福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

月報記事

情報提供ツールとしてのホームページ

宇加治恭子

今回のコラムは、情報提供ツールという観点から、当会のHP(ホームページ)を紹介させていただきます。

各種行事の紹介

シンポジウムや講演会等会員以外の方に自由に参加していただく行事や臨時に実施される法律相談等について、案内を行っています。行事が終わるまでは、トップページの「新着情報」欄に載せられているようです。現在は、HP委員や弁護士会執行部が気付いた行事を掲載しているようですが、各会員や委員会から「こういうコトやるからHPにも載せて」とご連絡いただければ、さらに迅速に、充実した紹介ができるかと思います。

法律相談事業の紹介

天神弁護士センターをはじめとする各法律相談センターや、当番弁護士などの事業の紹介も行われています。トップページの「法律相談センター」や「こんな時どうする?!」をクリックすると、知りたい情報にたどりつくというわけです。

以前、ある電話相談の担当だった時、相談者からの質問に応じて「こんな相談制度もあるんですよ」とお伝えしたところ、「それってホームページに載ってますか?」と質問され、「載ってますよ」と答えたところ、しばらくの沈黙の後に「あっ。ありました」と言われた経験もあります。その相談者の方は、HPを見ながら相談の電話をかけていたのです。一般の方たちにとっては、実際にHPは法律相談窓口を探す1つのツールになっているんですね。

委員会活動の紹介

「付添人日誌」や「福祉弁護士のワークノート」をはじめとする月報や新聞からの転載記事などは、弁護士会のさまざまな委員会活動を、わかりやすく一般の方々に伝えるものです。「子どもの権利委員会や高齢者・障害者委員会ばかりHPで宣伝していてズルイ」「もっとウチの活動をたくさんの人たちに知ってもらいたい」と考えている委員会のみなさま、ぜひ、HP委員会に記事を持ち込んで下さい。

リンク集

当会のHPの目玉のひとつが、「使えるリンク集」です。リンク集には、「事件類型別リンク集」と「一般リンク集」があります。「事件類型別リンク集」には、「公的とか私的とかの色分けではなく、利用者に便利なページとのリンクが重要だ」という観点からさまざまなHPがリンクされています。HP委員会では、今後もリンク集をますます充実させていきたいと思っておりますので、よいHPをご存知の方は、ご推薦いただければと思います。また、「一般リンク集」には、各弁護士会のHPはもちろん、福岡県の弁護士・法律事務所のHPもリンクされています。

会員専用ページ

当会の会員のみが、専用のパスワードを取得して利用できる「福岡県弁護士会会員専用ページ」もあります。ヤミ金対策に威力を発揮するであろう最新の判決書がPDFファイルで紹介されていたりしますので、まだ見ていない会員の方は、是非覗いてみてください。

これからのHP

HP委員会は、「こんな情報が載っていたらもっと便利なのに」「ここは使いにくいからこういう風に変えたらいいのに」というご要望をお持ちの方からのご意見を募り、よりよいHPを目指したいと考えております。今後とも当会のHPをよろしくお願い申し上げます。

2003年1月 1日

私を取り巻くIT環境いまむかし

会事務局 荒木さくら

ホームページ委員会を担当させていただいている関係で、月報に記事を書かせていただくことになりました。特にこれといって書くことも思いつかないのですが、先生方は自由業でいらっしゃるので、もしかしたら私が会社勤めをしていたころの「社内IT環境」についてお話したら少し目新しくて面白いかもしれませんね!そんなわけで、私の職場IT環境「いまむかし」について書いてみます。

むかしの職場

一応私は以前SE(システムエンジニア)でありまして(結局最後まで文系人間で付いていけませんでしたけど)、私が働いていた会社はSI(システムインテグレータ)であり社員数も1万人弱いましたので、IT環境は進んでいる方だったのです。

一番便利だったのが、会社の中ではお財布が要らなかった、ということです。社員証にICチップが付いていて、売店も食堂も自動販売機の飲み物も、全て社員証でお支払い。月末に給料天引というシステムになっていました。また、会社のドアはすべてオートロックで、ドアの前の社員証読み取り機に社員証を当てると開錠する仕組みになっていました。

