弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

生物

2021年10月 4日

後悔するイヌ、嘘をつくニワトリ


(霧山昴)
著者 ペーター・ヴォールレーベン 、 出版 ハヤカワ・ノンフィクション文庫

イヌは叱られると悲しい表情をする。そして、メンドリの気を引くため、オンドリは平然と嘘をつく。ええっ、ホ、ホントなの...。
オンドリはおいしそうなものを見つけると特別な抑揚をつけてクックッと鳴きはじめる。すると、メンドリがすぐに聞きつけてやってくる。ところが、オスがその鳴き声で何もないのにやって来たメンドリに交尾を迫って成功することがある。しかし、メンドリだって、何回も騙されるわけではない。
カササギは一生涯にわたるオスとメスはつがいを守る。それでも、つがいのメスが侵入者のメスを激しく追い立てていても、オスはつがいのメスに見られていないと思えば、新しいメスに熱心に言い寄る。ふえっ、カササギのオスって、ヒトのオトコと同じなんですね...。
ヨーロッパアカヤマアリは、数匹の女王アリがいて、最大で100万匹の働きアリによって世話されている。社会階層の一番下は、翅(ハネ)のあるオス。オスは女王アリと交尾するために巣から飛び立ち、そのあと死んでいく。オスは長生きが許されていないのです。働きアリは最長6年生き、女王アリの寿命は最長なんと25年。
ワタリガラスは、80以上の異なる鳴き声を使い分ける。だから、これはカラス言葉だ。ワタリガラスは親子間だけでなく、友人とのあいだでも生涯にわたる関係をはぐくむ。
ブタに名前をつけ、エサを与えるときに名前を呼ぶと、呼ばれたブタだけがエサの入った容器へ突進していく。
馬にとって楽しくうれしいのは、うまくできたときにほめられ、なでてもらえること。間違ったことして叱られると、バツが悪そうに顔をそむけ、あくびをしたりする。きまり悪いそぶりをしているのだ。馬も恥ずかしがる...。
カラスは一緒にいたら仲間が自分を助けてくれなかったら、そのことを覚えていて、そのあとは、その仲間とはともに作業しようとはしなかった。
人間であれ、他の動物であれ、恐れを感じないものは生きのびることができない。
ウサギは、オスとメスとが、それぞれ厳格な序列にしたがって生きている。指導的な役割を果たしているオスとメスは、より攻撃的ではあるが、ストレスは少なめだ。抑圧されているものは、次の攻撃を常に恐れながら生きている。大人のウサギの寿命は平均して2年半。ところがウサギ界の上流階級にいると、7年ほど生きのびる。いちばん下位のウサギは性成熟したあと数週間で死んでしまう。これはストレスが多いか少ないかが決定的だということを示している。うひゃあ、すごい違いですね...。
動物が認知症になってしまえば、肉食獣の手頃な獲物になってしまう。
なーるほど、病気になったら、即、死に至るというわけです。
著者の飼っていたヤギはおだやかな死を自分で迎えたのですが、それは、死んだ動物の姿勢で分かるのだそうです。そのヤギは、くつろいだ態勢で腹ばいになり、力の抜けた脚がその下に折りたたまれていました。これはリラックスして眠るときの姿勢なのです。
いやあ、動物の話は、いつ読んでも面白いですよね。
ドイツで人気の職業のひとつに「森林官」があるそうです。森を管理する専門家のことです。日本にこんな職業があるのでしょうか。もし、あったとしても人気の職業ではありませんよね。いえ、決してけなしているつもりはありません。
ドイツの小・中学校の女の子の憧れの動物ナンバーワンは馬なんだそうです。えっ、ええっ、これも日本とは大違いですよね。大学に馬術部はありますが、馬に乗るって、金持ちの子女のやることっていうイメージです。
(2021年7月刊。税込990円)

