弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
生物
2014年4月 7日
旭山動物園で出会った動物の子育て
著者 小菅 正夫 、 出版 静山社
旭山動物園の元園長が動物たちの子育ての様子を話してくれる、楽しい本です。
元園長は私と同世代です。動物たちが本当に好きなんですね。その息づかいが、そくそくと伝わってきます。
ハツカネズミは、出産したあと、人間にのぞかれただけで不安になり、自分が生んだ子を食べてしまった。わが子を殺されるくらいなら、自分で食べて殺してしまったほうがまし、と本能的に考えた。うむむ、考えさせられますよね・・・。
動物は、交尾や妊娠、出産といった生命の根源にかかわることに自らの身を置くとき、神経が鍼のように尖(とが)り、自分以外はすべて敵に見える心理状態になり、完全に野生状態に戻っている。
アムールヒョウの赤ちゃんは、声を立てることの危険性を本能的に知っている。どんな動物でもそうだが、動物園で世代を重ねてきたとしても、野生の心を決して失わない。アムールヒョウの母親は、子どもに何事かがあったときに、自分が助けることができなくなると判断した状況では、大きな声をあげながら子どもの首をくわえて引きずりおろし、かみついていた。事前に、危険の芽をつんでおくのだ。
哺乳類の動物の感覚で、もっとも重要なものは嗅覚だ。人間の生まれたばかりの赤ちゃんも、においで母親のおっぱいを識別できる。
アザラシの子は何の準備もなく、大自然に放り出されてしまう。ところが、持ち前の好奇心が子に食べ物を教え、飢えから救う。こうして、好奇心の強い子だけが生き残るので、アザラシは「種」として、好奇心の強い動物になっている。なーるほど、ですね・・・。
オオカミは、例外的に父親が子育てをする、まれな動物である。
オオカミの遠吠えは、子どもたちが1ヵ月ほど、父親の真似をして身につけるもののようです。それは父親が1日に何度も、根気よく練習されていた努力のたまものだ。
旭山動物園には私も行ったことがあります。この本を読んで、また行きたいと思いました。
とりわけ、日本では絶滅してしまったオオカミの生態について関心があります。
(2013年12月刊。1300円+税)
2014年2月24日
狼が語る
著者 ファーリー・モウェット 、 出版 築地書館
カナダ人が、北極圏で狼の身近なところ、もちろん大自然のなかです、一人でテントを張って居をかまえ、じっとオオカミの生態を観察した記録です。
信じられないような話のオンパレードなので、本当に体験記なのかを疑いたくなります。
1921年生まれのカナダ人である著者は兵士として第二次大戦の戦場にも行っています。それだから、こんな北極圏でのオオカミ生態調査という恐ろしい仕事に従事できたのでしょうね。
ホッキョクオオカミは、体重80キロほどもある。鼻先から尾の先まで260センチ。肩までの高さは100センチ。
著者がオオカミの観察を始めて何日かすると、何世紀にもわたって普遍的に受けいれられてきたオオカミの性格についての人間の観念は明々白々な嘘だということが分かった。オオカミたちは、「残忍な殺し屋」ではなく、慈悲深く、軽蔑をこめながらも自制した態度で、著者に接した。
北極圏でもっとも血に飢えた生き物は、オオカミなどではなく、飽くことを知らない蚊の大群だ。
オオカミは、週に1度、一族で家族の土地を巡回し、境界の印を更新する。これは、一種の、オオカミ式抗打ち作戦だ。
オオカミは、きわめて規則正しい生活を送る。しかし、なお、決まったスケジュールに、ただ闇雲に従っているだけでもない。夕方早く、オオカミのオスは猟に行く。それは4時ころのこともあれば、6時か7時ころのこともある。夜の猟に出かけるが、それは家族の縄張り内に限定されている。通常の猟では夜明けまでに50~60キロの距離をカバーする。日中は、眠って過ごす。
