福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2010年4月13日

会長日記

会長日記

その11 <新たなうねりに背中を押され、追い込みとリハビリと>  
1月15日~2月14日

平成21年度 会 長 池 永   満(29期)

新たなうねりとともに幕を明けた新年 1月19日、62期の方達の歓迎会を兼ねた新年会が開催されました。昨年度の72名よりは少なくなりましたが、現行7名、新55名、合計62名の新規登録会員の皆さんが発する若々しいエネルギーがホテルモントレ・ラ・スール福岡のホール一杯に充満しました。 その4日後の23日、九弁連管内の裁判所支部や独立簡裁所在地で活動している弁護士の交流会が開かれました。会場となった県弁会館3階ホールは、入場制限を出す限度の100名に近い弁護士で一杯になりました。支部交流会を企画した九弁連司法改革連絡協議会の担当理事として出席した私も含め、この日参加していた九弁連理事や主に都市部で活動している弁護士は、一堂に会した支部等の「弁護士過疎地域」で活動している弁護士各位の実像に接して、言葉は悪いけれど「田舎臭い年寄り弁護士」というような従前のイメージが完全に打ち砕かれ、目が醒めるような思いだったのではないかと思います。 そのほとんどが弁護士経験1年から数年程度という新進気鋭の若者達で占められていたというだけではなく、一人一人の生き生きとした活動報告がとても新鮮で、乏しい司法インフラをものともせず、自ら行動して社会的弱者や地域住民の権利擁護者として活動している姿を彷彿とさせるものでした。今や、法テラスのスタッフ弁護士、ひまわり基金法律事務所の弁護士、弁護士法人の従たる事務所の弁護士、弁護士会の過疎地域支援システムを利用して独立開業した弁護士等が支部等で活動している弁護士の主要な構成メンバーになりつつあるということもよくわかりました。つまりは司法制度改革の落し子達です。 そうした流れの中で10年前には1名の弁護士しかいなかった支部で現在は10名の弁護士が活動し訴訟事件数も大幅に増大した地域や、事件数の増大に応じて非常勤が常勤に、さらに常勤裁判官の増員へと裁判所機能の充実をもたらす原動力にもなっているという経験も生まれています。間違いなく司法制度改革の成果が息づいていることを実感することができました。 地域における弁護士会の顔    ~あらたな相談拠点づくり進む 従前は月に1度の土曜日だけ相談を行っていた豊前市に、月曜日から金曜日まで毎日相談できる北九州部会豊前相談センターが2月から開所されることになり、1月29日、開設披露式が行われました。豊前市長、市議会議長を始め豊築地域の全ての自治体幹部の皆さんが参集していただき、熱烈な歓迎の祝辞をいただきました。昨年4月、就任挨拶に訪れた際、市長から、弁護士が一人もおらず、いざという時に相談できない不便さや、少なくない市民の方がお隣の大分県中津市の弁護士を訪ねていること等をお聞きし、その帰り道で何としても豊前市での常設相談所を開設したいと交々語り合った北九州部会の服部弘昭部会長の決断とこれを支えて準備を進めてこられた北九州部会の会員の皆さんの努力の結晶でした。 時を同じくして、数ヶ月に及ぶ常議員会での議論に耐えて奮闘された野田部哲也担当副会長の執念と上田英友委員長を始めとする法律相談センター委員会の皆さんや職員の方達の周到な準備の中で、県弁護士会の旗艦である天神弁護士センターを抜本的に拡充するための移転拡張工事が完了し、2月1日、福岡県や福岡市の市民相談担当部局の責任者らをお招きして、リニューアルオープンの披露式が行われました。会員の皆さんからいただいた負担金から蓄積してきた埋蔵金(?)の一部を取り崩してのリニューアルでしたが、相談に訪れる市民の方はもとより相談を担当する会員の皆さんや職員の方にも喜ばれる環境を整えることができたのではないかと思います。新装となった天神弁護士センターには2月27日には大連市律師協会訪日代表団の、3月13日には横浜弁護士会新旧執行部の方々の視察訪問も予定されています。 2つの相談拠点の拡充を記念して全県で実施した無料相談も盛況裏に終わりました。弁護士(相談)センターが市民と弁護士会をつなぐ大切な接点であるとともに、会員における業務活動の場としても一層重要な役割を果たせるように発展させていくことが重要だと思います。 