班に割り振り、論拠をまとめて発表をしてもらい、講評を行いました。中高生からは、弁護士が想定していた論拠がほぼすべて発表され、中高生の理解が深まっていると感じました。

(4) 最後に弁護士から、講評を行いました。講評の中では、第1部から第3部で考えてもらったように、代表に誰を選ぶかで、作られるルールや文化祭のよしあしも変わることを説明しました。そして、このことは、国政についても同じで、国民がルール作りの代表を選び、行政が執行すること、ルール作りは、多数決では侵害できない少数者の人権など憲法の制約を受けることなどの説明を行いました。

4 終了後に参加者に記載してもらったアンケートの内容も非常に好評でした。アンケートの中には、「寸劇が分かりやすくて良かった。」という意見があり、体を張った甲斐があって良かったです。

5 最後に、今後、中高生に限らずに、「主権者教育」や「法教育」の視点がいろいろな場所で取り入れられていければいいと思います。

「転ばぬ先の杖」(第26回) 両性の平等に関する委員会

会員 高城 智子(61期)

この「転ばぬ先の杖」シリーズは、月報をご覧になった一般市民の方向けに、弁護士相談の必要性をご紹介するコーナーです。

今回は両性の平等に関する委員会からですので、家族、特に夫婦に関することを書こうかと思いました。ただ、法律婚の夫婦の法律問題については、弁護士への相談の必要性は既に皆様ご存じではないかと思います。

そこで、今回は、事実婚の夫婦の法律問題について、ご紹介したいと思います。

1 そもそも、事実婚とは何でしょうか。法律婚とは何が違うのでしょうか。

事実婚の定義は、人や場面によって様々あるかと思いますが、今回は便宜上、「夫婦の間に婚姻意思があり、それに基づいた共同生活が行われているけれど、婚姻届を出していない夫婦」とします。婚姻届を出していないと言う点で法律婚と区別しています。また、夫婦の間に婚姻意思がある、と言う点で単なる同棲と区別しています。

なお、これとは別に、「内縁関係」と言う言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。これも、人や場面によっては「事実婚」と別の意味に用いられることもありますが、今回は便宜上、事実婚と同じ意味として、話を進めます。

2 では、事実婚と法律婚で、その効果に違いはあるのでしょうか。

(1) まず、法律婚であれば、夫婦で新たに戸籍を作るため姓は同一になります。しかし、事実婚の場合、戸籍は変わらず、姓も同一になりません。

(2) また、子どもが生まれた場合、法律婚の夫婦の子は、夫婦の戸籍に記載されますが、事実婚の夫婦の子は、母親の戸籍に記載されます。父親の名前は、当然には戸籍に記載されないため、父子関係を記載するためには父親から認知をしてもらう必要があります。

(3) 法律婚の場合、配偶者の不法行為(例えば暴力や不貞)により離婚せざるを得なくなれば、慰謝料が認められ得ます。この場合、裁判で問題となるのは、主に、不法行為があったか否かと、不法行為のために離婚せざるを得なくなったか否かでしょう。しかし事実婚の場合、上記2点以外に、そもそも事実婚であったか否かも問題となり得ます。戸籍で証明できる法律婚と異なり、事実婚には、それを客観的に直接証明する資料が乏しいからです。そして、事実婚であったか否かは、これまでの夫婦の生活内容、具体的には、結婚式や結納をしたか、共同生活の期間や内容、住民票の記載内容(同一住民票を作成、続柄欄に「夫・妻(未届)」の記載など)、親戚づきあい(冠婚葬祭への参加)の有無等を考慮して判断されます。

(4) 更に、大きな違いとして、相続権の有無があります。法律婚の夫婦であれば、他方が亡くなった場合、残された配偶者は相続人として、亡くなった方の財産を相続する権利があります。しかし、事実婚の場合は、残された配偶者に相続する権利はありません。

そのため、例えば、配偶者が不法行為(交通事故等)で亡くなった場合、法律婚の夫婦であれば、残された配偶者が、亡くなった配偶者から加害者への損害賠償請求権を相続して、請求する事ができます。

