福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

声明

2008年6月18日

消費者行政の一元化と地方の相談体制強化を求める会長声明


 近年,こんにゃくゼリーによる窒息死事故や「船場吉兆」による一連の食品偽装表示事件が発覚し,また輸入冷凍餃子への毒物混入事件等により食品の安全・表示分野に対する消費者の信頼は著しく損なわれ,深刻な社会不安が広がった。また,ガス湯沸かし器一酸化炭素中毒事件,シュレッダーによる指切断事件,住宅の耐震構造偽装事件により,製品や住宅の安全性が大きな問題となった。更に,取引分野においても,年々巧妙化する振り込め詐欺,サラ金の違法取立,次々販売・モニター商法等に代表される悪質商法被害,英会話教室NOVAや福岡県に本店を置く株式会社エフエーシーの破産手続の開始等による消費者トラブルなど,多種多様な消費者被害が次々と発生ないし顕在化している。これに対し,従来の産業・業界別の縦割行政では,業界の育成を第一義としており消費者被害への対応が後手に回っている上に,それぞれの管轄と法的手続が複雑に分岐・錯綜しているために,これらの消費者被害の発生防止や被害救済の面において不十分である。
 一方,各地の消費生活センターなど地方自治体の相談窓口による相談・あっせん解決は,消費者にとって身近で頼りになる被害救済手段として重要である。ところが,自治体の地方消費者行政予算は,ピーク時の1995年度には全国200億円(都道府県127億円)であったものが2007年度は108億円(都道府県46億円)に落ち込むなど年々削減されており,地方の相談窓口は,十分な相談体制がとれない,あっせん率が低下している,被害救済委員会が機能していないなど,多くの問題を抱えている。
 地方自治体における法律相談関連予算の規模も拡大することは望めない状況にある。
 また,各消費生活センターにおいても,人件費削減のために相談員の有期雇用化が進み,そのため経験を積んだ相談員が退職していく上に,相談員の研修費用が削減されており,相談のノウハウの承継が困難となっている。
 このような状況下において,2007年10月,福田康夫内閣総理大臣は,就任直後の所信表明演説において「生産第一という思考から,国民の安全・安心を重視し真に消費者や生活者の視点に立った行政に発想を転換し,消費者保護のために行政機能の強化に取り組む」と述べ,2008年1月18日の第169回通常国会での施政方針演説では「各省庁縦割りになっている消費者行政を統一的・一元的に推進するための強い権限をもつ新組織を発足させ併せて消費者行政担当大臣を常設する。新組織は国民の意見や苦情の窓口となり,政策に直結させ,消費者を主役とする政府の舵取り役になるものとする」旨表明した。
 これを受けて自民党消費者問題調査会は,本年3月19日,「産業育成官庁から独立し,消費者・生活者目線で他省庁に指令を出す『消費者庁』の新設(強い監督権限)」,「地方消費者行政の充実」,「違法収益のはく奪」,「相談窓口の一元化」などを骨子とする最終取りまとめを行なった。また,民主党も消費者庁の創設に加えて,消費者保護官(オンブズパーソン)構想を提言するなど,野党各党も検討を進めている。3月27日には国民生活審議会総合企画部会が部会報告において消費者・生活者を主役とした行政への転換を提言し,4月2日には政府の消費者行政推進会議が発足した。
福田康夫内閣総理大臣は,本年4月23日,消費者行政推進会議において,「消費者を主役とする『政府の舵取り役』としての消費者庁(仮称)を来年度から発足させる」との意向を明らかにし,消費者に身近な問題を取り扱う法律は消費者庁に移管することや,地方消費者行政の強化を打ち出した。そして,消費者行政推進会議は,本年6月13日に,消費者に身近な30の法律を主管或いは共管することを明記したほか,消費者庁の果たす役割として,所管庁に対する指示・勧告権限など縦割り・すき間行政の弊害に対し迅速に対応するための諸権限や新規立法権限を持つ,司令塔の役割を求める最終報告を取りまとめたところである。
 当会は,この方針を高く評価するものである。消費者が主役の実効性ある制度とするためには,新組織に消費者行政を一元化し,十分な権限を与えるとともに,都道府県・市町村など消費者に身近な地方相談窓口において,人的及び物的体制を十分に確保することが必要である。よって,当会は以下のような新組織や制度の創設を強く求める。

1.新組織が消費者政策の企画・立案を行なうとともに,消費者被害が多発する主要な分野については事業者に対する規制監督権限を直接行使できるよう,関係法の所管を新組織に移管し,かつ縦割りを排除した横断的・一元的な規制監督権限を付与すること。

2.新組織が消費者の権利擁護の理念の下にその責任を果たせるよう,消費者団体に新組織に対する調査・勧告権限発動を求める申立権を付与し,新組織の運営に消費者が参加し監督することが可能な組織とすること。

