権利擁護に関する取り組み

1 基本的人権を守る

基本的人権を守ることは、弁護士・弁護士会の中核となる活動です。
当会では、基本的人権を守るために、様々な取り組みをしています。

福岡県弁護士会 子どもの権利を守る

子どもの権利を守る

子どもの抱える問題について弁護士が直接相談にのるために、毎週土曜日、子どもの人権110番という無料電話相談を実施しています。

また、親からの虐待などを理由に家庭で暮らすことのできない子どものための子どもシェルター「ここ」の運営協力や子どもの代理人活動、学校内における様々な人権侵害に対する救済のための活動、いじめ予防授業など、子どもの権利を守るために様々な取り組みをしています。

福岡県弁護士会 高齢者・障がい者を守る

高齢者・障がい者を守る

福岡県弁護士会高齢者障害者総合支援センター「あいゆう」を通じて、高齢者・障がい者を対象とした無料電話相談や面談相談・出張相談、福祉業務に携わる方々を対象とした無料電話相談である「福祉の当番弁護士」を実施しています。

また、福岡県社会福祉士会と協力し、福岡高齢者虐待対応チームを結成し、高齢者や障がい者を虐待から守る活動も行っています。

このように、高齢者・障がい者の権利擁護の一環として、行政機関や各種団体との連携の取組みを積極的に進めています。

福岡県弁護士会 精神保健当番弁護士制度

精神疾患での入院患者の権利を守る

1993年から全国初の精神保健当番弁護士制度を発足し、精神科病院の入院患者からの法律相談を受け、代理人となって精神医療審査会への退院請求や処遇改善請求を行っています。

福岡県弁護士会 労働者側の無料労働相談

労働者の権利を守る

サービス業や不当解雇、セクハラ・パワハラなどの労働者が抱える問題について弁護士が積極的に関わっていくために、2012年から労働者側の無料労働相談を始めました。

福岡県弁護士会 消費者の権利を守る

消費者の権利を守る

情報量などで弱い立場に置かれている消費者が被害にあう問題(多重債務問題、商品先物取引トラブル、PL問題、訪問販売トラブル等)について、被害にあった消費者を救済するために様々な無料電話相談会を開催しています。

さらに、消費者問題の啓発活動や講師派遣なども行っています。

福岡県弁護士会 犯罪被害者を対象とした無料電話相談活動

犯罪被害者の権利を守る

当会の運営する犯罪被害者支援センターを通じて、犯罪被害者を対象とした無料電話相談活動を行っています。

また、被害届や刑事告訴、加害者への損害賠償請求、犯罪被害者給付金申請、刑事事件の被害者参加など、様々な形で犯罪被害者を支援する活動を行っています。

福岡県弁護士会 交通事故専門相談(電話・面談)

交通事故被害者の権利を守る

交通事故に遭われた被害者の権利救済が十分に実現されるよう、交通事故専門相談(電話・面談)による相談を受け、少額事件や物損事件も含め、専門的な知識を持った弁護士が被害者を適切にサポートしています。

福岡県弁護士会 生活保護支援システム(生活保護当番弁護士)

すべての人の生きる権利を守る

生活に困窮した方が生活保護を拒まれた場合などに費用負担なしで生活保護支援システム(生活保護当番弁護士)によって相談を受け、申請に同行したり審査請求を行います。

福岡県弁護士会 外国人向けの通訳付きの無料法律相談

外国人の権利を守る

外国人向けの通訳付きの無料法律相談を実施し、外国人の抱える入管・在留手続や結婚・離婚、労働、交通事故など様々な問題に対応しています。

2016年からは福岡入国管理局に収容されている外国人の方からの申し込みによる出張相談も行っています。

福岡県弁護士会 警告・勧告・要望等の措置

人権救済の最後の砦

当会では、現実に生じている人権侵害についての人権救済申立を受け付け、個別に調査を行い、調査の結果、人権侵犯が確認された場合、人権侵害を行っている機関等に対して、警告・勧告・要望等の措置をとっています。

2 社会問題への取り組み

現代社会には様々な社会問題がありますが、その中には弁護士が関わっていくべき 問題も多くあります。
当会は、様々な社会問題に関して積極的に取り組んでいます。

福岡県弁護士会 自死問題

自死問題に取り組む

わが国の自死者(自殺者)は、2011年まで14年連続で年間3万人を超え、2012年は3万人以下となったもののいまだ多くの人が自死を選んでいる状況に変わりはなく、自死の予防は国民的課題となっています。

自死には深刻な法律問題が原因となっている場合も多く、また自死に至った後にも遺族を中心にさまざまな法律問題が生じることがあるため、当会も積極的にそのような自死問題に取り組んでいます。

また、心理専門職と一緒に自死遺族に対する無料法律相談も行っています。

福岡県弁護士会 民事介入暴力問題

民事介入暴力問題に取り組む

福岡県には5つもの指定暴力団と山口組系組織が拠点を置き、抗争事件・発砲事件が相次ぐなど、厳しい暴力団情勢にあり、暴力団らの市民・企業に対する犯罪行為や不当要求も後を絶ちません。

当会ではこのような暴力団問題、特に暴力団らが民事紛争に介入して不当な利益を獲得しようとする民事介入暴力問題に積極的に取り組み、暴力被害集中相談会や不当要求相談会などの無料相談会を実施しています。

福岡県弁護士会 性差別のない平等な社会を目指す

性差別のない平等な社会を目指す

性差別、両性間の格差、LGBTの問題は、わが国では大きな問題であり、家族や福祉・教育、労働・雇用など社会全般に残っています。当会では、無料電話相談である女性の権利110番を実施し、様々な 講師派遣や対外発信を通じて、性差別のない平等な社会を目指す活動をしています。

福岡県弁護士会 憲法問題・情報問題(秘密保護法問題・共謀罪問題等)に取り組む

憲法問題・情報問題(秘密保護法問題・共謀罪問題等)に取り組む

今日、日本国憲法の改正が政治の重要な論点として浮かび上がってきています。

また近年の秘密保護法法制・共謀罪法制により、国家の情報の監視・管理のあり方が私達国民の表現の自由やプライバシー権との関係で大きな問題となっています。

当会では、様々な市民講座や講演会を開催して、憲法・情報問題について市民の皆さんにも認識を深めてもらい、現在における憲法・情報問題をめぐる問題について様々な観点から討議・検証しています。

福岡県弁護士会 行政問題に取り組む

行政問題に取り組む

市民と行政との間では、さまざまな紛争・トラブルが生じていますが、日 本では諸外国に比べて行政訴訟の件数が圧倒的に少なく、行政事件や行政問題に関わる弁護士も多くはないという状況が続いてきました。

当会では、そのような状況を打破し、さまざまな行政問題・行政トラブ ルに弁護士が積極的に関与していくため、無料での電話・面談相談制度である行政ホットラインを実施しています。

福岡県弁護士会 環境問題に取り組む

環境問題に取り組む

公害問題は多くの市民の健康や命を脅かしてきましたが、現在は公 害問題にとどまらず環境問題も重要な社会問題となっています。 当会は、公害や環境に関する様々な調査研究を行い、意見書を発 表したりシンポジウムを開催したりするなどして環境問題に取り組んでいます。

福岡県弁護士会 震災・豪雨などの災害問題に取り組む

震災・豪雨などの災害問題に取り組む

2011年に起こった東日本大震災は多くの人命を奪い、引き続いて起こった福島原子力発電所の事故とともに、被災者・被災地に今も大きな影響を残しています。

また、2012年,2017年には九州北部豪雨により、筑後地区(2012年)、朝倉地区(2017年)を中心に福岡でも多くの被害がありました。

2016年4月には、熊本地震が発生し、いまだ大きな爪痕を残しています。

当会は、被災者向けの無料法律相談会、被災された女性を対象とした無料電話相談(女性の権利ホットライン)、災害ADR(裁判外紛争処理手続)の実施、災害Q&Aの発行など被災者支援体制の整備・拡充を行い、震災その他の災害問題に取り組んでいます。