仕事のやり方としては、FAXはほとんど使用したことがなく、やり取りの100%近くがメールでしたので、職場はひたすら「カタカタカタ」、キーボードを叩く音のみ。電話はよほど切羽詰った時しかかかってきませんし、となりの人ともメールでやりとりするような状況でしたので、職場はいつも「し〜ん…」そしてひたすら「カタカタカタ」。フレックス勤務でしたので、出社も退社もバラバラ。ゆえに、「し〜ん」としたなか挨拶するのも気が引けて、「おはようございま〜す」も「お先に失礼しま〜す」も誰にも聞こえないようなか細い声で行なわれておりました。

いまの職場

このように、以前の職場は、IT環境は発達していましたが、人と人との触れ合いは希薄になっていました。お昼休みになるまで隣の人が休んでいるのに気づかなかった、ということもしばしば。それに比べると今の職場の温かいことといったら!まず朝の挨拶が元気よくて気持ちいい。弁護士会館に来られた先生方とも「昨日はお疲れ様でした〜」などと言った会話がそこかしこから聞こえてきます。笑い声が聞こえる職場で「ああ、転職して本当に良かった」と思っている私です。

しかし、IT環境については不満があります。連絡手段の上位は現在FAXですが、急ぎのときに送信状を打ち出してFAX機までいくのはかなり面倒。しかもFAXはかなり時間がたってエラーが判明したりします。やはり、もう少しメールが普及して欲しいです。

メールの利用価値が高いものにML(メーリングリスト)があります。私が担当事務局である消費者委員会の「ヤミ金プロジェクトチーム」というチームは、すでにMLを駆使していろいろなことにすばやく対処してらっしゃいます。MLを覗いていると先生方の活動内容が良く分かるので、依頼された仕事の重要度が分かって対応しやすいですし、何より先生方の熱意が伝わってきますので、事務局としても積極的にお手伝いしたくなります。他の委員会やプロジェクトチームでも、もっとMLを活用していただけたら、先生方と事務局の距離が縮まって良いと思います。そのためには、全会員がメールアドレスを取得されることが先決ですね!

とりとめもなく書きましたが、少しづつ弁護士会のIT環境が整って、先生方同士、先生方と事務局とのコミュニケーションがより良くなることを願っています。くれぐれも、職場に笑いは残しつつ…ね!

大盛況の「ヤミ金シンポジウム」 

奥田竜子

1 はじめに

去る11月30日土曜日、福岡市天神岩田屋Zサイド7階NTT夢天神ホールにて、九州弁護士会連合会と福岡県弁護士会共催の「ヤミ金シンポジウム」が開催された。

定員約270名のところ、多くの方々の来場を受け、また、街頭でのビラ配りが功を奏したのか一般市民も予想以上に来場され、大盛況(?)であった。座席数よりも多めに用意したはずの配布資料(350部用意)も、あっという間になくなってしまい、ヤミ金問題に対する市民の関心の高さを窺わせた。

2 シンポジウムの内容

シンポジウムは2部構成であった。

(1)九弁連会長紫垣陸助先生から開会の挨拶をいただいたあと、被害実態報告と題する第1部に入った。まず、ヤミ金が金を貸す際の手口やヤミ金地獄に堕ちていく様をわかりやすくまとめたビデオを上映し、その後、実際に被害者の方に登壇してもらい、体験談を語っていただいた。また、九弁連大会でも活躍した(??)ヤミ金業者がヤミ金被害者に対し罵詈雑言を浴びせ返済を迫る様を録音したテープを流し、その取り立ての恐ろしさを来場された方々に体感していただいた。

さらに、従前みなさんにご協力いただいたヤミ金アンケートから明らかになった被害実態等からヤミ金が犯罪の温床であることについて具体的に明らかにすると同時に、最近のヤミ金被害が増加傾向にあり、皆が連携してヤミ金撲滅のために闘うことの重要性と緊急性をアピールした。

(2)第2部では、関係機関報告と題し、ヤミ金解決に大いに関係を有していると思われる県と県警からそれぞれ福岡県商工部経営金融課課長井上照明氏および福岡県警察本部生活安全部参事官兼生活経済課長警視村上正一氏に、現在のヤミ金事件に関する認識や取り組み等についてお話しいただいた。当初予定していた県、県警、弁護士会の3者によるパネルディスカッション方式が頓挫したこともあって不安の残る第2部であったが、結果的には、なんのなんの、予\想以上に踏み込んだ内容を発表していただくことが出来た(県警からは「ヤミ金を明確に犯罪者と認識している」との発言有り。両者との調整を身を粉にしてやってくれた千綿会員の功績です!!)。

