福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2012年6月 1日
会長日記
会長日記
平成24年度福岡県弁護士会 会 長 古 賀 和 孝(38期)
例年行っている県弁役員交代に伴う挨拶回りを、今年は3月26日から4月半ばまでの予定で始めました。件数にして約160カ所、裁判所、検察庁の他、県内地方公共団体、国の出先機関、マスコミ、商工団体、財界、労働団体、NPOなど市民の生活に関わる団体、在福領事館を回ります。会長の私と、訪問計画に沿って数名の副会長、事務局長が挨拶回りグッズを持参して行きます。これだけの訪問先となると、訪問地域を考慮しながら挨拶回り先との日時の調整を同時並行的に行わなければなりませんので、担当の安原総務事務局長は複雑なパズルを解くに等しく、大変なご苦労をお掛けしております。しかしながら、訪問先との短い時間ではありますが、有意義な意見交換ができたときには爽やかな達成感もあり、ご苦労の賜としてなお一層感謝する次第です。
訪問先では、役員全員の交代を案内するのですが、弁護士会が1年の役員交代であることにつき2年乃至3年としても良いのではないかとのご意見を頂戴することがあります。1年の任期では協働した事業の実施状況や今後の展望を語るのに継続性が薄くなるとの懸念を述べられているものと思われます。このご意見に対しては、尤もなことではあるけれども、事務所を構える役員の本業に与える影響があることを笑顔をもってご説明し、続けて、1年という短い期間を認識して役員が全力で対応を取る決意であること、弁護士会活動は多数の委員会の継続的な活動に支えられているので、決して、継続性は損なわれないことをご説明しております。弁護士会への期待の大きさと言っても良いと思います。
挨拶回りに当たっては、弁護士会役員紹介書、弁護士会で行っている各種法律相談センターパンフレットの他、法教育案内、中小企業向け初回無料相談を記載したひまわりホットダイヤルのパンフレット、「福岡県弁護士会人権擁護活動2011」を持参します。相手先に合わせて、適宜使い分けています。今回の説明で、特に訪問先の強い関心が窺えるのは、「人権活動2011」です。弁護士は敷居が高い、弁護士、弁護士会はどのような具体的な活動をしているのか分からないとの意見を多く耳にしますが、弁護士会の人権擁護活動の説明をすると身を乗り出して聞いてくれるのです。私が冊子の1ページ目を開き、生存権を守る活動、子どもの権利を守る活動、両性の平等に関する活動、高齢者・障害者の権利を守る活動等々を行っており、これらの活動がほとんど福岡県弁護士会会員が負担する月額6万円超の会費に支えられていること、熱意ある会員が日常業務と併行してこれらを担当する委員会に所属して活動を行っており、公益活動は弁護士、弁護士会の使命であると説きます。子どもの権利に関わってきた橋山副会長や法教育に関わってきた甲木事務局長が同行してくれているときには、それぞれ二の矢、三の矢を速攻のごとく詳細に説明してくれます。
弁護士は敷居が高いとの認識を解消する方法の1つは、正に、この公益活動の充実・広報ではないかと一層想いを強くしているところです。感心しておられる訪問先に、つい弁護士は奥ゆかしく公益活動を行っているところをひけらかすことが苦手ですと言葉を添えますと、財源の確保・媒体の選択に苦慮するところは共通するのか、広報の難しさに会話は進みます。ひとえに委員会活動を行っていただいている会員の方々の弛まぬ活動に頭が下がる思いで一杯です。
本稿を作成している段階では予定している訪問先の6割ほどを回っています。ところで、去る4月12、13日の両日、第1回日弁連理事会が開催されましたが、理事会2日目の朝は九弁連管内の理事(会長兼務)が参集し、意見交換を行うことが慣例となっております。その席で、弁護士業務の周知、拡大に関し意見を求められ、前記したところをご説明しました。多数に上り、多方面に渡る訪問先、長期に及ぶ訪問期間つき、他会の理事から関心とともにそこまでやるかと言った驚嘆の声が上がりました。同席されていた当会選出市丸信敏日弁連副会長より、福岡県弁護士会会長は、トップセールスを行う重要な役割・責務がありますとの極めつけの補足がありました。この声に押されて、今一度、心を引き締めて、今後も予定されているところを精力的に訪問し、意見交換を行って参ります。また、就任挨拶終了後も、弁護士会活動に関わり、連携することにより市民の権利擁護の前進に繋がる関係団体については意見交換を重ねて行きたいと考えております。
