福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2012年10月 1日
会長日記
会長日記
平成24年度福岡県弁護士会 会 長 古 賀 和 孝(38期)
9月に入ったとはいうものの天晴れと言う他ない残暑が続いています。しかも予定された計画停電は実施されていないものの、折からの節電要請で冷房もこれまでよりずっと抑制されておりますので、暑がりの私にとっては、正に、試練の日々です。
さて、7月19日、20日と北海道弁護士会連合会の定期大会に、九弁連副理事長として出席しました。北の大地はその名の通り、どこまでも広大で緑に満ち満ちており、冷涼そのものでした。今回、道弁連では、「北海道は、広大な面積の中に海洋・平野・山地・河川等多様で豊かな自然環境を有するとともに、第1次産業も盛んであって、再生可能エネルギーのポテンシャルも極めて大きい。また、再生可能エネルギーの地産地消が実現した場合には、地場産業や雇用の創出等といった、副次的効果も認められる。」として、「再生可能エネルギー及び省エネルギーの推進に向けた取組みに関する宣言」が採択されております。昨年の東日本大震災と同時に発生した原発事故を契機として代替エネルギーに関する議論が広く国中で沸き起こっていることや、過疎化が進む現状への危機感から、誠に時機に適った宣言ということができます。北海道を九州と読み替えれば、概ね、地域特性は近似していますので、益々親和性を感じました。
午後からの大会に先立ち、午前中開催された「再生可能エネルギーに関するシンポジウム」は、地域活性化、経済効果、雇用創設と言った、日常の生活に直結する観点からの報告で大変興味深いものがありました。ドイツ視察を行った札幌弁護士会の若手会員からは、風力発電事業を共同出資でおこない配当や保守作業に従事して賃金を得ている、あるドイツの村人の詳細な報告がありました。また、別の報告者からは、北海道内の温泉施設を持った公共施設の電力供給を、全て木材チップ発電に転換したことで、木材伐採のためのルート開設、伐採事業、木材チップ製造、保管、輸送、発電設備保守などの全ての過程で雇用が創出され、これによって町内に環流する資金量は、油代などの町外流出を含む重油ボイラー発電時代の環流資金量と比較して、赤字から大幅な黒字となったとの報告がなされたときには、会場内の参加者からどよめきが起こるほどのインパクトがありました。木材チップ発電というと、電力の生産量の観点から、正直なところちゃちな印象がありましたが、なんとなんと、経済面でも雇用面でも過疎化対策の面でも、大きな成果を上げていることを知り、感心した次第です。
わずか2日間の札幌滞在でしたが、森林資源豊かな北海道ならではの再生可能エネルギーの利用実例を知るだけではなく、目標を持って地道に研究を行い、実践をしていく姿にも感銘を受け、北海道と同じ位に、広く、豊かになったように感じました。