2021年9月27日

命つながるお野菜の一生


(霧山昴)
著者 鈴木 純 、 出版 雷鳥社

いやあ、面白いというか、興味深い野菜の話のオンパレードです。見事な迫力ある写真に圧倒されっぱなしでした。いえ、野生の動物のような荒々しさではありません。私たちが毎日食べている野菜かどうやって大きくなって、美味しくいただけるのか、その様子を美しい写真とともに解説してくれる本なのです。うれし涙がついついホロホロとこぼれ落ちそうになりました。
だって、いま、私は庭に植えたサツマイモが今度こそ、きちんと収穫できるのか、ずっとずっと気にかけているんですから...。じゃがいものほうは、孫たちと一緒に掘りあげ、見事に成功しました。というか、じゃがいもの掘り上げで失敗したことはありません。ところがサツマイモのほうは、地表面に葉と茎が縦横に生い茂っているので大丈夫だろうと掘り上げてみると、なんとなんと、小さな塊がいくつかあるだけ...、という悲しい経験をしたことがあるからです。
じゃがいもは芋自体から葉っぱが出てくる。植物は茎(くき)から芽が出るけれど、根っこからは芽が出ない。ということは、じゃがいもの芋は根ではなく、茎だということ、そして、じゃがいもの花は、なすやピーマン、ミニトマトの花にそっくり。つまり、じゃがいもはナス科ということ。
では、さつまいもは...。さつまいもは根っこに栄養を貯めて太らせるタイプ。じゃがいもが地下茎に栄養を貯めるタイプなのとは違う。じゃがいもはナス科で、茎を食べる芋。さつまいもはヒルガオ科で、根っこを食べる芋。サツマイモは、中南米を起源とし、そこから世界中の熱帯地域や亜熱帯地域に広がっていった。
じゃがいもは茎を食べ、さつまいもは根っこを食べる、だなんて、こんなに似ていても全然違うものなんですね。
落花生(ピーナッツ)は、私の大好物のひとつなのですが、地上に実がなっていると思っている人が多いようです。それを庭に植えてみて、その成長を観察しました。日付入りの写真で紹介されますから、よくよく分かります。黄色い花が咲いて、落ちた花(落花生)が地上にもぐっていくかと思うと...、そうではなくて、地面に突き刺さるもの(子房)があるのです。この子房が土の中で成長していって落花生になるのでした。
いやあ、見事な一連の写真にほれぼれします。
とうもろこしとヤングコーンの関係も写真を見て、よく分かりました。未熟なとうもろこしがヤングコーン。間引きしたものがヤングコーンとして市場に出まわる。うむむ、なーるほど。
野菜は、種(タネ)のまきどきが重要。早くまいてしまうと、種は待てど暮らせど、芽生えてこない。遅くまいてもダメで、もし目が出てきても、その先の成長はあまり良くない。このように種をまく人の責任は重大で、難しい。
きゅうりは、花が咲いてから1週間で食べごろの大きさになる。
ゴーヤーなど、つる性の植物は途中でつるのまく向きを変える。それによって、引っぱられる力に強くなり、かつ、戻る力も増すことになる...。
うひゃあ、ホ、ホントでしょうか。誰が、いったい、そんなことを考えたのでしょうか。まさか、天地の創造の神様がそんなことまで考えたなんて、信じられません。ゴーヤーは、人間が食べるのはまだ未熟な緑色のとき。本来は食害から、その実を守るための苦さなのに、人間には、この苦さが喜ばれて食べられるなんて...。
東京は国分寺に、種どりをする「ほんだ自然農園」がある。畑を耕すことなく、その大地の自然の循環をいかす農法を実践している。いやあ、ホント、すごいですね。こんな人たちの努力で、日本の農業が成りたっていることを知って、少しだけうれしくなりました。みんなで応援しましょうね。
日曜園芸家のはしくれとして、こんないい本に出会えて感激です。日曜日ごとの野菜づくりと土いじりは、私の健康法の一つです。
(2021年6月刊。税込2640円)

 祝日(23日)にサツマイモを孫たちと一緒に掘り上げました。
 初めに姿をあらわしたのは、いかにも細い枝のようなイモでしたから、ありゃりゃ、これは去年に引き続いて失敗してしまったか...と思いました。でも、掘りすすめていくうちに、それなりに太いイモも何個か姿をあらわしてくれて、イモ掘りの格好もつき、孫たちと喜びました。イモのテンプラにして食べましょうか...。

2021年9月13日

イヌは愛である


(霧山昴)
著者 クライブ・ウィン 、 出版 早川書房

私はイヌ派です。ネコには、どうも親しみがもてません。幼いころからわが家は犬を飼っていました。キャンキャン吠えるので、すぐ人気を失ってしまったスピッツが小学生のころから座敷にも上がるのを許されて飼っていました。おかげで、畳は、いつもザラザラです。今なら、とても耐えられませんが、子どもって平気なんですよね...。
イヌは単に社交的なのではない。正真正銘の親愛の情を示す。それは、人間だったら、普通は愛と呼ぶはずのもの。イヌは、深いつながりを築きたい、温かで親密な関係をもちたいという欲求、愛し、愛されたいという欲求をもっている。イヌの本質は愛である。その愛が、人間にとってイヌを特別な存在に、人間のまたとない相棒にしている。人間に対するイヌの愛の主導権は、人間にはない。主導権はイヌが握っている。
4000年以上も前の古代エジプトの墓碑に、イヌの名前が刻まれている。アブウティユウという王の護衛犬は、死んだとき棺に入れられ、上質の亜麻布、香、香りのついた軟膏が下賜された。
イヌは1万4000年以上前に生まれた。最後の氷河期のあいだに登場した。
イヌは、特定の人間をすぐに好きになる。これって、イヌ好きの人間をイヌはすばやく見抜くということではないでしょうか。イヌ好きの私は、あまりイヌを怖がらないので、イヌも私にすぐに近づいてくるような気がします。
イヌが人間より速く絆を築く反面、イヌはその絆を解くのも速いのではないか...。
これって新しい飼主にイヌがすぐなじむことを指しているのでしょうね。
個体としても種としても、イヌは人間に身を捧げてきた。イヌは狩りの能力などのすべてと引き換えに、人間のパートナーになるチャンスを選んだ。
深くて揺るぎない愛情と引き換えに、人間も自分たちを愛してくれる。イヌはそう信じている。ところが、人間のほうは、残念ながらイヌと盟約をまっとうしているとは言えない。
オープンで愛情深い性質をもつイヌは、身体的な接触と同じくらい、関心を向けてもらうことを求めている。
多くのイヌは、ひどい孤独に耐えられず、いろんな行動をとる。吠える、家具をかむ、室内の、してはいけないところで排泄する。
こうしたストレスの兆候は、分離不安障害と呼ばれる、だから、スウェーデンでは、少なくとも4時間から5時間おきにイヌに社会的交流をさせることを法律で義務づけている。
うひゃあ、これには驚きました。
現在いる犬種は、みな、ここ150年のうちに出来たものでしかない。純粋な血統をもつイヌをつくっていった結果、一部のイヌは、半数以上がガンで死んでいる。
イヌが人間の行動の意味を理解できるのは、人間といっしょに暮しているうちに学習するから。またイヌを飼ってみたくなりましたが...。
(2021年5月刊。税込2310円)

