福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

会長日記

福岡県弁護士会会長日記

                   会 長  福 島 康 夫(30期)

国選付添人シンポジウム (9月15日・11月1日)
9月15日に日弁連人権擁護大会プレシンポジウムが天神ビルで多数の市民の参加を得て開催された。テーマは「すべての非行少年に弁護士付添人を!非行少年の実態をふまえて〜国選付添人の全面的実現をめざして〜」。当日は現役の中学校の先生、児童相談所の所長、家裁の現役調査官といった多士済々の皆さんがパネリストとなっていただき新鮮な話を聞かせていただいた。
本年11月1日から死刑、無期、短期2年以上の懲役・禁錮にあたる事件等一部の重罪事件についてであるが、少年国選付添人制度が実施されることになった。
大人には国選弁護人制度があるが、子どもの場合には無資力だから国費で弁護士を付けてくれと請求できる制度が作られていなかった。しかし、大人に弁護人がついて、子どもが放置されてよいはずがない。
今回の対象事件は極めて限定的であり、福岡県でせいぜい40乃至50件ということである。しかし、何はともあれ6年余りで国選付添人制度が実施されることになったという点で、先ずは全国で初めて実施した会として喜びたい。
そして、これまでガムシャラにやってきた子どもの権利委員会の活動と委員各位の精力的な活動に最大限の敬意を表する。
今年11月1日・2日の浜松での人権シンポジウムでは当番付添人制度の全国実施と全面的な国選付添人制度の実現に向けてをテーマにしたシンポジウムが開催される。
当会は2001(平成13)年2月、全国で初めて少年に対する当番付添人制度を実施し、少年鑑別所に収容された少年事件の全件について付添人になる全件付添人制度を創設した。日弁連のシンポジウムとして全国規模で福岡の全件付添人制度が大きく飛躍しようとしている。今、スタートラインに立つことができた。当番付添人制度を実施している単位会は32会とのことである。全国展開までもうすぐである。
当会の全件付添人制度は来年高校の現代社会の教科書に掲載されることになっている。


自主事業の法テラス委託 (10月1日)
10月1日から被疑者弁護人援助制度等9つの事業が法テラスに委託されることになった。
基本的に3月まで福岡で行ってきた方式が継続されることになるので、大きな問題はないと思うが、混乱のないことを期待したい。
被疑者弁護人援助制度、少年付添人援助制度、精神保健当番制度等事件は件数の面でも福岡が全国を引張っていることが明確に見える。例えば、被疑者弁護人援助制度は全国8000件中1000件が福岡、少年付添人制度は全国3600件中800件が福岡である。
今後皆さんの協力のもとこれらの事業が更に発展することを祈っている。


法テラスとの契約
法テラスとの間の国選弁護の契約、民事扶助の契約率が相変わらず低迷している。
特に、福岡部会の国選弁護の契約率が50%を切っており、現状は憂慮すべき状況である。そのため会員一人当たりの国選弁護の受任が早く回ってきて大変だとの声を聞く。契約者が少なければ多く担当しなければならなくなり、負担感が増す。
国選弁護も、民事の扶助事件も弁護士としての義務であるという考えが当会の伝統だった。2009(平成21)年の被疑者国選弁護事件が10倍に拡大するが、これをやりとげるためには契約が増大しなければならない。執行部として後半の最大の課題の一つである。会員の協力なしでは成り立たない制度である。ご協力を是非ともお願いしたい。


日弁連副会長選挙の規定 (9月28日)
次年度の日弁連副会長選挙が9月28日に実施された。立候補者として会員の皆さんに対してお礼と共に、この選挙でお騒がせをしたことに陳謝したい。
私自身は選挙期間中のわずかな時間ではあったが、会員の皆さんと話す機会を得て本当に参考になった。今後の糧とすることをお約束したい。
この最も忙しい時期に?とか、選挙制度についてもう少し工夫というものはなかったかとか、様々な意見を聞いた。実際に選挙をして選挙の規定についての疑問もあるし、実際の運用についても問題が明らかになった。皆さんの意見を聞いて選挙制度、選挙規定の抜本的見直しを含めて検討する必要がある。年度内に何とかメドを立てたい。


秋からの日程
私の秋からの日程は1ヵ月余りで6ヵ所、目まぐるしい出張であるが、反面楽しみでもある。
10月4日乃至6日
札幌(業革シンポ・中規模サミット)
10月23・24日 東京(日弁連理事会)
10月25乃至27日 宮崎(九弁連大会)
11月2・3日 浜松(人権大会)
11月7乃至9日 徳島(四国弁連大会)
11月17日
大阪(大阪、広島弁護士会との三会交流)
ここまで書いたら忘年会の日程が手帳に見えてきた。今年は福岡部会は12月5日に稚加栄に決まった。100名以上収容の料亭は余りない。茶話会幹事がようやく捜した料亭である(灯台もと暗し!)。各部会の忘年会も盛大に行われることを期待したい。なにしろ「顔の見える弁護士会」のための最大の大事な行事である。各部会の幹事さん大変だけどよろしくお願いしたい。


後半もよろしく
ようやく暑い暑い夏が終わり、秋になった。私達執行部の任期も残すところ半年になった。後半も精一杯頑張る所存である。
会員の皆さんの弁護士会への結集をお願いしたい。
残り半年のご協力をよろしくお願いしたい。

2007年10月 9日

福岡県弁護士会会長日記

                        会 長  福 島 康 夫(30期)

自主事業に関する意見書提出(7月5日)

法律扶助協会が解散して、被疑者弁護援助制度、少年付添人援助制度、精神保健当番弁護士制度等法律扶助協会福岡県支部等各地で行ってきた9つの自主事業が10月から法テラスに委託されることになった。将来的には国の制度とするための方策である。これで国選少年付添人制度の実現に向けての第1段階が確保できたし、そのための財政基盤も安定的といえるところまできた。
当会では会員に対する報酬は従来どおり被疑者弁護援助制度の事件で1件7万円、少年付添人事件で1件10万円が支給されることになる。ただし、今後は財政的に安定し報酬減額の危険性はなくなったし、件数制限という事態もなくなった。
死刑、無期、短期2年以上の法定刑が対象であるが、国選付添人制度も11月から始まることになる。対象事件は福岡県内で年間40乃至50件程度と少ないが、今後国選付添人制度の対象事件が拡大する可能性を持っている。11月1日に浜松で開催される人権大会のシンポジウムの第2分科会では国選付添人制度がテーマとして意見交換がされることになっている。多数の参加を期待したい。
ところで、日弁連は3月になり、自主事業の方法について地方の意見を全く聞かないまま、いわば一方的に運用や書式を決めて実施するよう要請してきた。そのためにこれまでの当会の知恵とノウハウが全く生かされず、ギクシャクした4ヵ月であった。使い勝手の悪い運用は変えなければならない。当会はこれまでの当会が工夫をしてきた運用等を今後も継続するため、6月28日に日弁連に意見書を提出した。意見がとおらなければ当会の自主事業が発展できるかどうか疑問となる。その後、7月5日に私と斉藤副会長の2人で日弁連に赴き、日弁連の山田庸男担当副会長他3名の日弁連の自主事業に関する責任者と協議をした。短時間で日弁連執行部を説得しなければならない。私は真剣勝負という気持ちで臨んだ。当会としてはこれまで十数年以上にわたって工夫を重ねて育ててきた各自主事業のやり方を尊重するように要請をし、上から一方的に押しつけられた状態では会員には不満感が強いこと等を訴えた。当会が全国3600件の付添人事件の内の800件を付添人として受任し、全国8000件の内の1000件の被疑者弁護人援助制度事件を受任しているという実績も説明した。当日用意していた日弁連の最初の回答は殆ど全部がノーということであったが、福岡の意図や実情がわかったので再度検討するということであった。結局、協議の時間は1時間40分以上に及んだ。
更に、その後7月11日には補充の要望書を提出し、7月13日の日弁連理事会でも私が意見の趣旨を説明した。そして、8月25日の日弁連理事会で日弁連と法テラスの本部で検討した結果の説明がなされ、最終的には被疑者に負担させることがあるという条項をなくした書式を使用できる等基本的にはこれまでの福岡の方式を継続することができるようになった。
日弁連では事前の周到な準備なしに提案や発言をしても受け入れられないと思う。日弁連の内部で検討されている早い段階から、事前に県弁の意見を書面で提出し、更に口頭で説得するということをすれば、意見が採り入れられる可能性が十分にあることを実感した。今後は何よりも用意周到な準備が必要であると思った次第である。
  