最後に、弁護士会からの報告となったが、眠気覚ましの趣旨で盛り込まれた寸劇が本シンポ一番の大盛り上がりを見せた。劇の内容は「ヤミ金被害者である疲れ果てたOL(渕上陽子会員)がさわやかでかっこいい弁護士(石田光史会員)のもとへ相談に行き、その結果、共に闘う決意を固め明るく弁護士事務所をあとにする」というものであったが、二人の息の合った絶妙な演技で会場中を沸かせた。

と同時に、普段は知ることのできない「弁護士のもとに相談に行ったらどんなアドバイスを受けるのだろう」という点を垣間見ることのできた良い機会だったのではないだろうか(現に、寸劇の間中、県警村上課長が何度も何度も大きくうなずいてくれていた!!)。 その後、椛島敏雅先生から弁護士会の取り組み等を報告していただき、寸劇でゆるんだ会場をぴりっとまとめていただいた。

(3)そのまま、皆のヤミ金撲滅への思いが最高潮に高まった瞬間を捉えて、平田広志先生よりアピール文採択へと移り、皆で連携してヤミ金を撲滅していくことを満場一致で採択し、最後に、藤井会長から閉会の挨拶をいただいて、無事シンポジウムは終了した。

3 おわりに

今振り返ってみても、かなり完璧な(!!)シンポジウムであった(自画自賛)。

各方面から「短い時間の中で内容が濃かった」とのお褒めの言葉もいただいた。

なにより、ヤミ金撲滅への思いが会場で一つになったことを本当に実感させられた。その意味でもこのシンポジウムは偉大なものであり、この成果を今後に生かしていかなければならないと皆が感じているものと思う。

閉会の挨拶の中で、藤井会長が「今日は、幾人かヤミ金業者の方もおられたようですが・・」とおっしゃられたのには驚いた。何をもって彼を「ヤミ金業者」と認定されたのか、いまだにその真相は謎のママである・・・(藤井会長曰く「○○弁護士が『ヤミ金も会場に来てた』って言ってたからさぁ・・・」)。

4 ほんとのおわりに

そうそう、「ヤミ金ラクラク対処法」がみなさんのお手元に届いていますよね。犬と猫のついたかわいいブルーの表紙の奴です。ヤミ金の事件処理は想像よりもずっとずっと簡単です。食わず嫌いの方、これを機に、是非大好物へとなってください。それが私たちの何よりの喜びです!!

2002年12月 1日

九弁連大会シンポジウム 川と海を考える〜環境保全と住民参加〜 

吉野隆二郎

1 さる10月25日の第55回九弁連大会に先立ち、午前9時30分からホテル日航熊本において表記の内容のシンポが行われました。今回のシンポについては、環境問題がテーマとして選ばれたうえに、その内容としても「川から海を考える」というタイトルからもお分かりのように、複数県にまたがる有明海・不知火海・筑後川・球磨川などが調査の対象となりましたことから、これまでの九弁連大会と異なり、開催県以外の単位会からも実行委員が選任されるということになりました。私は、福岡県弁護士会の公害環境委員会の副委員長として、このシンポの担当となり、その準備のために他県の委員としては最も多い回数、熊本との間を往復しましたので、その舞台裏を含めた報告をさせていただきます。

2 最初にこの実行委員の話が来たのは、2月8日の日弁連・九弁連等の共催の泡瀬干潟のシンポジウムのときでした。本年は、日弁連の人権大会のシンポにおいても湿地保全が1つのテーマと選ばれていたことや、ここ2年九弁連として泡瀬干潟の問題に取り組んでいたこともあり、その時点で福岡からは私と長戸弁護士が委員となることが事実上決まりました。

3 7月6日には、シンポのパネラーになっていただいた山村氏・福岡氏を講師にまねいて勉強会を開催しました。当日は、強風により鳥栖・久留米間で特急が止まるというアクシデントがあり、1時間以上勉強会に遅れてしまいました。

4 実行委員会に参加し、コンセプトについての議論を聞いたうえで、福岡県弁護士会公害環境委員会として、7月17日に筑後川の視察を行いました。この詳しい内容につきましては、私と長戸弁護士がシンポの報告書に執筆をしておりますし、月報9月号でも福留修習生が報告をしておりますのでそれを参照していただきたいと思いますが、私の感想としては、過去の計画とは言え、管理者側と漁民との捉え方のズレが大きいということでした。