メスの狼と子どもたちは、昼型の生活を送る。夕方、オスが出かけると、メスは巣穴に入り込み、そこにとどまる。ときに、大急ぎの軽い食事をとりに食糧貯蔵庫に出かける。
食物を巣穴の近くに蓄えたり、食べ残しをそのままにしておくことはない。いつも、当座に消費するだけの量が運び込まれる。
食糧貯蔵庫は、近くに巣穴をもつキツネも使っていた。オオカミはキツネと共存している。オオカミの使っている巣穴のほとんどは、キツネが放棄した巣穴であり、オオカミがそれを拡張したものだった。
オオカミのメスは、ただ一頭のオスとしか関係を結ばないし、しかも、一生連れそう。オオカミは厳格な一夫多妻主義である。
オオカミは、ネズミを丸ごと食べ、お腹につめて単に戻る。そして、子どもたちの前で、すでに半分消化されたものを吐き出して与える。
オオカミは自分たちの言語をもち、仲間同士で会話している。遠吠え、嘆き声、震え声、クンクンいう声、不満の声、怒りの声、キャンキャン声、吠え声。お互いの声に知的に反応する。
オオカミは犬より長生きする。20歳のオオカミもいる。
オオカミでは、実際の親が誰なのかは、たいして重要ではない。孤児という言葉もない。
交尾するのは、通常3月の2、3週間だけ。
メスの狼は2歳に達するまで出産しない。オスは3歳になるまで子どもを作らない。
繁殖可能年齢に達するまで、若者オオカミたちは両親のもとにとどまる。
年寄りオオカミ、とくに連れあいを亡くしたオオカミたちは独身のままでいることが多い。
オオカミは、体内に組み込まれた産児制限メカニズムによって抑制されている。食料となる動物が豊富なとき、あるいはオオカミの数がわずかなときは、メスは8頭といったように多くの子どもを産む。しかし、オオカミの数が多すぎたり、食料が少ないときには、1回の出産数は1頭あるいは2頭まで減少する。
健康なオスのカリブーは簡単にオオカミから走って逃げられるし、生後3週間の子どもカリブーでも、特別に足の速いオオカミ以外なら逃げきることができる。だから、カリブーはオオカミを恐れる必要がない。オオカミが追跡の標的に選ぶのは、もっとも弱い個体か、何らかの欠陥をもったカリブーだ。
オオカミは、決して楽しみのためにカリブーを殺したりはしない。労力の節約こそ、オオカミの行動指針だ。捕獲に適した虚弱なカリブーに出会うまで試験(テスト)の過程は、しばしば何時間にも及ぶ。いったん、そうした個体が選び出されると、狩りは新たな展開を迎える。攻撃するオオカミは、長い探索のあいだ保持してきたエネルギーを思いきり発散し、見事なスピードとパワーの高まりのなかで餌食を追い、カリブーの背後に迫る。
オオカミをやみくもに危険視するのは間違っていることを実感させる本です。
(2014年2月刊。2000円+税)
2014年2月16日
足下の小宇宙
著者 埴 沙萠 、 出版 NHK出版
NHKテレビで放映されて、大きな反響を呼んだそうです。私は残念ながらそのテレビ番組はみていません。
でも、なるほど、ほんとうに見事な写真ばかりで、ついつい見とれてしまいます。
著者は大分県出身ですが、今は群馬県みなかみ町の山里に住んでいます。82歳の植物生態写真家です。
名前は、「はに しゃぼう」と読みます。シャボテンの研究からスタートしたことを反映した名前です。
ツチグリというキノコは、雨で濡れて、胞子袋も濡れて、膨らんで、雨つぶがあたると胞子が噴出する。
著者は、なんと、その胞子が噴出する一瞬を写真に撮るのです。
カテンソウも同じ。花粉袋がオシベの柱からはずれると、「ピン!」と弾けて、その勢いで花粉が放り出される。
花粉が飛び出る瞬間の撮影のときには、閃光時間が2万分の1秒という特別なストロボを使わなければいけない。
春先に我が家にも出てくるツクシの胞子を顕微鏡をつかって撮影する。
その胞子が散る様子を写した写真には躍動感があります。
二つに分かれた日本の手が、バネのように伸びたり、縮んだりする。息を吹きかけると、ダンスするように踊り出す。