2021年9月 4日

虫たちの日本中世史

(霧山昴)
著者 植木 朝子 、 出版 ミネルヴァ書房

日本人ほど虫(昆虫)を好きな民族はいないそうです。もちろん、真偽のほどは知りません。でも、孫たちはダンゴ虫が大好きですし、庭のバッタをつかまえて喜んでいます。カマキリが卵を産みつけたあとをみんなでじっと待ちかまえていましたが、ついに孵化せず、残念でした。ジャポニカ学習帳の表紙はずっと昆虫でしたよね...。
『鳥獣戯画』は遊ぶ動物たちを活写していますが、平安時代の『梁塵秘抄(ひょうじんひしょう)』には、たくさんの虫が登場します。ホタル、キリギリス(機織虫)、チョウ、カマキリ(蟷螂)、カタツムリ(蝸牛)、ショウリョウバッタ(稲子麿)、コオロギ(蟋蟀)、シラミ(虱)、トンボ(蜻蛉)です。
消えない火を灯しているホタル、衣を一生懸命に織っているキリギリス、おもしろく舞うチョウやカマキリ、カタツムリ、拍子をとるように飛んでいるショウリョウバッタ、鉦鼓を打つような声で鳴いているコオロギ、人の頭で遊んでいるシラミ、子どもたちと戯れるトンボ...。
12世紀初めの『堤中納物語』に登場する「虫めづる姫君」は、あまりにも有名です。
姫君は、毛虫についても嫌がることなく、毛の様子は面白いけれど、思い出す故事がないので物足りないと言って、カマキリやカタツムリを集め、歌い、はやさせる。
カタツムリを前に、デンデンムシムシ、出ないとカマをうちこわすぞと、はやしたてる。
これは、京の都にも奈良の寺院にも、子どもの遊びにも、芸能の舞台にも響いていた。
この「虫めづる姫君」のモデルは、太政大臣の藤原宗輔(むねすけ)の娘ではないかとされている。この宗輔は、蜂を数限りなく飼って思うままに操り、「蜂飼(はちかい)の大臣(おとど)」と呼ばれていた。
同時代の堀河天皇は、殿上人(てんじょうびと)に嵯峨野(さがの)で虫を捕らえてくることを命じた。捕らえた鈴虫を庭に放った。この虫撰びに蜂飼の大臣・宗輔も参加していた。
百足(むかで)は、平和を乱す恐ろしい存在であると同時に、勇者を守り、人々に福を与える毘沙門天の使いとして尊ばれてもいた。武田信玄の使番12人の武将たちは、百足文様の指物(さしもの)をしていた。対する上杉謙信のほうも、毘沙門天信仰が篤(あつ)く、家の旗印として毘沙門の「毘」の字を記していた。
「蚊のまつ毛が落ちる音」という表現があるそうです。清少納言の『枕の草子』に出てきます。ごくごく微細な音のたとえとして使われています。蚊にまつ毛なんてあるはずもありませんが、たとえとしてはイメージが伝わってくるコトバですよね。
ギーッチョン、ギーッチョンというキリギリスの鳴き声は、なるほど機織(はたお)りの音に聞こえますよね。ところで、中世にはきりぎりすと書いて実はコウロギを指すというのです。驚きました。江戸時代になってから、こおろぎがコオロギになったのです。
中国には、2匹のコオロギをたたかわせる遊びがある。コオロギのオスがメスや縄張りをめぐって激しくたたかう性質を利用した遊び。日本でも、伊勢・志摩などでやられていた(いる)そうです。
日本の古典文学の中で、チョウに代って霊魂を示すのはホタルだ。ホタルは、恋の物思いによって、身体から抜け出た魂ととらえられていた。明智光秀は死後に「光秀ホタル」になったという伝承もあるそうです。
塩辛トンボは、私の子どものころはフツーに近くを飛んでいましたが、今ではあまり飛んでいるのを見かけません。実際に塩辛トンボをなめたら、本当にしょっぱかったと学生が教えてくれたというエピソードが紹介されています。本当に塩辛いだなんて、信じられません...。
飛んでいるトンボを子どもがつかまえるのに、両端に小石を結んだヒモを空中に放り投げるというのがあるようです。私は、やったことがありません。
鼻毛でトンボを釣るというコトバがあるそうです。知りませんでした。トンボを釣れるほど長い鼻毛というのは、このうえない愚か者だということなんだそうです。
阿呆(あほう)の鼻毛に対して、美人の眉(まゆ)というのだそうですが、こちらは聞いたことがある気もします...。
トンボの姿が戦国時代の武将たちの兜(かぶと)のデザインにもなっています。これまた驚きました。世の中、知らないことは多いものですね。トンボは、勝虫(かつむし)だからなんだそうです。さすが学者です。よくよく調べてあるのに驚嘆させられました。
(2021年3月刊。税込3300円)

