福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2024年2月 9日
当会元会員に対する有罪判決についての会長談話
会長談話
当会の会員であった立野憲司(たての けんじ)元弁護士(2023年3月31日に第一東京弁護士会に登録換えし、2024年1月下旬ころ弁護士登録を取り消している。)は、当会所属期間中に、依頼者からの預り金840万9099円を業務上横領したとして、2024年2月9日、福岡地方裁判所において、懲役3年、執行猶予5年の有罪判決を受けました。
一審判決は未だ確定していませんが、判決で認定された事実は、弁護士に対する信頼を著しく損なうものであり、極めて遺憾です。
当会は、今年度において、元会員・会員が合計3名逮捕されたことから、更なる不祥事防止策を検討しているところであり、また、倫理研修の一層の充実などを通じて、弁護士職務の適正の確保並びに弁護士及び弁護士会に対する市民の皆さまからの信頼回復に今後とも努力する所存です。
2024年2月9日
福岡県弁護士会
会長 大 神 昌 憲
2024年2月22日
性被害者への誹謗中傷に抗議する会長声明
声明
日本社会のさまざまな分野で性暴力が放置されてきたことが、被害者の勇気ある告発により近年さらに明らかになってきた。しかし一方で、これまでも性加害による被害者への誹謗中傷がなされ、特にインターネット上のソーシャルメディアにおける誹謗中傷が大きな問題になっている。
例えば、実名で性被害を公表した被害者の中には、想像を遥かに超える誹謗中傷により、外に出ることも怖くなり、平穏な私生活を送れない状態になったことや、今も心ない言葉が届くことに言及している人もいる。
2023年、ジャニー喜多川氏による性加害について多くの被害者が勇気をもって名乗り出たことを契機として調査が行われた結果、少年たちに対する極めて多数の性加害があったことが明らかになった。しかし、この件においても、ジャニー喜多川氏による被害を告発した人々に対する誹謗中傷行為が繰り返され、中には自殺に追い込まれた被害者もいると報道されている。
性加害を受けたことによる精神的苦痛は、被害者のその後の人生全体に大きな悪影響を及ぼし、被害者に対する誹謗中傷行為は、被害者をさらに苦しめ、死に追いやりかねない非道な行為であり、民事上のみならず刑事上も違法とされうるものである。
また、被害を受けた時から時間が経って告発したことを理由として被害者の行動を疑問視する発信なども少なからずあるが、これもまた、誹謗中傷と同様に被害者を苦しめる面がある。2023年の刑事訴訟法改正において性犯罪についての公訴時効期間が延長されたのは、被害者が自らの性被害を認識し、申告するまでには心理的な混乱、恐怖心、強い自責の念などから長期間を要することが多いからである。
このような過酷な状況下にある性被害者に対する誹謗中傷及びそれに準じた言動に対して何らの声も上げずにいることは、性加害を事実上黙認し二次加害に加担し、被害者の苦しみを看過することと同じであり許されない。
そこで、当会は、基本的人権の擁護、社会正義の実現を使命とする弁護士の団体として誹謗中傷を行っている人々に対して強く抗議するとともに、ただちに誹謗中傷行為を止めるように強く求める。
また、当会は、性被害にあったすべての人に寄り添い、関係機関・団体と連携協力のもと、性被害や誹謗中傷についての法律相談事業および権利擁護のための活動を引き続き行っていく所存である。
2024(令和6)年2月21日
福岡県弁護士会
会 長 大 神 昌 憲