5 8月31日には九弁連としての諫早視察にも参加しました。この日も台風が接近した日であり、雨が荒れ狂う中で大浦漁協の調査・諫早湾干拓の現場の視察・川副漁協との意見交換会などを行いました。この中で最も心に残っているのは、大浦でタイラギがまったくとれなくなったことなどを組合長の竹島氏から率直に語っていただいたことです。

6 実は上記以外の実行委員会のときにも、鹿児島方面で強風のため、特急が1時間以上遅れて熊本駅で待たされるというアクシデントが1回ありました。この実行委員の仕事はまさに自然任せの状況でありました。

7 シンポの詳しい内容につきましては省略させていただきますが、省庁の縦割りの弊害というべきでしょうが、川と海を1つの水系として捉えて全体の環境を保全していくという視点が不足していたのではないか、また、流域の住民が意見を言う制度も欠けていたのではないか、ということが一番の感想です。そして、その視点は大会の宣言へと結びつきました。

8 大会を前後して、諫早湾干拓事業の再開の問題や、泡瀬干潟の工事の着工などが新聞紙上をにぎわすようになりました。日弁連が反対の意見を出したこれらの事業につき、今後も、県弁及び九弁の環境問題の委員として、これらの大きな問題に関与していきたいと思っています。

釜山弁護士会との懇親会 

南谷敦子

今年も釜山地方弁護士会の弁護士の皆さんが、ご夫人とともに福岡にいらっしゃった。この交流会・懇親会は今年で一二年目になる。毎年福岡県弁護士会の会員も春に釜山を訪問し、盛大なる歓待を受けているときいている。私も経験があるが、韓国に行ったことがあるという人の話を聞くと、たいてい、たいへん素晴らしい接待を受けたということが多い。という訳で、福岡県弁護士会も負けられないと思いながら、国際委員会メンバーを中心に交流会や懇親会の準備をさせていただいた。

平成一四年一〇月一八日金曜日午後、皆さん福岡にご到着。夕方からシーホークで交流会が始まった。国際委員会の内田敬子会員の司会で、テーマは2つ、家庭内暴力の防止関連法規と韓国での金利規制で、日本でもホットな問題だ。前者は釜山の文興晩弁護士から、後者は朴瑛柱弁護士からご報告いただいた。

さて、実は私はこの交流会の間、ご夫人方を観光バスで小戸のマリノアまでご案内し、東洋一の大きさだという観覧車に乗っていた。

マリノアにはアウトレットショップがあり、私も観光案内という職権を利用して買い物でもしようとそわそわしていたのだが、この日はスマップのコンサートで交通渋滞が予想されるとのことで観覧車に乗っただけでシーホークにとんぼ返りだった。

懇親会は午後七時から、国際委員会の紫牟田洋志会員の司会で、福岡県弁護士会会員のご夫人も参加して始まった。日韓の弁護士がテーブルを囲み、通訳がついた。テーブルでは皆、お互いのことをもっと知りたい、でも言葉が通じない、通訳は一人しかいない、というので通訳を奪い合っての懇親会だった。お酒が入るにつれ会はますます盛り上がり、日韓マイクを奪い合ってのスピーチ合戦も始まってとても楽しかった。通訳を通じてなので、各国の笑いには時差があった。釜山弁護士会元会長の金 基弁護士が、会長でいらした国武格会員や荒木邦一会員と過去ずいぶん飲んで盛り上がった話をされ、歴史ある釜山との交流の深さをしみじみと思った。今後、釜山弁護士会と福岡県弁護士会は中国・大連の弁護士会との交流も進めていくとのこと。釜山の会員名付けて「三角関係の構築」(会場笑)。また、太田晃会員と松井仁会員は、見事な韓国語でスピーチをされ、釜山会員には大受けであった。

最後に釜山弁護士会からおみやげの「絵」をいただいた。とても立派なもので、曰く「韓国の有名な作家による貴重な作品」だそうだ。これに対応して、福岡県弁護士会からもおみやげの「有田焼の絵皿」をお渡しした。有田焼は日本の焼き物の原点なのであるが、「くやしいことに」その有田焼の原点は朝鮮にあるのだ・・とは南谷洋至会員のあいさつ。これもまたたいへん美しい絵皿であった。