シャボテンは、私も庭の一角で栽培しています。そのシャボテンが乾燥した地面にもぐり込んでいる写真があります。驚きのワザです。
ホームページもあるそうですので、私のお気に入りに登録して、ときどきのぞいています。
(2013年11月刊。1600円+税)
2014年1月11日
世界の美しい透明な生き物
著者 澤井 聖一 、 出版 エクスナレッジ
奇妙奇天烈というか、魔可不思議というか、こんな透明生物がこの世に存在するなんて、とても信じられません。
山にも川にも、そして海底にも無数の透明生物がうごめいているのでした。そして、それを拡大カラー写真で、目の前に見せてくれるのです。よくも、こんな写真がとれたものです。ぜひ、一度、手にとって眺めてください。きっと世界観、生物間が一変すると思います。
ツマジロスカシマダラのメスは、アルカロイドという有毒物質をオスとの交尾を通じて受けとり、有毒のチョウになって自分の身を守る。そして、このチョウの翅(はね)は透明である。
アダラベニスカシジャノメには、透明な翅に、目玉模様までついている。
透明なカエル、そして魚がいます。内蔵までくっきり見えます。
天使のかたちで有名なクリオネは、巻き貝の仲間です。
イセエビの椎エビも完全に透明だということです。食品偽装でイセエビの値が高騰しているようですが、日本近海にしか生息していないイセエビが、その幼生は今なおどこにいるのか不明だそうです。謎は多いのですね。イカもタコも透明なものがいます。ですから、海中で、よくも写真が撮れたものです。
もちろん、海中のクラゲは透明生物です、発光器を備えているクラゲもいて、まるで厳冬の世界を見るようです。透明な魚の一つ、オニアンコウのオスは哀れとしか言いようがありません。オスはメスの体にかじりつき、一体化していって、ついにはメスの身体のおできのようになってしまうというのです。ああ、無情です。
海底にすむサルパやホヤとなると、まるで人工アートの世界です。生き物だとは思えません。
ヤナギウミエラやオオグチボヤの写真を見ると、その滑稽さに思わず笑ってしまいます。
230頁ほどのカラー写真がしばし夢幻の境地に運んでくれる楽しい大判の写真集です。
(2013年8月刊。2800円+税)
2014年1月 7日
カラスの科学
著者 ジョン・マーズラフ、トニー・エンジェル 、 出版 河出書房新社
カラスは世界一賢い鳥だ。こんなサブ・タイトルがついています。
カラスは人間の顔を識別し、記憶する。
カラスは針金をいじって曲げ、まっすぐな串から便利なフック(鉤)につくり変える。
人の音声による命令を学ぶ能力は、犬、カラス、幼児の順になる。
イギリスの有名な作家、チャールズ・ディケンズは、ワタリガラスをペットとして飼っていた。ディケンズは、このワタリガラスに、「元気だぜ」、「弱音を吐くな」、「やかんをかけて、お茶にしよう」という言葉を教え込んだ。うひゃあ、すごいですね。
ワタリガラスは、同種の仲間の意図することも理解する。餌を隠した場所をほかの個体に見られ、それを横取りされそうなときには、貯食したものを移動させ、餌を隠したことを知らないワタリガラスが周囲にいるときは、そのままにしておく。
何年も前にワタリガラスを捕獲して足環をはめた研究者が顔を見せると、ワタリガラスは即座に危険人物として見分ける。
カラス科の鳥は、ほかの動物に比べて前脳が大きくて、そこで感覚情報への行動反応をまとめ、方向づけるために多くのニューロンとシナプスを費やしている。
カラスは何歳になっても芸のレパートリーを広げることができる。
カラスもカササギ属の鳥も、「ハロー」と言うことができる。
カラスのしゃべる能力は、鳴管によって可能になっている。これも知能に依存する。
大きな前脳と、前脳内の声の中枢と視床間にある専用ループが、カラスの耳にしたことを声に出させる主要な特徴である。