2弁、札幌との3庁交流会(7月7日)

当会は国内、海外あわせて毎年4つの交流会に参加している。
2弁、札幌との3会交流会、大阪、広島との3会交流会、横浜、名古屋との三会交流会釜山地方弁護士会との交流会である。出席者はいずれも執行部、議題を決めて率直な意見交換をすることにしており、これまで開催したどの交流会も活発な意見を交換できた。
2弁、札幌との交流会は7月7日、札幌弁護士会館で開催された。一昨年までは2弁との交流だけであったが、昨年からは札幌を交えての3会交流となった。場所は札幌弁護士会会館。裁判所のすぐ近くに建つ自前の7階建ての立派な会館である(羨ましい!)。
今回の議題は多重債務問題、都市型公設事務所、拠点事務所等についてザックバランな意見交換をした。多重債務問題では当会のTVCMを見てもらった。釜山地方弁護士会との交流でもTVCMを活用したが、今年はありとあらゆる機会にこの多重債務TVCMを活用することにしている。


九弁連合宿(8月3日)

恒例の九弁連合宿を8月3日に当会の会館で実施した。参加者は九弁連の理事と主任約50名。
テーマは法曹人口問題と取り調べの可視化の2つに絞った。
法曹人口問題は今年の宮崎の九弁連大会のシンポジウムが弁護士過疎、偏在問題という関係から選んだテーマであり、講師は当会の永尾広久会員と前田豊会員。そして、宮崎の後藤好成会員から現在までのシンポジウムでの検討状況の報告がなされた。今回の法曹人口問題のテーマは九弁連大会のシンポジウムに反映される予定である。
取り調べの可視化の講師は鹿児島志布志事件の弁護人の野平康博九弁連理事と佐賀北方事件の一審の弁護人の浜田愃九弁連理事。九州の2つの代表的な冤罪事件の弁護人が九弁連の理事であるという点で全く偶然であり幸いであった。両事件とも裁判の審理期間は2年半から3年半に達しており、この大半が取り調べ状況の内容の審理であった。両弁護士は期せずしていずれの事件でも取り調べ状況を録画していたら起訴はされなかったはずであると話されていたのが印象的であり、生の事件を題材にして現実の裁判の問題点が明確になった。裁判員裁判で、市民の裁判員を巻き込んで今後も延々と長期間の審理をするのであろうか。裁判員裁判の実施は残すところ1年8ヵ月に迫っている。


本年度はシンポジウムが花盛り

当会の委員会活動は活発である。そのため5月からは対外的なシンポジウムの開催が目白押しの状態である。今後の予定を加えるとざっと次のとおりとなる。本年度はこれに6月22日に第22回司法シンポジウムが大々的に開催されており、シンポジウム花盛りの年である。シンポジウムの準備段階から関係していただいた会員各位の献身的な活動に感謝したい。


5〜6月 憲法市民連続講座
6月9日 
クレジットシンポジウム「悪質商法とクレジットがもたらす深刻な消費者被害〜消費者が保護される安全なクレジット社会」
7月21日 
人権擁護大会プレシンポジウム「監視カメラとまちづくり」
7月27日 
民暴拡大協議会プレシンポジウム「企業内対象暴力〜21世紀の企業防衛のあり方」
8月25日 
憲法シンポジウム「今なぜ、何が問題か?〜憲法改正問題を考える」
9月1日 
取調べの可視化シンポジウム「密室からの叫び!〜取調べの全過程の録画実現を目指して〜」
9月15日 
人権擁護大会プレシンポジウム「すべての非行少年に弁護士付添人を!非行少年の実態を踏まえて〜国選付添人の全面的な実現を目指して〜」
9〜10月 憲法市民連続講座
11月16日 民暴拡大協議会

これまで全部のシンポジウムに出席したが、いずれもレベルが高く短時間で要点を掴んだ内容であり、勉強になった。これまでは余り関係のなかった分野でシンポジウムに出席することは刺激的であり新鮮である。
会員の皆さんにも時間の許すかぎり出席することをお勧めしたい。必ずや有意義な時間を持つことができること間違いない。
シンポジウムの内容等については弁護士会ニュースや月報、ホームページ、Fニュース等でチェックして頂きたい。

2007年7月31日

福岡県弁護士会会長日記

                         会長 福 島 康 夫(30期)

1 日弁連第22回司法シンポジウム(6月22日)
 今年の最大のイベントである日弁連第22回司法シンポジウムが福岡市のJALシーホークアンドリゾートホテルで開催された。当日の参加者は1243名。これまでのシンポジウムの中で最大規模の参加者になった。参加していただいた当会の会員の皆さんに大いに感謝したい。
 当日の全体会の冒頭の平山正剛日弁連会長の挨拶の後で地元会を代表して私が挨拶に立つことになった。
 ところで,私の挨拶の中に,多重債務者救済対策本部の春山本部長代行の強い勧めで多重債務のテレビCMを会場に流すことにした。「弁護士会は変わる,福岡県弁護士会は先頭きって大きく変わる」ということを視覚的にアピールしようとしたものである。
 テレビCMは挨拶の途中と最後に流したがどうだったであろうか。会場の反応が心配であったが,何とか失敗はせずにすんだようである(なお,このCMは現在,当会のホームページでも動画で見ることができる。ご覧頂いていない方は是非とも参考にご覧頂きたい)。
 今回のシンポジウムは「市民のための弁護士をめざして いま,弁護士,弁護士会に求められるもの」というテーマであり,法の支配を全国津々浦々に及ぼすために,是非とも議論をしておかなければならない問題である。さらに,今年から弁護士の大量増員が始まる中で,私達弁護士自身のアイデンティティーについて議論することは極めて重要である。
 当日のシンポジウムでは,これまで紛争がなく弁護士なんて必要ないと思われていた地域が実は弁護士が着任して以降依頼が急増している報告がなされ,過疎地域のひまわり基金法律事務所の若い弁護士や法テラスのスタッフ弁護士の溌剌とした活躍ぶりが紹介された。偏在,過疎問題といえば,ともすれば空中戦といった感があったが,全国に活躍する若い弁護士の姿は感動的であり,エネルギーを注入された感じがした。
 しかし,他方で弁護士数は増加しているにもかかわらず,それが偏在解消にはつながっていないことも明確になった。成り行き任せでは偏在問題は解消しないことが共通の認識となったと思う。
 弁護士偏在問題は2009年に始まる被疑者国選弁護制度の対応態勢の確立と密接に関係しており,弁護士の大量増員問題とも密接に関係している。その意味で弁護士偏在問題対策はこの2年で目処をたてなければならない緊急課題である。


2 弁護士偏在問題解消のための経済的支援策の試行について
    (7月12,13日)