こうして、盛大に会は幕を閉じた。

釜山の皆さんは、翌日から新幹線で広島・四国へと旅立たれるそうで、強行軍だ・・。

終了後、通訳をして下さった皆さんは御馳走を前に腹ぺこ状態であったので、一緒に二次会をすることとなった。皆さん、大塚芳典会員の一声でお集まりいただいた方々で、福岡の専門学校や大学で勉強されている「新進気鋭」と呼ぶにふさわしい学生達だ。今回の会ではたくさんの法律用語が飛び交い(「当番弁護士」「法律扶助」など)、通訳はとても難しかったが非常に勉強になった、もっと勉強したい、と紅潮した顔で話しており(酒のせいか?)、韓国の若者のエネルギーは素晴らしいなあと感心した。その後、  メールアドレスの交換などしつつ、私も日韓交流を目指すこととした。

外国の法律家と交流する機会があるときにいつも思うのは、折角知り合えた方々と本当に長く交流することができたらなということだ。どうしても一過性の飲み会でちょっとかじっただけの付き合いで終わってしまいがちで残念なのである。今回、金 基のご夫人が英語を話し、「同じ年頃の娘がいるのよ」と、私にとても親しく接して下さったことが忘れられない。この出会いを大切にしなければ・・・

情報化の波にのれない私

田中裕司

今までのホームページ委員の先生方のコラムはネットやメールの活用法の紹介等があり、「すごいな」と思わせるものばかりでしたが、HP委員の幽霊部員である私は、今回あえて消極的にITのデメリットについて思いつくままにしゃべらせていただきたいと思います。

とはいうものの、私の事務所は税理士との共同事務所ということもあり、メール・ネットはもちろん、判例検索、ファックス送信まですべてパソコンで行うほどIT化は進んでいますし、私も日常業務・プライベートでは「便利になったなあ。」とその恩恵をうけることが多くあります。しかしです。なぜか心底パソ\コンと親しくすることができません。「好きになりたいのだけれど、心のどこかで冷めている。」そんな相手です。なぜかな?と考えてみました。

まず、最近食べ過ぎで肥満になっています。なにやらメーリングリストなる情報交換の場が急激に増えて、毎日莫大なメールの量に圧倒されているのは私だけではないはずです。最近はチェックするのが億劫で空けないメールがほとんどです。重要なのがよくわからないし、出欠確認のメールなんかだとごちゃごちゃで何がなんだか分からなくなります。さらに、見るだけで時間をとって仕事になりません。情報交換の趣旨であれば、掲示板のほうが有効に思います。メールはあくまで1対1の伝達方法として考えた方がいいようです。

それから、気まぐれで私の相手を拒否することもあります。復帰するのに相当時間をとります。私は荒いので、忙しいときにバグったりすると、ムカついてキレて電源を切ったり、コンセントを抜いたりするなどの暴行をします。でも、カーッとなった後、冷静になり「大丈夫かな。」と反省の念にかられながら電源をつけてみて大丈夫だと「もう二度としないから。」と更生を誓うのです。(しかし、また再犯を犯してしまいます。)

それから、けっこう口がかるくたくさんのひとにいろんなことを言ってまわります。「〇チャンネル」なる掲示板では誹謗中傷だらけで目を覆いたくなります。知っている人も載せられた事があり、すごい嫌な思いをしたそうです。さらには、ネット犯罪なるものも最近流行しており、われわれの仕事においても他人事では済まない被害が発生するおそれもあります。

そして、これが好きになれない最大の原因だと思うのが、愛情がないということです。個人的なやりとりについては、やはり手書きの方が味があって、なんとも知れないいい気持ちになります。最近は、年賀状やあいさつ状もワープロ字でなんか楽になったけど昔の手書きの暖かさにはかないません。さらには、メールや掲示板でコミュニケーションをとっていると、一方的に話をするものですから、意図を上手く伝えられなかったりして、誤解を生じたり、怒らせたりすることもありますね。

それとやっぱり図面から光を放っているので、目に優しくありません。

そんなこんなで私はまだ、心底好きになれないのです。

あっ1つだけ最近いいことがありました。これまで年に1回話すかどうかという疎遠な弟が海外に仕事で行っているのですが、メール、インターネットでやっと兄弟の国交が正常化して、会話ができるようになりました。