3 刑事手続への取り組み

日本でも何度も繰り返されてきた冤罪事件は、最も酷い人権侵害の1つです。

刑事手続での被疑者・被告人の人権を守ることは憲法にも規定された弁護人の職責であり、当会としても刑事手続に関して積極的に取り組んでいます。

福岡県弁護士会 被疑者・被告人の人権を守る

被疑者・被告人の人権を守る

当会では、逮捕・勾留された被疑者やその家族などから要請があれば、待機している弁護士が無料で出動し法的なアドバイスをするという「当番弁護士」制度を全国に先駆けて1990年に始めました。

当番弁護士制度は全国に拡がり、起訴される前の被疑者段階に弁護士が関わることの意義と重要性が認められ、2006年に始まった被疑者国選弁護制度へとつながりました。

現在も、被疑者国選弁護の対象から漏れる事件や、被疑者国選弁護人を付けられない逮捕段階をサポートする制度として、当番弁護士制度は続いており、必要な場合には被疑者援助制度を利用して実質上無料で弁護人をつけることができます。

福岡県弁護士会 少年の人権を守る

少年の人権を守る

当会では、非行をして少年鑑別所に収容された少年の希望があれば、待機している弁護士が無料で出動し、さらに付添人となるという当番付添人制度及び身柄事件全件付添人制度を、全国で初めて2001年に始めました。

2007年に国選付添人制度ができ、2014年6月からは対象事件が拡大されましたが、国選付添人制度から漏れる事件をサポートする制度として当番付添人制度と身柄事件全件付添人制度が重要な役割を担っています。

福岡県弁護士会 触法障がい者の人権を守る

触法障がい者の人権を守る

心神喪失を理由に不起訴や無罪になった人や心神耗弱を理由に 執行猶予となった人に対する医療観察制度の中で、弁護士はそれらの触法障がい者の付添人となって権利擁護活動をしますが、当会はそのバックアップを行っています。

4 社会のすみずみまで法的サービスを ~法律相談センターの運営

当会は、様々な地域の方に法的サービスを提供するため、現在、県下17箇所で法律相談センターを運営しています。より多くの人に法的サービスを提供するため、一般の法律相談以外にも上述してきたような様々な相談事業を運営しており、センターによっては土日や夜間も法律相談を行っています。

法律相談センター電話番号:(0570)783-552(なやみここに)

5 中小企業に対する法的支援

我が国の企業の大部分は中小企業です。

「市民のための司法改革」は、社会の隅々まで法による紛争の予防や解決に必要な情報やサービスの提供が受けられることを目指すものであり、そのためには弁護士が、個人のみなら ず中小企業を含む企業の諸活動全般において、相談・助言を含む適切な法的サービスを提供できる基盤整備が必要です。そこで当会では、2010年に中小企業法律支援センターを設置し、中小企業向けコールセンター「ひまわりほっとダイヤル」を開設し、初回無料の面談相談制度を実施しています。

6 法教育の取り組み

法教育とは、「法律の専門家ではない一般の人々が、法や司法制度、これらの基礎となっている価値を理解し、法的なものの考え方を身につけるための教育」です。

民主主義社会を担う子どもたちや一般市民に、法律や制度の背景にある基本的価値観を認識し、その価値観を用いる方法を習得してもらうことは極めて大切なことであり、それに力を尽くすことは、法律専門家である弁護士の果たすべき役割の1つです。

当会では、2011年に法教育センターを設置して弁護士をゲストティーチャーとして派遣しており、小中高を対象に80クラス無料キャンペーンも実施しています。