しかし、事実婚の場合、相続権がありませんので、亡くなった配偶者から加害者への損害賠償請求権を相続することはできません。

ただ、ご自身の扶養請求権を侵害されたとして、損害賠償請求をすることは考えられますし、残された配偶者固有の慰謝料の請求も考えられます。実際、裁判でもこれらの請求が認められたケースがあります。また、加害者への請求とは別ですが、遺族年金の請求も考えられるでしょう。

この請求の可否の判断にあたっても、これまでの夫婦の生活内容や、残された配偶者の生活状況等を確認する必要があります。

3 以上のとおり、法律婚であれ事実婚であれ、法律問題は生じ得ますが、事実婚の場合、法律婚の夫婦の場合より、主張や立証が複雑になることがあります。しかし、事実婚であっても権利を行使できる場合がありますので、事実婚だからといって諦めることなく、何か気になることがありましたら、まずは弁護士に相談してみて下さい。

2016年8月 1日

連載/相続法改正PT報告 第2回/配偶者の居住権確保のための制度について

司法制度委員会家事法制部会・相続法改正PT 山崎 あづさ(54期)

「中間試案のたたき台に対する意見書」を出しました

この間、法制審議会相続法制部会から出された中間試案のたたき台について、日弁連から意見照会がきていましたので、当PTで急ぎ検討を行い、意見書を提出しました。

パブリックコメント募集が始まりました

7月12日に、「民法(相続関係)等の改正に関する中間試案」が発表され、これに対するパブリックコメントの募集が始まりました。意見募集締切日は9月30日です。当PTでは、現在、パブリックコメントの作成に向け、作業を進めているところです。

「パブコメ 相続法」などで検索すると、意見募集のページが出てきます。ここに中間試案も掲載されていますので、是非ご覧ください。

論点の解説 ~配偶者の居住権保護について

本稿では、今回の改正の柱の一つである、配偶者の居住権を保護するための方策について、解説いたします。

今回の相続法見直しの出発点となったのは、高齢化社会の進展、家族のあり方に関する国民意識の変化、配偶者の死亡により残された他方配偶者の生活への配慮、という観点です。そのための柱の一つが、配偶者の居住権保護のための制度です。夫婦の一方が死亡した場合、残された他方配偶者は、それまで居住してきた建物に住み続けたいと希望するのが通常と考えられること、特に高齢者の場合、住み慣れた住居を離れて新たな生活を立ち上げるというのは精神的にも肉体的に大きな負担になることから、生存配偶者の居住権を保護する必要性が高いとして、制度化が検討されています。

今回出されている中間試案では、配偶者の居住権保護のため、「短期居住権」「長期居住権」という二種類の制度を新設することが盛り込まれています。

短期居住権とは?

相続開始時に被相続人の配偶者が被相続人所有の建物に無償で居住していた場合に、遺産分割により建物の帰属が確定するまでの間、引き続き無償でその建物を使用できる、というものです。配偶者以外の者が遺言等により建物の所有権を取得した場合でも、相続開始の時から一定期間(例えば6か月間)、無償でその建物を使用できる、とされます。短期居住権を取得しても、遺産分割において取得すべき財産の額には影響しません。

こうした短期的な居住権の保護については、判例(最高裁平成8年12月17日判決)で使用貸借契約成立の推認という形で認められているものですが、今回、これを整備して制度化するものであるといえます。

この短期居住権については、配偶者に限定するべきなのかどうか、建物の帰属の確定時までではなく遺産分割手続全体が終了するまでとしたほうがいいのではないか、期間が6か月では短いのではないか、配偶者が固定資産税等の必要費を負担するとされているところ、これは遺産分割協議の中で考慮すれば足りるのではないか、などの意見が出されており、なお検討をしているところです。

長期居住権とは?