2021年8月30日

海獣学者、クジラを解剖する


(霧山昴)
著者 田島 木綿子 、 出版 山と渓谷社

著者は茨城県つくば市にある国立科学博物館の筑波研究施設につとめる海獣学者。これまでの20年間に調査解剖したクジラは2000頭をこえる。日本一は間違いないとして、恐らく世界一、クジラを解剖している女性(いったい、男性で同じようなことをしている人はいるのでしょうか...)。
解剖の対象は、死んで海岸に打ち上げられたクジラたち。これをストランディング(漂着、座礁)と呼ぶ。日本国内の海岸に年間300件のストランディングが報告され、可能な限り著者たちは班を組んで現場に駆けつける。科学的に測定し、博物館の標本とするため。放っておくと腐敗し悪臭を漂わせるため、地方自治体は粗大ゴミ扱いしてよいことになっている。そんな処理をされる前に現場に行って、関係者によくよく趣旨を説明して、調査・保存に協力してもらうのが著者たちの第一の任務。
いつストランディングがあるのかは予測がまったくつかないので、対応するのは大変なこと...。さすが根性の入った海獣学者ですので、ともかくストランディング対応が最優先。
しかも、相手は巨体、そして腐敗が進行中...。一刻の猶予もなく解剖に取りかからなければなりません。悪臭なんか気にしているヒマはないのです。いやはや...。
一種につき一体やればいいというのは素人考え。プロは、最低30体はないと、その種を特徴づける肋骨、歯の数、頭骨の形を数値化した平均値、子どもを産む年齢、寿命、大人の平均的な体長といった基本情報、そして、その種がどのような生き方をし、暮らしているのか、他の生物との共通性や違いはどこにあるのか...、情報が多ければ多いほど正確性を増す。
私も、一つのテーマについて少し深く知りたいときには、最低30冊の本を読むようにしています。そのテーマについて30冊を読むと、だいたい共通認識が得られるからです。
マッコウクジラ(16メートル級)の心臓から血液を体内に送る大動脈は、消防車が消火に使うホースくらいの太さがある。うひゃあ、す、すごーい。さすがにデッカイですね。
2018年8月、鎌倉市由比ガ浜にシロナガスクジラの死体が漂着した。このシロナガスクジラは海の哺乳類の中でも特別な存在で、一生に一度あるかどうかの希少なチャンス。大人は全身25メートルにもなるが、このときは11メートルほどの、生後数ヶ月の幼体だった。母クジラと生き別れて死んでしまった赤ちゃんクジラ。
このクジラヒゲを分析すると、岩手県沖を親クジラと一緒に回遊していたことも判明した。すごいですね、そんなことも分かるのですね。そして、もっと恐ろしいことは、この赤ちゃんクジラの胃の中に、直径7センチのビニール片が見つかったということ。「ナイロン6」という材質のフィルムだった。いやはや、プラスチックゴミがこうやって自然環境を汚染しているのですね...。
私は読んでいませんが、本屋大賞をとった『52ヘルツのクジラたち』(町田そのこ、中央公論社)のタイトルにある「52ヘルツのクジラ」は実際に存在した(今も生きているかも...)というのです。52ヘルツというのは、通常なら20ヘルツ前後なのに、特殊な周波数の声で鳴いているのが観測されたのでした。あまりにも特殊な周波数なので、他の種のクジラと関わっている様子がないため、「世界でもっとも孤独なクジラ」と呼ばれるようになった。
ふむふむ、そういうこともあるのですね。1989年に発見されたクジラですが、ぜひ今でも生きていてほしいですね。
沖縄の海で、ジュゴンが異常な鳴き声を出しているのが観測された。そして、そのジュゴンの死体が見つかった。著者たちが出動して、オグロオトメエイというエイの棘(トゲ)がジュゴンの腹に刺さり、その痛みに耐えかねてジュゴンは夜間ずっと鳴いていて、ついに死に至ったことが判明した。
ええっ、そんなことまで分かるのですね、やっぱり学者って、すごいです。
人間関係に疲れて、人間との関わりの少ない専門分野として著者は自然に生きる野生動物を対象に選んだそうです。でも、やっぱり人間との関わりあってこそ研究が深められたといいます。ひき続き、元気にがんばってほしいですね。元気の出る面白い本でした。
(2021年8月刊。税込1870円)