 7月12,13日の日弁連理事会において,弁護士偏在解消促進のための経済的支援策の試行に関する実施要綱が承認された。弁護士の偏在問題を早急に解消するためにあらゆる形で経済的支援をするというものであり,偏在問題の解消は際限のない弁護士増員要求に対する歯止めになるはずである。もし,本格的に実施するとすれば10億円を超える大事業となるが,これまで眠っていた特別会計を改組すれば会員からの新たな会費負担を求める必要はないという説明であった。今後,この経済的支援策の本格的実施をする場合日弁連臨時総会に付議されることになり詳細についても説明がなされることになると思う。経済的支援策は偏在問題解決のためのメニューの一つである。大きな構想だけに日弁連執行部の意気込みを感じた。
 九弁連管内の偏在問題,当会の中での偏在問題について,大いに意見を交換して早急に対策を立てる必要がある。この1,2年の重要課題である。


3 あらためて2009年問題について思う
 2009年には裁判員制度が実施され,被疑者国選弁護制度が10倍にまで拡大される。裁判員制度も被疑者国選弁護制度もどちらも刑事分野での司法制度改革に関する問題であるが,単に刑事の問題だけではなく,この問題は司法の将来,弁護士会の将来を左右する問題であると思う。裁判員制度が真の意味での市民のための司法になるかどうかはまだまだこれからの問題である。取調べの可視化を含め克服すべき課題は多い。
 また,被疑者国選弁護制度は2009(平成21)年には対象事件は今の10倍以上,年間10万件にも達することになる。しかし,現在のように偏在問題が解消できない限りは被疑者国選弁護制度の対応は不可能である。偏在問題の解消は特に,被疑者国選弁護制度の対応態勢が確立できるかどうかという問題と密接に関係している。この被疑者国選弁護事件をやりとげることができて,初めて弁護士大量増員問題にも堂々と意見がいえることになると思う。
 今,2009年に向けて全力をあげて準備をすることが最大かつ緊急の課題である。残すところ2年足らずである。精一杯行動するしかないが,やりがいもあると考えたい。これから2009年まで,日弁連全体にとってターニングポイントの年である。


4 情報の共有化のために工夫していること
 本年度の会務執行方針の一つとして情報の共有化を掲げた。700名を超える大きな会となった当会としては,特に会員全員の情報の共有化が不可欠である。そこで,従来からの月報の他に,ホームページ(大石副会長担当)週1回発信のFニュース(吉岡副会長,徳永響業務事務局長担当)でなるべく多くの弁護士会の情報を頻繁に発信することにしている。
 また,執行部内部でも情報の共有化を重要視し,このために執行部全員が工夫している。
 執行部会議は毎週月曜日の午後2時から5時30分頃まで何十という議題について意見を交換し結論を出している。常議員会のある日は別途執行部会議を12時から午後3時迄している。毎月輪番制で副会長が司会をすることになっている。執行部会議の議事録は大神,徳永響両事務局長が1,2日のうちに作成している。 担当副会長,事務局長は担当の部門の情報について日常はメーリングリストを活用しどんな些細なことでも報告をし,日常的な細かい問題はメールの交換で解決を図っている(現在までのメールは1620通)。
 対外的な折衝については執行部では複数で対応し慎重を期している。一見非効率ではあるが,複数で対応することによって折衝内容をより正確に分析することができると考えているためである。
 常議員会は2ヵ月に3回の割合で午後3時から6時までの予定で開催している。川副常議員会議長の手際の良い進行のお蔭で,密度の濃い議論をしながらこれまでのところ時間厳守を励行している。
常議員会の内容は月報の他に毎回常議員会の直後にFニュースでメール配信をし,ホームページの会員のページに出しているので,チエックしていただきたい。
 また,常議員会は日弁連の理事会の直後に開催するようにして,最新の日弁連の情報を常議員会に反映できるようにしている。日弁連理事会は2日間にわたる12時間以上のマラソン会議であるが,河辺副会長が常議員会で日弁連の動きについての簡にして要を得た報告をしている。月報に掲載しているので是非とも一読頂きたい。

2007年6月11日

会長日記(4月)

                       会長 福 島 康 夫(30期)

第1回常議員会と花見

第1回常議員会と花見は4月の第1週目の土曜日とすることが慣例となっています。今年は第1週目の土曜日が4月7日です。 桜は3月20日頃が満開ではないかといわれていましたが,まさか前年度の3月末に常議員会と花見をすることもできず, 全く桜のない中での宴を覚悟していました。ところが,3月末から急激に寒くなり,満開の桜が1週間続いてくれ,予想外に絶好の天気の中で花見ができ幸運でした。 飲み干すコップの中に桜の花びらが入り,ゆったりとした雰囲気の中で桜の風情を感じました。

ところで,常議員会は第1回目から最重要案件2件付議しました。1件は多重債務者救済対策本部の設置の件であり,2件目は福岡高裁, 福岡地裁に対して裁判所の記録謄写の公募制導入を撤回するよう意見書を提出する件です。いずれも活発な議論の結果,原案どおり承認していただきました。

多重債務者救済対策本部の設置の件

昨年度の最後の常議員会で,県弁として相談センターにおける多重債務者の相談を無料化すること, 4月1日から福岡地区と飯塚地区で無料化を実施することが議決されました 本年度の執行部で検討しましたが, この問題は県弁全体で会をあげて取り組まなければならない問題だと考え,対策本部方式で解決にあたることにしました。 なお,無料化に伴う相談センター関連の財政については執行部として責任をもって逐一チエックすることにしています。

挨拶回りで消費生活センターの他多くの地方自治体の市長や商工会議所の会頭と懇談をし,その中で弁護士会がこの多重債務問題について解決にあたることを 話しますと喜んでいただき,広報等の協力を約束していただきました。今,多重債務問題は行政等もこれまでにない最大限の対策を立てようとしています。 今後,関係機関との懇談をして相互に連携する必要性を痛感した次第です。

多重債務者相談を無料化にするということは受任後の法的処理までも無料にするものでないことはいうまでもありませんが, 単に相談料が無料というだけで後の法的処理がいい加減では弁護士会への信頼が一挙に喪失してしまいます。法律の専門家である弁護士が責任をもって 法的処理をしなければ解決は不可能です。法テラスの法律扶助等も最大限駆使して解決にあたる必要があります。更なる研修も不可欠です。

第1回目の対策本部は4月13日に開催し,春山九州男会員を本部長代行に選任致しました。早速,合宿の日程が入り,今後は急ピッチで対策本部の活動が始まります。

今後多重債務問題は対策本部を中心として,消費者委員会,法律相談センター運営委員会,倒産業務等支援センター委員会, 弁護士業務委員会等関連委員会が連携して活動することになります。多重債務者救済問題について会員の皆様の結集をお願い致します。


記録謄写公募制問題

2つ目は福岡高裁,福岡地裁に対して裁判所の記録謄写の公募制導入を撤回するよう意見書を提出する件です。 福岡高裁は10月から福岡地家裁管内の謄写について公募性を導入する予定とのことであり,スーパー等で見かけるコインベンダー式にするということです。 しかし,もし,公募制が導入されることになると本庁,支部を問わず,弁護士若しくは事務員さんが自らコピーに行かなければなりませんが, 全く無駄な手間と労力を強いられることになります。訴訟記録の謄写は訴訟当事者の権利です。公募制の導入は迅速かつ確実な謄写を阻害するものです。 また,記録の秘密保持,改ざんの防止の問題や地域の実情を無視しているという点でも到底認めるわけにはいきません。 弁護士会として会をあげて取り組む必要があり,弁護士協同組合の立場とは別の立場から,公募性導入の撤回を求める意見書を提出することに致しました。

今後,予断を許さない状況ですので,逐次報告をしていくことにしています。

挨拶まわり

会長に就任して最初の仕事が恒例の挨拶回りです。挨拶回りでは限られた時間ではありますが,年度の初めに懇談する機会が与えられますので, その年の弁護士会の活動目標等理解していただくための絶好の機会です。