我々兄弟にとっては、「仲裁人」のようですね。

ヤミ金融根絶を目指す決議 〜九弁連定期大会にて〜

石田光史

1 去る10月25日(金),熊本市内のホテル日航熊本において,第55回九州弁護士会連合会定期大会が開催されました。その大会の中で,当会の提案により「ヤミ金融根絶を目指す決議」がなされましたので,ご報告いたします。

2 決議の内容・提案理由等については,全会員に配布される大会議事録をご確認いただきたいと思いますが,決議内容を簡単に要約すると,1.弁護士会としてヤミ金対策を実施するとともに,警察や行政機関などとも連携を取りヤミ金根絶のための活動を行う,2.ヤミ金による超高利の違法な貸付に対しては「返済しない」という基本方針で臨む,ということです。

4 しかし今回,当会があえてこのような内容の決議を提案したのにはもちろん理由があります。

1つには,ヤミ金を根絶するためには,単に捜査機関や行政機関に取締を求めていくのみでは全く不十分で,弁護士が個々の事件処理の中でヤミ金に対して経済的打撃を与えていくことが絶対に必要であり,そのためには「返済しない」という方針を九弁連全体に周知する必要がある,ということです(関係機関との連携等と個々の事件の適切な処理は,ヤミ金根絶を目指す上で車の両輪と考えます)。\n

もう1つ,ヤミ金事件を扱っている会員(特に若手の会員)は,みなヤミ金に手を焼いています。そのような会員に,ヤミ金と対峙する上での武器・拠り所を提供したかった,ということがあります。九弁連で「ヤミ金には返済しない」という決議がなされたということになれば,ヤミ金から「何で返さんのか!」とすごまれても,「いやあ,九州の弁護士の集まりで,返済しないってことになってねぇ。私だけ返すわけにはいかんやろ?」と切り返せます(この点,佐賀県弁護士会の平山泰士郎先生が,賛成討論の中でユーモアたっぷりに指摘されました。)。不適切な対応をした警察に対しても,「九弁連では返さないという方針を確認した,なのに『借りた物は返せ』なんて指導するとは何事だ!」と文句が言えます。そして何より,「返さないという方針は,自分だけがやっていることではなく,九弁連決議という土台があるのだ。」と思えることは,ヤミ金との交渉の際に心理的・精神的な拠り所となるのではないかと思います。

本提案は,我々のこれらの意図を会場の各会員にご理解いただき,圧倒的賛成多数で決議されました。

5 我々は決議提案をするに際して,単に取組みを表明するだけの決議ではなく,実務に「使える」決議にしたいと考えました。もちろん決議自体に会員に対する拘束力はありませんが,ヤミ金根絶のため,「使える」本決議を十\二分にご活用いただき,「ヤミ金に対して返済しない」という方針でヤミ金事件の処理をしていただきたいと思います。

「女性の権利110番」実施報告

山崎あづさ

10月26日(土)、12回目となる「全国一斉女性の権利(女性に対する暴力)110番」の電話相談が行われました。

これは、日弁連両性の平等に関する委員会の設置15周年を記念して1991年から始まったものであり、毎年4月の「女性週間」にちなんで実施してきました。「女性週間」というのは、1949年から2001年まで、日本の女性が初めて参政権を行使した1946年4月10日を記念して、毎年4月10日から16日までの1週間を、「女性週間」と定め、女性の地位向上の啓発活動を行ってきたものです。

今年は、DV法実施1周年を10月13日に迎えるのに伴い、「女性に対する暴力」を相談内容の中心に据えて、10月に実施されることになりました。

今回も、ドメスティック・バイオレンスをはじめストーカー、セクシュアル・ハラスメント等、女性が抱える問題についての相談に応じるため、6人の弁護士が午前、午後に分かれて担当しました。

この日の相談は17件でした。回線が2つしかなく、しかも一つの相談が内容上どうしても長くなってしまいがちなので、電話をかけたけれどもつながらなかった方もいたと思います。

相談内容としては、離婚にまつわる相談が7件、うちDV(心理的暴力を含む)が4件、ストーカーが2件、一般的な知識を尋ねるものが2件、その他(趣旨違い、趣旨不明)が6件でした。中には、直前に夫から暴\力を振るわれて家を飛び出したケース、夫から包丁を持って脅されたケースもあり、このような場合はDVについての相談や保護を行っている各種関係機関の連絡先を伝え、できるだけ次の機関につなげるように対応します。DVの場合、弁護士が保護命令申立をするにしても、女性相談所や警察などの協力が必要になりますし、被害女性自身が一人では対処できない場合が多いので、他の機関との連携というのが重要になってきます。

