福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2011年7月29日

会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記


平成23年度 会 長  吉 村 敏 幸(27期)

福岡家庭裁判所からお濠を隔てた南側に平和台陸上競技場があります。福岡高裁から西側へ約500mの場所です。福岡国際マラソンの開催場所でお馴染みです。
以前、ここでは春から秋にかけて中高生たちの競技会がよく開かれていました。赤いトラックが周囲の緑とフィールドの緑に浮かび上がり、美しいです。芝生の土堤に座って子どもたちの走る姿を見る。するとスタート直後からスッ、スーッと一瞬のうちに集団から抜け出し、あっという間に後続を引き離す選手がいます。この当時は筑紫女学園高校全盛の時代で、速いのは大抵筑女の学生で、圧倒的な差をつけての1位でした。
これが実業団レベルになると、圧勝はあまり見られないと思っていたところ、今年の日本陸上の女子ショートスプリンター福島千里選手はぶっちぎりの優勝でした。為末選手は全くダメ。先天的な能力に優れた選手であっても、努力不足や精神面の不調などから、好不調があるとか。
(今、ほとんどの陸上競技会は「博多の森」へ移っており、平和台ではあまり実施されないとか。残念です)
たまたま先日、東京帰り便飛行機の中で「一瞬の風になれ」(佐藤多佳子著・講談社文庫)を読みました。高校生の陸上競技部の400mリレーを中心とした物語でしたが、バランスの良い走法を作り上げることによって走力がかなりつくことを知りました。その努力のうえに、精神面の充実も伴うという。
私たちの執行部活動も、努力努力の二文字です。
最近は、移動の交通機関の中では女性作家の文庫ばかりを読んでいることに気づきました。男性とは異なる視点やスタイルが多く、あまり考えないで、スーッと読めるのが多いです。

会務報告です。
◆ 毎年、新執行部は3月から5月にかけては、会務引継ぎ、新執行部の課題設定、委員会人事、あいさつ回り、予算、定期総会など、課題山積で、怒涛の毎日を過ごすといわれます。
  今年は大震災と原発事故の対応がさらに重い課題となり、加えて、困難な状況下での給費制の運動があります。
  6月4日の法曹養成を考える市民集会は、給費制をメインテーマとして開催したところ、西日本新聞会館にて約350名の参加者があり(「ホウな話」を読んで参加したという一般市民もおられました)。また警固公園→国体道路→昭和通り→天神交差点→アクロス前公園へと至るパレードにも約130名の参加者が元気一杯で行進し、通りの一般市民のビラ受取りの反応も良く、市民から激励を受けたという会員の報告もありました。
  6月16日、17日、18日は日弁の理事会と法曹人口政策会議ですが、私は市丸前会長と高橋副会長の3名で、福岡県選出の全国会議員あて6月4日給費制市民集会の報告書を携えて、更なる協力依頼のあいさつ回りをしました。
  衆議院18名、参議院8名。早朝8時30分に集合し、10時までに足早に回ります。議員がいるところではじっくり話ができましたが、多くは勉強会や外出中のため、秘書に冊子を渡し「今年8月末日の検討会議(フォーラム)において給費制廃止の結論にならないよう」念押しの口上を申述します。
  時間が足りなかったのですが、市丸前会長は理事会昼食時間に一人で残り全議員を回っていただきました。頼もしい限りです。
  回った限りでは、議員や秘書は問題の所在を概ね理解しておられ、反応も大変良かったとの印象を受けました。
  この視点は、・給費制が戦後間もない昭和22年5月に統一修習制の採用とともに給費制が始まった歴史的経緯、・弁護士、弁護士会の公益性、・修習生の修習専念義務、・ロースクール生、修習生の置かれた現状、などです。これらから金持ちだけしか受け入れない貸与制は廃止すべきことを訴えていきました。
  しかし、フォーラムの第1回議事録(公開)を読む限りでは、桜井財務副大臣の感情的反発などが露わであり、歴史的経緯と現状に対する分析と評価が明確になされるか否かについて議論の行方が懸念されます。まだまだ10月末日まで運動を盛り上げなければなりません。

◆ 当会独自の問題としては、共済規定廃止の問題と、新会館建設に向けた取組みに取りかからなければなりません。
  共済規定については、前年度執行部が3月の臨時総会で成立を目指したものの、会員への周知が不足しているのではないかとの問題提起がなされたため、一旦撤回され、今年度へと引き継がれた課題です。
  現在、共済会費は毎月1,000円をいただいています。この積立金が現在約9,000万円近くに達しています。以前は各部会互助会において積立金から慶弔、退会等の事由に対して一定の金員が支払われてきたわけですが、平成8年4月1日から県弁全体として一本化しました。ところが、会員が1,000名を超えると保険業法の適用対象となることから、大きな単位会はこの規定の改廃を余儀なくされています。
  方法としては、・これまでの積立金の一定割合を返還するのか、・これを一般会計に繰り入れて基金的に運用するために、共済会費は受領せず、従前積立金のみから出損することとして、今後の払戻金を少額とする方式、などです。
  臨時総会で指摘された周知方法については、登録歴30年以上等、一定年限以上の登録会員を対象とした説明会を開催するか、またはアンケート方式とするか、いろいろと方法があると思われますが、ともかく今年中には当会会員数は1,000名を超えることが見込まれますので、早急に皆様にご提案したいと考えます。

◆ 新会館問題
  この問題は、会員の会費負担とも絡んでおり、広く皆様のご意見をお聞きしながら会館の機能と規模を判断していくことになります。
  月報6月号に山口雅司会員のアンケート分析報告がなされていますが、これを受けての新会館委員会の検討結果を踏まえて、秋ごろには一定のご提案を出さなければいけないと考えています。
  現在は、会員の活動が活発で部屋が足りずに執行部は困ることが多く、かといって賃貸も空きがなくて困ることが多いというのが実状です。
  皆様のご理解をよろしくお願いします。

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