本年度は県知事選挙等の関係で挨拶まわりを2回に分けて行うことにしました。第1弾を3月26日から4月13日まで3週間をかけて行い,既に156ヵ所を訪問しました。 訪問先は裁判所,検察庁等の法曹関係,県警本部,福岡市,北九州市,久留米市,飯塚市等の地方自治体,マスコミ関係,各地の商工会議所, 各地の消費生活センター,企業,労働団体等です。県内全地域を訪問しました。訪問先は昨年よりも増え,第2弾の挨拶回りもあわせれば170ヵ所以上になると思われます。

本年度は特に[1]多重債務者の相談料の無料化の説明とこれに関連した多重債務問題についての懇談 [2]弁護士の大量増員を見据えた6月22日の司法シンポジウム 「市民のための弁護士をめざして― いま弁護士・弁護士会に求められるもの―」の案内 [3]裁判員制度,取調べの可視化についての懇談を中心に懇談をしていきました。

多重債務者問題は自治体,商工会議所,消費者生活センター等で特に懇談をしました。特に法科大学院等で司法シンポについて懇談をし, 今回のシンポが法曹の大量増員問題を見据えた問題提起であり,非常に重要なシンポであることを力説しました。マスコミ関係には裁判員制度, 特に取調べの可視化等について懇談をしました。訪問先で懇談した時間は短時間でしたが,いずれも次につながる有意義な懇談になったのではないかと思います。

挨拶回りは執行部の最初の仕事です。約160ヵ所の訪問先,しかも多忙な各界のトップと懇談する予約をとることは至難の業です。 当日の時間調整を含めマネージメントを担当した大神総務事務局長,徳永響業務事務局長本当にお疲れさまでした。ただし,まだ,まだ挨拶回りは続きます。

お わ り に

今年も前年度に引き続き会長日記を継続致します。その時々の弁護士会のタイムリーな話題を書き綴っていくことにしますので,一読頂ければ幸いです。1年間よろしくお願い致します。

会長就任のご挨拶

                          会長 福 島 康 夫(30期)

1.  2007(平成19)年度の会長として当会の運営をになうことになりました。よろしくお願い致します。

3月26日から新執行部の挨拶回りをしています。その中で,私自身あらためて裁判員制度を成功させるためには取調べの可視化を実現しなければならないという実感を持ちました。

今のままの刑事裁判だと,裁判員の前で延々と取り調べ状況について警察官,検察官,被告人を尋問することになります。安価でビデオ装置を導入できるのに,無意味ともいえる審理を続けて長期間裁判員を拘束することは裁判員となって参加される市民の皆さんに対して失礼ではないかとさえ思うようになりました。検察庁はようやく自己の判断で都合のいい部分だけを録画することを試験的に実施し始めました。しかし,都合の良い部分だけの録画では冤罪はなくなりません。鹿児島の志布志事件や北方事件が良い例です。裁判員制度が実施される前に取調べの可視化を実現させましょう。


2.  また昨年10月に法テラスが業務を開始し,半年が経過しました。一方では弁護の自主独立を保ちながら,他方で緊密な連携関係をどのように構築していくのか,具体的運用面も含めて早急に明確にする必要があります。法テラスが業務をしていても中心となって活動するのは私達弁護士であり,誰が助けてくれるわけでもありません。

全国に先駆けて当番弁護士制度を創設した当会としては被疑者国選弁護制度を何としてでも成功させなければなりません。皆さんの更なるご協力をお願い致します。


3.  今年から法曹の大量増員問題が始まります。今年は修習修了者が2500人にも達します。このような中で最もタイムリーなシンポが福岡で開催されることになっています。
 来る6月22日(金)に「市民のための弁護士をめざしてーいま弁護士・弁護士会に求められるものー」というテーマでシーホークホテルで開催されます。
 過去,日弁連のシンポには大きな歴史的な転換点となったシンポがありました。前回の1992(平成4)年の福岡での司法シンポは司法改革の大きな転換点となる歴史的なシンポになりました。今回の福岡での司法シンポも歴史的な転換点になるものと確信しています。今回のシンポが法曹の大量増員問題を見据えた問題提起です。
 今回のシンポは弁護士の大量増員問題の基本的な認識を共通にするという意義を有しています。皆さんの司法シンポへの積極的な参加をお願い致します。


4.  ところで,2006(平成18年)度,当会では多重債務者の救済は人権救済だという観点から法律相談センターにおける多重債務者の法律相談を無料化することを決定しました。そして,4月1日から福岡,飯塚で先行して無料化を実施することになりました(北九州,筑後は準備が出来次第追って実施するということになっています)。
 多重 債務が原因での自殺者が年間8000人と言われており,今後ますます社会問 題化する様相を呈しています。私は2007年(平成19年)度は会をあげてこの多重債務者問題の解決にあたらなければならないと思います。なお,法律相談センターの財務状況については執行部として十分に注視していくことにしており,今後,逐次ご報告をしたいと思っています。


5 今年は選挙が目白押しの状況です。政治情勢がどうなっていくのか私達弁護士会の活動にも大きく影響があるかもしれません。この他にもたくさんの問題がありますが,会員の皆さんとの間でなるべく多くの情報の共有化を図ることが最も重要だと思っています。
全力を尽くしますので,よろしくお願い致します。

2006年9月12日

福岡県弁会長日記〜6月中旬から7月中旬の会務活動

会 長  羽田野 節 夫

1.6月中旬より、第60期司法修習生を迎えて!
 去る6月23日、第60期司法修習生(103人の修習生合同開始式が開催された。
 従来60人位だった修習生がついに100人の大台を超えた。
 福岡地裁簑田所長、福岡地検絹川検事正についで、福岡県弁会長として概略次のような話をした。

(1) 諸君のこれからの1年数ヶ月は、まさに実務修習という習いごとをする時期である。
 習いごとと言えば、世阿弥が開いた「能」という芸能の世界で「守」「破」「離」という言葉がある。
・守は、型を守ること
・破は、型を破ること
・離は、型から離れて、独自の境地を作ること
 今、諸君は、「守、破、離」の守の時を過していることとなる。
 守の型を守るということは、我々法律の世界で言えば、基本となる原理原則をしっかりマスターすることである。そのためには、最初が肝心。人との接し方、礼儀作法が大切です。我々法曹、とりわけ弁護士は、人との信頼関係を構築して、初めて、有利不利を問わず全ての事実を明らかにしてもらえることとなる。初対面の方に、無礼、無作法に及んだり、尊大に振舞えば、依頼者との信頼関係が築けない。どうか礼儀を弁えることを肝に銘じて欲しい。

(2) 何事にも好奇心を持つことが大切。
 昔、私共が学生時代に、「ベトナムに平和を市民連合」の代表者だった作家の小田実氏は、若い頃、「何でも見てやろう」という気持でいろんなことに好奇心をかきたて、それが肥やしになったとのことでした。

(3) 最後に、諸君は「何故法曹になりたいのか」という動機付け(モチベーション)を今一度考えなおして欲しい。そのモチベーションを高めて、高い志を持続させることが、諸君を大成させることとなる。
その後、7月7日、当会主催の修習開始式を経て、修習生歓迎会を開催したところ、総勢200人を超える会員らが集まり、盛況だったが、個々の修習生の顔が見えなくなる嫌いがある。


2.裁判員模擬裁判を傍聴!