DVの相談を受けていて思うのは、ひどい暴力を受けていても、まわりから「我慢しなさい」と言われたり、助けを求める方法を知らなかったりということから、暴\力に耐えるしかないと思いこんでしまい、そのためにさらに暴力が日常化していくような面があるということです。今回の電話相談で表\れたケースは本当に氷山の一角であると思いますが、こうしてできるだけ多くの窓口を用意することで、被害を受けている女性が相談できるきっかけを作ることが大切だと思います。

今後とも、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

2002年11月 1日

吃驚仰天!

渕上陽子

ある晴れた日の午後、公園を散歩して店に入る。海(男・仮名)は、日焼けした顔でパクリとドーナツを食べ、私を見てニッと笑う。まさに至福の時……。

でも、当番弁護士として出会ったばかりの海(当時一八才)は、幸福とほど遠い姿だった。首は包帯でぐるぐる巻き、顔も全身も傷だらけ。公務執行妨害罪で逮捕されてから4日経つけど、それにしてはボロボロすぎない?

海の話を要約すると、次のとおりであった。

その夜、元同級生の送別会に行くため、友だちと待ち合わせをしていたら、昔のワル仲間に声を掛けられた。彼らは、近くの広場に集まってシンナーを吸っていた。少年院を出てから真面目な日々を送っていた海であったが、恋人に裏切られた傷心もあって誘惑に負けた。

シンナーを吸い始めてすぐ、パトカーが来た。多くの少年が逃げたが、海は職務質問に応じた。ところが、いきなり両腕をひねり上げられ、パトカーの方に引きずられそうになった。「普通に話しているじゃないですか。手を離してください。」と言ったが、首をも絞められ、お腹も跳び蹴りされた。警察官はどんどん増え、何重にも囲まれた。抵抗しようにも、体中押さえつけられて動けない。あまりの痛さに、ひねられた腕を振りほどこうとしたら、左腕がスポッと抜けて、手の甲が警察官の眼鏡に当たって眼鏡が飛んだ。そのとたん、「公務執行妨害罪で逮捕する」と言われた。海は思わず「助けて!」と悲鳴を上げたが、そのままパトカーに押し込まれ、警察署で尿を取られた……。

「警察は、僕が右手の拳骨で警察官の頬を殴りつけたと言っているけど、嘘です。お願い。信じてください。」と、海は子犬のような目で私を見つめる。しかし、この時点の私は、まさか警察がそこまで?などと思わないでもなく、一〇〇%彼を信じたわけではなかった。ゴメンネ、海。

しかし、海は、その後も一貫して否認を続けた(シンナーを吸ったことは、最初から認めている)。逮捕から一〇日以上経っても調書を取られず、「認めないと少年院に行くぞ。」などと説得(脅?)され続ける毎日だったが、「今辛いけど、やってもいないことを認めたら一生後悔する。」と自分に言い聞かせていたようだ。

実際、警察の対応は凄まじかった。ある日、自己紹介をした私に、「先生は、あの子を少年院に行かせたいのか。警察官が、『殴られた』と言っている以上間違いない。無理にでも認めさせるのが弁護士の仕事でしょうが。」と大声でまくし立ててきた。「現場に目撃者はいませんでしたか。」と聞くと、「少年側の人間なんか、調べる必要はないっ。」とはねつけられた。

海は、こういった強烈な取調べに、よく耐えていたと思う。それでも、S.O.S.の電話は一日に何度も架かってきた。駆けつけると、「陽子先生!」と叫んで嬉しそうに立ち上がる姿が切ない。

期待もむなしく、公務執行妨害についても家裁送致された。実況見分調書すらないズサンな記録を読み終え、ため息をついた。これだけ食い違うとは、まさに『羅生門』(映画の)である。警察側の目撃者の調書もあったが、夜一一時過ぎ(現場はほとんど真っ暗)、約五〇メートルも離れた場所から、「『右手の拳骨で』殴りつけたのを見た」、などと言われてもね…。

