紛争解決のお手伝い(ADRセンター)
身近に起こり得る様々なトラブル
みなさんはどのようにして解決しますか。
まずは、ご本人同士の話し合いによる解決を目指すのが通常のやり方だと思いますが、それが困難な場合、弁護士などの法律家に依頼して、裁判をすることが多いと思います。
しかし、実際には裁判となると、時間がかかる、費用もかかることが一般的なうえ、裁判所まで使うのは気が引けると思われる方も少なくないと思います。
そのような方のために、1つの紛争解決方法としてご検討いただきたいのが、福岡県弁護士会が主催する『紛争解決センター(弁護士会のADR)』です。
紛争解決センターでは、実務経験豊富な弁護士が仲裁人となって、対立当事者の言い分を公平に聞いて、話し合いによってお互いが納得しうる解決ができるように努めます。
わかりやすく言えば、仲裁人となった弁護士が裁判官のような公平な立場で紛争解決にあたるということです。
以下、紛争解決センターの特徴や多く寄せられる質問について、Q&Aの形式でご説明します。
紛争解決Q&A
Q1紛争解決センターでは、トラブルを解決するために、何をしてくれるのですか?
A
あっせん・仲裁人となった弁護士が、公平・中立の立場で、トラブルについて当事者双方の言い分を聞いた上で、法律的な観点から方針を示したり、解決案を提示したりして、話し合い(和解)でトラブルを解決できるようにお手伝いします(あっせん手続)。
また、当事者が合意すれば、あっせん・仲裁人が裁判所の判決に相当する仲裁判断を示すこともできます(仲裁手続)。
Q2紛争解決センターは、どのような事件を取り扱ってくれますか?
A
基本的に取り扱う事件の種類に制限はありません。これまでも交通事故などを原因とする損害賠償請求、売掛金や請負代金の支払を求める一般民事事件、残業代の支払や解雇の無効を求める労働事件、離婚や養育費を求める家事事件等、多様な事件を取り扱ってきた実績があります。
また、医療紛争については、専門的で複雑な医療紛争を適切、迅速かつ公平に解決できるよう、医療ADRという特別な仕組みを設けて対応しています
他に、事件の特殊性に応じて専門家(専門委員)の協力を得られる体制も整っています。現在、登録されている専門委員は、建築士、医師、不動産鑑定士、司法書士、弁理士、歯科医師、行政書士、社会保険労務士、税理士、土地家屋調査士、公認会計士です。
Q3トラブルの内容を他人に知られたくないのですが、プライバシーは
守られますか?
A
はい。あっせんや仲裁の手続は、非公開で行われますので、トラブルの内容を外部の第三者に知られる心配はありません。
Q4弁護士に依頼せずに自分だけで申立てをすることは可能ですか?
A
もちろん可能です。これまでもご本人による申立てがなされ、解決に至った事例はたくさんあります。
あっせん・仲裁人となった弁護士は、あなたの言い分を十分に聴いて、当事者双方が納得できる解決に近付けるように努力します。
Q5申立てから解決までにどのくらい時間がかかりますか?
A
事案にもよりますが、3カ月以内に解決できるよう努力しています。
Q6費用はどのくらいかかりますか?
A
申立人には、1件につき申立手数料として11,000円(消費税込)の費用がかかります。
また、紛争が無事解決した場合は、解決額を基準として次のとおり別途成立手数料がかかります。この成立手数料は、原則として、申立人と相手方に半分ずつ負担していただきます。
Q7申立手数料や成立手数料を払えない場合は、手続を利用できないのですか?
A
経済的事情により支払うことができない場合などは、手数料の額を減額したり、場合によっては免除したりすることもできます。
Q8紛争解決センターの手続は、裁判所の調停手続とどう違うのですか?
A
大きな違いは、紛争解決センターの手続では、法律の専門家であり、日頃から交渉により裁判外で紛争を解決する機会も多い弁護士があっせん・仲裁人となる点です。弁護士の経験に基づく話し合い解決のノウハウにより、迅速で実効的な紛争解決が期待できます。
また、福岡県弁護士会の紛争解決センターを利用した場合、時効の完成猶予効及び調停前置に関する特則について、特別の効果が認められます。詳しくは、本ページの下部をご覧下さい。
Q9トラブルに巻き込まれてしまいました。紛争解決センターを利用するには,まず何をすればよいのですか?