2021年8月 9日

南極探検とペンギン

(霧山昴)
著者 ロイド・スペンサー・ディヴィス 、 出版 青土社

エンペラー・ペンギンはペンギンの中でもとくに「貞操観念」が低い。離婚率は85%にも達する。多くのつがいが1年で別れ、翌年にはまた新しいパートナーとつがいになる。
エンペラー・ペンギンには、そもそも巣というものがない。そのため、同じ相手と続けてつがいになる動機に乏しい。したがって、エンペラー・ペンギンは愛の偶像などではなく、むしろ「離婚の守護聖人」とでも呼ぶべき生物なのである。いやあ、うっそー、と叫びたくなりました。
動物の2個体が戦っていれば、それはオス同士の戦いであり、卵を抱いて温めるのはメスの役目。これが疑う余地のない常識だった。しかし、両方とも間違っている。
ペンギンの卵も雛も、その世話には大変な手間がかかる。卵を生むのはメスだけど、メス一羽だけでは卵をかえして雛を立派に成長させることは不可能。
卵は年にたった2個しかつくれない。メスは卵1個に大きな投資をしているから、誰とどこで交尾するか慎重に選ばなくてはならない。失敗したら、その年の繁殖機会は失われてしまう。
ペンギンの繁殖が成功するために何より重要なのは、タイミングだ。親は、雛が十分な食べ物を得られるように、急いで行動しなくてはいけない。適切なタイミングで十分に大きく成長できるようにする。一定の期間で必ず、自力で生きられる程度にまで成長させる必要がある。羽毛が大人のものになるだけでは不十分で、その時点で十分な体重がないと、長く生きのびることはできない。
オスのペンギンにとって、交尾はそう簡単な仕事ではない。うつ伏せになったメスにただ飛び乗るだけではなく、同時に、自分のクチバシを震わせてメスのクチバシに当てなくてはならない。メスを興奮させるためだ。オスが精液を正しくメスの標的に命中させられるのは、わずか3分の1。そのうえ、交尾が成功しても南極では繁殖を失敗させる要因が無数にある。その最大のものが天候。
アデリー・ペンギンのメスの10%は、つがいの相手(オス)がいるにもかかわらず、近くの別のオスと交尾し、またすぐに元のオスのところに戻る。なぜか...。オスのなかに生殖能力のないオスがいる。なので、2羽のオスと交尾すれば、どちらかのオスに生殖能力がなくても、子どもが生まれる可能性が高くなるから...。うむむ、な、なるほど、ですね。
エンペラー・ペンギンのオスは、寒い南極の冬のあいだ、合計で3ヶ月間も、何も食べずに生き抜く。オスはメスが帰ってくるのを待つあいだ、雛に食べさせるために、自らの身体の組織を削って雛のエサをつくり出す。そのエサは「ペンギン・ミルク」と呼ばれている。
ペンギンは、実は「売春」もする。アデリー・ペンギンのメスは巣を補強するための石を求めて、独身のオスに近づく。独身のオスは石を集めている。メスは交尾させるふりをしてオスの気を引き、石から注意をそらさせ、さっと石の一つを失敬してしまう。メスがオスから、この手口で62個もの石を奪いとったことがある。石はペンギンのコロニーの中で、通貨のような役割を果たしている。交尾させ、その代わりに石を受けとる。オスも石という通貨を支払って、交尾を買っている。
ペンギンは、同性愛、離婚、不倫、強姦、売春をしている。これは、繁殖を成功させるのが容易ではない環境の下で長年生きていた結果、そういう行動をすることになったということ。
自然選択とは、単に勝った者が生きのびるということであって、良い手段をとったから生きのびるというわけではない。
ペンギンほど、外見の個体差のない動物はいない。外見からだけでは、ペンギン自身でさえ、オスとメスを見分けることができない個体の識別も不可能だ。
オスはメスと交尾したら、メスのそばにとどまって、共に助けあって子育てしなくてはならない。ペンギンの雛が卵からかえって4日から6日間は食べ物を与えられなくても生きられるが、与えられなければ、餓死してしまう
アデリー・ペンギンは、冬の移動中に多くの個体が死んでいく。6羽のうち1羽、ひどいときには4羽のうち1羽が死ぬ。そして、つがいだった2羽が両方とも無事にコロニーに戻ってきても3組のうち1組は再びつがいにはならない。つまり離婚する。
はじめてのメスは、低い声のオスを好む。一般に身体が大きいほど声は低くなる。メスが新たなパートナーを選ぶには、いくつかの重要な条件がある。決定権は常にメスだけにある。
アデリー・ペンギンでは、コロニーにおける戦いは、オスをめぐってメス同士が戦うものが多い。
南極の夏はあまりにも短いので、オスの帰りが遅いと、メスには長々と待つ余裕はないので、別のオスを選ぶ。つまり離婚する。
前年に繁殖に成功しなかったつがいは、たとえ再びつがいになっても、結局、別れてしまうことが多い。そして、そのつがいは、互いの絆を強める行動をとらない。
ミューチュアル・コールのとき、2羽は胸と胸をつきあわせるように立ち、同じように大きな声で鳴く。クチバシを空に向け、互いに頭を振りあう。
ペンギンたちが同じ相手と一生添いとげることはせず、頻繁に離婚し、パートナーを変えるのには十分な理由がある。なによりペンギンたちには時間がない。繁殖につかえる期間はごく短いので急がなくてはいけない。そして繁殖の成功率は高くない。なので、親鳥たちは、条件が良くなり次第、できるだけはやく繁殖行動を開始すべきことになる。
1912年3月、南極探検のアムンゼン隊とスコット隊との違い、そして、スコット隊の中にジョージ・マレ・レビックというペンギン研究の研究の生存者がいたことを紹介しつつ、ペンギンの性生活を明らかにしていくという興味深い本です。少しでもペンギンに関心のある人には超おすすめの本です。
(2021年5月刊。税込3080円)