(1) 7月1日(土)、福岡のロースクール生を対象とした裁判員模擬裁判が福岡高裁裁判官を中心として開かれた。なるべく多数の裁判員に関与させる趣旨で、裁判の合議体を三班作り、各々裁判長を高裁の刑事部総括が勤めた。事案は、これまでも何度か題材となった、スナック入口前の殺人未遂事件。橋山弁護人の活躍も空しく、三班とも有罪となった。終了後の座談会の席上、ロースクール生に対し「裁判員になれと言われたらなりたいですか?」との質問に15人中13人が「なりたくない」と答えたため、龍岡高裁長官はショックを受けたと感想を述べておられた。

(2) 7月4日(火)〜6日(木)と三庁合同の裁判員模擬裁判が新しい事件(共犯者による強盗傷害事件)によって実施された。弁護人役は3人。安武雄一郎会員と中原昌孝会員(新人)と裁判官による3人の弁護体制だった。
 事案は、刑訴法321条1項2号書面の所謂、特信性が問題となる事案で、裁判員には少し難しかったと思われる。安武主任弁護人の無罪主張は、前掲書面が採用された時点で終えた。
 終了後の座談会では、裁判員の服装が問題となり、裁判終了後、裁判員の顔が特定されないためにも裁判員用の何らかの法衣があった方が良いのではとの意見が出されていたのが印象的である。


3.健康がなにより!
 会務活動は、膨大な資料に眼を通す必要があり、勢い、読み残しを資料としてカバンに詰め込み、事務所と会館を往来する。資料が多くなるにつれカバンも大きくふくらみ重くなる。重いカバンを持って私の事務所から会館まで往復するのが苦痛となり、ついつい車で通勤することとなり、運動不足となる。夕方は、何かと、やれ歓迎会だ、懇親会だと宴会が重なり、ついつい度が過ぎて健康を害する悪循環を積み重ねる。
 この原稿を書いている頃(7月10日夕方頃)、訃報を受け、衝撃が走った。日弁連事務次長の矢澤昌司弁護士(41期)が享年49歳の若さで、くも膜下出血で逝去された。あまりにも痛ましく悲しい知らせである。同氏は、木上勝征先生の下で勤務され、修習時代を含め5年間福岡にいたので、存知あげていただけに悲しみは大きい。今年5月26日岡山で開催された日弁連定期大会での活躍振りが眼に焼き付いている。また、6月上旬頃に御逝去された吉田保徳先生(享年66歳)も一人娘を残して旅立たれてさぞかし無念だったでしょう。
 いずれにしても、健康のありがたさを思い知らされる。不健康のスパイラル生活を送っている私自身、矢澤先生や吉田先生の死を無駄にしてはならないと自覚する。 合掌

2006年8月 4日

福岡県弁会長日記

会 長  羽田野 節 夫

5月24日(水) =定期総会で執行部原案承認=
 会長職を拝命以来、2ヶ月を経過し、7月号の月報が発刊される頃には3ヶ月を経過することとなります。
 執行部にとって5月に開催される定期総会は、執行部発足後最大の難関です。
 去る5月24日(水)ホテルオークラ福岡で開催されました。本人出席は75名でしたが、例年の参加人数(約50名位)より多くの会員に御出席戴きありがとう存じます。
 席上、執行部の最前列に座し、眼光鋭く資料を見詰める高木茂会員による手厳しい発言は、執行部を緊張させ且つ、会場の雰囲気を張り詰めたものにさせるに充分なものでした。高木会員の真剣な発言が、定期総会を格調高いものにして戴いたと執行部一同有難く思っています。会場も従来と異なり、地下鉄沿線のホテルとした工夫により、交通アクセスが容易で会員も出席し易かったのではないかと思っています。総会では、執行部原案が無事、満場一致で承認されました。

=川邊康晴様の記念講演
  「業務に役立つ元気の出る話」=

今回の試みとして、会員にとって「業務に役立つ元気の出る話」をしてもらおうと、定期総会後、役員就任披露パーティーまでの約1時間を、アライアンス・パワー(企業・業務提携)を提唱する川邊康晴様による役員就任記念講演を実施しました。この内容の詳細は別稿に譲るとして、川邊講師の講演により、勇気を得た会員も多かったと思います。
 会場には85名の会員が参加し、増永副会長をコーディネーターとして、進行されました。

=役員就任披露パーティー=
 福岡高等裁判所長官龍岡資晃様や、福岡高等検察庁佐藤賢一様、福岡市長山崎広太郎様外福岡県弁護士会と関係の深い、各界各層の方々約160名、県弁会員124名の参加の下、盛大に恒例の役員就任披露パーティーを開催することができました。
 主任・幹事の諸君や古賀業務事務局長の発案によるパワーポイントを使用しての会長のあいさつは、大概好評でした。
 当日、ごあいさつした話の概要を月報に掲載しますので、参加されなかった会員には、私が内外に示したメッセージを御高覧下さい。

=5月26日(金) 岡山にて日弁連定期総会開催=
 定期総会において、予算決算案が承認され、1つの宣言と3つの日弁連会長声明が可決承認されました。
 弁護士による依頼者密告制度法案(ゲートキーパー問題)に対し、私は、日弁の会長声明は、警察庁に対する密告制度に反対しているが、申告の対象が金融庁に変わった場合はどう対応するのか、福岡県弁は、「警察庁は元より、いかなる国家機関に対しても密告することを反対する」との対応をしているが、日弁もそうすべきではないかと問い詰めました。
 しかし、担当の松坂副会長は、「そんなことは全く想定していないし、想定できない」と紋切型の答弁であって失望感は否めません。
 福岡県弁や、日弁連の定期総会が終了し、新執行部は定期総会で示した課題と私自身が示した所信表明の実現のために、そして、会員の皆様に去来する将来の不安を除去するために、いよいよ、本格的な活動を具体的に開始しています。

=6月3日、4日 執行部合宿=
 6月3〜4日、執行部合宿を実施し、執行部一同は自らの足下を見直しています。
 先ずは、司法支援センターにおける、刑事対応、民事対応、態勢の問題点を検討し、07年問題といわれる「会員の大幅増員問題」について、真剣に議論し、近々、その具体的な対策を提案する所存です。

2006年7月18日

福岡県弁会長日記

会 長  羽 田 野 節 夫

 会長就任後4月16日から5月15日までの活動と思索について報告します。

1 部会集会について
 福岡県弁護士会は、4つの部会に分かれ、各々の部会に自治制度があることは、全国的に珍しい制度です。先にFニュースでも紹介されたことです。明治時代、幕藩体制の名残がある中で出発した代言人組合が、昭和8年、旧弁護士法の制定と共に歴史的事情を考慮して4つの部会(福岡、小倉、久留米、飯塚)に引き継がれています。
4月中旬以降は、その部会集会のラッシュです。
(1)4月20日(木)作間部会長の招集に基づき福岡部会集会が開催され、参加者は僅か19人でした。昨年も同様でした。
  部会集会の参加者が少ないこともあって、特に集会でもめることもなく平成17年度決算及び平成18年度予算が承認されました。参加者が少ないことに作間部会長は意気消沈。
(2)4月21日(金)飯塚部会集会。会員10名。私は、県弁の重要委員会(刑事弁護センター運営委員会)への出席のため部会集会には参加できず、その後の懇親会に小宮、作間両副会長と多川、古賀両事務局長と共に参加しました。中村博則部会長を中心に若い会員が力を発揮しています。
(3)4月27日(木)筑後部会集会。会員は木下隆一部会長以下48名。3月末に寺澤真由美会員が弁護士任官のため、名古屋地裁へ赴任し会員1名減。しかし、部会集会には、25名が参加し質疑応答もあって盛況でした。
  集会後の懇親会には、事務職員全員と県弁執行部4名(私、作間、増永、多川)が参加し盛会でした。
(4)4月28日(金)北九州部会集会。午後1時から始まった執行部会議で、5月の常議員会と県弁の総会通知の内容確定に時間がかかり、北九州部会集会に少し遅れて参加しました。集会には、福田玄祥元会長や80を超えてなおお元気な岩成重義先生のお顔を久し振りに拝見しました。集会の参加者は50名と盛況で本庁昇格運動にも気合が入っていました。懇親会には、県弁執行部から4名(私、増永、作間、古賀(克))が参加し、事務職員も含め60名を越える人数となり壮感でした。懇親会の席上、県弁の委員会に北九州部会員の参加が少ないことについて、配川前部会長と話をした際、北九州部会員は、部会で独自に開催する県弁の委員会と別途県弁の委員会に参加することが二重の負担となる旨の話がありました。そうであれば、北九州部会独自の委員会の議事内容を県弁の委員会に議事録として提出し、県弁としての一体感と知識の共有化をはかって欲しいと願います。

