福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2010年1月19日
会長日記
会長日記
福岡県弁護士会会長日記
平成21年度会 長 池 永 満(29期)
No454 その7
<新しい息吹き、天高く想い膨れ、語り合う我ら> 9月16日~10月14日
新しい息吹きを感じる季節 9月16日、新政権の誕生とともに、法テラス・スタッフ弁護士として養成する弁護士(旧62期)が私の事務所に着任しました。会務のためほとんど仕事をしていない私だけでは鍛えることができませんので、事務所の若手弁護士を指導担当弁護士として共同で事件処理をし、12月には新たに入所予定の三名の新人弁護士(新62期)をライバルとして切磋琢磨しながら、期間は1年と短いですが可能な限り色んな経験を積んでもらい、勇躍して過疎地に赴任できるよう支援したいと思います。 9月18日は福岡修習新62期生の合同送別会。2日目の日弁連理事会を午前中だけで早退して帰福し参加しました。みんな無事2回試験を終え、笑顔で福岡に帰ってきて下さいとエールを送る。昨年は1年間で70名を超える登録がありましたが、今年は何名が福岡県弁護士会に登録し、私たち法曹の仲間として新たな1歩を切り開くことになるのか。 10月2日、NPO法人九州アドボカシーセンター(理事長/馬奈木昭雄弁護士)の合格祝賀会が開催されました。アドボカシーセンターは地域で人権のために活動する弁護士をめざすロースクール生に生きた事件から学ぶための「人権セミナー」や「自主ゼミ」の機会を無償で提供するため、法科大学院発足とともにスタートしたNPO法人です。県下四大学のロースクール学生が研究生として登録していますが、新60期1名、新61期2名、新62期4名、そして今年9月に合格発表があった新63期は8名と、倍々ゲームで合格者を出しています。所属大学も違いますのでセンターとしては特段の受験指導等はしていませんが、人権セミナー等に参加することにより、どのような法律家をめざすのかという自分自身のモチベーションを形成し維持することが勉強への励みを生み出す力になっているのではないかと思われます。 弁護士会としては、こうした法曹をめざす新しい力を積極的に受入れて、彼らが地域社会の隅々で「社会生活上の医師」として活動していけるような仕組みを編み出し、多様な受け皿作りに努力する必要があるでしょう。 あれもこれものシルバーウイーク 9月の大型連休が、5月の「ゴールデンウイーク」とともに「シルバーウイーク」とよばれて、私を誘い出そうと微笑みかけていることに気付いたのは直前のことです。実は私の手帳では9月19日から27日までは早くも4月から斜線が引かれており一切の日程を入れず封印されていました。弁護士会としての「人権救済システム等の海外調査」を予定したものです。 しかし、そのもくろみが頓挫したため、突然ぽっかりと大型連休が私の眼前に開かれたのです。そのために雑然と、あれもこれも風に、しかし楽しい日々となりました。 最初の2日は2~3の原稿書きと墓参りをしたあと、前期執行部からの引継書をチェックして今期執行部として後半戦における取りこぼしがないように検討するための執行部合宿の準備。 真ん中の連休(2泊3日)は山登り。長男夫婦とそれぞれの両親、あわせて三組6名の一行で久しぶりに久住山に遊んだ後、私たち夫婦だけで熊本県菊池の八方ヶ岳へ。もっとも狙いは山よりも付近の温泉三昧でした。 そして最後の数日は、中華人民共和国成立60周年祝賀会(9月25日)、適格消費者団体設立総会(9月26日)、そして、会務のため面会の間隔が開きがちになっている成年被後見人やその家族のお見舞いの病院巡り(9月27日)、執行部合宿と台北福岡事務所との懇親会(9月28日)と、いささかバテ気味で締めたのです。 「核兵器廃絶」を後押しするノーベル平和賞 オバマ大統領にノーベル平和賞が授与されました。