3.新組織に消費者・事業者・公益通報者等からの被害関連情報を一元的に集約し,調査・分析・公表する権限を与えた上,この権限に実効性を持たせるため,被害の原因究明等のための機関を設置すること。

4.消費者行政は地方自治そのものであるという視点に立った上で,消費者の苦情相談が地方自治体の消費者生活相談窓口で適切に助言・あっせん等により解決されるよう,地方の相談体制の充実,情報の集約と発信,国と地方の連携等の施策を強力に推進できるような制度・体制を構築し,そのために必要な予算を国の責任で確保すること。

5.新組織ないし関係省庁が調査把握した情報に基づき,違法収益の機動的な凍結及びはく奪を行ない,適正な手続のもとで被害者に分配する制度を導入すること。

2008年6月16日
                           福岡県弁護士会     
                              会長  田邉宜克

2008年3月26日

少年法「改正」法案に反対する会長声明

法制審議会少年法(犯罪被害者関係)部会は、本年2月13日、少年法「改正」要綱(骨子)を採択し,さらに,3月7日少年法「改正」案が閣議決定され国会に上程された。
この「改正」案は,?犯罪被害者等による少年審判の傍聴規定を新設するとともに,?犯罪被害者等による記録の閲覧及び謄写を認める要件を緩和しているが,以下の理由により,当会は,同法案に強く反対する。


1 法案は,少年審判における犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図ることを理由に,審判の傍聴規定の新設を提案する。当然ながら,犯罪被害者等の権利利益の保護が図られなければならないことは言うまでもない。
しかしながら,そもそも少年審判に関しては,少年の健全な育成を目的とするという少年法の理念(少年法1条)の下,懇切を旨として和やかに行わなければならないと定められる(同法22条)など,裁判官,調査官,付添人ら関係者が少年に対して何よりも受容的に接したうえ,教育的・福祉的な働きかけを行うことにより,少年がその犯した非行事実に真摯に向き合い内省を深める場となることが強く期待されている。その場合,少年の率直な発言をきっかけに,少年の持つ問題性を浮き彫りしに,その未熟さを自覚させ,真の健全育成のための働きかけを行っていくことが重要である。
ところが,こうした審判を被害者等が傍聴するということになれば,精神的に未成熟な少年は,事実に関する自己の率直な意見や心情,気持ちをそのまま発言することに躊躇を覚え,必然的に被害者を意識した建前の発言に終始し,結果として,審判に関わる関係者からの少年の問題に迫った更生への働きかけができなくなるおそれがあるだけでなく,真実の発見にも悪影響を及ぼすことも危惧される。
また,非行の原因や少年の処分は,少年の家庭生育環境や生い立ちなどに遡って総合的に考えることが必要であるところ,被害者等の傍聴が許されるならば,プライバシーの観点から,こうした部分を審判において明らかにすることが躊躇され,非行の原因を十分に掘り下げることができず,かつ,適切な処分を選択することができなくなる。
さらに,多くの場合,審判は,刑事事件に比べても事件発生から間もない時期に開かれるため、少年のみならず、被害者にとっても、心理的な動揺が収まっていない状況で開かれることが多い。にもかかわらず、被害者が少年審判を傍聴することになれば、当該審判廷は必然的に非常に緊張度の高いものとなり、上記少年法の理念に基づく審判の実践はおよそ困難となる。
加えて,犯罪被害者等による少年審判の傍聴については,現行制度においても,少年審判規則第29条に基づき,裁判所が認める範囲で審判への在席が認められる場合があるのであるから,この規定に加えて「改正」案のような規定を設ける必要性は認められない。


2 同様に,犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るという理由から,記録の閲覧・謄写を認める要件を緩和する点については,その対象範囲を法律記録の少年の身上経歴などプライバシーに関する部分についてまで拡大することになるが,少年の更生に対して悪影響を及ぼすおそれも懸念されるところであり,この拡大は認めるべきではない。


3 犯罪被害者等の権利利益の一層の保護を図るという理由から,今なすべきことは,各関係機関が被害者等に対し,2000(平成12)年少年法「改正」で導入された,被害者等による記録の閲覧・謄写(少年法第5条の2),被害者等の意見聴取(少年法第9条の2),審判の結果通知(少年法第31条の2)の各規定の存在をさらに丁寧に知らせ,これを被害者等が活用する支援体制を整備すること,さらには,より抜本的に犯罪被害者に対する早期の経済的、精神的支援の制度を拡充することである。