2 福岡部会集会対策
 それにしても、福岡部会を除く他の3部会は、いずれも、会員数に比して4〜5割の会員を集めているが、福岡部会はどうしてこんなに参加者が少ないのか。作間部会長と協議したところこんな実態が判りました。
 4月20日福岡部会集会当日、県弁会館には部会集会の時間帯に他の委員会が同時開催されており、会館内には、約60人近くの会員が参集していました。委員会の日程は、前年度の委員会が4月の予定まで決めるが、部会集会は4月に入って決めることからダブルブッキング状態が起こっていたのです。そこで、今後は、来年の福岡部会集会は予め日程を固定しておき、その日の部会集会の時間帯の会館の使用は禁止する方策を来年のために執りました。これで、福岡部会の来年の集会には、人が多数参加できる状態にあります。来年、部会長に立候補を予定している方は平成19年4月20日を福岡部会集会の日と定めましたのでそのつもりでいてください。

3 常議員会の公開について
 去る4月19日の常議員会において、常議員会は、県弁会員に対し原則公開とすることを可決承認しました。常議員会の議題については、既に、県弁会員に対し、Fニュース等のメールで事前配信されていましたが、議事内容について常議員会で意見の応酬を聞くためには、常議員会の議長に傍聴許可の事前承認手続きが必要でした。しかし、この手続きは煩わしく、これを県弁会員に限って包括承認し、原則として傍聴名簿に署名すれば会議を傍聴でき、資料も閲覧することが可能としました。勿論、会議自体を非公開とすべき議題については傍聴は許されません。早速、5月10日(水)に開かれた常議員においては、5名の会員が傍聴されました。少しでも福岡県弁活動の活性化につながれば幸いです。

4 どんたく参加について
 去る5月3日午後4時頃、明治通りを「裁判員制度を支える司法ネットワーク福岡どんたく隊」がどんたくパレードに参加しました。参加者は、県弁の執行部を中心とした弁護士有志(15名)及び検察庁有志(絹川検事正を筆頭に約50名)、弁護士が家族や友人等で集めた約30人、そして市民団体が集めた約40人、そして西南学園高等学校のブラスバンド部員60人の総勢約200名。五月晴れの福博の町を川端から福岡市役所まで約1.5kmを約40分近くかけて練り歩きました。3年後に始まる裁判員制度に対し、市民が関心を寄せてもらうための広報宣伝活動と同制度の司法ネットワークを構築しようとの試みでした。パレードの影響かどうかは定かでありませんが、どんたく報道の後は、新聞各紙で「裁判員制度」の特集が組まれたようです。沿道の市民の注目を浴びてのパレードもいいものですよ!

5 4本の会長声明
 執行部発足後、既に4本の会長声明を発しました。一つ目は、4月10日代用監獄を恒常化させる刑事未決拘禁法案反対に関する会長声明。
 二つ目は、5月8日、共謀罪新設反対の会長声明。
 三つ目、四つ目は、5月11日、「教育基本法の廃案と慎重審議を求める会長声明」及び「少年法改正反対の会長声明」。
 いずれも、私と担当副会長が司法記者クラブに赴き、担当副会長が会長声明を読み上げるや会長のコメントを求められることが多く、その内容をよく理解する必要があり、少しも気が抜けません。会長声明後に個別にインタビューを受け、顔写真付きで全国版に掲載されるなどしたため、いよいよ身を引き締めなくてはと思っています。

6 司法支援センターその他
 司法支援センターが4月に発足したものの、まだまだ不透明な部分があります。しかし、10月に発足する被疑者国選制を充分に対応するために当番弁護士名簿と被疑者国選弁護名簿を連携させるべきではないかと考えています。
 会員各位には、是非従前通り当番弁護士名簿と国選弁護人名簿に御登載願えますように御協力の程を願います。

福岡県弁会長日記

会長 羽 田 野 節 夫

県内各地の相談センターの巡回と同センターの活性化策!
 2月10日17:00県弁会長選挙当選証書を受領すると同時に肩の荷がずしりと重くなった感じがする。
 緊張と重責感の連続に耐えながら健康に留意しつつ、この1年間を乗り切っていこうと心に誓う。
 会長の任期は、4月1日から始まるが、事務引継ぎ等による準備期間からその仕事は始まる。2月中旬頃、ゴールが見えた前年度執行部各位は、すれ違い様の声かけに際し、心、晴れ晴れ、気持すっきり感が漂う。
 当選証書を受け取るや、手始めに県内の主要な法律相談センターの実状調査を始めた。手始めに、宗像センター、博多駅前センター、いとしまセンターを訪問し、その後、飯塚部会管内の3地区(田川、直方、飯塚)の法律相談センターを巡り、北九州部会、筑後部会の順序で廻った。北九州と筑後各部会へは、作間功福岡部会長兼副会長予定者(当時)と共に巡った。
 各地の法律相談センターを巡って判ったことは地方の施設の大半が稼働率が悪く、且つ、相談件数が軒なみ下がっていることである。この要因は、何か真剣に考える必要がある。私は、法律相談センターの拡充こそが来たる2007年問題(法曹大増員)の対策の解決の鍵だと認識しているからである。相談件数の落ち込み乃至は伸び悩みの原因は、他士業、 例えば司法書士会や行政書士による無料法律相談の実施(行政書士は非弁活動の疑いあり)等により有料相談を原則とする当会の法律相談センターが影響を受けていると思われる。
 又、各センターの実施日を調査すると週に3〜4日とあって、施設を利用していない所謂遊休施設も見られる。今後、これらの法律相談センターの有効利用を考え、併せて、広報宣伝をしていく必要がある。特に、遊休時のセンター施設の有効利用促進策を会員の皆様で考えて欲しい。私は、この施設で毎週1回、消費者問題、高齢者・障害者問題、住宅紛争問題等につきミニコンサート風に有料(低額)のミニ法律セミナーを実施し、その後に無料相談会を実施しては如何かと考え、各委員会に検討をお願いしている。

事務引継ぎ会議
 2月25日(土)新旧執行部の事務引継会議を実施。
 分厚い会務引継書を新執行部は重い気持ちで受け取り、旧執行部は、重責感から解放される思いが心を晴ればれとさせるのであろう。心うきうきである。それにしても、多岐に渡る会務活動をよくもまあ系統立てて整理しているものよと感嘆しきりである。
 近年の会務活動の広がりと中身の濃さはすさまじく、平成10年に福岡部会長兼副会長を勤めた経験がある私も戸惑うばかりである。とりわけ、平成10年当時は、部会長及び担当副会長としての仕事をこなしておけばよかったが、会長ともなると県弁全体と会務全般に気を配らねばならず、昨今の日弁連の活動の充実振りと併せ考えるとため息の連続である。引継ぎ会議の後、旧執行部の手厚いもてなしの懇親会の御接待を受け、良き伝統を有難く感じた。

