福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2011年3月23日
投票価値の格差是正を求める会長声明
声明
本日、最高裁判所大法廷は、2009年8月30日に施行された衆議院議員総選挙につき、「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」とする判決を言い渡した。これは、2009年衆議院総選挙において、小選挙区選出議員1人あたりの選挙人の人数較差が、最大2.30倍に達していたため、選挙権の平等を侵害し違憲であるとして、選挙の無効を求めて、福岡県を含め全国で提起された訴訟9件について、最高裁が判断を示したものである。
そもそも、議員1人あたりの選挙人の人数が均等であるべきという投票価値の平等は、法の下の平等(憲法14条1項)、選挙人資格の平等(憲法44条)を定める憲法の要請である。また、投票価値の平等を確保することは、「国権の最高機関」(憲法41条)である国会に国民の意思を的確に反映するための重要な条件であって、議会制民主主義、ひいては国民主権を支える要の一つである。
本日の大法廷判決は、投票価値の平等について、「定数配分及び選挙区割りを決定するについて、議員1人当たりの選挙人数又は人口ができる限り平等に保たれることを最も重要かつ基本的な基準とすること」を憲法が求めているとした上で、衆議院小選挙区の区割りにあたり、人口比例部分とは別に各都道府県に議員定数1を配当する1人別枠方式について、「遅くとも本件選挙時においては、」「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態に至っていた」と述べている。
大法廷判決の結論にも示されたとおり、投票価値の平等の重要性にかんがみれば、投票価値の格差が2倍を超えることは憲法の要請に反するというべきである。
当会は、国会に対し、速やかに、衆議院議員総選挙における投票価値の格差を是正するための措置をとることを求める。
2011年(平成23年)3月23日
福岡県弁護士会
会長 市 丸 信 敏