                                         以上


              2008(平成20)年3月26日

              福岡県弁護士会
                会 長  福  島  康  夫

2008年3月13日

捜査機関の違法捜査に抗議し代用監獄の廃止等を求める声明

2008年(平成20年)3月11日

最高検察庁 検事総長  但木敬一 殿

福岡県弁護士会 会長  福島康夫

 福岡地方裁判所小倉支部は,2004年(平成16年)3月24日に福岡県北九州市八幡西区で起きた殺人・放火事件について,いわゆる代用監獄における身柄拘束を濫用した相当性を欠く捜査手法があったなどとして,本年3月5日,被告人に無罪判決を言い渡した。
 すでに無罪が確定した佐賀北方事件,鹿児島志布志事件,富山氷見事件に引き続き,またしても捜査機関の違法・不当な捜査が裁判で明らかにされた。
 本件では,検察官は,代用監獄において同房者が被告人の犯行告白を聞いたということを理由として被告人を起訴した。
 これに対し,裁判所は次のように判断した。
? 捜査機関は,同房者を通じて捜査情報を得る目的で,意図的に被告人と同房者を同房状態にしたと  いうことができ,代用監獄への身柄拘束を捜査に利用したとの謗りを免れない。
? 同房者は,捜査官に伝えることを隠して,被告人から話を聞き出しており,被告人は,房内で,知ら  ない間に同房者を介して取調べを受けさせられていたのと同様の状態にあったということができ,本来 取調べと区別されるべき房内での身柄留置が犯罪捜査のために濫用された。
? 本件における事情聴取は,単なる参考聴取の域を超え,同房者を通じて被告人の供述を得ようとす るもので,虚偽供述を誘発しかねない不当な方法であり,被告人の犯行告白が任意になされたものと はいえない。身柄留置を犯罪捜査に濫用するもので捜査手法の相当性を欠いており,適正手続確保  のためにも,証拠能力を肯定することはできない。
 本件は,代用監獄における身柄拘束を捜査機関が組織的・計画的に利用すれば,どのような捜査でもできることを示している。警察庁は,本年1月24日,都道府県警察本部と全警察署に取調べ監督担当を捜査部門とは別の総務又は警務部門に置き取調べ状況をチェックすることなどを内容とする「取調べの適正化指針」をまとめたが,身内によるチェックでは違法・不当な捜査を防止できないことは本件をみても明らかである。
 当会は,これまでも,代用監獄は冤罪・人権侵害の温床になることを指摘して代用監獄は廃止されるべきであることを主張し続けてきた。
 国連拷問禁止委員会も,昨年5月に日本政府に対し,“法を改正し捜査と拘禁を完全に分離すること”を勧告している。
 当会は,現在,捜査機関の違法・不当な取調べを防止するために,捜査機関における取調べの全過程の可視化(録画)の実現を求めて運動を続けているが,捜査機関の違法・不当な捜査を防止するためには,取調べの可視化に加えて代用監獄の廃止が実現されなければならない。本件は,その必要性を強く裏付けている。
 わが国では,来年5月までに裁判員裁判が始まることになっているが,捜査機関による違法・不当な捜査が今後も続き,それが裁判で延々と争われることになると,およそ裁判員裁判は成り立たない。裁判員裁判実施を間近に控えた今こそ,取調べの可視化と代用監獄の廃止を実現されるべきである。
 当会は,本件における捜査機関の違法・不当な捜査に強く抗議するとともに,違法な取調べを防止するために取調べの全過程の可視化の実現と代用監獄の廃止を求めるものである。

2008年1月24日

経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会の割賦販売法改正に関する最終報告に対する会長声明

1 経済産業省産業構造審議会割賦販売分科会基本問題小委員会において2007年11月29日付で割賦販売法改正についての報告書が取りまとめられた(以下「報告書」という)。
 これまで福岡県弁護士会は、悪質商法を助長するクレジットが深刻な消費者被害をもたらすことから、その救済と安全なクレジット社会の実現に向けて、割賦販売法改正を求め、シンポジウムの開催、意見書の提出、請願署名活動等に取り組んできた。
 今回の報告書は、(1)個品割賦購入あっせん業者取引において、特定商取引法類型の取引を行う販売業者が与信契約に関する重要事項について不実の告知を行った場合、あるいは、与信契約の締結を必要とする事情または与信契約締結の判断に影響を及ぼすことになる重要なものについて不実の告知を行った場合、購入者は与信契約を取り消すことができるよう措置を講ずるとして、その範囲で過失を要件としない既払金の返還を認めた点、(2)すべての割賦購入あっせん業者に一般的義務として悪質な加盟店を排除し適正与信義務を負うこととした点、(3)特商法適用取引の場合の個品割賦購入あっせん業者に加盟店の勧誘販売方法等に関する調査義務を課し、その調査結果に基づく適正与信義務を負うものとした点、(4)すべての割賦購入あっせん業者に対し、一般的過剰与信防止義務と信用情報機関の利用義務を定め、支払い能力を超える与信を行わない点の義務違反の場合には行政処分の対象にするとした点、(5)特商法適用取引の場合の個品割賦購入あっせん業者には収入、資産等の支払い能力、販売数量や過去の購入履歴、購入意思などについて個別具体的な調査義務を課し、その場合における信用情報機関の利用義務及び調査結果の信用情報機関への登録義務を定めた点、このほか、(6)現行法の割賦要件を撤廃して、1回払い・2回払いのクレジット契約も適用対象とした点、(7)指定商品・指定役務制を廃止した点、(8)個品割賦購入あっせん業者に対し登録制を導入、(9)個品割賦購入あっせん業者に契約書面交付義務と、訪問販売に伴う個品式クレジット契約にクーリング・オフを導入した点、など従来我々が求めてきた消費者保護の観点に立つ重要な制度の策定であり、画期的な内容であると評価できる。
 しかしながら、報告書の意見にはなお不十分な部分があるので、改正の趣旨をさらに徹底させる見地から、福岡県弁護士会は割賦販売法改正の国会審議にあたり、以下の点を強く求めて意見を述べるものである。


2 悪質な販売業者が個品割賦購入あっせん取引を利用して不適正な販売方法により被害を生じさせる場合は、特定商取引法適用の訪問販売等の取引に限らず店舗取引においても大規模な被害が発生している(ココ山岡事件)。また、そもそも個品割賦購入あっせん取引は、販売業者がクレジット業者から代金の一括立替払いを受け、クレジット業者が購入者に割賦代金の支払い請求を行う構造なので、自ら代金回収の努力をしない販売業者の悪質商法に利用されやすい。また、購入者が販売契約の詐欺や債務不履行などに遭い契約の無効、取消、解除を訴え契約関係を解消しても、既に支払った代金を回収できず、あるいはトラブルの交渉の間も支払い請求を受けるので、悪質商法被害の負担は消費者にかかる。しかし、クレジット業者は加盟店管理を通じて販売業者の履行体制を調査・確認できる体制にあり、かつ、クレジットシステムを提供して加盟店との提携の利益を得る地位にあるので、クレジット契約のトラブルに関し加盟店のもたらすリスクを負担すべきは消費者ではなくクレジット業者であるべきである。さらに、特定商取引法適用に限定して店舗取引を除外すると、実態は訪問販売と異ならない販売方法を店舗販売に用いて脱法的な行為を助長することになり、規制の趣旨が潜脱されるおそれがある。
 したがって、クレジットシステムから生じる被害の防止義務、救済措置は、特定商取引法適用取引以外の取引についても要請され、報告書のように限定すべきではない。
 同様に、加盟店調査等の管理を適正に行なう適正与信義務についても、店舗取引被害が生じている実態や店舗取引に詐欺行為などの悪質商法があった場合には課されないのは狭すぎることから、特定商取引法適用取引に限るべきではなく広く適正与信義務を導入すべきである。
 報告書は過剰与信防止についての義務に関し、何が過剰与信かの判断を一律に決めず、具体的な調査義務を課すことにしている。しかし実効的な過剰与信防止のためには明確な基準が必要であり、具体的数値を設けるか、具体的数値を盛り込んだ詳しいガイドラインを策定すべきである。


3 福岡県弁護士会は、今後国会での割賦販売法改正案審議にあたり、以下の点を強 く求めるものである。

  (1) 個品割賦購入あっせん取引において、販売契約の取消・無効・債務不履行による解除事由がある場合は、クレジット事業者に対し、既払い金の返還を求めることができるよう特定商取引法適用取引に限らず対象を個品割賦購入あっせん全体に拡大すべきである。
  (2) 適正与信を行うための具体的な加盟店調査義務、契約締結過程の調査義務は、適用対象を店舗取引・通信販売を含む個品割賦購入あっせん全体に拡大すべきである。
  (3) 過剰与信に当たるか否かの具体的な判断基準が必要であり、年収基準などのわかりやすい基準を設けるべきである。
                           
2008年1月24日
                     福岡県弁護士会 会 長 福島康夫

2007年12月10日

死刑執行に関する会長声明

1 本年12月7日、東京拘置所において2名、大阪拘置所において1名の死刑が執行された。今回の死刑執行は、昨年12月の4名、本年4月の3名、本年8月の3名に続くものである。
  当会は、これまで死刑制度の存廃について国民的な議論が尽くされるまで死刑の執行を停止するよう法務大臣に求め続けてきたが、今回また死刑が執行され、この1年間だけで13名もの死刑確定者に対し死刑が執行されたことは誠に遺憾である。
2 我が国では、過去において、4つの死刑確定事件(いわゆる免田事件、財田川事件、松山事件、島田事件)について再審無罪が確定している。また、本年4月にも、佐賀県内で3名の女性が殺害されたとされる事件(いわゆる北方事件)で死刑求刑された被告人に対する無罪判決が確定した。このような実例は、死刑事件についても誤判や誤った訴追があることを明確に示している。
  1993年(平成5年)9月21日の最高裁判決中の大野正男裁判官の補足意見でも、死刑の廃止に向かいつつある国際的動向とその存続を支持するわが国民の意識の整合を図るための立法施策が考えられるべきであるとの指摘がなされている。
  また、死刑と無期刑の選択についても、裁判所の判断が分かれる事例が相次いで出されておりその明確な基準が存在しない。
  我が国の死刑確定者は、国際人権(自由権)規約、国連決議に違反した状態におかれ、特に過酷な面会・通信の制限は、死刑確定者の再審請求、恩赦出願などの権利行使にとって大きな妨げとなって来た。今般、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律が施行されたが、未だに死刑確定者と再審弁護人との接見に施設職員の立ち会いが付されるなど、死刑確定者の権利行使が十分に保障されているとは言い難く、このような状況で直ちに死刑が執行されることには問題がある。
3 国際的にも、1989年(平成元年)に国連総会で採択された死刑廃止条約が1991年(平成3年)7月に発効して以来、死刑廃止が国際的な潮流となっている。すなわち、すでに死刑制度を全面的に廃止した欧州地域をはじめとし死刑廃止国が133か国であるのに対し、死刑存置国は64か国(本年10月2日現在)である。そのような潮流の中で、国連規約人権委員会は、1993年(平成5年)11月4日及び1998年(平成10年)11月5日の2回にわたり、日本政府に対し、死刑廃止に向けた措置をとるよう勧告している。
4 このような国際的な潮流と国内的な状況を踏まえて、日本弁護士連合会も、死刑制度の存廃につき国民的議論を尽くし、また死刑制度に関する改善を行うまでの一定期間、死刑確定者に対する死刑執行を停止する旨の時限立法(死刑執行停止法)の制定を提唱している。
  当会も、これまで、死刑確定者からの処遇改善や再審援助要請といった人権救済申立事件処理を通じて、死刑制度の存廃を含めた問題に積極的に取組み、死刑が執行されるたびに、会長声明において、死刑執行は極めて遺憾であるとの意を表明し、法務大臣に対し、死刑の執行を差し控えるべきであることの要望も重ねてきた。
5 2007年(平成19年)5月18日に示された、国連の拷問禁止委員会による日本政府報告書に対する最終見解・勧告においては、我が国の死刑制度の問題が端的に示された。すなわち、死刑確定者の拘禁状態はもとより、その法的保障措置の不十分さについて、弁護人との秘密交通に関して課せられた制限をはじめとして深刻な懸念が示された上で、死刑の執行を速やかに停止すること、死刑を減刑するための措置を考慮すべきこと、恩赦を含む手続的改革を行うべきこと、すべての死刑事件において上訴が必要的とされるべきこと、死刑の実施が遅延した場合には減刑をなし得ることを確実に法律で規定すべきこと、すべての死刑確定者が条約に規定された保護を与えられるようにすべきことが勧告されたのである。我が国の死刑確定者が、同条約上の保護を与えられていないことが明確に指摘され、それゆえ、勧告の筆頭に死刑執行の速やかな停止が掲げられているのであって、その意義は極めて重い。
  さらに、本年11月15日には、国連総会第三委員会において、すべての死刑存置国に対して死刑執行の停止を求める決議案が採択され、近日中に本会議で採択されようとしている。
6 このように国内的にも国際的にも、日本の死刑制度に対する非難が高まった状況下において断行された今回の死刑執行は、我が国が批准した条約を尊重せず国際社会の要請に応えないことを宣言するに等しい。
7 当会は、今回の死刑執行に関して、法務大臣に対し、極めて遺憾であるとの抗議の意を表明するとともに、更なる死刑の執行を停止するよう強く要請する。

2007年(平成19年)12月10日
福岡県弁護士会 会 長 福 島 康 夫

「改正」入管法施行停止を要請するとともに個人情報の集積管理体制構築の動きに対し反対する声明

1 2007年11月20日、先に改正された出入国管理及び難民認定法(以下、「入管法」という。)の施行により、テロリストの出入国を水際で防止するためとして、日本に入国する全ての外国人(在日韓国・朝鮮人ら日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者及びその子孫などの特別永住者や16歳未満の外国人等を除く)の顔情報、指紋情報を国が取得して保管する手続が開始された。日本では、年間600万人から700万人の外国人の入出国がある。前記改正入管法の施行により、特別永住者や16歳に満たない者などが除かれるにしても、中短期滞在の外国人のみならず日本を生活の本拠とする永住者や日本人の配偶者である外国人までもが対象とされ、毎年膨大な数の外国人について生体情報が集積されることになる。
まず、「テロの未然防止」という名目で、このような膨大な数の、また広範な範囲の外国人について生体情報を取得し保存するような必要性があるか疑問である。かつて外国人登録法における指紋押捺義務が2000年に完全撤廃された経緯に照らしても、指紋情報の取得を出入国管理の一環として復活させ、更に指紋以外の生体情報も取得することは、プライバシー権の侵害はもちろん国際人権自由権規約7条で禁止する品位を傷つける取り扱いに該当する疑いが極めて強く、同規約26条で禁止された外国人差別にも該当する疑いもある。
そこで、当会は、日本に入国するすべての外国人に対し顔情報、指紋情報の提供を義務付ける制度は外国人のプライバシー権を著しく侵害し、品位を傷つける取り扱いの禁止及び外国人差別に抵触するものであるから、前記改正入管法の施行を直ちに一時停止してその制度廃止を含めた見直しをするよう要請する。
2 今回の改正入管法施行により取得された外国人の生体情報の利用に関しては、犯罪現場などで取得した顔情報や遺留指紋などと照合することが可能となり、既に新設された入管法61条の9により法務大臣は外国の入国管理当局との間で相互にその保有する個人情報を交換することも可能となっている。また、本年10月1日より施行された改正雇用対策法により外国人(特別永住者を除く)の就労状況に関する情報を厚生労働大臣が雇用主から刑罰を背景に強制的に届出させ(同法28条1項、38条二号)、これらの情報提供を法務大臣が受けることができるようになった(同法29条)。同様の制度導入が外国人の就学状況に関する情報についても検討されている。
このように外国人の入出国をはじめ日本における生活状況全般を監視する制度の構築は着実に進展している現状にあり、これを放置すれば、監視社会化の動きは、日本人を含む市民生活全般にまで波及することは必至である。
この点、日本弁護士連合会は、本年11月2日に「人権保障を通じて自由で安全な社会の実現を求める宣言」を採択し、個人情報の統合、利用を厳格に規制し、特に警察などが市民の生活や思想を監視するために情報を利用することを防止することなどを提言した。当会も、九州弁護士会連合会とともに、本年7月21日、「監視社会を招かないためのルール確立を求める宣言」において、「警察や行政機関が、適正な手続に基づかず個人情報の収集・利用をしないための措置をとる必要がある」との立場を明らかにしてきたところである。
改めて当会は、国が日本人であると外国人であるとを問わず個人識別情報を取得したり、異なる目的を持つ国家機関の間で個人情報を共有したり、外国の国家機関との間で相互に情報を交換したりするなどして、個人ごとの生活上の情報を集積管理する仕組みを構築する監視社会化への動きがあることを注視し、その動きに対して人権保障の観点から反対していく所存である。
2007年(平成19年)12月10日
福岡県弁護士会
会  長   福  島  康  夫

生活保護基準の引き下げに反対する声明

厚生労働省は、本年11月30日、同省が設置した「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という)が報告書をまとめたのを受け、厚生労働大臣の記者会見において、来年度予算から生活保護基準の引き下げを行う予定である旨を発表した。しかし、当会は、生活保護基準の引き下げに強く反対すると共に、その拙速な断行を中止するよう要求するものである。
 生活保護基準は、憲法25条が規定する国民の生存権保障の水準を決する重大な基準であり、その引き下げは、生活保護利用者の生活を直撃し、破壊しかねないものであるばかりでなく、最低賃金、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準などの労働、医療、福祉、教育、税制などの多様な施策に連動しており、低所得者全般の生活に多大な影響を及ぼす重大問題である。当会は、本年10月29日付当会会長声明において、その点を指摘し、厚生労働省及び「検討会」に対して、拙速な検討を慎み、慎重な審議を行うよう要請してきた。
 にもかかわらず、生活保護利用者や幅広い国民の意見を聴取することもなく、わずか1ヶ月半足らずの期間の検討によって、引き下げの詰論を出していることは、拙速以外の何ものでもなく、”初めに結論ありきの検討”と言わざるを得ず、手続的にも極めて問題である。
 今回「検討会」報告書は、わが国の全世帯のうち、最も収入が低い一割の低所得世帯の消費支出水準と生活保護基準とを比較した上で、保護基準の方が高いとして、その引き下げに根拠を与える内容となっている。しかし、日本弁護士連合会が、第49回人権擁護大会決議で指摘したように、わが国では違法な窓口規制が広汎に行われていることから生活保護の補足率が極めて低いために、本来であれば生活保護を受け得るのに受けられず、生活保護基準以下の収入で生活することを余儀なくされている世帯が多数存在している。にもかかわらず生活保護世帯や低所得世帯の生活実態を十分考慮することなく、単純な比較検討を行うという今回のような手法は、著しく妥当性を欠くものと言わざるを得ない。そのような世帯の消費水準との均衝を理由として生活保護基準を引き下げることは国民の生存権保障の水準を際限なく引き下げていくことになりかねない。
 当会は、厚生労働省に対し、現在行なわれようとしている生活保護基準の引き下げを中止するよう強く要求するものである。


   2007(平成19)年12月5日
                     福岡県弁護士会
                        会 長   福  島  康  夫

2007年12月 3日

違法な国民監視の根絶を求める声明

本年6月6日、陸上自衛隊情報保全隊が、自衛隊のイラク派兵に反対する市民等の動向を監視し、その情報を体系的に収集・分析していた資料の存在が明らかとなった。
その中には、メディアの取材活動や、弁護士会の活動、市民から選ばれた議員の活動までもが監視の対象とされ、「反自衛隊活動」などと評されている。
 また、本年6月8日、公安調査庁の職員3名が、新潟県佐渡市の佐渡グランドホテルを訪れ、同ホテルに対し、同年6月23日、24日に開催される青年法律家協会の定時総会に参加するために同ホテルに宿泊する予定者の名簿を提供するよう求めた。
 これらの監視行為には、法的根拠が全く存在しない。
 陸上自衛隊情報保全隊は、自衛隊の保有する内部情報の流出や漏洩を防止するための組織であり、この目的に必要な情報収集活動しか許されていない。市民の行動を監視することは全く権限を逸脱した行為であり、違法である。
 また、公安調査庁は、破壊活動防止法の定める「破壊的団体」や、無差別大量殺人を行った団体の規制に関する法律の定める「無差別大量殺人を行った団体」の調査・処分の請求・規制措置以外の権限は認められていない。
 青年法律家協会は、憲法を擁護するために設立された弁護士、研究者の団体であって、このような団体でないことは明らかであるから、その行動を監視することは全く権限を逸脱した行為であり、違法である。
このように、陸上自衛隊や、公安調査庁が、組織的、系統的、日常的に、市民の行動を監視してその情報を収集・分析・利用することは、単にこれらの市民のプライバシー権を侵害するばかりでなく、民主主義をささえる表現の自由に対し強い萎縮効果をもたらすものであるから、憲法13条、21条に反し違憲である。
そもそも、日本国憲法は、国民の権利自由を最大限に保障するため、主権者たる国民が、公権力を十分監視し、コントロールするという民主主義という手段を採用している。しかるに、本来国民に奉仕すべき公権力が、何らの法的根拠なしに主権者たる国民を監視し、公権力の意に添わない国民の行動を萎縮させることは、日本国憲法の採用している民主主義原理に反するのであって、とうてい許容され得ない。
 当会は、政府に対し、?直ちにこのような行為を中止すること、?本件に関する原因調査を十分に行うこと、?二度と違憲・違法な監視行為が繰り返されないよう、実効的な再発防止策を策定し、実行することを強く求める。
2007年11月28日
                   福岡県弁護士会会長 福島 康夫

2007年10月30日

生活保護基準の引き下げについて慎重な検討を求める声明

厚生労働省は、本年10月19日、学識経験者によって構成される「生活扶助基準に関する検討会(第1回)」(以下「検討会」という。)を開催した。同省のホームページにおいて検討会の設置及び開催が発表されたのは同月16日であり、それからわずか3日後の突然の開催であった。
 「検討会」は「平成20年度予算編成を視野に入れて結論が得られるよう検討する。」という。そして、北海道新聞(本年10月18日朝刊)の報道によれば、「検討会」は年内に報告書をまとめ、生活保護の給付の基本となる最低生活費の基準額の引き下げを提言する見通しであり、地域ごとに支給額に差をつけていた「級地」制度の見直し方針と相まって、都市部では大幅な生活保護基準の引き下げが懸念されるという。
 しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障に直結する重大な基準である。
 日本弁護士連合会が昨年7月に実施した「日弁連全国一斉生活保護110番」においては、生活に困窮した市民の切実な訴えが多数寄せられたが、生活保護基準が引き下げられるということは、現に生活に困窮している市民のうち、生活保護を利用して困窮から脱することができなくなる人が増加することを意味する。
 しかも、生活保護基準は、介護保険の保険料・利用料・障害者自立支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、また、自治体によっては国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策にも連動している。
 このように、生活保護基準が引き下げられれば、生活保護利用者の生活レベルが低下するだけでなく、日本で生活する低所得者全般に直接の影響が出てくる。特に年収200万円以下の労働者(いわゆるワーキングプア層)にとっては、上記諸施策への連動が及ぼす影響は重大であり、増大するワーキングプア層の生活を更に苦況に追い込むことになりかねない。
 したがって、生活保護基準に関する議論は、十分に時間をかけて慎重になされるべきである。また、こうした議論は、公開の場で広く市民に意見を求めた上、生活保護利用者の声を十分に聴取してなされるべきである。
 にもかかわらず、上記の新聞報道のとおり、厚生労働省の「検討会」が、わずか2ヶ月足らずの検討期間しか設けず、あらかじめ「引き下げ」の提言をするとの結論を決めた上で検討を行うものであるとすれば、既に述べた生活保護基準の重要性に鑑み、到底容認することができない。
 当会は、昨年、日本弁護士連合会において採択された「貧困の連鎖を断ち切り、すべての人の尊厳に値する生存を実現することを求める決議」を受けて、生活保護をめぐる相談・援助体制を構築及び生活保護制度全般にわたる調査・検討を行う委員会を発足させ、貧困問題の解決に向けて取り組んでいるところである。
 厚生労働省及び「検討会」に対し、結論先にありきの拙速な検討を厳に慎み、公開の場で生活保護利用者の声を十分に聴取し、徹底した慎重審議を行うことを強く求める。

                2007(平成19)年10月29日
                  福岡県弁護士会           
                  会 長   福  島  康  夫

2007年10月12日

「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」に対する会長声明

警察庁は,2007年9月,改正少年法の施行に伴う「少年警察活動規則の一部を改正する規則案」(以下「規則案」という。)を公表した。
 しかしながら,規則案のうち,?「ぐ犯調査」に関する規定(規則案第三章第三節)は全面的に削除すべきであり,?「触法調査」に関する規定(規則案第三章第二節)中に,警察官が少年に対する調査を行う際に,弁護士付添人を選任できること,質問に答えない権利があることを告知する規定を定めるべきである。

1 「ぐ犯少年」とは,親元に帰らない,暴力団とつきあいがある等の事情から判断して,将来,罪を犯すおそれのある少年のことであるが(少年法3条1項3号,少年警察活動規則2条4号),規則案では,「ぐ犯少年」であると疑うに足りる相当の理由のある少年について,警察官が調査できることを明確に規定している(規則案27条,30条)。
  しかし,先の通常国会に上程された少年法改正案の中に同趣旨の規定が存在していたが,国会審議の際,「警察官による調査権限の及ぶ範囲が不明確で,調査対象の範囲が過度に拡大するおそれがあるという懸念」から,全党一致で改正案から削除された経緯がある。今回の改正は,あえて法律で規制をしないことを決めた事項について,法律より効力の弱い国家公安委員会規則でこれを規制しようというものであり,国会の権能を無視したものであることは明らかであり,国会が国権の最高機関であり唯一の立法機関であることを定めた憲法41条にも抵触するおそれがある。実質的にも,警察庁作成の「少年非行等の概要」によれば,2006年度に,深夜徘徊,喫煙などの不良行為で警察が補導した少年の数は140万人を超えている。これらの少年と「ぐ犯少年」との境界線は極めて曖昧であることから,仮に,「ぐ犯調査」が許容されることになると,警察官が捜査の名を借りて,様々な情報を収集することが可能となり,まさに警察主導の監視社会化につながりかねない。
  以上の点から考えて,「ぐ犯少年」に対する警察官の調査権を定めるべきではない。

2 「触法少年」とは,罪を犯したが刑罰を科されることのない14歳未満の少年のことであるが(刑法41条,少年法3条1項2号,少年警察活動規則2条3号),警察官が「触法少年」に対する調査を行う際に,少年には,弁護士である付添人を選任することができる権利(少年法6条の3)及び強制にわたる質問を受けない権利(同法6条の4,2項)が保障されている。これらの規定は,元来,少年は大人以上に警察官に迎合した供述を行ったり,暗示や誘導を受け易い傾向があり,その結果,警察の取り調べにおいて,虚偽の自白が行われ冤罪を生み出す危険性が大きいとの事実を踏まえて定められたものである。しかし,このような権利が定められても,実際に調査を担当する警察官が,少年に対して権利の告知をしなければ,権利が保障されたとはいえない。
  ところが,規則案では,調査にあたり,警察官が少年に対し,「弁護士付添人を選任することができる」旨,及び「その意思に反して質問に答えなくても良い」旨を告知することをまったく規定していない。したがって,上記少年法の趣旨を貫徹するためにも,これらの点を規則案に明確に規定すべきである。

                 2007年10月12日
                 福岡県弁護士会 会長 福 島 康 夫

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