大連律師協会訪問
 2月26日〜2月28日、久し振りに厳冬(夜間温度−15℃、昼間−1〜2℃)の中国の大連市律師協会を訪問した。平成12年10月頃に当会を訪問し柳川の川下りを当会の吉村安先生と共に御案内した当時の律師協会の副会長であった王法瑞氏が、大連律師協会の会長となられていて、お会いして一目で判り、懐かしい思いがした。会長王氏の御挨拶の端々に、当時の訪問の様子が語られ国際交流の小さな成果がみられた。今後は、大連律師協会との交流をどのように充実させていくか、さらには、台湾の高尾市も当会との交流を希望しているようであり、如何に両立させるかが課題である。

愛知、横浜、当会との三会交流会
 3月11日(土)〜3月12日(日)にかけて、名古屋市において、愛知県弁護士会主管の下で、三会交流会が開催された。この会には、新旧執行部が揃って参加し、旧執行部にとっては反省会となり、新執行部としては今後の課題と展望が見聞された。
 特に印象に残ったのは、?会務活動の義務化?問題である。今後、大量に増員される見込みの会員の会務離れを如何に食い止めるか、その方策を両会共に検討中とのことである。会員が大量に増えると会員の顔も判別しがたくなり、会への帰属意識も低下し、会務離れも激しくなることが予想される。東京三会は、既に重要な会務について義務化をはかっているそうである。当会も、今後、いずれは考えなければならないであろう。

あいさつ廻り
 3月27日〜4月4日まで実質10日間、福岡県や福岡市、北九州市、久留米市、大牟田市、その他の重要市町村、約160ヶ所にあいさつ廻りを実施した。
 又、マスコミ各社も訪問した。当会の種々の活動に対して、深く理解されていること、又種々感謝されていることが体感できた。話題の中心は3年後に実施される裁判員制度である。
 しかし、その中味は余り理解されていないので、広報宣伝の必要性とこの制度が有する問題点を市民に理解してもらう必要性を感じた。

第1回常議員会と福岡県弁の花見の宴
 4月8日(土)午前10時より、羽田野執行部の第1回目の試練である第1回常議員会が開始。午後に予定される福岡県弁の花見の宴のために会議を早々に切り上げたがっていた執行部ではあったが、歴戦の兵ばかりの常議員も、そうはさせじと質問と意見が多発し、とりわけ、代用監獄法案に反対する会長声明については、文章の一部を撤回修正を余儀なくさせられるなど、前途多難なうちにも、好調なすべり出しである。
 午後1時からの花見の宴は、桜は満開、天気は良し、弁当はうまい。総勢80人を超える会員に集まって戴き、平成18年度執行部としては幸運に恵まれ、上々の滑り出しである。

日弁連第1回理事会
 4月14日(金)、同15日(土)の二日間、本田副会長と私の2人が上京し、日弁連会館にて、日弁連理事会が開催された。朝10時から夕方5時まで11時間、身柄を拘束された思いで大量に排出される莫大な資料を読まされ、質疑応答と意見を求められる。    私は、専ら
(1) 日本司法支援センターの取り扱う民事扶助事件について、司法書士会とどのように住み分けするのかを問うた。
  そもそも、司法書士が有する訴訟代理権は、訴訟物140万円以下の簡易裁判所の代理権という限定的資格しかない。ましてや、家庭裁判所の代理権限がないにもかかわらず、司法書士が離婚、相続等の家事事件はもとより、高額の事件についても相談に乗っている。そして、無料相談と称して何でも相談をしている実態があり、果たしてこれでよいのか。事件を配転するについてその基準を早期に明確にすべきであると注文をつけた。
(2)スタッフ弁護士の地位と弁護士増員(2007年)問題
  司法支援センターは、全国に弁護士を派遣できるようにスタッフ弁護士を雇用しようと考えている。そのスタッフ弁護士に対しては、所属会への入会金及び会費すら免除させようと考えている。又、スタッフ弁護士に対し所属会の会務活動をさせるのかさせないのかあいまいである。これでは、所属部会に帰属意識がなく、3年毎に転勤していくジプシー弁護士を養成することとなり、異質な弁護士集団を作りかねないとの懸念があると意見を述べた。私は、スタッフ弁護士は、弁護士が大量に増員されるまでのつなぎ役でしかありえないと考える。そうでないと、会員少数の地方単位会では、スタッフ弁護士が存在するから、国選も、民事扶助事件もスタッフ弁護士に委ねてしまい、一般会員は、国選事件離れが進みかねないし、スタッフ弁護士がいるばかりに、地方単位会が大量増員される新人の受け皿となりえない結果となりかねない。
  今後は、スタッフ弁護士が地方に根付くように、地方単位会の会務活動を担わせるような配慮をすべきである。

おわりに。
 理事会終了後、最高裁長官町田顕氏を迎えて日弁連会長副会長等役員就任披露パーティーがユーモアあふれる平山正剛会長のあいさつではじまり、なごやかに催された。
 執行部を預かり2週間たらずで随分と鍛えられている。思わず出すため息を会員にさとられず、平然たる思いで会務に勤しみたい。会員の皆様が会務の一つでもよいから担当して御協力くださることを切望します。

2006年5月30日

福岡県弁護士会役員就任披露宴ごあいさつ

2006年(平成18年)5月24日

福岡県弁護士会 会長 羽田野節夫

1.(序) 只今御紹介に預かりました、福岡県弁護士会会長の羽田野節夫です。
  本日は、皆様には、公私共に御多用の中を、福岡高等裁判所長官龍岡資(すけ)晃(あき)様や福岡高等検察庁検事長佐(さ)渡(ど)賢(けん)一(いち)様、福岡市長山崎広太郎様を初めとして、福岡県弁護士会と関係の深い、各界各層の方々に御出席を賜わり、誠にありがとう存じます。
 本日は、当会の過去の活動を検証し、更に今後の活動を皆様に御紹介し、御理解を願って、皆様から忌憚のない御意見や、御忠告を戴く場として、本日のような宴を催す次第です。皆様におかれましては、当会の役員に対しては元より当会の若い会員に対して苦言、提言又は暖かい励ましのお言葉をかけて下されば幸いでございます。

2.福岡県弁護士会の構成員と
 弁護士会の組織について若干御紹介します。弁護士会は、強制加入団体であって、どのような政治信条を有するかにかかわらず、どこかの単位会に所属すべきこととされています。
  福岡県弁護士会は、伝統的に4つの部会制をとっており、4つの部会は、純粋に独立対等の関係でございます。
  各々の部会と構成員数は、前方の画面に表示されたとおりです。
 また、九州ブロックには8県・8単位会が存在し、九州弁護士会連合会を組織し、九州内の共通の問題を協議しています。
  日本全国には52単位会があり、個々の弁護士と全国の単位会とを構成員とする日本弁護士連合会(所謂、日弁連)という組織を作っています。
(1) 弁護士の自治
 各弁護士会は、自治権があり、所属する個々の弁護士を監督し、更に日弁連が監督する関係にあります。しかし個々の弁護士の日常業務を弁護士会が監督する立場にはありません。個々の弁護士の不祥事に対し、弁護士会が懲戒権を発動し、当該弁護士を懲戒処分することによって、自浄作用を発揮します。
  この弁護士自治制度は、司法権の独立のための制度的保障であり、市民にとっても重要かつ重大な制度です。もし、弁護士や弁護士会が特定の国家機関の統制下にあるとするならば、市民の為に弁護活動をする弁護士に対して個別の圧力が容易に加わり、司法作用がいびつとなり、司法の独立が保てません。
(2) 弁護士の警察に対する依頼者密告制度法案反対特別決議
   本日の定期総会におきまして、皆様のお手元に配布しました「弁護士による警察等に対する依頼者密告制度」(ゲートキーパー問題)法案反対特別決議」がなされました。この制度は、依頼者との話の中で疑わしい取引があれば密告しなさいというものです。これは、弁護士と依頼者との信頼関係を根底からくつがえさせる、とんでもない法案です。いかにテロ予防対策とはいえ、テロの被害国アメリカやその隣国カナダも真っ向からこの法案に反対しています。当会が、政府が作ろうとしている法案に対して堂々として反対意見を申し上げることができるのも、弁護士自治制度があるからです。
 本日御列席の皆様も、弁護士の自治を守ることがゆくゆくは市民の基本的人権を守り、社会正義の実現につながること、そして弁護士自治制度は、市民の権利を守るために必要不可欠な制度であることを御理解下さいますようにお願いします。