相続開始時に配偶者が居住していた被相続人所有の建物について、終身または一定期間、配偶者にその使用を認めることを内容とする法定の権利(長期居住権)を新設するものです。遺産分割の協議や審判における選択肢の一つとして、あるいは被相続人の遺言等によって、配偶者に長期居住権を取得させることができるというものです。

現行法のもとでは、配偶者が従前居住していた建物に住み続けたいという場合、配偶者がその建物の所有権を取得するか、その建物の所有権を取得した他の相続人との間で賃貸借契約等を締結するということが考えられます。しかし、前者の方法では、建物の評価額によってはこれを取得すると他の遺産を全く取得できなくなり、配偶者のその後の生活資金が確保できなくなる場合が生じます。また、後者の方法では、賃貸借契約が締結できなければ配偶者の居住権は確保されないということになります。そこで、長期居住権という、建物使用のみを内容とし収益権限や処分権限のない権利を新設することによって、配偶者の居住権を保護する選択肢を増やそうというのが、今回の改正案の趣旨です。

今回検討されている長期居住権は、終身又は一定期間と相当に長期のものであり、これを配偶者が取得した場合は、その財産的価値に相当する金額を相続したものとして扱うとされています。また、登記をすれば第三者に対抗できるとされています。

この長期居住権については、新しい制度の創設ということもあり、中間試案の段階でも検討課題がまだ多く残されています。長期居住権の財産的価値をどのように評価するのか、長期居住権に関する登記手続をどのように定めるのか、配偶者が建物を使用できなくなった場合に所有者に買い取りを請求する権利を設けるかどうかなど、なお検討するものとされています。

他の相続人や債権者との関係にも配慮しつつ、配偶者の居住権保護として機能する制度にするにはどうすればいいか、私たちも、それぞれの経験を生かしさまざまな場面を想定して、考えられる問題点などについて意見を述べていく必要があると思います。

また、居住権の問題だけでなく、相続全般における配偶者の位置づけということも検討していく必要があるのではないかと考えられます。このあたりについては、次回以降の記事でも触れられるところだろうと思いますので、皆様、お楽しみに。

2016年7月 1日

給費制維持緊急対策本部だより 『ベンゴマン』手に取ってみてください!

会員 國府 朋江(65期)

ビギナーズ・ネット(注:給費制復活を目指す大学生、法科大学院生など当事者が組織し、給費制の復活のために活動している団体です。)が漫画家の矢島光さんと一緒に「ベンゴマン」という本を出したのをご存じですか?この本は、給費制復活運動の一環としてビギナーズ・ネットがクラウドファンディングを利用して作成したものです。

主人公の68期修習生雨宮さんが弁護修習先の指導担当の竹崎弁護士とボケたりつっこんだりする中で、自然と給費制の廃止とその弊害を解説してくれています。先輩弁護士のインタビュー、給費制の意義や貸与制の弊害についての説明、ビギナーズ・ネットの活動の紹介、給費制廃止違憲訴訟の取り組みの説明、当事者の声、などなど、給費制に関する情報が1冊にまとまっています。

漫画という体裁をとっていますが、この本は給費制復活を目指し、給費制廃止問題についてもっと多くの方々に知っていただくことを目的とした『真面目』な本です。そして何より法曹となることを目指す若者たちが、給費制が廃止されてしまったことで直面している様々な困難があること、その困難にも負けずに法曹となることを目指している若者たちの熱く真摯な姿勢を感じていただける内容のものと思います。

プロの漫画家による漫画「ベンゴマン」のおかげで、ポップな見た目の仕上がりとなっておりますので、色々な人に手に取ってもらいやすいものになっていると思います。価格は900円+税です。売り上げはビギナーズネットの活動費として、ビギナーズネットのトレードマークの青いTシャツ(国会議員の間では『青T』として有名です。)を着ての議員会館前での朝のあいさつ運動や国会議員との面談・意見交換などの様々な活動を下支えするものとなります。給費制の問題を多くの人に知ってもらうツールとして、またビギナーズ・ネットの活動の支援のため、是非ご購入・ご活用くださいますようお願いいたします。

問い合わせ先 ビギナーズ・ネットHP
http://www.beginners-net.org/

大規模災害時における弁護士会の活動について

災害対策委員会 松尾 朋(64期)

