福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2010年1月19日

会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記
平成21年度会 長 池 永   満(29期)
No453 その6 
<多事争論、そして実りの秋へ> 8月17日~9月15日

<裁判員裁判の公判始まる> 遂に裁判員裁判の公判が始まりました。第1号事件(9月9日~11日)第2号事件(15日~18日)にむけた検証体制を議論する中で市民モニターに加えて弁護士モニターも配置することを決定したことに伴い2席以上の傍聴席を確実に確保するために、裁判員本部のみならず福岡市内の会員弁護士と事務職員の皆さん、市民モニターに登録されている皆さんにも傍聴整理券確保のために協力をいただきました。おかげで連日の法廷の全てを、2名のモニターはもとより執行部や裁判員本部の弁護士等も傍聴でき、やはり模擬裁判とは異なる緊張感あふれた裁判員裁判の公判をリアルに体感することができました。感謝、感謝です。 とりわけ市民モニターの視点は裁判員裁判の検証を進めるにあたり有効性が高いということでマスコミをはじめ各方面から注目されており、他の弁護士会においても設置する動きが始まっています。
<動き出した地域司法計画> 7月号月報で報告しました「福岡地域司法計画(第2次案)」(2008年2月作成)の取り扱いについては、第2回委員長会議(7月29日)における意見交換を踏まえた上で、8月27日の常議員会において、弁護士数や相談センターの活動状況等に関する最新データを補充するとともに第2次案作成後に進展した制度改革や弁護士会の取組みを紹介する内容の「前文」を付した上で第2次案本文はそのままの形で確定し公表することが承認され、9月1日付で会員各位や関係機関等に送付されました。 常議員会は同時に「福岡地域司法計画推進室」の設置規則を制定しました。推進室(室長・牟田哲朗会員)の眼目は、第2次地域司法計画の内容について、関連委員会に対し担当分野の課題を計画的に推進するための「年次計画案(計画の補正や新規追加を含む)」の提出を求めるとともに、担当委員会がない分野(例えば弁護士過疎対策等)に関しては自ら年次計画を作成し、これらを集約して執行部に提案し、「福岡地域司法計画」の進行状況を検証しつつ着実に推進していくための活動を行うところにあります。 現在日弁連のもとで全国の単位会や地方弁連における第2次地域司法計画の集約作業が進められていますが、これを検証・推進する体制を確立したのは当会が全国で初めてのようです。 地域司法計画の推進に関連して既に具体的な取組みも始まっています。一つは相談センターの充実です。天神相談センターについては、相談時におけるプライバシーの保護やゆとりのある相談室や事務室、或いはADR室や待合室の配置等を実現するための移転拡充計画が準備されています。また北九州部会においては、従前会議室を都度借用して相談活動を行っていた豊前市において、通常日は毎日相談担当弁護士を配置する「豊前相談センター」を新設します。これらは各部会集会における議決を経て10月末の県弁臨時総会に必要な補正予算案が提出される予定です。 また地域司法計画を推進する上では、民事法律扶助のアクセスポイントの拡大(契約弁護士事務所における直接受任を推進するための広報活動)をはじめ弁護士会と法テラスとの連携強化も重要な課題になっています。とりわけ法テラス・スタッフ弁護士との関係では、従前の国選対応に関する補完協力に止まらず、弁護士会が推進している生存権支援活動、或いは労働、社会福祉分野等における多面的な人権救済活動において連携した活動を強化する必要があります。 この点で、法テラスの今年度におけるスタッフ配置計画案(福岡事務所にプラス1名、北九州事務所にプラス2名)を検討するため全員協議会を開催しました(8月26日)。北九州では既に部会集会で承認されていましたが、福岡においては従前全員協議会で協議して回答していたため、これを踏襲したものですが、スタッフ増員についての反対意見はなく、今後はいちいち全員協議会を開催することなく、基本的には県弁執行部と法テラスとの間の協議により対応すべきであるとの意見が大勢でした。 執行部としては前述したように法テラスとの総合的な連携強化という観点に立って、既に飯塚部会の要請として法テラスに提出されている平成22年度における筑豊地区(特に田川)へのスタッフ弁護士の配置等について協議を始めています。
