弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
宇宙
2025年1月14日
箱の中の宇宙
(霧山昴)
著者 アンドリュー・ポンチェン 、 出版 ダイヤモンド社
たまには夜空を眺めて、宇宙のことを考えてみたいものです。
自分が死んだら、あのきらめく星と一体化して、宇宙をさまよっていくのかな...、そう思うと、宇宙の端(はて)がどうなっているのか、知りたくなりますよね...。
宇宙は広大なだけでなく、非常に複雑である。
銀河が回転しているという事実は、21世紀の初めから知られていた。銀河系の軌道上に星をつなぎ止めるのに十分な重力を及ぼすには、通常の物質の5倍も存在しなければならない。それがダークマター。今のところダークマターの正体は判明していないが、その正体は素粒子に違いないだろう。
宇宙は140億年前に誕生し、ほとんど大きさゼロから膨張し続けている。しかし、膨張によって銀河がランダムに散らばっているのではない。巨大なクモの巣のような、ほぼ空っぽの超空洞(ボイド)を挟(はさ)んだ、「宇宙の網の目」にそって銀河は結びついている。しかし、なぜ、どのようにして、銀河が網の上に並んだのか...、大きな謎だった。
ニュートリノは、非常に軽い。水素原子の1億分の1ほどの質量しかない。
今日、宇宙を押し広げているものは、すべてダークエネルギーと呼ばれている。銀河を引き寄せているダークマターと対(つい)をなしている。ダークエネルギーの影響は、太陽系や銀河系スケールでは測定可能なインパクトがないため、非常に弱いものに違いない。しかし、弱いダークエネルギーであっても、非常に大きなスケールでは重要な意味をもつ。
今は、ダークマターが25%、ダークエネルギーが7%という宇宙像が描かれている。残る5%に、目に見える、私たちの星や銀河をつくっている原子や分子が存在している。
すべての星は、銀河の中を漂うガスの雲から始まる。
銀河は、大きさ、色、形、質量、化学組織、年齢、明るさ、自転速度など、想像しうる、あらゆる点で多様である。
この10年間で、ブラックホールは合理的な疑いをこえて実在することが証明された。
太陽の数百万倍の質量をもつ壮大なブラックホールが私たちの銀河系のど真ん中に鎮座している。天の川銀河の中心にはブラックホールがある。
超大質量ブラックホールの半径は、親銀河の500億分の1しかないため、コンピュータがブラックホールを正しくとらえるのは至難の業(わざ)だ。
なんと壮大なスケールの話でしょうか。憂さばらしにはもってこいですよね。
(2024年7月刊。2200円+税)
2025年1月13日
西はりま天文台の星空日記
(霧山昴)
著者 大島 誠人 、 出版 あけび書房
私は本格的な天文台には残念ながらまだ行ったことがありませんが、星空を眺めるのは大好きです。夏の夜、ベランダに大きな望遠鏡を据えて、目をじっくり眺めると、浮世の世知辛さをしばし忘れることが出来ます。
この西はりま天文台は一般人にも公開しているそうです。
JR姫新線の作用駅から7キロの山の上にある天文台。兵庫県の佐用(さよ)町は人口1万7千人。標高435メートルの大撫(おおなで)山の山頂にあります。
天文台の立地条件は、夜、空が暗いこと。なので、近くに工場街、コンビナートがあるのは良くありません。また、瀬戸内海のように雨があまり降らないところがいいのです。ここにあるなゆた望遠鏡は、口径が2メートルと、日本で2番目に大きい。
夜だけでなく、昼でも星は見える。そうなんです。星野村にある小さな天文台で私も星を昼に見たことがあります。
なゆたというのは「那由多」と書いて、万、億、兆そして京の先のほう、万から数えて15番目、10の60乗ということです。
レンズを使う望遠鏡を屈折望遠鏡、鏡を使うのを反射望遠鏡という。一長一短あるが、研究用としては反射式のほうがダントツに良い。というのも屈折望遠鏡は、ある程度より大きいものをつくるのが非常に難しいから。反射望遠鏡は鏡の表面の良し悪しによる。今はめっき技術が向上している。
星の寿命は生まれたときの質量で決まっている。質量が大きい星ほど寿命が短い。というのは、質量の大きい星ほど核融合反応が盛んになるので、燃料がどんどん減ってしまい、寿命も短くなってしまう。そのため、大きくて明るい星ほど、寿命が短い。