2012年6月29日
会長日記
会長日記
平成24年度福岡県弁護士会 会 長 古 賀 和 孝(38期)
弁護士会活動のアピールを兼ねる役員就任の挨拶回りが終わりに近づく頃から、各部会集会が始まり、役員はこれに出席することになります。本年度は4月18日の筑豊部会(27名)に始まり、20日の筑後部会(81名)、25日の福岡部会(722名)、そしてトリが北九州部会(157名)となりました(なお人数は平成24年5月10日時点のものです)。福岡部会を除く各部会集会は、高い参加率でしかも近時の新規登録者の増加を反映して、大変な盛り上がりです。筑豊部会は27名の会員の内、20数名の参加を得て開催されましたが、さながら若手の決起集会の様子で、法律相談センターの自立化、評議員会の復活など大いに議論されました。筑後部会でも多くの若手会員が参加し、先輩弁護士からこれまでの部会の活動経過が説明されるなどどこか新旧バトンタッチを意識したやり取りがあり、部会の統一性維持のための腐心されている様子が理解できました。北九州部会では、法律相談センターの活動、部会評議員会の持ち方などについて会員間で熱心な討議と共に、北九州部会独立の運動経緯、今後の方針が先達会員から詳細に説明されました。いずれの部会においても、集会後に懇親会が企画され、弁護士会職員を含め部会集会参加者以外の会員も加わり、大変な賑わいです。各部会のことは各部会で議論の上決定し、実践するという、部会制度の長所が良く理解できました。福岡部会はと言うと、正直なところ部会集会参加者も少なく、出席率は低調で一抹の寂しさを感じざるを得ません。1000名に到達しようとしている県弁会員の内、福岡市周辺偏在が如実に現れ、若手と先達との絆の希薄化を痛感したものです。部会制度の長所、利点を生かす部会運営について考えさせられる部会訪問でした。
今年のゴールデンウィークの初日である4月28日は「秘密保全法に反対するシンポジウム」が、新緑まぶしく、大勢の行楽客でにぎわう福岡市のど真ん中にある天神ビル11階会議室で開催されました。こんな陽気の中で、何故に、連休初日に開催されるのか、と訝しく思われる会員もおられましょう。しかし、シンポジウムの詳細はこの月報にて報告がありますので、そちらに譲りますが、やはり開催しなければならない理由があるのです。一昨年9月の尖閣諸島沖での中国船と海上保安庁の巡視船衝突を契機として、突然、与野党相乗りで提案が予定された同法案は、規制の対象となる秘密の意義、指定方法、対象者、罰則いずれを見ても問題があります。幸い、法案提出は見送られたようですが安心はできません。パネリストとして出席いただいた外務省秘密漏洩事件の当事者である西山太吉氏の発言は強烈です。曰わく、秘密、秘密と言うが都合の良い秘密は当局が意識して漏洩することもある、しかし、秘密の根幹、本質は違法な隠蔽を要する秘密にあるのであって、法案の最終目標はこれに尽きると。そういえば尖閣事件報道の際、思い出すのは政府がそもそも情報収集を含め無策状態で、右往左往する姿を国内外に露見させたところにあります。自らの失策を露見させることを防止することが秘密保全法制定の発端とも言えます。旧ソ連のジョークで、政府中枢が馬鹿であると呼ばわるのは国家の存亡を危うくする極めて重要な国家機密の漏洩に当たる、よって厳しく処罰される、というものがあったように記憶しています。全く笑えない話です。
5月1日、2日に開催される日弁理事会に出席するため、4月30日から上京しました。物見遊山で完成したばかりの東京スカイツリーをほんの近くから見物してきました。高いわ高いわ天をも突き通さんばかりで偉容を誇っています。是非とも上って関東一円を望んでみたいと思います。さて、日弁理事会では先に実施された2回目の会長選挙の結果を受けて、宇都宮前会長、山岸会長予定者の挨拶がありました。もともと旧知の仲ということで選挙戦を振り返っての話しは殆ど出ませんでした。選挙管理委員会による確定前であったため、今回の理事会までは宇都宮前会長が議長を務め、山岸会長予定者はオブザーバーとして傍聴されておりました。中途半端なキャスティングで、議論は東京スカイツリーには到底及ばない、見通しの良くないものに感じました。詳細は秋月副会長のご報告を。