福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2011年4月 8日
会長日記
会長日記
平成22年度福岡県弁護士会会長日記会長 市丸信敏(35期)
◆人権白書「人権擁護活動2010」今年度の執行部は何をしたの、と問われると、「給費制で明け暮れました」と、つい口をついてしまいそうです。ですが、給費制の運動のおかげで多くの人の暖かいご支援に接することができて、これまで経験したことがないほどに大きな、そして多くの感激・感動を頂戴しました。本当にありがたく思っています。ただ一方で、街頭行動や各方面への要請活動等を通じて、弁護士そして弁護士会・日弁連の人権活動や公益活動が世間の人にこんなにも知られていないのかと呆然とし、日ごろ会員の皆さんがどれほどの自己犠牲の上にこれら活動に地道に奮励して頂いているかをよく知る一人として、誠に悔しい思いをしたことも少なくありませんでした(このことは、昨年10月号の会長日記に詳しく記させて頂きました)。しかし、これは考えてみれば、端から見ると、単にわれわれの的確な広報の努力がまだまだ足りていなかったというだけのことなのかも知れません。大事なことは何度でも繰り返し伝える努力をしなければダメだ、分かってくれているはずとの思いこみではダメだ、ということも、給費制運動で学んだことの一つです。そこで、今回、ひとつの試みとして、当会の昨年1年間(1~12月)の人権活動の白書を作って、県内の自治体や関係諸団体、マスコミ関係者や議員さんら等々に広く報告(広報)してみてはどうかと企画しました。もしこれを毎年続けて、この冊子を手にしてパラパラ(あるいはチラッ)とでも見てくれる人が少しずつでも増えてくれれば、当会のサポーターがさらにじわりじわりと増えてくれるのではないかとの構想です。常議員会の賛同を得て実行に移し、早速、多くの委員会から快く原稿を寄せて頂き、この度、「福岡県弁護士会の人権擁護活動2010」として刊行できる運びとなりました。本文40ページ程度の簡素な小冊子です。会員の皆さまにも1冊お届けさせて頂きます。ご自分が関係する委員会以外の活動を広くご存じ頂く機会も普段はなかなかないかとも思われますので、是非ご高覧を頂ければ幸いです。趣旨を踏まえて短期間で原稿を寄せて頂いた各委員会や、一手に編集作業を引き受けて頂いた小林副会長に、この場を借りて厚く感謝を申し上げます。◆法教育センター本年4月から、「法教育センター」を当会で発足させることになりました。子ども達などに正義、公平などの法の基本的な価値観に基づき問題の解決を考えてもらう授業などに取り組んで貰うことを推し進めるのが、弁護士会の法教育活動です。子ども達に生きる力を備えて貰うための新しい教育、そして、司法改革が実現を目指す法化社会の担い手としての主権者を育てる教育をサポートするものとして、近年にわかに重要性を帯びてきています。当会では、法教育センターを立ち上げることによって、会員の皆さまにひろく協力を募って、学校への出前講師(ゲストティーチャー=教員とのコラボレーションで授業に参加する)などを少しずつでも担って頂ければと願っております。生き生きと向きあってくれる子ども達と触れ合えて、楽しく、やり甲斐のある活動です。負担が重くならないように、テキスト類の作成作業も進んでおり、研修(オリエンテーション)などと合わせて、どなたにも参画して頂けるようになります。ご案内の節は、是非ともエントリーして下さるよう、よろしくお願い致します。◆ひまわりほっとダイヤル(中小企業支援コールセンター)中小企業にも法の光を!法の支配が中小企業を含めて社会の隅々まで行き届くことは、司法改革が目指す法化社会の実現のために重要なことです。その理念に基づいて、当会では昨年5月の定期総会で「中小企業への積極的な法的支援を行う宣言」をご採択頂いております。昨年4月から活動を開始した、当会の中小企業法律支援センターの取り組みの柱の一つとして、「日弁連ひまわりほっとダイヤル」というコールセンター業務(電話番号0570-001-240)があります。中小企業経営者がこのダイヤルに電話すると、最寄りの弁護士会(相談センター)に電話がつながり、会が相談担当弁護士を割り当て、その弁護士から折り返し連絡を入れて速やかに面談相談に応じる、という日弁連が構築した全国システムです。