若い散開星団には、質量の大きな星がたくさんいるから、そのような星は表面温度が高いので、散開集団には青白い明るい星が目立つ。星が輝き始めるというのは、星の中で核融合反応が始まること。
著者は高校生のとき、ずっと夜空の星を観察しているうちに、変光星の増光を世界で最初に発見したということで、新聞で大きく紹介されました。たいしたものです。
ただ、天体観測は夜ですから、生活はとても不規則になり、昼夜逆転の日々を送ることになります。これは大変ですね。私にはとても出来ません。夜はやっぱりちゃんと寝たいですから...。
この天文台は、日曜は一般参加が自由で、平日は予約が必要だそうです。一度、宿泊つきで行ってみたいものです。
(2024年9月刊。2200円)
2025年1月11日
なぜ彗星は夜空に長い尾をひくのか
(霧山昴)
著者 渡部 潤一 、 出版 誠文堂新光社
夜空の星を眺めるのは大好きですし、宇宙に関する本を読むのも好きです。
いつも不思議なのは、星が空を移動しているのを見る(観察する)だけで、昔から数値化して軌道を計算し、いつ彗星が出現するのか予測する、できるということです。皆既日食も、いつ、どこでそれが見えるというのをぴたりと予測できるなんて、私にはまるで信じられません。
今はコンピューターで計算しているわけですが、昔々のケプラーとか、みんな手で計算していたわけですよね。大変な計算だったことと思います。
さて、彗星です。その正体は、なんと、巨大な汚れた雪塊というのです。
彗星核の成分は80%が水の氷、残り20%には二酸化炭素、一酸化炭素、それに微量成分として炭素、酸素、窒素に水素が化合した種々の分子が含まれている。これに岩塊や砂粒のような座(ダスト)が混ざっている。
彗星は、太陽系の中を勝手気ままに飛び回る太陽系の異端児。
彗星の2つの特徴。その一は、何の予告もなく突然に現れる。その二は、現れた彗星は華麗な姿を見せる。
彗星の出現は西洋では凶兆とみられている。ジュリアス・シーザーが暗殺されたあと、第彗星が現れた。ところが、日本では稲作との関係で、穂垂星として吉兆とみられていた。
ハレー彗星は、周期的に回帰する彗星のなかでも、きわめて大型で明るい彗星。
彗星の尾(しっぽ)は、塵の粒子が太陽からの光の圧力(放射圧)によるもの。
彗星は、地球のような太陽系の内側の暖かい場所ではなく、太陽系のかなり外縁部で生まれたようだ。太陽よりも遠方で出来た微惑星が彗星だ。その意味で、彗星は、46億年前の物理・科学的状態を閉じ込めた化石とも言える。
彗星は、惑星や太陽に近づきすぎると、その潮汐力で分裂することが多い。それでなくても彗星は分裂しやすい、きわめて脆(もろ)い天体である。
彗星はよく分裂し、そのうえで雲散霧消するものがある。
彗星核の密度はどうなのか。その中の構造がどうなっているのか、ほとんど分かっていない。まだまだ彗星は謎に満ちている。夜空に彗星や流星を眺めていると、つい、何か願いごとをしたくなりますよね...。
(2024年9月刊。1760円)
2024年9月17日
宇宙はいかに始まったのか
(霧山昴)
著者 浅田 秀樹 、 出版 講談社ブルーバックス新書
読んでもよく分からないなりに、宇宙論の本はつい手にとって読んでみたくなります。
何光年も先の星が今、見えていることの不思議さ、奇怪さがあります。
宇宙に始まりがあるとしたら、終わりもあるのか...。宇宙の始まりの前には何があったのか。何もなかったとしたら、なぜ急に誕生したのか、できたのか...。謎は次々にふくらんでいきます。
1ナノヘルツで振動するのは、1回振動するのに30年もかかるということ。日本人の平均寿命のあいだに3回しか振動しない。
ナノヘルツの重力波というのは、数十年にわたって観測しても、1回の振動を見ることが出来るかどうかというスケールのもの。重力波は光速で伝わる。30年間で1回振動する波の波長は、30光年。
波長は、波が1回振動するあいだの長さ。周波数とは、1秒間に何回振動するのかをあらわすもの。
周波数1ヘルツとは、1秒間に1回振動すること。電波は、波長が1ミリメートルより長い電磁波のこと。X線が可視光と同じ電磁波にもかかわらず、19世紀末まで人類が気づかなかった理由は、それが1000万度にも相当する高エネルギーの電磁波だったため。
パルサーは宇宙の精密時計。パルサーからの電波パルスは、きわめて正確に周期的に地球に届く。
アメリカのLEGOが初めて検出した重力波は、ブラックホールの合体によるもので、周波数が1ナノヘルツ、波長にして数光年という、途方もないもの。