2021年8月 2日

摩訶不思議な生きものたち


(霧山昴)
著者 岡部 聡 、 出版 文芸春秋

私は日曜日の夜、録画した「ダーウィンが来た」をみるのを楽しみにしています。生物界の神秘の映像を茶の間で気楽にみれるなんて、実にすばらしいことです。でも、みながら、こんな映像を撮っているカメラマンたちスタッフの苦労にときどき思いを至します。
著者は、そんな生物ドキュメント映像を撮るために40ヶ国に出かけ、100種以上の動物に出会いました。そのなかで、何度も怖い目、死んで不思議がないような体験をしています。野生のトラがすぐ目の前にきていたなんて、怖すぎます。
モーリタニアでは野生のハンドウイルカが人間のボラ漁を手伝うのです。イルカだって利益があります。イルカは、人間が投げた網に驚いて逃げるボラを捕まえようと、人間のほうにボラを追い込んでいた。
タテガミオオカミは、ロベイラという苦味のある果実を食べる。これは、タテガミオオカミの腎臓に線虫が寄生していて、放っておくと腎機能が低下して長生きできなくなる。苦いロベイラを食べることで、線虫を駆除している。つまりロベイラの薬効をタテガミオオカミは知って利用しているわけだ。
体長12メートル、重さ15トンにもなるジンベエザメは、クジラに次ぐ巨大生物。ジンベエザメには目立った歯はなく、食べ物は小さなプランクトン。大きな口を開け、海水ごと飲み込み、えらで漉(こ)しとって食べる。巨体を支えるのに必要な量の食べ物を得るため、1日にプール2個分もの膨大な海水をろ過している。
ジンベエザメの寿命は70年。地球上に棲むジンベエザメは、すべて一つの家族のようなもの。これは、世界各地のジンベエザメの遺伝子を比較して判明した事実だ。
オオアリクイには歯が一本もなく、舌が異様に長く、体温が哺乳類のなかで最低。オオアリクイはアリを主食とするが、決して食べ尽くすことはしない。こうやって決してなくなることのない安定した食料資源になっている。
オオアリクイは、舌全体の長さを35%も変化させることができる。口の先から舌を30センチ以上も外に出して、アリを舐(な)ととって食べる。舌を出し入れする速さは1分間に150回。1秒あたり2.5回。オオアリクイの舌から粘液が出て、アリをすくいとる。では、どうして、その粘液は口の周囲をベトベトにしないのか...。
オオアリクイの舌の粘液は、シロアリをくっつける瞬間には粘り気があるのに、口に戻ったときには粘着性がなくなる。
サルの親は子どもサルに食べ物を与えることはしない。積極的に与えるのは人間だけ。チンパンジーやオランウータンでも、そばにいる子どもが自分の食べているのを横から取ることを許すだけで、与えることまではしない。
フサオマキザルは、ヤシの実を石にぶつけてエサをとる。これには2年から4年以上もかかることがある。
面白い本でした。さすが「ダーウィンが来た」のディレクターだった人による本です。
(2021年4月刊。税込1760円)