この事業開始に伴って、キャンペーンとして、全国で、当初は半年間、これを延長して更に半年間、コールセンター利用者に無料相談を実施してきました。当会は、委員会の努力の甲斐あって、全国でも常に上位の好成績を収めてきています。コールセンターの周知・定着のためには、なおしばらくの間のキャンペーン継続が相当であるとの日弁連の要請がなされました。当会では、商工会議所はじめ各種中小企業団体や行政(経産局や県など)・政府系金融機関などとの間の連携関係構築に委員会が地道に取り組んできており、このコールセンター無料キャンペーンはその有力なツールであることも報告されました。それらの結果、無料キャンペーンを更に1年間(24年3月末まで)続けることが常議員会で承認されました。研修等の一定の要件はありますが、希望する会員はだれでもコールセンターの相談員に登録できます。どうか、ご理解・ご協力をお願いします。◆共済制度の廃止について3月9日の臨時総会では、共済制度(共済規程)の廃止・残余財産の一般会計組み入れという重要議題がかかります。保険業法の改正によって、会員数1000名を越えた弁護士会では、保険業法の適用を受けることとなって共済制度の継続が困難となります。そこで、会員1000名を目前にする当会での対応が必要となり、他会での先例を調査し、機構・財務改革委員会からの答申を受ける等して、やむなく、共済制度は廃止をさせて頂くことに致した次第です。なお、この廃止後は、一般会計から社会的儀礼の範囲内での慶弔見舞金をお支払いさせて頂く新たな制度を設ける予定です。◆バトンゾーンをめがけてこの時期、次期執行部メンバーも各種会議に努めて出席を始められる等の光景を目にして、いよいよわが執行部のゴールも間近に迫ってきたなあという実感が湧いてきます。他団体の会長さんなどからは、1年で任期終了という話しをすると羨ましがられたりしますが、全国を見回しても、弁護士会の役員はほぼ例外なく1年任期です。但し、日弁連の会長と事務総長は2年任期であり、また当会でも、昭和60・61年度に田邉俊明会員が最後の2年間の会長をお務めになられましたが、それまではずっと2年任期(事実上の)でした。ところが、世間的には団体役員の1年任期はかなり異例と映るようです。実際に1年近く経ってみてようやく分かってきた事柄も少なくなく、対外的にも、やっと諸関係者との顔つなぎやパイプができかけたかなという感触があることも否定できません。正直、弁護士会としての執行力の強化という点からは、複数年任期制がベターなのではないかとの感想も覚えます。ただ、現実問題として、本業の傍ら会務に打ち込むには、1年間でも、気力・体力・財力の限界を痛感するに十分な期間と言え、やはり1年交代制が穏当なところなんだろうと感じる次第です(もっとも、今後、上記の3つの力を満たす方にご出馬頂ければ、話しは別でもよいのではないかと思います。)。当会では、従前から新旧執行部の引継ぎが重視され、重点課題を含めしっかりと受け継がれていきます。1年交代で会長が替わるからといって、急に路線が変わる、ということはまずありません。そんなこんなを感じつつ、2月20日に予定されている現次期執行部の引継ぎ会(第1回)に間に合わせるべく、会務引継書の作成作業が急ピッチで進められました。1年前に前年度の池永執行部から引き渡された引継書をベースに、執行部各員が手分けして、1年を振り返りながら作成し、日曜返上の打ち合わせ会などを経て校正を重ねました。最後に井上総務事務局長がつなぎ合わせて完成させてみますと、前年度の引継書から更に100ページほども増えて、総ページ数はついに300ページにも達してしまいました。任期末を間近に、たまっていた諸課題が目白押しに寄せてきて、定例(2週に3回)の執行部会議はついつい長引き、毎月2回の常議員会も議題山積となり、ついに前回(2/7)の常議員会は4時間半(終了は午後7時半近く)ものロングランでした。ダッシュで駆け出す構えの次期執行部が待つバトンゾーンまで何とか無事にたどり着き、しっかりとバトンを手渡すべく、息切れ気味の全身をムチ打ちながら、全員でラストスパートです。