ワタリガラスは、隣家の犬の餌やりの時間になると、定期的に飛んでいって、嫌がらせをした。カラスはタバコより酒を飲むのを好む。そこで、酔っぱらったカラスを見かけることがある。千鳥足になり、やたらに鳴いて飛んでいく。
ワタリガラスは、人間が何を知っているかも理解している。年齢を重ねるにつれて、ワタリガラスの理解力は高まる。
ワタリガラスは、風の強い日、空中で強風に乗ってサーフィンをして遊ぶ。
遊ぶカラスは、滑りやすい斜面を勢いよく滑り落ちる。うつぶせや仰向けで頭から先に滑ったり、樽に入って遊ぶ子どものように横向きに転がったりする。
「楽しい」というのは抽象的な観念ではなく、人間だけが体験できることでもない。
カラスは、自己認識、洞察、復讐、道具使用、頭のなかでのタイムトラベル、欺き、仲間殺し、言語遊び、計算された命知らずの行為、社会的学習、伝統といった、これまで人間特有のものとされてきた特徴を備えている。
人間がカラスに惹きつけられる理由は、カラスが人間に似ているためでもある。
なーるほど、と思いました。それにしても、私の住む団地はゴミ出しをめぐってカラスとの壮絶な戦いが今なお続いています。わが家のゴミはネットを張って、ブロックで押さえ込んで防いでいるのですが・・・。
(2013年9月刊。2800円+税)
2014年1月 6日
ミツバチの会議
著者 トーマス・シーリー 、 出版 築地書館
タイトルがいいですね。あれ、何のことだろうと好奇心をかきたてられます。
ミツバチは蜂蜜をつくって人類に貢献してくれるだけでなく、もう一つ、民主的な意思決定の力を存分に利用できる集団の作り方を教えてくれる。
ミツバチのコロニーの女王は、王として決定を下す存在ではない。王として産卵する存在なのだ。唯一知られている女王の統治行為は、新たな女王の育成を抑えること。女王は、決して働きバチの上司ではない。
晩春から初夏にかけて、ミツバチの群れは分蜂し、新しい家探しをはじめる。
分蜂群は、数百匹の家探しバチを派遣して、周囲70平方キロメートルから巣の候補地を探す。十数カ所以上の使えそうな場所を特定すると、それぞれいくつもの基準で評価し、新居としてもっともふさわしいものを民主的に選ぶ。十分な広さがあり、しっかりと保護された空間が基準である。ミツバチの尻振りダンスは有名です。これは、一連のダンス周回からなり、1回のダンス周回には、尻振り走行と戻り走行が含まれる。
女王バチは驚くほど多くの卵を産む。1分に1個以上、1日に1500個をこえる。一つのコロニーの女王は夏中かけて、15万個ほど、2年から3年生きるとすると、50万個の卵を産むことになる。
女王バチは、生涯の最初の1週間に、女王はコロニーの巣から飛び立ち、同じ地域の別の巣から生まれた10匹から20匹の雄バチと交尾して、一生涯分のおよそ500万の精子を受けとる。雄バチは、コロニーで、もっとも怠慢なハチである。
働きバチが蜂児を育てる時期は、周囲の気温がマイナス30度からプラス50度に変動しても、コロニーの内部温度は常に34度~36度である。これはヒトの深部体温よりわずかに低い。
分蜂群には、およそ1万匹の働きバチがいる。そのうち、2~300匹が巣作り場所の探索バチとしての役割をもつ。分蜂群の探索バチは、尻振りダンスで宣伝する価値のある巣作り場所を2~30カ所探し出す。
招集バチは、候補地を宣伝するダンスに追従し、飛んでいった宣伝されている場所を突きとめ独自に評価する。候補地を詳しく調査して満足すると、分蜂群に戻って、自分もその場所を支持するダンスを行う。
よりよい候補地を報告するハチが、より強いダンスをする。ハチは、ある場所を、すでに訪ねたことのある他の場所と比較して、相対的な質を評価しているわけではない。分蜂バチは、さまざまな情報源からの情報をまとめ、他のハチに何をするか命令するリーダーがいないなかで新しい巣を選ぶ。もっとも大切な女王バチですから、この選出にあたっては傍観者にすぎない。
