生活保護支援システム
生活保護制度をご存じですか?
生活保護は「生きる権利」を守るためのものです。できる限りのことをしているけれども生活が困窮してしまい,「健康で文化的な最低限度の生活」を営むことができない状態にある方は,生活保護を受けることができます。
生活保護は,「最低限度の生活」以下の生活をされている方に対して,国が直接の責任において無差別平等に実施するものです。
「最低限度の生活」に当たるかどうかは,収入,年齢,世帯人数,居住地等から導かれる「最低生活費」を上回るかどうかによって判断されます。
福岡県弁護士会にご相談ください
福岡県弁護士会では生活保護申請の援助活動をしています。
福岡県弁護士会では,2009年3月2日より,生活保護に関する法律相談のシステムをスタートさせました。
県内の弁護士会の法律相談センターに対して,「生活保護について弁護士に相談したい」との申し出があった場合,弁護士が相談を受け,必要があれば福祉事務所への生活保護申請の代理行為や,審査請求,訴訟などの援助を行います。
無料で相談できます。
生活保護申請について弁護士の援助を依頼する場合,日弁連委託法律援助事業による支援があり,原則として本人に費用負担を求めない取り扱いとなっていますので,安心してご相談ください。
次のような方も生活保護を利用できます
- 稼動年齢(概ね65歳未満)にある方
- 働いているけれども最低生活費以下の収入しかない方
- 一定額の預貯金がある方(最低生活費の半分程度が目安)
- 学資保険や生命保険等がある方(解約しなくてもよい場合があります)
- 借金がある方(場合によっては破産も検討)
- 自動車や不動産を所有されている方(事情によっては保護を受けられます)
- 親兄弟や配偶者等の親族がいる方(親族に余力がなく扶養が現実に期待できないのであれば保護を受けられます)
- ホームレス状態にある方
保護を受けられるか否かは,具体的な事情によっても異なります。詳しくは弁護士へご相談ください。
生活保護Q&A
○申請主義
生活保護は,原則として申請によって開始されます(もっとも,保護費の支給開始にはさらに行政機関の支給開始決定が必要です)。
最低生活費以下で生活されている方には,法律上の権利として保護請求権が保障されています。生活保護は,収入を得られるようになるまでの間だけ一時的に利用することも可能です。無理する前に,権利を行使しましょう。
生活保護の申請は,原則として居住地の福祉事務所で行います。住所が明らかでない場合や急迫した事情がある場合には,現在いるところでの申請や保護も可能です。
市町村によっては,福祉事務所の名称が保護課や福祉課などとなっていることもあります。どこが窓口になるかわからない場合は,住所地又は現在地の役所へお問い合わせいただくとよいでしょう。
自ら保護申請をされる場合には,お近くの福祉事務所に行って,はっきりと「生活保護を申請します」と言ってください。
申請意思を明確にするために,定型の申請書でなくてもよいので,紙に「生活保護申請書」と書いて,「住所,氏名,生年月日」「困っている理由」「申請日」を書いて提出してもかまいません。
福祉事務所が申請の受付を拒否した場合には,拒否の理由を尋ねてメモに残しておくとよいでしょう。
○違法な窓口規制の可能性があります
申請の際に,福祉事務所の職員が,保護の申請に来た方に対して,「まだ働けるでしょう」とか「子どもや兄弟などの親族に援助をしてもらいなさい」などと言って,申請用紙を渡さずに「相談」扱いとして追い返してしまう場合があります。
このような取り扱いは,本来許されるものではありません。このような取り扱いを受け,弁護士による支援を望まれる方は,県内の弁護士会の法律相談センター(上記連絡先)までご相談ください(弁護士の援助について本人負担は原則としてありません)。
次のような事例における最低生活費及び保護費支給額は以下のとおりです。
※ご注意ください※
以下の金額は、2016年12月時点の概算額です(なお、住宅扶助は限度額いっぱいの金額が支給されると仮定して計算しています。)。具体的金額は、世帯の構成人数や構成年齢、各種の加算等により増減することがあります。また、収入に応じて、実際に支給される保護費の額も変わってきます。さらに、基準や加算が見直されると金額が変わります。詳しくは法律相談の際にお尋ねください。
【事例1】
福岡市(1級地-2)在住の単身者
(55歳,無収入)
ア 生活扶助(1類+2類) 76,720円(※1)
イ 住宅扶助 36,000円(を限度とする実費額。ただし、限度額は物件の床面積によって変動する。)
→最低生活費(ア+イ)=保護費支給額=112,720円
※事例1における生活扶助の計算式
(第1類)37,670×1.0+(第2類)39,050=76,720円
【事例2】
大牟田市(2級地-2)在住の2人世帯
(30歳男,7歳子,給与収入月額8万円)
ア 生活扶助 101,210円
イ 児童養育加算 10,000円
ウ 住宅扶助 38,000円(を限度とする実費額。ただし、限度額は物件の床面積によって変動する。)
エ 教育扶助 2,210円(基準額)+2,630円(学習支援費)+教材費・給食費等実費
オ 母子加算(父子家庭含む) 21,200円
→カ 最低生活費(ア~オ) 175,250円
キ 収入認定額 月収80,000円-基礎控除(1人目)15,120円=64,880円
→保護費支給額(カ-キ) 110,370円
※事例2における生活扶助の計算式
(33,930+30,360)×0.8850+44,310=101,207円
→101,210円(10円未満切り上げ)
【事例3】
柳川市(3級地-1)在住の3人世帯
(42歳男,38歳女,10歳子,それぞれ給与収入月額男10万円,女5万円)
ア 生活扶助 128,950円
イ 児童養育加算 10,000円
ウ 住宅扶助 42,000円(を限度とする実費額。ただし、限度額は物件の床面積によって変動する。)
エ 教育扶助 2,210円(基準額)+2,630円(学習支援費)+教材費・給食費等実費
→オ 最低生活費 (ア~エ) 185,790円
カ 収入認定額 月額150,000円-基礎控除(1人目)16,520円-基礎控除(2人目)10,948円=122,532円
→保護費支給額(オ-カ) 75,030円
※事例3における生活扶助の計算式
(33,210+32,420+29,010)×0.8350+49,920=128,950円(10円未満切り上げ)
●基本的には、厚生労働省のHPの計算式を使用して算定しましたが、住宅扶助等の加算額は、インターネットで検索して(平成28年12月1日時点でのデータが記載されているもの)算定しました。