しかし、海の側にも立派な証拠があった。彼は気付いていなかったが、待ち合わせをしていた友人二人は、職務質問開始とほぼ同時に現場に着いたそうで、状況を目撃していたのだ。これで、海の供述はほぼ全面的に裏付けられる。海は、ラッキーだったんだろう。彼らがいなかったら、と考えると恐ろしい。

さて、家裁では、まず中間審判で海の言い分を聞かれた。第一回目の審判では証人尋問(海側、二人)が行われ、第二回目に、いよいよ裁判所の判断が下されることになった。その前に海に会ったが、最初の頃とは別人のように落ち着いていた。「無実の罪に泣く人がいなくなるように、自分は絶対にこの経験を忘れません。」なーんて言っている。彼のたくましさと成長ぶりには、学ばされる一方だった。

結果は、「非行事実なしの不処分」(毒劇法違反は試験観察)。「ふんっ、当然だよね。」とばかりに海の方を見ると、海ったら、私を見て泣いているではないか。

よかったね、海!

こんな事件は、二度とあってはいけない。

海は、最近一九才になった。仕事と野球で真っ黒になり、また急に大人っぽくなった。近ごろ「嬉しいこと」があったらしい。今度、教えてね!

心神喪失者等医療観察法案について 

森 豊

1 去る9月27日(金曜日)午後6時から、福岡県弁護士会研修委員会の主催で『心神喪失者等医療観察法案に関するパネルディスカッション』が県弁護士会館三階ホールで開催されました。

この法案は、正式名称を「心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律(案)」と言い、平成13年の大阪池田小学校事件に対する高い社会的関心や一部マスコミの煽情的報道もあって、重大犯罪を行った精神障害者の処遇を求める立法化の動きが一気に加速化し、ついに全文121条の法案として本年度通常国会に上程され、継続審議となっているものです。

2 このような急速な立法化の動き及びその結果としての法案の問題点に対してはすでに患者団体や日弁連・各地単位会はもちろんのこと、精神科医の学会・諸団体からも多くの反対声明が出されていますが、国会審議における対決法案となっていないため、これら反対論をも踏まえた十分な審議を経ないまま可決されるおそれが危惧されています。

『パネルディスカッション』は、法案(裁判官1人と精神科医1人で構成される合議体が重大犯罪行為を行った者の精神障害による「再犯の可能\性」を判断して入通院治療を強制するか否かを決定する審判制度の設置を中核とする)について、従来から指摘されてきた一般的な問題点を整理・確認するにとどまらず、さらに法案が規定する弁護士の付添人としての活動の内容に踏み込んだ問題点の洗い出しをも目指すことによって、研修委員会主催の会員研修に則したものになるように企画されました。

3 パネラーの高木茂先生は、日弁連刑事法制委員会において上記の立法化の動きをずっとフォローされ、措置入院審査会(精神科医2人、看護士、精神保健福祉士等の医療関係者の他に、弁護士及び検察官を構成員とする)で入通院治療を強制するか否かを決定する新制度の設置を中核とする対案の取りまとめに尽力されてきた立場から、立法化の経緯、裁判官が入退院の判断をする制度の弊害、判断の対象となる「再犯のおそれ」という要件の不明確性等の重要な問題点を一つずつ丁寧に指摘されました。

もう一人のパネラー池永満先生からは、国際人権規約も踏まえ人に医療を強制する制度はどうあるべきかという観点から、司法関与自体は肯定できるが、裁判官が判断すべきことと医者が判断すべきことの混同、強制入院期間が容易に継続され刑事罰と著しい不均衡が生ずる危険性、一事不再理原則の違背等の問題提起がなされました。さらにこれを補足する形で精神保健委員から、法案に規定された審判手続の種類、手続、付添人の権限等について、主に少年事件付添人と比較した問題点の洗い出し作業の報告がされました。

刑事法制と精神保健の両論客の仲裁の大役を担う司会者は、精神保健に深い見識をお持ちの八尋光秀先生で、司会者として適宜の解説等をしながらも、新制度の設置そのものに反対する持論を時折披露されました。

4 法案反対・精神医療全体の改善こそ最良の問題解決策であるという共通項がありながらも、法案反対のスタンスがそれぞれ異なる三者の間の緊張をはらんだ議論のやりとりに、2時間の所定時間はすぐに消化されました。

週末、夕刻の時間帯で強い雨ということもあり、参加会員は必ずしも多くはありませんでしたが、この法案の重大な問題点や反対する立場の多様性をよく理解して頂けたのではないかと思います。

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