第1 はじめに

会員のみなさまにおかれましては、平成28年熊本地震における熊本県弁護士会並びに大分県弁護士会の活動の支援にご協力いただきまして、誠にありがとうございます。

以下では、平成28年熊本地震における弁護士会の活動を簡単に説明します。

第2 被災地弁護士会の活動メニュー
1 熊本県弁護士会の準備した支援のメニュー

まず、平成28年熊本地震においては、熊本県弁護士会が準備した被災者支援のメニューは次のようになっています。

  • 無料電話相談
  • 出張面談相談
  • 自然災害債務整理ガイドラインの窓口設置と相談会
  • 震災ADRの開設

となっています。

以下、それぞれの支援の実施状況について少し詳しく述べます。

2 支援活動の実施状況

(1)無料電話相談

ア 電話相談の概要について

無料電話相談は、4月25日(月)に2回線体制で開始しましたが、回線が常時パンク状態だったため、同28日からは5回線に増やして実施することとしました。

また当初は、熊本県弁護士会のみが担当し、土日は開催しないこととしていましたが、GW中にも実施すべきとの意見が多く、同29日には祝日ながらも実施、5月2日~同5日には当会から支援の弁護士を派遣する形で実施しました。

同7日からは東京三会に電話を転送することで熊本会の負担を減らすことが可能となり、同13日からは更に2回線を増加させ、当会と大阪弁護士会へと転送することが可能となりました。

現在は、土日を含み毎日実施しています。

電話相談の体制は、午前10時から16時まで、平日は7回線(熊本:福岡:東京:大阪=1:1:4:1)、土日は5回線(熊本:福岡:東京:大阪=0:1:3:1)となっています。

6月13日までの相談総数は、4051件です。震災当初は、一日の相談件数が150件を超えることもありました。相談件数は徐々に落ち着いてきてはいますが、現在でも、一日に平日は60件以上、土日は30件程度が寄せられています。

イ 相談内容について

電話相談に寄せられる相談として最も多いのは、不動産賃貸借(借家)に関する相談です。簡単にまとめると、震災により借家の一部が損壊したことについて、立ち退きに関するもの、貸主の修繕義務に関するもの、家賃の支払いに関するもの、解約を前提として敷金返還に関するもの、立退料に関するものなどの相談が寄せられています。もっとも貸主と借主が対立している例としては、貸主が全く修繕をしてくれない上に家賃は全額払ってほしいと言っているがどうしたら良いのかというものがありました。

また、次に多い相談が、工作物責任と相隣関係に関する相談です。すなわち、揺れによって、瓦やブロック塀等の工作物が壊れて隣地を侵害していることに関するもの、当該瓦やブロック塀が隣地の所有者の動産等を損壊してしまった場合の損害賠償に関するもの等です。多かったのは、家の屋根瓦が隣家のガレージに落ちかけたことで、隣家の車両を傷つけてしまったというものでした。このような場合に、車の修理代は誰が持つべきなのかというもので、状況としてはこれから交渉前の方から既に交渉が決裂した方までいらっしゃいました。一方で、近所では被害がないのに自分の家の屋根瓦だけが落ちたのは、欠陥住宅なのではないかという相談もありました。

これに加え、災害時の相談業務の重要な機能として、被災者に対する情報提供があります。災害時に利用できる公的支援制度を、平時から市民の方が理解していることは通常ないことから、被災者が利用できる様々な制度を説明し教示することも重要な機能なのです。公的支援制度に関する相談としては、罹災証明の交付に関するもの、応急修理についてのもの、被災者生活再建支援制度に関するもの等様々なものがあります。これらの制度は、災害の規模等により、刻々と運用が変わることもあるため、常に情報に接し、アップデートする必要はあります。

(2)出張面談相談について

出張面談相談については、熊本県弁護士会においても集計が間に合っておらず、相談数等は不明なところです。相談場所は、益城町総合体育館等の避難所や、阿蘇市役所、熊本市役所をはじめ、その他市町村の庁舎や商工会、商工会議所です。

熊本県弁護士会では、毎週50人を超すような人員を配置しなければならない状況にあり、熊本県弁護士会への負担は相当大きくなっているようです。

ただ、相談の依頼のタイミングや直受の問題等があり、他会への支援要請ができないのが実情とのことです。

(3)自然災害債務整理ガイドラインの運用について

熊本地震クラスの災害になると、住宅ローン等の債務整理も重大な問題となります。ガイドラインの概要については、当会のHPにも研修会のDVDや資料を掲載していますので、そちらを参照して下さい。ここでは、現時点におけるガイドライン利用の実情について簡単に述べます。

6月14日現在、熊本県弁護士会における登録支援専門家登録名簿の登録数は107人、一方で全銀協からの登録支援専門家の委嘱依頼は118件来ており、既に登録支援専門家名簿に登録されている全ての弁護士に委嘱が来ている状況です。

今後、最終的には1000件程度の委嘱依頼があるのではないかと予想されており、熊本県弁護士会のみでの対応が可能なのかは疑問がもたれています。

現状では、ガイドラインの実施要綱上の問題から熊本県弁護士会の弁護士を委嘱するしかない状況のため、熊本、福岡、仙台、日弁連と全銀協との間で改善策の検討をしているところです。

(4)震災ADRの開設について

熊本県弁護士会では、平成28年5月26日に震災ADRを開設しました。

上記の電話相談の内容から分かるとおり、相当数の相談は近隣トラブルに分類されるものです。このため、法的な義務がどちらにあるのかということだけでは解決できないことが多く、電話相談で回答する場合でも、民法や借地借家法上はどうなっているかという一般的なことはお伝えできますが、結局のところ、「隣家の方と相談してみて、それでもダメなときは弁護士の面談相談を受けて下さい」というしかありません。

このような状況から、震災関連相談の多くは、調停等の話し合いで解決することが望ましいというべきです。

熊本県弁護士会の震災ADRでは、申立手数料が無料、成立手数料も場合によっては通常の半額となるように設定されています。

震災ADRは、東日本大震災の際に仙台弁護士会で開設されたものがあり、紛争解決の受け皿となってきたという経緯があります。熊本県弁護士会の震災ADRも、被災者間の紛争解決の受け皿となることが期待されています。(仙台弁護士会の震災ADRの詳細については、仙台弁護士会紛争解決支援センター『3.11と弁護士 震災ADRの900日』(一般社団法人金融財政事情研究会 2013)を参照して下さい。)

第3 当会の活動
1 当会独自の活動

当会では、平成28年熊本地震以降、福岡県内の被災者、熊本県内からの避難者があることを想定し、4月25日より震災関連相談で法律相談センターを利用する場合には、希望に応じて相談枠を60分に拡大するとともに、相談料を無料とすることとしました。

6月14日までに各センターに寄せられた震災関連相談は17件となっています。

2 支援弁護士会としての活動

支援弁護士会は、被災地弁護士会からの支援要請に応じて、支援を行うことになります。

今回は、現に、熊本県弁護士会が準備した被災者支援活動の上記のメニューの全てにおいて、当会への支援を要請するかもしれないとの事前の連絡を受けていたところです。

現時点では、電話相談を支援することのみ行っていますが、場合によっては、自然災害債務整理ガイドラインにおける支援も考えられるものと思われます。

また、現時点での当会における支援へのご協力につきましても、可能であればもう少し多くのみなさまにご協力いただければ幸いでございます。

多くの会員の皆様に電話相談をご担当いただくことにより、被災者の方々が置かれている状況を知っていただき、息の長い支援が可能となることと思います。また、支援により、今後、福岡県内で災害が発生した場合にも必ず役に立つ知識や経験となるものと考えております。

なお、初めて担当される方が、手ぶらで会館にいらっしゃっても対応していただけるよう、様々な資料等を準備しておりますので、是非とも熊本県弁護士会の支援活動へのご協力をよろしくお願いいたします。

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