2021年7月12日

カラスをだます


(霧山昴)
著者 塚原 直樹 、 出版 NHK出版新書

カラスの鳴き声を研究している第一人者による本です。カラスの群れを音声だけで別の地点へ誘導するのに成功したそうです。さすがです。といっても、カラス同士の音声の会話を解読したとまでは言えないとのこと。残念です...。
カラスのねぐらと巣は違う。ねぐらは、文字どおり寝るところ。巣は、卵を産んで育てる繁殖の場。子育てのあいだ、カラスはねぐらには帰らない。この間、ねぐらは、独身カラスと卵を産まないペアだけになる。
カラスはマヨラー。マヨネーズが大好き。脂(あぶら)が好きなのだ。
カラスは鼻がきかない。カラスにとって紫外線が決定的に重要。舌もきいていない。カラスは超音波も聞こえない。
カラスは遊ぶ。電線でさかさまにぶらさがって遊んでいる。
カラスの体は黒いとも言えない。カラスの羽は構造色。青や紫の艶もある。見る角度によって玉名のように艶が変化する。
カラスは外見だけではオスかメスか分かりにくい。しかし、カラス同士では互いの性は分かっている。
カラスの一生がどれくらいなのか、実は判明していない。カラスは、2歳以上になると、年齢不詳になる。2歳までは口のなかをのぞくと0歳、1歳、2歳以上というのが分かる。それ以上になると無理。野生だとおそらく10年くらいだろう...ということ。
カラスが人間を襲うのは、子育て中、子どもを守るため。まず、予告する。警戒の鳴き声は、「アッアッアッ」と、短く強い繰り返し。警戒の度合いが増すと、「アッ」の1回が短くなって、回数が増える。警告は、威嚇だ。「ガーガー」という長めの濁った低い声。「それ以上、近づくな」というメッセージ。攻撃は、人間の後頭部への蹴り。死角から飛来する。カラスは人間が怖いのだ。カラスは、うしろから人間の死角で、後頭部に蹴りを入れようとするので、バンザイのポーズ、両手をまっすぐ上にあげると、カラスは襲ってこなくなる。
カラス肉を食べさせてくれるフランス料理店が長野にあるそうです。カラスの肉は、高タンパク、低脂肪、低コレステロールのうえ、鉄分とタウリンが豊富。これほど栄養価の高い肉はない。それでも...、私は、なんだか食べたくはありません。ところが、日本でも昔はカラスを食べていたそうです。韓国ではカラスは滋養強壮の漢方薬の原料にしているとのこと。ふうん、薬ですか...。
カラスは悪賢い鳥だという定評がありますが、この本によると、カラスにも当然ながら個性があって、みんながみんな悪賢いわけでもないそうです。経験と警戒心のないカラスだっている。
ともかく集団で攻撃されないように早めに対処することを著者は勧めています。
その対処法は、一つの方法は効果がなくなったら、そのまま放置せずに引っ込めて、代わりの新手をやってみること。それを繰り返すことだそうです。あきらめてはいけないのです。そして、この本は、今のところ、永久的に効果のあるカラス撃退法は見つかっていないということです。それでも一定期間は有効なカラス対処法は試みられていて、それなりに効果をあげているというのです。
カラスをワナで捕まえるのは難しいし、山中ならともかく都会で銃砲をぶっ放して退治することはできません。アメリカでは、その点、カラス対策の点で日本よりすすんでいるようです。
カラス対策には今のところ絶対という策はない。手を替え品を替え、次から次へ、多種多様に、刺激を提示すること。カラスが慣れてしまって効果のなくなったグッズは、さっさと撤去してしまうこと。カラスは、ともかく人間の視線を気にしている。
カラスのペアは、1年に3~5個の卵を産む。そして、無事に巣立つのは2.5羽ほど。
ヒトがカラスを養っているのも同然。農作物の「残渣」と、残飯と生ゴミ。
カーと澄んだ声で鳴くのはハシブトカラス。ガーと濁った音を聴けるのはハシボソガラス。
ゴミ袋を黒く塗ったくらいでは、紫外線を認識できるカラスをだませない。
カラス除けに超音波は使えない。
カラスは、とてもきれい好き。
カラスの生態、鳴き声、カラス除けの方法の発明...。いろんなことが書かれている、カラスをめぐる楽しい新書です。
(2021年2月刊。税込935円)

 6月に受験したフランス語検定試験(1級)の結果を知らせるハガキが届きました。どうせ不合格なのですが、恐る恐るのぞいてみると、なんと47点。ショックでした。自己採点では55点だったのです。この差8点は、仏作文の不出来と、文章読解についての大甘な自己採点によるものでしょう。それでもめげずに毎朝、NHKのラジオ講座を聞き、CDで書きとりをしています。そして最近は、毎週1本の仏作文に挑戦中です。これをフランス人の先生に採点してもらいます。今度のテーマは、超富豪の宇宙旅行です。がんばります。