リーダーなしに機能することで、探索バチは、よい集団意思決定を脅かすもっとも大きな要因の一つである。独裁的な指導者をうまく避けている。
ミツバチの新しい巣の探し方、その決め方がリーダーなしで民主的にやられていることを知って、感嘆しました。人類は、ミツバチにも学ぶべきなのですね。
(2013年10月刊。2800円+税)
11月に受験したフランス語検定試験(準1級)の結果が判明しました。3点たりなくて不合格でした。残念でした。自己採点では68点でした(これでも不合格と思っていました)が、実際には64点でした。合格点はいつもより低くて67点(120点満点)ですので、3点足りなかったというわけです。
今回は書きとりを見直して、かえって間違ってしまったということもありますが、要するに実力不足です。このところ、ずっと準1級は合格してきましたので、本当にガッカリです。でも、めげずくじけず、毎朝、NHKのラジオ講座を聞いています。頭のリフレッシュには最高です。
2014年1月 4日
魚影の群れ
著者 吉村 昭 、 出版 ちくま文庫
ノンフィクションのようなすばらしいフィクション(小説)を作り上げる著者の短篇小説集です。
マグロとりの漁師の世界では40歳以上の漁師は老齢者に入る。大きなマグロとの戦いは、体力を消耗させ、それが長時間に及ぶだけに若い強靱な肉体が要求されるのだ。
それに、マグロ漁は、睡眠不足との戦いであった。マグロの餌である烏賊(イカ)は夜のあいだに沖へ船を出してとらねばならない。烏賊は中型のものが最適で、少なくとも30尾ほどは船の生簀におさめる必要があった。餌をとって帰るのは夜明けに近く、短時間仮眠するだけで、朝食を済ますと、再びマグロをとりに沖へ出て行く。そうした生活を半年間つづけるため、マグロとりの漁師は眼に見えてやつれてゆく。自然に、マグロ漁の漁師は20代から30代までの男に占められていた。
マグロは、漁の群れを追っている。その中に餌を投げ入れても、食う可能性はほとんどない。釣り上げることができるのは、小魚の群れが逃げ散って、マグロの群れが小魚を追うことをあきらめ一定の方向に秩序正しく泳ぎはじめた折りにかぎられる。そうした状況をつくり出すには、船をその海面に突きこませて、小魚を円散させる以外に方法はなかった。
このように、下北半島の大間のマグロとりの状況が活写されています。
短編小説が4つあり、いずれも味わい深いストーリーです。というか、ネズミやカタツムリの話は正直いって、薄気味悪さを覚えました。それくらい、情景描写が真に迫っているということです。
(2011年9月刊。680円+税)
2013年12月29日
スズメ
著者 三上 修 、 出版 岩波科学ライブラリー
わが家にもスズメが住みついていますが、前より少なくなった気がします。日本全体でスズメが減っているという記事を読むと、なんだか不安になります。
スズメは身近でいて、よく知られていない鳥だと思います。
スズメは人のそばが好き。人のいるところでばかり子育てをする。過疎化で人がいなくなると、スズメも姿を消してしまう。タカ、ヘビ、イタチなどの天敵を避けるため・・・。
スズメは人が嫌い。スズメは人を警戒し、一定の距離をとろうとする。スズメは人に巣を見られることを極端に嫌う。
スズメは、とても高い密度で繁殖する。スズメは、縄張りをもたない。
スズメは1日に1卵ずつ産んでいくが、最後に産んだ卵は薄い色をしている。止め卵と呼ぶスズメの祖先は恐竜の仲間。そして、スズメの祖先はアフリカに生まれた。
スズメの幼鳥は長距離移動する。新潟から岡山まで600キロも移動したスズメが発見された。
スズメの寿命は自然の下で最長6年。飼育下で15年。
こんなに身近なスズメですが、分かっていないことだらけの不思議な鳥なのです。
(2013年11月刊。1500円+税)
2013年12月15日
ノチョとヘイリ
著者 水口 博也 、 出版 シータス
北アメリカはバハマの海に暮らすイルカの母と娘をとらえた素晴らしい写真集です。
天草に行くとイルカの群れに出会えるようですが、残念ながらまだ行っていません。でも、先日、鹿児島に行ったとき、水族館そばのイルカ運河で豪快なイルカ・ジャンプを目撃することができました。これは、私の個人ブログに写真を紹介していますので、ぜひ、ご覧ください。
イルカって、本当に賢く、また、親子愛の強い、情愛たっぷりの哺乳類なんですよね。
母イルカは、赤ちゃんイルカに向けてピュウピュウと澄んだ声で話しかけ、口やひれの先で赤ちゃんイルカをあやす。
そして、この写真集によってイルカは成長するにつれて、体表面が変化してくることを知りました。身体の表面を見るだけで、およその年齢が分かるのです。
赤ちゃんイルカの腹側は白い。そして、3歳をすぎるころから、おなかに小さな黒いまだら模様が少しずつ浮かびあがりはじめる。さらに成長すると、お腹の黒いまだらが増え、そして黒い背には白いまだら模様が浮かんできて、複雑な模様をつくり出す。
だから、イルカの身体をみると、赤ん坊なのか、子どもなのか、また大人なのかがすぐに見分けられるのです。ちっとも知りませんでした。
海中をのびのびと泳いでいるイルカ、仲間同士で楽しく遊んでいるイルカの写真を見ていると、なんだか気持ちがほんわか、ゆったりした気分になってきます。
とても素晴らしい水中写真をながめていて、うれしい気分に浸ることができました。撮影、お疲れさまです
(2013年5月刊。900円+税)
2013年12月 9日
イルカの不思議
著者 村山 司 、 出版 講談社ブルーバックス新書
イルカに、自分の名前を呼ばせる人がいるなんて・・・。
イルカのナックは、「おはよう」「あわわわ」など、ヒトの発するコトバを模倣することできる。
そして、著者に対しても、「ツゥ、カァ、サッ!」と、まねすることができるのです。なんと・・・。
ナックは、正解したらえさをもらえるということでなくても、次の試行を実行する。それは「好奇心」からとしか思えない。
イルカは、一度覚えたトレーナーのサインを忘れることはない。イルカの長期記憶は、すばらしい。イルカの脳では、海馬が大きい。
ハクジラ類のなかで、小型(体長が4~5メートル以下)の種を便宜的にイルカと呼んでいる。つまり、イルカというのは分類学上の正式名称ではなく、俗称なのだ。
鯨類と共通の祖先をもつのは、現存する動物ではカバがもっとも近い。
イルカの目が前方にないのは、水中で高速で泳ぐときの摩擦や衝撃によって眼が痛むのを回避するため。鼻の穴は、水棲生活に適応するため、徐々に頭頂部に移動していった。
イルカは、37度前後の体温をもっている。
イルカの前の胸ヒレには、5本の指が残っていることがレントゲン写真で分かる。尾ビレはあ骨はなく、これは皮膚が肥厚したものと考えられる。
イルカの皮膚は2時間ごとに更新されていく.イルカの皮膚は非常になめらかであると同時に、弾力性に優れている。そのため、体表面に渦流が生じないので、抵抗が少なくなり、水中を高速で泳ぐことができる。
イルカは、1回の呼吸で吸い込んだ空気のほとんどを肺に残すことなく、血液や筋肉に送り込んでたくわえることができる。
3000メートルにも潜水するマッコウクジラは、2時間以上も呼吸せずに潜り続けることができる。イルカの肺には潜水中、ほとんど空気が残っていないので潜水病にはならない。
イルカは遊び好きな動物である。生活上はとくに必要性のないものを創造して利用できるというのは、イルカの脳にはそれだけの「余裕」があるからだと考えられている。
イルカの発するホイッスルは、個体によって異なるものがある。それは、いわば、「音の名刺」である。
いろいろ知りらないことがたくさんありました。賢いイルカの話は、いつ読んでも面白いですよね。引き続き、イルカの本を読ませてくださいね。
(2013年8月刊。900円+税)