A
まずは弁護士に相談されて、紛争解決センター宛の紹介状を書いてもらってください。福岡県弁護士会の紛争解決センターを利用するには、弁護士を代理人につける場合などを除き、弁護士の紹介状が必要になります。
もし、知り合いに弁護士がいない場合は、各地域にある法律相談センターで弁護士の法律相談を受けて、担当弁護士に紛争解決センター宛の紹介状を書いてもらうこともできます。
Q10紛争解決センターに対するあっせん・仲裁の申立て方法を教えて下さい。
A
申立書など下記の必要書類に、申立手数料(Q6,Q7参照)を添えて、最寄りの紛争解決センターの窓口に持参又は郵送により提出して下さい。
福岡県弁護士会の紛争解決センターは、福岡県弁護士会館、天神(天神弁護士センター内事務所は2024年春に廃止予定)、北九州、久留米にあります。お問い合わせ先は、このページの下部に記載していますので、不明な点は予めお尋ね下さい。
«必要書類»
(1)申立書(原則として、相手方の人数+2部)
申立書の書式は、トラブルの類型ごとに各種用意しています。
ご記入にあたっては、申立書記載例を参考にして下さい。
(2)紹介状(Q9参照)
(3)当事者が法人である場合は、その法人の法人登記簿謄本または登記事項証明書(法務局で取得できます)
(4)当事者間に仲裁の合意がある場合は、仲裁合意を証する書面
(5)法定代理人が申し立てる場合は、戸籍謄本その他代理権を証する書面
(6)代理人により申し立てる場合は、委任状
紛争解決センターの許可を得て、弁護士ではない代理人に委任することもできます。
委任状兼代理人許可申請書(書式)
委任状兼代理人許可申請書(記載例)
(7)申立ての理由を基礎付ける証拠がある場合は、その写し(原則として、相手方の人数+2部)
Q11トラブルの相手が紛争解決センターに申立てをしました。対応に迷っているのですが、どうしたらよいでしょうか?
A
紛争解決センターの手続に出てくることは強制されません。
ただし、公平・中立の立場の第三者の前で、相手の言い分を聞いてみること、あるいは、自分の言い分を聞いてもらうことによって、トラブル解決に有益な手掛かりが得られることもあります。
1度手続に出たとしても、和解を強制されるわけでもありませんし、いつでもその手続から離れることができますので、相手から申立てがなされた場合には、紛争解決センターの手続を積極的にご利用いただいて、その上で話し合いによる解決の余地がないかを判断していただければと考えています。
Q12紛争解決センターの紛争解決手続の流れを教えてください。
A
以下のとおりです。
Q13紛争解決センターに規則はありますか。
A
下記のとおりです。
Q14紛争解決センターの手続は、遠隔地からリモートでも利用できますか。
A
紛争解決センターでは、紛争解決手続(ADR)をZoom等のWEB会議や電話で行う『リモートADR』を行っています。
リモートADRでは、紛争当事者の方に、実際に弁護士会館にお越しいただかなくても、WEB会議や電話などを利用して、紛争解決手続を行うことが可能です。
詳しくは、福岡県弁護士会紛争解決センター(ADRセンター)まで、お尋ねください。
お問い合わせ先
*その他のご質問等については、次のとおりお問い合わせください。
福岡県弁護士会紛争解決センター(福岡県弁護士会館)
福岡県弁護士会紛争解決センター(北九州法律相談センター)
福岡県弁護士会紛争解決センター(久留米法律相談センター)
筑豊地域の方は、福岡県弁護士会館にお問い合わせください。
認証を受けたことにより、当会の紛争解決センターで扱う事件については、主に次のようなメリットが生まれます。
●時効の完成猶予効
一定の条件を満たすと、当会の紛争解決センターのあっせん手続で相手方に請求をした時点において、時効の完成猶予効が認められます。
●調停前置に関する特則
離婚事件や賃料増減額請求事件などの一定の事件については、まずは調停の申立てが必要で、いきなり訴訟を提起することができないのが原則です。
しかし、当会の紛争解決センターを利用された事件については、一定の条件を満たすと、調停を申し立てることなく、訴訟を提起することができます。
申立書の書式
申立書(一般) | 申立書記載例(PDF) |
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申立書(交通事故用) | 申立書記載例(PDF) |
申立書(賃料増減・賃料支払) | 申立書記載例(PDF) |
申立書(貸金) | 申立書記載例(PDF) |
申立書(給料・退職金等支払) | 申立書記載例(PDF) |
申立書(売買代金) | 申立書記載例(PDF) |
申立書(建物明け渡し) | 申立書記載例(PDF) |