2021年6月21日

ハナバチがつくった美味しい食卓


(霧山昴)
著者 ソーア・ハンソン 、 出版 白揚社

ハナバチって、ハチとかミツバチとは違うのかなと疑問に思いました。訳者あとがきによると、そもそも日本語の「ハチ」にあたるコトバが英語にはないのだそうです。英語のbeeは、花の蜜や花粉を食べる「ハナバチ」だけを指すコトバ。beeは蜂(ハチ)ではない。また、肉食性のハチはwasp(カリバチ)と呼ぶ。日本語のハチは、英語にしたらbees and waspsになる。
ええっ、そ、そうなんですか...。こんなに人間に身近な存在なのに、よく分かっていないなんて、不思議です。
ハナバチの行動は、今でもほとんど分かっていない。
紀元前3000年ころまでに、古代エジプト人は養蜂術を確立していた。ミツバチを長い陶製の筒で飼育して、作物の栽培や野生の植物の開花期に合わせてナイル川を上り下りしていた。今でも、ほとんどすべての作物や野生の植物はハナバチに全面的に頼っている。
ハナバチは白亜紀中期にいたアナバチ科の祖先から進化した菜食主義者である。
ハナバチの身体構造には、まったく無駄がなく、見事なまでに合理的だ。
ハナバチの触角は飛行中の姿勢に影響を支えたり、地球の磁場に反応したり、花が放つかすかな静電気を感知したりする。左右の触角はほとんどわずかしか離れていないが、その程度の間隔でも、左右官の微小な密度の差、つまり匂いの方角を示す小さな感覚勾配を察知するのに十分だ。ハナバチは、1キロ先にある花から漂ってくる香りを追跡できる能力をもっている。
ハナバチは紫外線も見えるので、花弁には、ヒトには見えないけれど、ハナバチを惹きつける言葉(絵)がはっきり書かれていることを見分ける。
ほとんどのハナバチは、めったに刺さない。オスバチは針をもっていないので刺せない。刺すのはメスだけ。
北アメリカの養蜂家は、その所有している巣の30%以上を毎年失うという状況が今に続いている。その明確な原因は今日に至るも確定していない。ただ、2006年に急増し、今は減少はしている。
ネオニコチノイド系殺虫剤がハナバチに良くないことは明らか。
ネオニクスは、野生のマルハナバチや単独性のハナバチにも悪影響を及ぼしているのは確かな証拠がいる。
この本の最後に登場してくる次のフレーズは衝撃的です。
「人間なんかいなくても世界は回る。でも、ハナバチがいないと世界は回らない」
自称「万物の霊長」も片なしですね...。私の知らなかった話が次々に登場してきます。
(2021年3月刊。税込2970円)

2021年6月14日

虫は人の鏡、擬態の解剖学


(霧山昴)
著者 養老 孟司 、海野 和男 、 出版 毎日新聞出版

虫屋の著者と虫写真の専門家による画期的な本です。なぜ、虫が面白いか...。なにより形と色。そして、その多様性だ。虫は面白い。見ているだけで退屈しない。いろいろ見ていると、しだいに区別がつくようになる。
擬態にはじめて気がついたのは、ダーウィンと同世代のイギリス人のベイツ。アマゾンで昆虫を採集していて気がついた。
派手で有毒な虫が食われにくいので繁栄する。すると、派手であっても毒のない虫までもが食われにくくなる。これも一種の擬態。
虫の世界では、年中、「トラが出る」。ふだん、すなおに生きているときには、べつにトラ模様ではない。しかし、たとえば羽を開くと、なんのことわりもなしに、だしぬけにトラ模様が出現する。ふだんはなにげない顔つきをしていて、なにかの拍子に「ワッ」と他人を脅かす。同じように、突然、目玉を出す虫がいる。それがいいのだ。
人間には、クモ嫌いとヘビ嫌いがいる。私は、ヘビ嫌いです。庭に長いヒモ状のものが落ちているだけでもダメです。ところが、モグラのいるわが家の庭には、ずっとずっと歴代ヘビが棲みついています。何年も前のこと、ヒマワリ畑になっている一角で、ヘビがぶら下がって昼寝をしているのを、雑草を抜いていた家人が上を見上げて気がついて腰を抜かしたということもありました。ヘビの抜け殻を、ときどき庭のあちこちで見かけますので、ヘビが生息しているのは間違いありません。
運動のための必要最小限の装置をエネルギーももっている。運動と栄養という二つの条件を、二つの細胞がどちらかに分担することが有利。なので、一方は運動に専門化し、他方は栄養に専門化した。それが精子と卵子だ。
虫によっては、親が子どもの世話をする。コオイムシは、雄の背中に雌が卵をうみつける。
ハサミムシは、親は卵を保護し、かえった幼虫を見張り、ついには子どもに食われてしまう。親の鑑(かがみ)だ。オーストラリアのゴキブリのうちには、子どもを養育するものがいる。種によっては腹に腺があって、その分泌液を子どもがなめる。哺乳しているのと同じ。
虫、ムシ、むし、決して無視できない生きものたちの生きざまを知ることができます。
(2021年2月刊。税込2420円)

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