宇宙が誕生してから有限時間しか経過していないため、私たちは宇宙の全体を見ることは不可能。有限時間内では、光は有限の距離しか到達できないから。この限界を「地平線」と呼ぶ。つまり、宇宙の地平線が存在する理由は、光速が物質の速度の上限だから。
宇宙には地平線があって、向こう側は見えないんだと言われると、なんだかとても残念な気がします。それって、山のあなたの空遠く...の世界ですよね。どうしても見たい、見たいと思っても、見ることはできないというわけなんですね...。残念ですが仕方ありません。本を読んで想像してみることにしましょう。
(2024年6月刊。1100円)
2024年8月26日
大陸の誕生
(霧山昴)
著者 田村 芳彦 、 出版 講談社ブルーバックス新書
大陸を形成するには、大量の安山岩が必要。混合マグマで大陸はできない。
地殻の下のマントルは、かんらん岩で出来ている。その厚さは2900キロメートル。その下にコアがある。コアには外核と内核があり、外核は液体の金属鉄、そして、内核は固体の金属鉄で出来ている。
体積でいうと、マントルは83%、コアは16%を占め、地表の地殻はわずか1%だけ。これを質量でみると、マントルは67%、コアは33%、そして地殻はたった0.5%。
岩石は鉱物の集合体。岩石は、そのでき方によって、火成岩、変成岩そして堆積岩に分類される。
岩石は、なかなか解けない。プレートは、地表を覆う岩板。
日本列島には、111もの活火山がある。いやあ驚きますよね。こんなところに原子力発電所をつくるなんて、気が狂っています。目先の金もうけと便利さだけを求めるという短絡的思考が優先しています。残念です。
南海トラフ大地震の予報が先日なされましたが、大地震は関東直下型地震だって間近だといわれているのですよ。それなのに耐震型タワーマンションだから大丈夫だなんて、考えが足りなさすぎると思います。水や電気などのインフラが大丈夫だという保障はありますか...。
海底火山が噴火して軽石を大量に噴出することがあります。それは、もとになるマグマに溶け込んでいたガス成分のふるまいで決まる。
大陸が移動すると初めて提唱したウェーゲナーは1930年に、グリーンランド探検中に遭難死した(50歳)。私は、そのプレートテクトニクス説を知ったときは、単なる固形のはめ絵クイズみたいなものと小馬鹿にしていました。もちろん、今では違います。でも、海底を含めて、大陸が動いているなんて、発想できるものではありませんでした。それはちょうど地球が太陽の周囲をまわっていて、自転もしているなんて信じられないのと同じことです。だって、見えないんですから...。
アフリカ大陸は裂けつつあるそうです。ただし、年に数ミリです。数十キロも分裂して海が出来るのは数百万年も先のことです。そのころ、恐らく日本列島は海の底に大半が沈み込んでいるのではないでしょうか...。
福島第一原発の放射能のデブリは880キロもあるそうです。もちろん、まだそのままの状態です。近く、東電は、そのうちの3グラムを試験的に取り出すとのことです。それもうまくいくかどいうか不明だそうです。もし、うまくいっても、まだ3グラムというレベルなのです。本体は880キロもあるのですよ。ところで、いったい、そんな放射能のかたまりを取り出してどこに置くというのですか...。日本中、どこにも置くところはありませんよ。
私は前から半ば本気で、東電の取締役全員が住める超高級マンションを福島のどこかにつくって、その隣か地下にデブリを保管したらいいと考えています。それで初めて、東電は他人事(ひとごと)ではなく、原発デブリ対策に取り組むと思うのです。これは、決して冗談ですまされることではありません。これが出来ずに原発再稼動なんてとんでもありません。
(2024年4月刊。1100円+税)
2024年8月25日
素粒子論はなぜわかりにくいのか
(霧山昴)
著者 吉田 伸夫 、 出版 技術評論社
素粒子を粒子とみなす原子論的な発想を捨て、場の考えを習得する必要がある。
素粒子は粒子ではなく、量子論の性質によって、場が粒子のように振る舞っているだけ。移動するエネルギー量子が素粒子なのだ。素粒子は、場が励起した状態。場とは、至るところに存在し、あらゆる物理現象の担い手となるもの。空間と一体化し、空間に対して移動できないことが、場の特徴。
素粒子は粒子ではなく、内部空間に形成された定在波によるエネルギー量子が、バネの連結を通じて外部空間を移動するもの。
光は粒子であると同時に波である。
ボーアは、実際には、粒子でも波動でもない、別の何かだとする。これに対して著者は、素粒子の実体は波であり、波が粒子のように振る舞っていると考えている。
質量とは、物質の量ではなく、質量エネルギーというエネルギーの一種なのである。
20世紀まで、質量がエネルギーの一種だという認識はなかった。
素粒子反応では、質量は一般に保存しない。素粒子の中には、生成・消滅するだけでなく、何かの拍子に別の素粒子に変わるものもある。
素粒子が生々流転するのは、その正体が場の振動が伝わる波だからである。
ニュートリノは、スーパーカミオカンデなどで得られたデータから、現在では質量をもつことが現実視されている。
この本は数式を主体としていませんので、まったくの門外漢である私にも、分からないながらも、素粒子論について、おぼろげながら、なんとなくイメージをもつことができました。
それにしても、ヒッグス粒子を見つけたCHCという施設を建設するのに5000億円もかかったというのです。まことに想像を絶してしまいます。
(2023年10月刊。1580円+税)
2024年7月22日
宇宙と物質の起源
(霧山昴)
著者 素粒子原子核研究所 、 出版 講談社 ブルーバックス新書
もう、いつのことだったか忘れてしまいましたが、恐らく長野県の山中にあるホテルに泊まったときのことです。大きな天体望遠鏡がありましたので、夜の空を眺めることができました。天の河というのが、本当に無数の星々で構成されていることを実感しました。また、土星でしたか木星でしたか、その周囲を廻っている小さな衛星を見ることも出来ました。
どうして夜は空が暗いのか、無数に星があるのなら、空は一面の星で覆われていて、暗いどころか、明るく輝いているのではないのか...。そんな疑問をタイトルにした本(『夜空の星はなぜ見える』田中一)を読んで、びっくり驚天しました。もうずいぶん前のことです。まさしく夜空にまつわるパラドックスです。
宇宙に始まりがあるのか、宇宙に果てはあるのか、今なお私のぜひ知りたいことです。宇宙にビックバンがあったとしたら、その前は何があったのか、無から有が生じたというのか、果てがあるとして、その外には何があるのか...、疑問は果てしがありません。
宇宙の年齢は138億歳だということになっています。
天の川銀河の大きさは10万光年。このなかに太陽を含む1兆個の恒星がいます。天の川銀河を含めて50個から100個集まった銀河団は1000万光年の大きさ。
この銀河団を含んだ超銀河団は「ラニアケア超銀河団」と呼ばれ、その直径は5億2千万光年。宇宙原理というのは、地球も太陽系も、銀河、銀河団そして超銀河団も、すべてが特別な場所ではなく、宇宙にありふれている場所であるというもの。
そうでしたら、私たちの地球と同じように生命体、それも会話する、通信する生命体がどこかにいても不思議ではありませんよね...。
宇宙の地平線問題とは...。宇宙の年齢は138億歳。宇宙の端と反対側の端から138億年かけて飛んできた光の温度は絶対温度3度の電波がやってきている。ええっ、そ、そんなことがどうやって分かるのかしらん...。
私は宇宙と星の話が大好きです。ちまちました人間同士の争いに関わって日々の生活を営んでいる身ではありますが、たまにはでっかいスケールの話をして、ちまちましたトラブルをいっとき忘れ去りたいのです。そんな思いにもってこいの、新書でした。もっとも、この新書に書かれていることの大半は理解できませんでしたが...。
(2024年3月刊。1200円+税)
2024年2月13日
プラネタリウムの疑問50
(霧山昴)
著者 五藤光学研究所 、 出版 成山堂書店
私はプラネタリウムが大好きです。遠い遠い宇宙空間に飛び出すことはできませんが、星空を眺めているのは気持ちいいものです。そして、途中でふと眠り込んでしまっていたりします。この本は眠ってもいいけれど、イビキをかいたり寝言(ねごと)を言わないようにだけは気をつけてくださいとしています。納得です。
いま日本には全国47都道府県すべてにプラネタリウムがあり、日本全国で年間800万人から900万人が観覧しているそうです。これって、いいことですよね...。
プラネタリウムの始まりは1925年5月のドイツでした。このときの機械は4500個の星が投映されました。日本では1937年に大阪、翌38年に東京・有楽町に設置されました。私も最近、少し前に有楽町のプラネタリウムを鑑賞しましたが、実に洗練されたストーリーと音楽で、楽しく過ごせました。周囲はアベックばかりでしたから、少しばかりの孤独感も味わいつつ...。
その後、プラネタリウムで投影する星の数は1億4000万個になり、ついには7億個の恒星を投映できるプラネタリウムまであります。それは天の河も、くっきり見えるそうです。ただし、数が多いと「夜空」が明るくなりすぎるようで、肉眼で見える星の数9500個にしぼっているプラネタリウムもあるとのこと。
星が無数にあるとしたら、夜空には暗いところなんてないことになるのでは...、という昔から有名なオルバースのパラドックスというものがあります。夜空が暗いのは宇宙は膨張しているし、あまりに遠い星の光は地球の私たちのところにまでは届かないということのようです。
東京・渋谷の東急文化会館にもプラネタリウムがありました。映画館の入っているビルです。私も大学生のころに入ったことがあります。
世界にデジタル式プラネタリウムを製作する会社は10社、光学式だと5社あります。主要なメーカーは、日本とアメリカに各4社、このほかドイツ、フランス、中国に各1社あります。
世界で最多はアメリカで1400館ありますが、これは学校に小さいものが設置されているということのようです。2番目に多いのは日本で400館、次いで中国の350館です。
日本には世界の大きさベスト10のうち9館があります。日本には大きなドーム形のプラネタリウムがたくさんあるのです。これは自慢していいことですよね。
ちなみに、佐賀県と高知県には1、2館しかないのに、埼玉県には24館あるそうです。どうして埼玉県にはこんなに多いのでしょうか...。
宇宙そして星の話は、大好きです。日頃のあくせくした営み、日常茶飯事のわずらわしさを忘れさせてくれるからです。
さあ、あなたも宇宙の謎ときを目ざして、そして安眠を求めて、いざプラネタリウムへ...。
(2023年7月刊。1800円+税)
庭に孫たちと一緒にジャガイモを植えつけました。メイクイン、ダンシャク、キタアカリそしてアンデスの乙女です。
ホームセンターで千円分を量り売りで買って、4畝に植えつけました。6月に収穫できると思います。フカフカの黒い土になっていますので、きっとうまくいくと思います。
チューリップの芽がかなり出てきています。雑草に埋もれて可哀想なところは雑草をとってやるのですが、ついでにチューリップまで抜いてしまいそうになります。
ロウバイがほとんど終わり、白と黄色の水仙が庭のあちこちに咲いています。春はもうすぐです。今のところ花粉症にはまだ悩まされていません。
2023年12月18日
深すぎてヤバい宇宙の図鑑
(霧山昴)
著者 本間 希樹(文) 、ポピコ(絵) 、 出版 講談社
地上世界の俗事に毎日ドップリ浸って、そこで生活の糧(かて)を得ている身として、たまにはスケールがまったく異なる宇宙空間に思いを至すと、脳の中が洗い清められる気がします。
しょせん人間の身体は宇宙の星くずから成るものであり、死んだら、元のように宇宙に帰っていくだけ。そう思ったら、地上にお墓を建てるなんて、まるで無意味なものでしかないと思えてくるのです。いかがでしょうか...。
人間の体を形づくっている元素は星の"燃えかす"であり、人間の体は「星くず」から出来ている。なぜ、そんなことが言えるのか...。
宇宙がビッグバンによって誕生して3分後、それまでなかった元素、水素とヘリウムができた。その後、数億年たって、多くの星が生まれ、星の中心では核融合が始まった。そのなかで水素やヘリウムがより重い元素、炭素や窒素などに変換した。そして、星が一生を終えるとき、大爆発して鉄などのとても重い元素を宇宙にまき散らした。
宇宙では星の一生とともに時間をかけて重元素が増えていった。星は元素を生産する工場だった。
地球に空気があるのは、地球が空気をつなぎ止めておくのに十分な重力を持っているから。月は重力が地球の6分の1しかないため、大気は存在しない。
昔の地球の大気は二酸化炭素がほとんどだった。そして、地球にある酸素をもたらしたのは植物。植物の光合成のおかげで酸素が地上に増えていった。
