福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2011年6月 1日
会長日記
会長日記
平成23年度 福岡県弁護士会 会 長吉 村 敏 幸(27期)
東北地方では四月に入っても被災の現場に雪が降っていました。寒い春の訪れでした。一方、福岡は四月も下旬になると暖かな陽光とともに新緑が芽吹き、一気に初夏の装いを始めました。1、私たち執行部の今年度の課題はたくさんありますが、そのうちの第一順位に対応を求められたテーマが、東日本大震災、原発事故を巡る復興支援活動でした。 4月2日に「東日本大震災復興支援対策本部」を立ち上げ、以下の活動を始めました。・ 被災移住の人たちを対象とする無料相談活動・ 中小事業者を対象とする「ひまわりほっとダイヤル」を通じての取引関連の無料相談活動・ 震災・原発事故に対応する研修活動・ 義援金募集・ 将来の現地派遣に向けた弁護士の応募体制づくりの検討 これらの諸活動は、多くの会員の皆様からの強い要請に基づくものでした。 義援金は4月23日現在149件、合計908万円が寄せられています。 この使途は会長一任とされていますが、執行部としては、かつての阪神淡路大震災当時の日弁連の方針を参考にしたうえで、大方の目安として半額を被災弁護士会、半額を被災者の方々へと考えています。 岩手、宮城、福島の東北三県の弁護士会では、多くの会員が事務所機能を喪失しながらも、自治体と連携して被災現場での無料法律相談活動を継続しており、資金的に困難であるということから、4月8日までに各三県の弁護士会から義援金の要請がありました。 そこで、同日時点の約半額分として、各県弁護士会あて各100万円、合計300万円を送金しました。 研修活動についても、・災害救助法、・災害弔慰金の支給に関する法律、・被災者生活再建支援制度に基づく救済、・雇用保険の失業等給付制度(労働者)、・雇用調整助成金制度(事業者)、・死亡認定制度、・その他労災認定にあたっての通達や生保・損保の対応策など、従来、一般的な法律相談では必要とされない法制度が多く、またメンタルサポートも重要であるため、弁護士としても人格面も含めた総合的な対応能力が試される現場になることが予想されます。 また、5月25日午後1時からホテルニューオータニにおいて、定期総会前に被災現場から2名の弁護士を招いての被災現場の状況と相談事例等の報告会を受け、当会として復興支援活動の具体策をさらに充実させたいと考えています。 ぜひ、多くの会員の皆様のご協力をお願いします。2、給費制の運動 前記のとおり、現在東北三県の弁護士会はボランティアで多くの被災者と向き合い、彼らとともに悩み、同時に権利擁護活動を行なっています。 阪神大震災のときも、この度の東日本大震災のときも、常に弁護士会は早い時期に救済体制をとり、国民とともにあり続けました。 もともと、司法修習生の給費制というのは、昭和22年の敗戦後の国の財政窮乏化において、採用された経緯があります。すなわち、昭和22年5月裁判所法の改正により、法曹養成を司法修習に一元化したことです。現下の国難ともいうべき時期にあっても、法曹を養い育成する義務は国にあります。より良い法曹を育てることは、ひいては国民全体の利益になることを訴えていくことが大事だと思います。 給費制の催しは6月4日土曜日西日本新聞会館において開催されます。多くの会員の参加をお願いします。3、私たち執行部は、すでに2月から前年度執行部の引き継ぎを受けつつ、助走を始めました。感じることは、業務の多さです。 会務の継続性は委員会の継続活動により保たれますが、1年任期の執行部は継続性を検証しつつ、各委員会間の調整役となり、また社会状況の変化に応じて新たな課題を見出して、委員会での議論をお願いしています。 今年度は、第一に国際委員会と中小企業支援センター委員会にまたがるテーマとして、国際取引問題を調査してみたいと思っています。 これは、とりわけ福岡の中小企業が対アジア方面に向けての取引において弁護士としてどのような関与が可能なのかについての勉強会を行なうというものです。 第二に現在、執行部では当会会員が任期付公務員として採用された場合において会費免除が可能とならないかどうかについての検討を行なっています。 これは、本来は所管委員会の検討を踏まえて常議員会等での議論を行なうべきことであると思いますが、5月の定期総会が目前に迫っていましたので、執行部において早急にご提案することとしました。 また第三に、会長として将来の執行力を考えたとき、業務の多さに対して現行の副会長体制のままでいいのかどうか、また副会長は多くは義務的に選出されつつも、さらに自ら多額の執行部活動費を拠出しながら、職務に専念しています。 私は、このような執行体制は改めるべきではないかと考えています。今年度、議論をお願いしたいと思います。4、私は会長になって、変わったこと、気を付けるようになったことがあります。 あらためて言うまでもないことですが、会長職は公人です。 そのため、身だしなみに気を配るようになりました。 以前は、ネクタイなど気に入ったものがあれば1年中同じものを、まさに擦り切れるまで使っていましたが、気を付けるようになりました。洋服や整髪も今まであまり気にしませんでしたが、いろいろな催しがあるので気を付けるようにしました。 最も気を付けるようにしたのは、言動です。できるだけ舌禍事件を起こさないように、慎重に配慮すべく心がけていきます。