3.福岡県弁護士会の特徴
(1) 当会は、熱心な会員による委員会活動を中心として、弁護士会の会務活動が実践されています。
(2) 各種当番弁護士制度の発足と関係機関の連携
  当会は、全国に先駆けて、平成2年当番弁護士制度を創設し、逮捕直後から、弁護士が被疑者のところに駆けつけ、被疑者の権利擁護に努めてきました。その後、全国に広がった当番弁護士制度は、16年の歳月を経て、ようやく今年の10月より、重大事件という限定的ながら、被疑者弁護人国選制度を実らせました。
(3) 当会は、その後も各種委員会が活発な活動をつづけ、常に日弁連をリードしてきました。全国に先駆けて、?刑事の当番弁護士制度のみならず、?精神保健付添当番弁護士制度、?福祉の当番弁護士制度、?少年事件全件当番付添人制度の各々の導入を実現しました。又、当会は、国際委員会による国際交流も盛んです。すでに15年前より始まった韓国釜山地方弁護士会との交流、そして中国大連市の法律家との国際交流も継続されています。私は、このような活発な委員会活動を展開してきた当会の先達の精神に学び、そして、福祉の当番弁護士などの活動を通じて培われた、行政、医療、福祉施設等々の関係機関との連携を大切にして、更に新たな視点で、市民のための司法改革を実践したいと考えています。

4.司法改革と当会の実践目標について述べます。
 平成2年の日弁連・司法改革宣言に始まった市民のための司法改革は、いよいよ実践段階に差し掛かっています。ここで、司法改革の主要課題と当会の実践目標について御紹介します。
(1) 法科大学院と法化社会
(2) 日本司法支援センターの発足
  今年4月から、独立行政法人「日本司法支援センター」が発足しました。10月からは、その業務が開始され、短期1年以上に該当する重大事件のみ、逮捕後勾留されたときから、被疑者に対し国選弁護人を選任します。この弁護人の選任作業を司法支援センターが担当し、弁護活動そのものは、各単位会の弁護士が担当します。
(3) 裁判員制度と法教育
  司法改革の主要課題の一つである裁判員制度は、今から3年後の平成21年5月までに実施されます。憲法が国民主権を謳いながらも、市民が司法の分野に直接関わることはありませんでした。そこで、市民が裁判に直接参加することによって市民の感覚を裁判に反映させようとして実施されるのが裁判員制度です。
  今から3年後に実施が予定されていながら果たしてどれだけの市民がその仕組みを知っているのでしょうか?
  今後、当会は、種々の機会を利用して、法曹三者一体となって、市民に対し、広報活動を展開する所存です。
  去る5月3日のどんたくに際しては、検察庁、弁護士有志や市民やく200人が、裁判員制度の広報宣伝のために、パレードに参加しました。
  又、学校教育現場において、法律の背景にある基本的な価値観(正義や公平)や社会のルールを認識理解させ、そのような価値観に基づき問題を解決する能力を育成する「法教育」が必要です。当会は、中学・高校の社会の授業において、「法教育」を学んで貰うため、講師派遣出前授業を展開しています。これによって、中高生が将来の裁判員制度の担い手として成長して下されば幸いです。
(4) 高齢者・障害者支援センター(あいゆう)の法人化と福祉の当番弁護士の全国展開
  平成12年4月から高齢者の介護保険制度と成年後見制度が導入されると同時に、当会は高齢者・障害者支援センター(あいゆう)を設立しました。
  今や「あいゆう」の活動は、平成12年9月から実施された福祉の当番弁護士制度と相まって、行政や医療機関、施設関係者に絶大なる信頼と支持を獲ち得たと自負しています。
  当会は、現在「あいゆう」の法人化を検討しています。
  併せて、福祉の当番弁護士制度を刑事の当番弁護士同様、全九州並びに全国に展開したいと考えています。
(5) 弁護士過疎地対策と法律相談センターの拡充
  司法改革の重要課題のもう一つに、弁護士過疎地対策があります。我が県内にも弁護士が存在しない地域があります。
  私は、弁護士過疎地対策の一つは、法律相談センターの拡充ではないかと考えています。当会の法律相談センターは、昭和60年4月に発足し、現在の天神の法律相談センターを開設して20周年を迎えます。
  現在では、福岡県内に法律相談センターが19ヶ所存在します。法律相談センターの数としては、東京の弁護士会に劣らず全国第1位です。当会は、福岡県民のために、「いつでも、どこでも、誰でも」容易に司法にアクセスできる体制を作っていきたいと思います。

5.行動の基本指針
  ところで、昨今の商道徳や、行為規範を逸脱した幾多の社会現象(例えば、耐震偽造問題、ライブドアの粉飾決算、公共工事の談合、架空請求、オレオレ詐欺等の事件)は、一体何が原因なのでしょうか?
企業は、その活動に際して、所謂、社是、綱領といったその会社の行動の基本指針があったはずです。それが、規制緩和というお題目の下で、従来のタガがはずれた感が否めないのが、作今の情勢です。国家行動の基本指針は、所謂、国是といわれ、日本国憲法がそれに該当します。今、基本的人権の尊重と恒久平和を目標とする日本国憲法が改正されようとしています。国家の綱領ともいうべき憲法の改正については、慎重にあるべきだと考えます。国家のタガとも言うべき、憲法を軽々しく緩めるべきではありません。
 先日、ある明治時代創業の某商事会社にあいさつに伺ったところ、九州支社長室には、会社の綱領が掲げてありました。
?所期奉公  ?処事光明  ?立業貿易
という三つの言葉です。企業活動は営利を目的とするのは、当然です。しかし、企業活動の基本は、公に奉仕するという精神が大切であるとその会社は昔から考えてきたのです。明治時代に創業者が考えたこの会社の行動の基本指針は、今も普遍の光を放って輝いています。

6.座右の銘
 我々弁護士の行動の指針は、弁護士法1条の「基本的人権の擁護と社会正義の実現」であることは言うまでもありません。
 さて、私が個人的に行動の指針又は座右の銘としているものは、「積誠動人」という言葉です。私の修猷館高等学校時代の恩師小柳陽太郎先生から戴いた言葉です。これは、『誠を積んで人を動かす』とよみます。孟子の言葉、「至誠人をも動かす」と同じ意味です。金を積んで人を動かす方もおられますが、最後に人の心を動かすものは、誠心、誠意であると確信しています。私は、今後これらの言葉を行動の指針としつつ、皆様を始めとする関係者各位と連携しながら、福岡の県民、市民のために真に役立つ弁護士会活動を展開して参りたいと思います。どうか、本日御列席の皆様には、当会の活動をよく御理解のうえで、御支援、御協力を下さいますようにお願いいたします。

 終わりに、本日は、粗酒粗肴ではありますが、本日の宴が、お互いの交流の契機となり、実り多いものになりますように祈念申し上げて、ごあいさつとさせて戴きます。
 本日はどうもありがとうございます。
                                               以上

(於ホテルオークラ福岡)

前の10件 1  2  3  4  5  6  7  8  9

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー