福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
副会長日記
2006年9月12日
会務報告〜日本司法支援センターの民事対応態勢について
副会長 作 間 功
平成18年は、長年にわたって議論されてきた司法改革の実行の年であることは言うまでもありません。ここでは私の担当の司法支援センターの民事関係についてご報告します。
1.日本司法支援センターに関する実務担当者会議(民事対応態勢)の開催
これまで刑事弁護対応態勢が主に議論されてきましたが、民事関係について7月11日、日弁連にて全国的な協議会(「実務担当者会議」)が日弁連クレオにて開催されました。しかし、問題はまだ山積です。
第1は、コールセンターに関してです。コールセンターとは、全国からの電話による問い合わせについて司法支援センターが東京にて一括して対応し、相談機関の紹介などの情報の提供業務を実施することをいいます。
「法律相談はしない」というのが建前です。電話のオペレーターは弁護士ではありませんので、当然です。しかし、一言で終わるようなものまで一切相談は駄目だというのでは、市民からのニーズにこたえられないとのことで、「一般的な法制度」の説明はする、そのため弁護士をスーパーバイザーとして配置する、また、「FAQ」とよばれる「良くある質問と答え」をマニュアルとしてオペレーターに配布して対応してもらうとのことでした。しかし、「一般的な法制度」と「法律相談」の区別は困難です。弁護士会としては、さらにこうした司法支援センターの対応が弁護士会・弁護士による相談業務にどのような影響が出るかも気を配る必要があるように思います。
次に、オペレーターはマニュアルに従い、「適切な相談先」を紹介するわけですが、そのマニュアルは適正なものでなければなりません。会議では「『土地収用についての不服申立』について、紹介先を弁護士会とともに司法書士会としているが、この問題は司法書士では無理である」という指摘がなされ、日弁連も関与している司法支援センター作成のFAQについての疑問が呈されました。
さらに、オペレーターは適切な対応をしなければなりませんので、そのための会話マニュアル(「トークスクリプト」と呼んでいます)が用意されるとのことですが、「適切な相談先」を紹介するにいたるまでの会話の流れの中で、弁護士と司法書士との振り分けをどうするかという点で大きな問題を孕んでおり(先に試行された茨城では、司法書士会が「無料」をうたい、相談者の多くが司法書士会に流れたとのことでした)、円滑な運営に向けての調整が重要な課題となります。
10月2日の「法テラス」オープンまで時間がありません。さらに議論を詰めて、より良い制度にしていく必要があります。
2.司法支援センター福岡地方事務所に対する申入れについて
日弁連は、日本司法支援センターに対し、6月15日、日本司法支援センターにおける情報提供業務(上記のコールセンターのことです)に関し、要旨、日本司法支援センターは公的性格をもつことから法に違反する疑いのある運営をしてはならず、また相談者がたらい回しにされるような事態は厳に避けなければならないとの観点から、日本司法支援センターにおける情報提供業務において、利用者に弁護士以外の隣接法律専門職団体を紹介する際、当該隣接法律専門職者が法律上取扱うことのできる職務範囲を明確にした上、その枠内でなされるべきであるという考えに立ち、相談機関を紹介する段階において隣接法律専門職者の職務範囲に入るかどうか明らかでない場合には、当該隣接法律専門職団体を紹介することのないようにされたいという申入れをしました。
上記要請は、情報提供業務に関するものですが、上記要請の趣旨は地方事務所が実施する法律相談業務(いわゆる扶助相談のこと。扶助協会時代は弁護士による相談のみが実施されていました)においても妥当するものと考えられるため、当会は、福岡地方事務所に対し、福岡地方事務所において隣接法律専門職者による法律相談を実施する場合には、当該隣接法律専門職者が法律上取り扱うことができない相談、及び法律上取り扱うことができるかどうか不明確な相談を隣接法律専門職者において実施することがないよう十分配慮し、もって、法律相談業務の適正な運営を行なっていただくよう要請しました。
2006年8月 4日
会務報告〜執行部の7不思議〜
副会長 増永 弘
会務報告です。真面目な記事ばかりなので、執行部が連日どのような活動をしているのか、実態が明らかになる話(勿論、笑い話です)をしておきましょう。
1 採点の怪
執行部員やその関与する長時間の会議は、日常的に少しでも場をなごませようと、会長は駄洒落を良く言います。S副会長が採点し、「ウーン。15点」。しかし、会長は動じません。「エッ。15点もくれるの!」S副会長は100点満点で採点したのに、会長は10点満点で、満点以上の点をもらえたと思っている。司法改革の荒波にもまれ、いろいろな意見も続出の現在の会務。駄洒落をいう余裕があり、しかも、これくらい打たれ強い人でなければ、会長職は勤まらないと、しきり感心する他の執行部員なのでした。
2 深夜の怪
執行部は泊り込んでの合宿もします。合宿での議論に疲れ、眠りにつけないK事務局長。疲れをいやそうと、少し散歩をして部屋に戻ると、真っ暗な部屋の布団の上で独り言を言い続けるM副会長。「あの人、精神不安定だと思っていたら、やっぱりイッていたのか。ヤバイ。早く寝てしまおう」とK事務局長。次の日の朝、M副会長の隣の布団だった会長にK事務局長はおそるおそる「昨晩、M先生、独り言を言い続けていませんでした」と尋ねた。「アレ。僕の声も聞こえなかった?昨晩は議論の残りなんかを、M君と布団の中でずっと話しよったとよ」と会長。独り言ではなかったと、ほっと胸をなでおろすK事務局長なのでした。
3 境界紛争の怪
執行部室の各机は全部つながっており、ボーダーレスです。その上に各委員会、各単位会、会務などの決裁文書が、処理しても処理しても山のように積み重なっていきます。ちょっと油断すると、机の上は書類の山。多数の重要委員会を抱えるK副会長の机の書類の山が崩落すると、必然的にM副会長の机になだれ込みます。M副会長「ヒエー。書類に埋もれてしまう。境界侵犯だー」。このように今日も誰かの書類の山が隣の机を侵食している。それくらいの書類と格闘している執行部員なのです。
4 時間の怪
筑後、北九州選出の副会長は、福岡の会館まで出てくるだけでも多大な負担になります。いつも3分だけ時間に遅れることが多いH副会長。執行部員の噂によれば、実は正確に時間を読んで赤坂駅で降りている。そこから走れば時間どおり。ところが途中で走り疲れて歩いてしまい、ほんのわずか3分だけ遅れることが多くなってしまうのだというのです。自分が小倉や久留米から来るとなると、こんな時間の遅れではすまないだろうなと思う私なのでした。
5 本当の主の怪
この手の話には、実は本当は裏の主がいてという話がつきものです。弁護士会にもいます。そうです、執行部を支えているのは実は有能なT事務局長、K事務局長の日夜の活動であることは、衆目の一致するところ。そして弁護士会を支えているのは各委員会と委員の皆さんです。執行部の一員となって、本当に痛感しました。
さて、7不思議の5つまで発表しましたが、ちょうど紙面も尽きました。これ以上暴露すると秘密漏洩と言うことで、私が百叩きにあってしまうので、ここらへんでやめておきましょう。
とにもかくにも、今後も会員の皆さんにご協力をお願いするに当たり、執行部の日常の活動を、違った形でご紹介しました。
2006年7月18日
会務報告〜4つの会長声明〜
副会長 小 宮 和 彦
現在の国会(会期延長がない場合6月18日まで)では重要な法案が目白押しで審議されています。弁護士会として放置できない重大な問題を含んだ法案も多いため、これらの法案に反対する会長声明を連続的に出しました。声明自体は県弁のホームページにアップしています。ここでは声明の概要を紹介します。いずれの声明についても衆参両議院議長、内閣総理大臣、衆参両議院の関係委員会、関係諸機関に送付するとともに記者会見をして執行しました。なお、情勢についての記載は本原稿を執筆している5月22日現在のものです。
【4月10日・未決拘禁法案の廃案を求める会長声明】
法案の正式名称は「刑事施設及び受刑者の処遇等に関する法律の一部を改正する法律案」で、未決拘禁者に関する処遇を定めています。法案は、代用監獄を存続させながら、その廃止の方向性すら明示していない等の多くの問題点を含んでいます。代用監獄は長年にわたって弁護士会が廃止を求めて運動を展開してきたものです。また、国際的にも、国連の規約人権委員会が2度にわたり廃止に向けた勧告を行い、「ダイヨーカンゴク」という言葉が外国でも通用するほどに問題のある制度として認識されています。声明では、自白の温床となってきた代用監獄を存続させていることを中心に批判をし、同法案を廃案として抜本的な見直しをするよう求めました。
しかし、同法案は、衆議院法務委員会及び衆議院本会議で可決され、5月22日現在参議院で審議されています。ただ、衆議院法務委員会で、刑事施設の収容能力の増強に努めて被勾留者を刑事留置場(代用監獄)に収容する例を漸次少なくするよう努めることや、取調べの可視化を含めた代用刑事施設制度のあり方について刑事手続全体との関連の中で検討すべきことなどの附帯決議がなされました。
【5月8日・共謀罪の新設に反対する会長声明】
法案の正式名称は「犯罪の国際化及び組織化並びに情報処理の高速化に対処するために刑法等の一部を改正する法律案」です。一旦廃案となった法案を修正して提案したもので、当会は以前の法案に対して昨年8月31日に反対の会長声明を出しています。法案の修正内容は、適用対象団体や「共謀」の構成要件を絞り、思想良心の自由侵害や団体の正当な活動の制限をしてはならないと注意規程を設けたことです。しかし、意思形成段階に過ぎない共謀それ自体を処罰の対象にしていることには変わりはなく、対象とされる犯罪の種類も膨大なものです。人の内心を取り締まろうとするものであり、政府に反対する市民団体や労働組合を警察が事前に弾圧することを可能にするものです。また、共謀を立証するものは人と人とのコミュニケーションしかありませんので、盗聴、密告、スパイ強要などが横行するおそれがあります。そこで、このような共謀罪を新設しようとする法案は廃案にすべきであるとの声明を出しました。法案は5月22日現在衆議院法務委員会で審議中です。
【5月11日・少年法等「改正」法案に反対する会長声明】
この法案は、以前国会に上程して廃案とされたものをそのままの内容で再上程したものです。当会は昨年6月23日に反対の会長声明を出していましたが、再度反対の会長声明を出しました。反対している法案の主要な問題点は、? 14歳未満の低年齢非行少年に対する少年院送致を可能とすること、? 触法少年・ぐ犯少年に対する警察官の調査権限を付与すること、? 保護観察中の遵守事項を守らない少年に対する少年院収容処分を導入すること等です。いずれも可塑性に富んだ少年の特性を無視し、福祉的対応を後退させて、いたずらに厳罰化を図ろうとするもので容認できません。ただ同法案が国選付添人制度を導入している点については一定評価できますが、これもかなり限定的な場合にしか適用されません。そこで、当会としては同法案に反対する声明を出しました。同法案は5月22日現在衆議院法務委員会で審議中です。
【5月11日・教育基本法改正法案を廃案とし、あらためて十分かつ慎重な調査と検討を求める会長声明】
今回上程された教育基本法改正法案は現行の教育基本法を大幅に改正するもので、新しく制定するに等しい内容となっています。「愛国心」問題については、教育の目標のひとつとして、「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」と規定されています。また、現行法では「教育は…国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである」(10条1項)と定められていましたが、改正案ではこのような規定は削除され、教育は法律の定めるところにより行われるとだけなっています。さらに現在の9年の義務教育制度も廃止されています。このように大きな改正でありながら、国民に開かれた議論はほとんどなされておらず、与党内の非公開の審議機関で議論され作成された法案が国会に上程されて審議されようとしています。教育基本法は憲法とともに制定され、教育の憲法と言われるほど重要なもので、準憲法的性格を有しています。そこで、拙速な審議をやめて国民に開かれた議論を尽くすために、今回の法案を一旦廃案とした上で、あらためて衆参両議院に「教育基本法調査会」を設置して、改正の要否を含めた十分かつ慎重な調査と討議を求める声明を出しました。同法案は5月22日現在衆議院の特別委員会で審議中です。
会 務 報 告
副会長 小 宮 和 彦
詳しい会務内容は会長日記にゆずることにして、ここでは私の担当の一つである刑事弁護関係のことを報告します。現在刑事弁護関係の委員会としては、刑事弁護等委員会、刑事弁護センター運営委員会、国選シンポ実行委員会、公的弁護態勢確立PTがあります。公判前整理手続、裁判員制度、9月8日に福岡で開催される日弁連国選シンポジウムの準備など様々な課題がありますが、喫緊の重要課題は今年10月からスタートする新しい国選弁護制度への対応問題です。そこでこの新しい国選弁護制度の概要について報告するとともに会員の皆様に国選弁護を担っていただくようお願い申し上げます。
○被疑者国選のスタート
10月にスタートする新しい国選弁護制度の目玉は何と言っても被疑者国選です。短期1年以上の重罪事件について、被疑者の請求があり、国選弁護人の選任要件(資力のある被疑者については弁護士会への私選弁護人紹介手続を経ることが必要)を満たせば、起訴前であっても勾留決定後からの国選弁護人が選任されることになります(刑訴法37条の2)。いわゆる被疑者国選のスタートです。被疑者国選は平成21年5月までには現在の必要的弁護事件にまで拡大されます。選任要件である資力チェックのために被疑者は資力申告書(簡単な1枚の書面となる予定)を提出しなければなりませんが、資力の基準は現金・預貯金などの合計額が50万円以上かどうかになると言われています。
○支援センターによる国選指名
また被疑者・被告人の国選弁護人の指名等は4月に発足した日本司法支援センターの所管となります(総合法律支援法38条)。したがって裁判所は支援センターに国選弁護人の候補者を指名して通知するように求め、これを受けた支援センターは遅滞なく国選弁護人となることを契約した弁護士の中から国選弁護人候補者を指名し、裁判所に通知することとなります。このため国選弁護人として選任されるためには支援センターとの間で予め契約を締結することが必要です。
被疑者段階の弁護人ですから、国選に選任されたらできるだけ速やかに接見することが求められますが、支援センターに名簿を備えおいて、現在の「当番弁護士+被疑者弁護人援助制度」に似た運用をすることになると思われます。
○私選弁護人選任紹介手続
さらに私選弁護人を依頼したい被疑者・被告人に対して弁護士会が速やかに私選弁護人を紹介する私選弁護人紹介手続もスタートします(刑訴法31条の2)。
○即決裁判制度
それだけではありません。まったく新しい手続である即決裁判制度がスタートします(刑訴法350条の2〜350条の14)。即日判決が原則で、判決では必ず執行猶予の言い渡しをしなければならない裁判です。短期1年以上の重罪事件を除く事件で、事案が明白かつ軽微であること、証拠調べが速やかに終わると見込まれること、被疑者の書面による同意があること、その他の事情を考慮し、検察官が相当と認めるときに、公訴提起と同時に書面によって申し立てることとされています。必要的弁護事件とされているため国選弁護になることが多いと考えらます。
○国選契約締結のお願い
このように10月から国選制度を中心とした刑事手続が大きく変わります。このため、これに対応できるように準備をしなければなりません。現在最高裁判所規則の整備や支援センターの諸規則の制定などが進められていますので決まり次第会員の皆さんにお知らせする予定です。
被疑者国選制度を成功させ、被疑者・被告人に対する適正手続を保障するためには、多くの会員が国選弁護制度を担う必要があると思います。そのためには1人でも多くの会員が支援センターとの間で国選弁護人契約を締結することが必要です。今年6月より契約締結が開始しますが、弁護士会でとりまとめる方向で検討していますので、是非国選弁護を担っていただくようお願い申し上げます。
2005年12月19日
会 務 報 告
副会長 三 浦 邦 俊
会務報告も三回目、この記事が会内に配布されるときは、忘年会シーズンも真っ盛りという時期であろうと思われます。執筆時期は、平成一七年一〇月初め、夏も終わり、秋の足音が云々という挨拶をすべき頃ともいえるが、会務は正に正念場、これからクライマックスとも言える時期に差し掛かっています。
秋の行事の多さと、今後のことまで考えると、現在の弁護士会の活動を維持、発展させていこうとすると、現在のシステムでは、対応できなくなっているのではないかという気がします。
本年度の目玉は、司法支援センター問題と、裁判員制度に対する対応といわれておりましたが、前者については、予算要求に向けての種々の活動が一応終わり、八月三〇日には、九弁連と日弁連の主催で、アクロス福岡で、公的弁護士制度に対応と態勢強化のための意見交換会が実施されました。ところが、九月に入った途端に、裁判員制度の広報活動が三庁合同でおこなわれることになり、そのための連絡協議会が九月一日に発足し、九月二六日に、三庁合同の記者会見、同二七日には裁判員制度模擬裁判、一〇月一日は裁判員フォーラムの開催、同四日及び六日には街頭におけるビラ撒きなどを三庁合同でおこないました。このための準備の打合せの回数も、相当回に上りました。
裁判員の関係では、一一月一六日には、弁護士会が中心となって裁判員シンポを企画しているところですが、これ以外にも、九月一六日には、高齢者・障害者のシンポジウムと専門職団体の定期総会、九月一七日には取調可視化のシンポジウム、九月二二日には第九回の全国仲裁センター連絡協議会、一〇月七日は金沢市での業務改革シンポジウムなどにも参加し、台湾の裁判官との交流会なども実施しました。今後も、各弁連大会、人権シンポ、釜山弁護士会との交流会などの行事が目白押しの中、種々の課題の処理をおこなっていくことになりますが、担当委員会への出席に関しては、いろんな行事とぶつかってしまう関係で、皆勤賞にはほど遠い状態であり、頼りは、委員会メーリングリストと議事録という状態にあります。各副会長が、担当する委員会の数が多くなり過ぎていることと、それぞれの委員会の活動が活発であるか、あるいは、問題を多く抱えていることが原因ですが、息つく暇もない有様です。しかし、自分の仕事をおこなっているときには味わえない体験の連続で、精神的に参ったり、焦るような場面はなく、案外、執行部ライフをエンジョイしているのかもしれません。某会長経験者から、「権力の座にすわる気分も悪くなかろうが」などとからかわれても、気にすることなく会務を消化しております。会館に居る時間が長くなればなるほど、また、メーリングリストを眺めている時間が長くなれば長くなるほど、福岡県弁護士会の従来からのシステムの粗に気がついてしまいます。アーッと言いながら、また、仕事が増えたと思いますが、気がついた者が処理をしなければ、数年は改善されないと思うと、どうしても今年中にという自虐的気分になり、益々、仕事が増えるという悪循環?に陥ってしまいます。
唯一、神経を使うことは、市民からの会員に対する苦情を取扱う市民窓口を担当するときです。苦情のうちの大部分は、苦情を入れられる市民側に問題があるケースですが、明らかに弁護士側に問題があると思われる事案もあり、懲戒請求書の用紙を交付せざるを得ないケースもあります。他方、懲戒や紛議までに至らないにしても、法律相談を受けた弁護士の態度が横柄だった、相談中あくびをされた、相談中、腕組みをして、相談者の顔を見ようとしなかったなどという苦情もあり、窓口担当者としては、「申し訳ありません。」、「会員に周知するように指導します。」などと謝る場合もあります。この辺りは、マナーの問題であるわけですので、会員の皆様は、充分ご注意して頂くよう改めてお願い申し上げます。
担当する委員会関連で、今年から試験的にでも実施してみようということになった点が、全会員を対象としたメーリングリストの開設です。今秋は三回にわたって全員協議会が実施されることから、会内議論の場として、実際の協議会の場以外に、設置してみるということにしたものです。ホームページ委員会では、従来から全会員を対象とするメーリングリストを開設すべきであるとの議論があったものですが、余計なメールが大量に入ることを嫌う会員もある等の理由で実施されていなかったものです。全員協議会については、従来から参加者が少なくなっている傾向と、日程が合わないという苦情があったものですが、これを一挙に解決するということが出来るかと思います。この点、ホリエモンのライブドアなど、全社員を対象とするメーリングリストを活用している企業は少なくないと思われ、弁護士会としても、メーリングリストの活用を図っていくことで、会内の情報伝達をスムーズに出来る等の効用があると思われます。一度、実験してみて今後の活用方法を考えたいと思います。
会務の様子を報告申し上げれば、右の通りですが、他方で、健康第一と考え、個人的には、今年は、これまでになく休日にゴルフに行く回数が増えております。会長以下、他の役員も、山登り等で、体力をつけて、残りの任期を乗り切ろうとしており、まずは、執行部全員、元気で執務をおこなっております。
公的弁護制度の対応態勢確立等のための意見交換会
副会長 藤 尾 順 司
一 八月三〇日午後一時から、アクロス福岡にて、日弁連と九弁連の各単位会の担当者の意見交換会が行われました。
ご承知のとおり、平成一八年一〇月から日本司法支援センター(以下、「支援センター」という)が国選弁護人の推薦等の業務を開始します。また、被疑者国選弁護制度が短期一年以上の重大犯罪を対象にスタート(第一段階)し、平成二一年にはその対象が必要的弁護事件に拡大(第二段階)されます。また、裁判員による刑事裁判も始まります。今後四年間に刑事弁護の環境が大きく変わるという状況を目前にした中で、日弁連が各ブロックを回って意見交換会を行い、対応態勢の構築に向けて準備をしようという趣旨で開催された次第です。
日弁連からは、松??副会長をはじめ、刑事弁護センターや支援センター等の担当者が計八名も出席され、九弁連から各会の執行部や担当七五名が出席しました。
二 まず、被疑者国選弁護の第一段階、第二段階への対応については、長崎と沖縄を除いて対応できるという回答でしたが、第二段階になると、なんとか対応できそうなのが当会、熊本、大分で、そのほかの会はそれに必要な弁護士の数が不足するので対応が困難ということでした。特に、長崎と沖縄は離島が多いうえ、会員の高齢化など悪条件が重なり、悩みは深刻でした。
福岡は、シミュレーションでは十分対応できることになっています。しかし第二段階になると、本庁以外の支部では必要な弁護士数が足りませんので、部会間の協力が必要になってくると思われます。
三 次に、少年事件の付添人です。少年法の改正案によると、短期二年以上の事件に限定して国選付添人制度が始まることになっています。しかし、国選付添人選任件数は観護措置決定を受けた少年事件の約一割程度にすぎませんので、福岡のように全件付添制度を実施しているところでは、残りをすべて自主事業として担っていかなければなりません。川副会長は、全件付添を始めた会として、なんとしても全件付添をやりぬく決意であると力強く表明されました。
このほか、自主事業のあり方、財源の問題、スタッフ弁護士の確保の問題などが議論されました。
各単位会の状況を日弁連と他の単位会が把握できたことや、いよいよ新しい制度に向けて準備を始めなければならないという思いをもつことができたという意味で有意義な意見交換会でした。
四 最後に、意見交換会の報告からは少し脱線しますが、担当副会長として気になっている点を述べます。
被疑者国選弁護制度、国選付添人制度、及び裁判員制度はいずれも私たちが長年、要求し、実施を待ち望んでいたものです。今回の改革では完全ではありませんが、ようやく実現することになりました。今私に問われているのは、何よりもこの制度を支えていくに足りるマンパワーを確保することです。支援センター下における弁護士の自主性・独立性維持も、多くの弁護士が担うことが不可欠の前提です。
しかし、この点で若干の不安を感じています。福岡は他の会に較べて会員数が多いだけに、自分が国選弁護をやめても大丈夫だろうという気分が何となくあるからです。先ほど被疑者国選弁護制度が始まっても、福岡はなんとか対応できるだろうと書きましたが、これはあくまでも、現在、当番弁護士に登録している会員数と同程度の人数が国選弁護をすることを前提にしたシミュレーションの話です。実際にこの程度の人数を確保できなければ、福岡でも対応困難ということにになりかねません。
この意見交換会で、佐賀県弁護士会から、七〇歳代と八〇歳代の会員三名で年間一六一件もの国選事件を受任しているとの報告がありました。七〇歳を超えて、なお一人で五〇件以上を受任しているというのには大変驚きました。これだけの件数を担当できるのは、自分が国選弁護を支えるのだという気概をもっておられるからではないかと思います。これに較べると、年間一〇件程度の国選弁護で弱音を吐くわけにもいかないのではないかと思います。
言うまでもないことですが、弁護士でなければ弁護人にはなれないのですから、弁護士及び弁護士会は国選弁護制度を支えていかなければならない責任を社会に対して負っています。今後、被疑者国選制度の開始により、事件数と活動の量が多少増えていきますので、これまで以上に多くの会員が分担していかなければ、被疑者国選弁護制度を支えていくことができません。自分くらい降りてもいいだろうではなく、他の会員と力を合わせて被疑者国選を支えなければという気持ちになっていただきたいと思います。
すべての会員が支援センターとの間で被疑者国選弁護の契約をしていただきますようお願いします。
もう少し、支援センターの国選弁護の内容が明らかになった段階で、改めて詳しいご説明とご案内を行う予定です。
2005年10月21日
会 務 報 告
副会長 樋口 明男
一 執行部に入り早や四ヶ月が過ぎました。
執行部会議で会務全般の情報に触れているとはいえ、自分の担当以外は手薄なので、私が直接に担当又は経験したことに限定して報告したいと思います。
二 心神喪失者医療観察法について
全国的に入院施設の整備が進んでいないため日弁連は施行の延期を主張しましたが、政府は七月一五日施行を強行しました。
執行部と付添人PTは六月一七日から七月二六日まで裁判所との協議会を四回開きました。その中で弁護士会としての意見を相当強く主張したつもりです。具体的な実務運用は今後の事件処理の中で固まっていきますが、常議員会や総会において議論を尽くして定めた当会の規程や規則の理念が実現されるよう監視していきたいと思っています。なお、国選付添人名簿への登載承諾者の数が少ないので、このままでは承諾者の先生に加重な負担がかかることが危惧されます。期限は設けておりませんので、名簿登載へのご理解とご協力をお願いいたします。
三 月報と会報について
月報は広報委員会の先生方のご努力により発刊されています。担当副会長として編集会議に参加させて頂き、大変さが良く判りました。会員諸氏におかれては、編集担当者の先生から執筆を依頼された場合はご快諾いただきますようお願いします。
並行的に、執行部は(月報とは別に)長年休刊状態にあった「会報」(最終刊行平成八年)を復活させたいと考えており、具体的な準備作業に入っています。本年度中に編集作業を終えて来年度執行部に引き継ぎたいと思っています。
四 メーリングリストについて
執行部における情報伝達は概ねメーリングリストで行われています。これは九弁連や各委員会も同様です。現在のところ私は倒産・消費者・高齢者障害者等のメーリングリストに加わっていますが、会員間の情報交換や交流促進に極めて良い効果を発揮しているように思われます。
交通事故被害救済委員会では従来メーリングリストがありませんでした。しかし、不法行為法以外に医療・福祉・工学等の専門知識が必要とされるこの分野こそメーリングリストが不可欠ではないかと考え、八月からの立ち上げを実現しました。委員に大いに活用され、被害救済の活動が更に活発化することを願っています。
五 釜山弁護士会との交流について
七月一七日から一九日まで韓国の釜山弁護士会を訪問しました。釜山弁護士会の先生方の周到な準備により、警察署の取調室の見学・検察庁の訪問・裁判所の拘束適否審(勾留理由開示・勾留取消・保釈などが一体となった公開手続)の見学等を行い大変参考になりました。交流会においても心を尽くした歓迎を受け「国家間の関係は個人間の関係の積み重ねである」という単純な道理を再度確認しました。安武先生や大塚先生をはじめ、ご尽力いただいた全ての先生方に深遠なる感謝を表明させて頂きます。\n六 市民窓口と紛議調停について
人体の臓器を「動脈系」と「静脈系」に分類するならば、後者にはガス交換を行う肺や尿を生成する腎臓などが含まれます。いずれも人体にとって有害なものを体外に排出する重要な臓器です。昔、腎臓が浸透圧(濃度の異なる二種類の溶液を半透膜で遮る時に生じる圧力)という単純な原理に基づいていることを学んで深い感銘を受けた記憶があります。
会務にも「動脈系」と「静脈系」があるように思われます。市民や公共機関に対し積極的に働きかけを行うとともに会員に新鮮な情報を提供して弁護士会の活動を活発化させるのが前者です。会員に関する苦情や不祥事を処理し、場合によっては自治的な懲戒権を行使して弁護士の活動に対する社会の信頼を保持する働きが後者です。後者は前者に比べその存在が見えにくく、若手の先生方にとっては馴染みがない分野と思われますが、弁護士会の極めて重要な機能を担っています。生体において代謝機能\が損なわれれば生命を危うくするのと同様です。
弁護士会の「静脈系」の制度は大ベテランの先生方の献身的なご努力により維持されていますが、私にはこれも浸透圧(弁護士会という半透膜において倫理性の異なる二主体間に生じる圧力)により営まれている制度であると感じられます。弁護士に非があれば内側に向かう力が生じますが、そうでない場合には外側への力が必要です。弁護士としての見識が問われる両者の見極めは本当に難しいものです。やはり年季が必要なのでしょう。
2005年9月28日
会 務 報 告
副会長 藤 尾 順 司
一 六月二八日、裁判官評価アンケートの集計の結果を福岡高等裁判所、福岡地方裁判所及び福岡家庭裁判所に提出しました。今回、四回目となる裁判官評価アンケートは、担当者の懸命な努力の結果、会員数の三分の一に当たる二三三通(前回は一七〇通)を集めることができました。
二 この時期に裁判官評価アンケートを裁判所に提出したのには理由があります。二〇〇四年から裁判官の人事評価制度が実施されています。これは、(1)評価権者及び評価基準を明確化・透明化し、(2)評価のための判断材料を充実・明確化し、(3)評価内容の本人開示と本人に不服がある場合の適切な手続を設ける、というものです。評価権者(所長など)は各裁判官の評価書を作成しますが、これに裁判官の意見も反映させるため個々の裁判官との面談システムが設けられました。六月から面談が始まるため、それに合わせて弁護士会が情報を提供しようということなのです。
三 なぜ、こんなに弁護士会が裁判官評価アンケートに力を入れて取り組むのだろうかと思われるかもしれません。従来、裁判官の人事評価は裁判所内部だけで行われてきましたが、今回の改革により、人事評価において外部情報に配慮しなければならないという制度を設けました。裁判官に関する外部情報を最も多く持っているのは弁護士です。その意味で弁護士は、外部情報を提供すべき社会的な責務を負っていると言えます。
さらに、裁判官評価アンケートは個々の裁判官にとっても意味があります。裁判官は、自分の裁判が他の裁判官と比較してどういう評価を受けるのか知る機会はなかったのですが、裁判官評価アンケートは、自分の裁判に改善すべき点がなかったか検証する材料を提供することになるからです。実際、ある裁判官が昨年のアンケート結果を開示請求してみたところ、思っていたよりも点数が低かったためショックを受けられたそうです。しかし、その裁判官の今回の評価は以前と比べて点数が上がっていたそうです。昨年の結果から何か得る点があったのかもしれません。こうした意義も重要ですので、今回、裁判官に開示請求をしていただくため、裁判官宛に開示請求のご案内をすることにしました。
四 まだ始まったばかりの制度ですので、限界もあります。裁判所は、公式には、外部情報とは顕名のあるもので、具体的事実を摘示したものでなければならないとして、裁判官評価アンケートは外部情報に含まれないという立場に立っているからです。
しかし、社会では、地位や職業にかかわらず、外部の評価を受ける時代になりつつあります。大学の教授も学生から評価される時代になっています。ハワイ州では、一九九三年から裁判官評価制度が実施されているそうです。むしろ、外部評価を積極的に取り入れて活かしていくことが求められているのではないでしょうか。前述の司法シンポで、福岡の裁判官評価アンケートは先進的な取組みとして高い評価を受けました。さらに信頼を増していくためには、裁判官評価アンケートの精度を高めていく必要があります。そのためには何よりも多くのアンケートを集める必要があります。アンケートに回答するのは大変、負担だと思いますが、この制度を充実させるために、これまで以上にアンケートにご協力をお願いします。
2005年8月17日
会 務 報 告
副会長 三 浦 邦 俊
県弁総会も終わって六月になり、今年は、薫風香るかのようなさわやかな季節が続いていたが、早々に梅雨入りとなってしまいました。会務の方は、快調ですよと申し上げたいところではありますが、二ヶ月経過して、担当委員会や、弁護士会全体の動きが漸くつかめてきました。特に司法改革の実行段階と言われ、日弁総会でも、司法改革実行宣言なるものが、決議されるゆえんが理解出来たところで、自ら担当する委員会の役割を考えると、多少のめまいを覚えながらも、これから秋にかけて、具体的な企画を考えなければならないと身を引締めるところと、半分ボヤキも出るような六月であります。\n 全体の状況から申し上げれば、今年の目玉といわれる日本司法支援センターと裁判員制度問題に関して、前者は、関連する委員会を集合させた支援センターの委員会で活発な議論が行われた結果、単位会の意見集約としては、相当なものが出来あがりそうで、やれやれという雰囲気ではありますが、他方、司法支援センターにどのような内容のものを盛り込んでいくかという点は、これから、何年にも渡って議論を戦わせなければならず、その中で、弁護士及び弁護士会が、どのような役割を果たせるのかという点が、絶えず検証されなければならないと思われ、七月には、扶助協会の担当者研究会も控えています。\n 他方で、平成二一年五月から実施予定の裁判員制度に関しては、国民に開かれた司法をという点を標榜した弁護士会は、刑事裁判に対する国民参加の意義を広く国民に広報していく責務を担っています。この点で、弁護士会は、残念ながら立ち遅れているといわざるを得ない面がありますので、第一に、県弁護士会のホームページに裁判員制度を広報する記事の掲載を計画しています。第二に、企業や、公民館の集まり、学校等の団体に対して、裁判員制度の説明をする制度を作り、実際に出前の講演等を実施することを企画する予\定です。第三に、国民向けには、刑事弁護は何故必要であるのか、何故、刑事手続に国民の参加が必要なのかなどという点を判りやすく説明する必要もあります。第四に、具体的に裁判員となる人には、無罪の推定、伝聞証拠の排除など、刑事司法に関する原則の説明も必要となってきます。さらに国民向けの広報を広く捉えると、これも法教育という概念に入れようという動きもあり、学校等にも、積極的に働きかける必要もあるのではないかという議論も出てきています。現在の限られた会員数と各会員が会務に割ける時間に照らすと、国民から期待されている役割を果たしていけるのかという点が、そもそも、問題とされるような状態であるのかもしれませんが、これから、相当精力を注いで、創意工夫をしていかなければならないと思っています。具体的には、裁判員制度実現本部、刑事弁護委員会などが議論の中心になるかと思われますが、今秋には、手始めにシンポの企画をすることを検討しています。弁護士、弁護士会の力量が問われる場面ですので、各会員には、関心を持ってもらいたいと思います。
他方、本年九月一六日には、アクロス天神で、「高齢者障害者権利擁護の集い」のシンポジウムが開催される予定ですが、この関係で、福岡県、福岡市、北九州市等の福祉関係の方々も参加されての関係諸団体連絡会が、毎月、弁護士会で開催されています。一〇年ほど前から、北九州市から始まった高齢者、障害者関係の委員会活動ですが、今では、委員会活動の成果で、弁護士推薦委員会にかかる推薦案件中で、福祉関係の委員の推薦が相当数を占めるなど、この方面における弁護士会の活動実績は高く評価されており、シンポには、福祉関係の行政の職員の方が多数参加されると思われます。実行委員会は、アクロスを満席にすることを目標に準備を進めてありますが、シンポには、県知事、福岡市長も来賓として挨拶されることが予\定されております。
執行部としては、裁判員制度の関係でも、着実な成果をあげたいと考えております。
以上とは全く関係ない話ですが、四月に挨拶廻りをおこなって感じたことは、「弁護士」というのは、やはり結構使える業種であることでした。この点は、二つの意味があります。一つは、弁護士業務として、まだまだ未開拓の分野がありはしないかという点です。例えば、領事館関係を廻っても、貿易関係の相談があるなどの話を聞いたりしましたが、弁護士業務の拡大に向けて検討すべき点があるのではないかと感じました。この点は、業務委員会と連携を取って、何らかの成果に結び付けられないかと考えている次第ですが、本年度に、形に出来なくても、継続して検討されるべき点であると思われます。二つ目は、「行列のできる法律相談所」というテレビ番組の影響でしょうか、マスコミ的には、弁護士に、番組に出演してもらいたいというニーズが結構\あるという点でした。この点は、既に、若手の会員の方に、声をかけたりしていますが、尻込みをせず、チャレンジして欲しいと思っています。昨年の担当副会長よりは、押しが強いと思いますので、声がかかったら、宜しくお願いしたいと存じます。
勝手に自らの担当分野のみの雑感を記したようになりましたが、本年度執行部の二ヶ月を振り返ると、川副執行部は、会長の強力なリーダーシップのもとに、順調に滑り出しております。既に、会務全般に関する議論をするため、五月二九日には、一日の合宿をこなして、各役員が、担当すべき分野の課題の確認をしました。果たして、この調子で、一年を乗り切ることが出来るかという点については、各役員それぞれの努力にもかかるものですが、山積する課題にめげないだけのチームワークは、既に、確立されているものと思われます。検討結果を、会務に反映させるために、七月頃には、委員長会議等を開催することを予定しています。
2005年7月11日
「日本司法支援センターについて」
副会長 古 賀 和 孝
昨年度、当会に日本司法支援センター対策本部が設置され、本年度は私が担当しております。そこで、今回はこのセンター業務に関する当会の取り組み状況についてお知らせいたします。
司法支援センターは総合法律支援法に根拠を有し、来年四月に独立行政法人として設立され一〇月から業務開始となります。司法支援センターの業務は、司法的解決のための情報提供、扶助相談・援助などの扶助事業、国選弁護、犯罪被害者救済のための情報提供、司法過疎地域対策となっています(法第三〇条)。実際には、司法支援センターの地方事務所を中心に業務が実施されます。この地方事務所の設置については、地域の実情などを考慮し設置するものとされておりますところ、当会では福岡部会と北九州部会に地方事務所を、筑後部会、筑豊部会に支所をおくことを法務省、日弁連に申し入れています。地方事務所、支所は地域での中心的な活動をおこなう拠点となることから、今後もねばり強く働きかけを続けていく方針です。\n 対策本部では、地方事務所、支所を具体的にどのように作り上げていくのかが最大の問題であることから、今年度、対策本部を地方事務所の設置等のあり方に関する部会、刑事弁護活動に関する部会、少年付添人活動に関する部会、民事扶助に関する部会、犯罪被害者救済など自主事業に関する部会に分け、予算獲得のための具体的な申\し入れをすべく諸費用の算出を当面の課題と位置づけ協議を進めております。日本司法支援センターが法務省の所管であることから予算の措置は法務省から財務省への予\算要求という経路を辿ります。法務省から財務省への概算要求が八月におこなわれますので、法務省が予算の作成に入る六月をめどに当会より法務省に対し、福岡県で司法支援センターを立ち上げ運営を開始するには、一体いくらの費用がかかるのかの具体的な要求をすることにしております。\n 現在、当会本部委員の英知を結集して、詳細な予算要求書を作成しているところです。\n 具体的な作業を照会しますと、まず、地方事務所、支所の設置、扶助事業については、地域の実情を考慮し、業務をおこなう場所の選定、取得費用(賃貸を含む)、職員の人数、相談ブースなど内装費用、それに最も関心が集まる弁護士報酬といった費用の積算を行う作業に入っています。各部会の関係委員、法律扶助協会で活躍されている委員の全面的な協力を得て作業をおこなっているところです。
国選弁護活動については、業務開始後、予想される国選弁護士の必要数の検討や、国選弁護報酬についての要望、国選弁護事件の運営と弁護活動の独立など実務的、理念的な問題の検討をしております。平成二一年までに実現する必要的被疑者国選弁護制度を見越し、当番弁護士活動との連携や、被疑者国選弁護制度の対象とならない被疑者弁護をいかにするかなど困難な問題が山積しております。\n会員の協力なくしてこの制度の運営は難しく、担当委員が腐心されているところです。
少年付添事件については、重要案件につき国選付添人制度が本来業務として実現される見込みです。この問題については、扶助事業との関連で司法支援センターに移管されない空白部分が自主事業として残ります。全件付添という当会の画期的取り組みをどのようにして維持発展させるか、子どもの権利委員会の委員に検討してもらっています。
犯罪被害者救済については、本来業務が情報の提供にとどまることから、救済のための弁護活動を如何に運営していくのか、扶助事業の一環として本来業務とすることはできないのかなど、難しい論点の検討をしていただいております。
執行部では、今後順次、日本支援センターに関する情報提供をおこなっていく予定です。