地球上の水がどこから来たのかは、今もって解明されていない謎のまま。今のところ有力視されているのは、地球誕生後に大きな小惑星や慧星が地球に衝突して水が宇宙から降ってきたというもの。いやはや、水が地球上になぜあるのか、だなんて考えたこともありませんでした。
太陽エネルギーの燃料は水素原子。今から50億年後に燃え尽きてしまう。
50年後ではありませんので、ご安心ください。億年という単位なのです。もちろん、今の私たちは木っ葉みじんとなって、星くずの姿で宇宙空間のどこかに漂っていることでしょう...。
私たちの太陽をふくめて、すべての星には寿命があり、いつかは燃えつきて死んでしまうのです。でも、星の死は、新しい星を生む材料になるのですから、何も悲観したり、絶望することはありません。そうなんです。こう考えたらいいのです。
銀河系の星は「天の川」にたとえられているが、「天の川」の星は本当に流れている。つまり、星々は、それぞれ特定の方向に「天の川」にそって流れるように動いている。
月はゆっくりと地球から遠ざかっている。毎年4センチほど遠ざかっているのだ。なので、今から10億年たつと、皆既日食は起きなくなってしまう。
50億年後、地球はふくれあがった太陽に呑み込まれてしまう。それまでに地球上の人類は地球を脱出しておかないと、人類は生きのびられないのです。まあ、そんなこと今の私たちが考えたり、心配しても意味のないことですけどね。
今の技術だと、隣の星まで行くのに4万年かかってしまいます。4万年なんて、気の遠くなる年月です。
ボイジャー号は打ち上げから45年たった今も時速6万キロの速さで太陽圏を脱出している。すごいことですが、それでも、隣の星までたどり着くのには、あと7万年以上かかるというのです。ショックを受けました。
どうですか、たまにはこんなスケールで物事を考えてみたら...。いいこと、必要なことです。でも宇宙学者って、すごい人たちですよね。
(2023年9月刊。1400円+税)
2023年12月10日
暗い夜空のパラドックスから宇宙を見る
(霧山昴)
著者 谷口 義明 、 出版 岩波科学ライブラリー
宇宙は無限に広く、星の数も無限にあって、星は宇宙に一様に分布していたとしたら、私たちは上空を見たら必ず、どの方向にも星、つまり太陽を見て、空を埋めている、つまり、昼も夜もなく、明るい空が広がっているはず。
しかし、現実の夜空は暗い。なぜなのか...。これが「オルバースのパラドックス」と呼ばれているもの。私は、このパラドックスを知る前は、単純に夜空は暗いもの、星は暗い夜空でまたたくもので、満天の星というのは高い山でしか見ることのできないものであって、星が夜空を埋めていないはずがない、なんて考えもしませんでした。
そこで、この「パラドックス」を否定するため、先人たちは、いろいろと考えました。
ある人は、宇宙空間に存在する物質が光を吸収するので、夜空は暗いと考えた(間違い)。
夜空が暗いのは、遠くの星の光が地球にまで届かないからと考えた(これも間違い)。
星にも寿命があるから、夜空は暗くても問題ない(星に寿命があるというのは正しい)。
この宇宙は悠々の過去から存在したのではなく、138億年前に誕生した。では、いったい、その前は何があったのか...。
宇宙の現在の大きさは470億光年。とても大きな数字だが、肝心なことは、無限大ではなく、有限だということ。
著者は、夜空が暗いのは、宇宙にある星の数が少ないからだとしています。ええっ、星の数って、無限にあるんじゃなかったの...??
肉眼で見えるのは、6等星まで。宇宙に銀河がたくさんあるといっても、数億光年内という銀河でも、10等星以上くらいのもの。
もっと遠いと25~30等星。なので、星がたくさんあっても、話にならない。夜空を明るくするほど星はない。
全天にある1等星は、わずか21個。1等星を集めて太陽の光度を実現するには、なんと1000億個の太陽が必要となる。
銀河系には2000億個の星しかない。だから、銀河系の星々をすべて動員しても、夜空を埋め尽くすことはできない。正解は...。夜空が暗いのは、この宇宙には夜空を明るくするほどの星が存在しないから。この宇宙では、星をつくる物質に限りがあるため、夜空を星で埋め尽くすほど星をたくさん生み出すことはできないのだ...。
ふだんの私たちが当たり前のことと考えていることでも、「本当にそうなの?」と訊かれると、うまく回答できないことがあります。
暗い夜空の星がなぜ見えるのか...。面白い着眼点です。いかがでしたか??
(2023年10月刊。1540円)