まだ実績があるわけではないけれど、「核爆弾を投下した唯一の国としての道義的責任」を明言した上で「核兵器のない世界」をめざすことを誓い、国連等においても行動を開始しているオバマ氏に対する大きなエールであり、オスロの授賞式への参加も良い意味で強いプレッシャーとなるでしょう。ノーベル賞の中で唯一スウエーデンではなくノルウエー国会が授賞主体になっている平和賞については、たまに首を傾げたくなるものもありましたが、今回は実にすばらしい政治判断をしたノルウエー・ノーベル委員会に拍手を送りたいところです。 その後、日本では東京落選決定を待っていたかのように、2020年に平和の祭典オリンピックを広島・長崎に招致する呼びかけが発せられ、「核兵器廃絶」にむけた想いも大きく膨らみつつあります。オバマ氏には近日中の広島・長崎訪問も期待したいところです。「自分の生きている時代には実現しないかもしれない」というような弱気を捨てて、速やかに「核兵器廃絶」を直接の議題とする国際交渉を始める力仕事の先頭に立つ決意を固めてもらうためにも。 和気あいあいに学び合う3会交流 大阪弁護士会、広島弁護士会、当会による定例の3会交流会が10月11日当会の会館ホールで開催されました。この組み合わせの3会交流は10年前後の歴史がありますが、個別の交流はそれより前から続いています。私は今から15年前、国武格先生(故人)が会長のときの副会長でしたが、当時急速に拡大しつつあった当番弁護士等の活動を支えるためにリーガルサービス基金を確立する必要があり、国武会長は破産管財人報酬からの負担金徴収の導入を決断され自ら多額の負担金を拠出されましたが、その方法は大阪弁護士会から学んだものでした。またマスコミ担当副会長であった私は、当時有料で宣伝していた当番弁護士の広告に代えて無料でかつより効果的な広報はないものかと考えていた時、広島弁護士会が当番弁護士名簿を断続的に地元新聞の記事として掲載させていることを知り、早速現物を取り寄せ福岡の司法記者クラブ加盟各紙に働きかけ、「今週の当番弁護士」欄を設けて広報してもらえるようになりました。このように、大阪会や広島会から多くのことを学んできた感謝の思いは、相手方においても共通であり、執行部が代わっても引き継がれています。今回も裁判員裁判の検証や市民窓口の運営、委員会活動活性化の方途等、全ての協議題で互いに学び合い、共鳴し合うことが多くあり、稚加榮で開催した懇親会、更に2次会まで和気あいあいの議論に花を咲かせました。 民主党議員との懇談会 既に参議院では2回可決されている取調べ過程の全面可視化法案。新政権で法務大臣に就任した弁護士の千葉景子さんは、最初の記者会見でも、日弁連への就任挨拶でも、第一に「捜査の可視化」を進めると明言しています。そうした情勢を受けて、日弁連は、臨時国会開会前に与野党を問わず全ての国会議員に対する緊急の要請活動を展開することとしました。 福岡県弁護士会も執行部が手分けして、全ての議員に要請活動を行うとともに(私は10月10日自民党の武田議員と山本議員を訪問しました)、民主党については日本弁護士政治連盟(弁政連)九州支部を通じて懇談会を申し入れることにし10月12日開催されました。懇談会には松本龍衆議院議員(民主党福岡県総支部連合代表)をはじめ県内選出の8名の議員本人と4名の議員代理(秘書)の方々に出席いただき、弁護士会からも県弁護士会、九弁連、弁政連九州支部の執行部からそれぞれ数名、合計14名が参加しました。予定の2時間びっしり使って、可視化法案の展望にとどまらず、法曹養成問題や司法改革の現状認識、新政権における政策決定のあり方など幅広く率直な意見交換をすることができました。 今回は初顔合わせで互いに集団山見せのようなものですので、今後具体的な課題毎に必要な協議の機会を設定することになりますが、松本議員も強調していましたが、国会での立法作業などを念頭に置けば政権党である民主党とだけの協議で事態が打開できるものでもありません。政治に対する働きかけは、先月号で予測したとおり、なかなかの力仕事になるように思われます。ということで、弁政連九州支部では今後自民党や公明党等との懇談会も検討されています。 (10月14日記)