全会一致で「人権救済調査室」設置へ、 主任指導弁護士配置など「新人研修制度の拡充策」と1歳未満児育児中の会員の「会費免除制度の創設」に向けての検討進む 1月28日、久留米で開かれた常議員会では、今年度執行部が昨年4月の常議員会で表明した「重点課題」に関連して、この間までに委員会や常議員会で頭出し的に検討されてきていた重要案件が審議題として一斉に上程されました。3月11日に予定している総会議案とするためには、2月に予定されている2回の常議員会の中で議決を得る必要があるためです。 上程した重要案件の第一は、当会における人権救済機能を抜本的に拡充強化するために従前の人権擁護委員会と密接に連携をとって活動する「人権救済調査室」を会長の下に設置する議案です。昨年5月の総会において採択されている人権救済機能強化特別決議を具体化する提案でもありますが、人権救済調査室は従前委員会が行っていた予備調査等を集中処理してスクリーニングすることにより、委員会の活動を本調査中心にシフトさせて充実させるとともに滞留案件を増加させないことなどを眼目にしています。人権救済調査室には会員の中から当面5名程度の嘱託が委嘱される予定ですが、嘱託会員には常議員会で定める報酬が支給されます。 「人権救済調査室設置規程案」は2月10日の常議員会において全会一致で採択されましたので3月11日の臨時総会で承認を得られれば年度内にも嘱託の委嘱準備が進み、新年度から発足することになります。 残りの重要案件は、主任指導弁護士配置など「新人研修制度の拡充策」と1歳未満児を育児中の会員の「会費免除制度の創設」に関連する会則改正案ですが、2月10日の常議員会ではさらに検討すべき点が指摘されましたので、次回(25日)に持ち越しています。次回での議決が得られれば、やはり3月11日の臨時総会に上程される予定です。 なお2月10日の常議員会では、年度末に向けて各委員会から新たな議題や報告事項が直前に執行部に提出されてきたこともあり、重要案件に加えて想定外の追加議題が目白押しとなり終了予定時間を90分もオーバーする長丁場になりました。あきれ顔ながら最後まで匙を投げずに職務を全うしていただいた福島康夫議長に感謝、感謝です。 1年間の封印を解き、リハビリを開始しました。 昨年1年間、弁護士会の課題以外の講演等は一切お断りをしてきたこともあり、主として患者の権利に関連するものですが未整理の貴重な情報が私の頭には一切インプットされないまま、事務所の机のみならず、会務の便宜のために設営した赤坂オフィスや自宅の至る所に山をなしています。このままでは会務明けの4月以降であればということで安請合いしている研修会等の日程に首尾よく対応することができるのか、甚だ心もとない状況です。 そこで自分自身の情報の更新とリハビリを兼ねて、新年に入ってから封印方針を転換することにし、1月15日には久留米保健所主催の医療安全対策研修会で「医療施設における患者の安全を確保するための法的視点」、1月29日には九州大学病院個人情報保護セミナーで「病院における個人情報~とりわけ診療記録情報の取り扱いにおける留意点」を講演させていただきました。これからの日程ですが2月17日には今年中に「医療福祉生協連合会」へと組織変更を予定している全国の医療生協が「患者の権利章典」を制定してからの20年を振り返り、これからの展望を語りあうシンポジューム「医療生協の患者の権利章典の今後を考える」で報告することも引き受けてしまいました。当時からの資料をひっくり返しながら新鮮な気持ちで胸を躍らせている自分に気づき苦笑しているところです。 さらに言いますと、昨年設立する予定でしたが会務に集中するために延期していました朝倉市と糸島市での法律事務所開設のための現地調査にも着手しました。「善は急げ」という私の性分から、新たな課題に着手すると瞬時に気持ちが移って走り出してしまいますので、今から1ヶ月は「じっと我慢の子であった」ということでもありませんが、はやる気持ちを抑えつつ、3月11日の臨時総会で無事に重要案件が議決され今期執行部としての役割を果たし終えたうえで、本格的な事務所開設の準備に入りたいと考えています。 (2月14日記) 

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