<大連市律師協会との安定した友好交流へ> 大連市律師協会との交流のため9月1日から4日まで中華人民共和国の大連市を訪問しました。当会と大連市律師協会との交流は10数年の歴史がありますが、釜山地方弁護士会とのように正式な姉妹提携がなされていないため、その時々の執行部の判断で断続的なものになっており、今回は3年ぶりの訪問でした。 実は以前、大連市律師協会から両会の交流を促進するために『合作交流意向協議書』の締結が提案されたことがあります。それは、両会の相互交流に加えて、双方が1年程度滞在する数名の留学生を受入れ、その滞在費を受入側が負担するというような重厚な内容を含むものでした。当会としては、そのような財政負担力もありませんでしたし、緩やかではあっても息の長い友好交流関係を樹立することが適切であると判断して、当時、既に姉妹提携を結んでいた釜山方式を提案しました。これに対して「貴会が提案された意見は、両会の交流を進めるために有益であり、ふさわしいものだと当会も考えます。貴会と釜山弁護士会が署名した『交流に関する合意書』のモデルを参考にして当会と貴会の提携合意書に署名することに同意します。具体的な事柄については、当会が派遣する代表団が訪日した際に改めて協議させていただきたいと思います」との返事が寄せられました。1999年4月29日付のものです。 つまり当会が提案した釜山方式による姉妹提携につき相手方も同意され、大連側の訪日団との間で協定調印の実務作業に入ることが予定されていました。ところがその後に行われた大連市律師協会の役員人事異動のために代表団の訪日が延期され、双方の執行部も交替する中で、協定書調印にむけた実務作業が進められないまま今日に至ったというわけです。 今回、大連市律師協会との協議会において、「日本における外国研修生の法的位置」や「日本企業が中国に投資するに際しての中国法上の留意事項」などあらかじめ設定されていたテーマに関する意見交換を終えた後、今後の交流の進め方に関する協議が行われました。その際、当方からは前述の経過を確認的に紹介したうえで、これからの10年にむけて、より安定した交流関係を促進するために、10年前に両会で合意されている協定書の調印にむけた実務作業を進めることについて双方で検討してはどうかと提案しました。もちろん私としては相手方のお国柄を考え、「ご返事は、今日ではなく後日連絡いただければ結構です」と付加えることを忘れませんでした。 これに対して大連市律師協会の張燿東会長は即座に応えました。「当方の事情で調印作業が進まなかったことをお詫びする。私としては今直ぐにでも調印したい気持ちである。9月末に開催する役員会で検討するので協定書のモデル案を送って欲しい」。その日の夜、当方が主催したお礼の宴席で、張会長は更に「私は戦時中でも日記を習慣にするような方がいる几帳面な日本民族を尊敬しています」「できれば来年の2月頃にでも福岡を訪問して協定書の調印をしたい」と申し出られました。 幼少時を大連で過ごされたことのある清原雅彦先生(今回の視察団長)は、大連側の迅速かつ心温まる対応に大きく感動され、何度も杯をかわしながら得意のハーモニカを披露されました。この10数年、一貫して大連側とのパイプ役をされてこられた大塚芳典先生も感慨無量の様でした。 今回の訪問に出かける前の執行部会議では、今後の交流の進め方について議題になる場合には前述のような提案を行うことについての話はしていたものの、相手方から即答されることを想定していなかった私は、帰国の道すがら伊達健太郎国際委員長や服部弘昭北九州部会長始め視察団の面々と対応方針を協議し、帰国直後の執行部会議(7日)と常議員会(9日)において経過を説明して、とりあえず9月末の大連会の役員会に間に合うよう協定書のモデル案として釜山との合意書の中文訳を送付することについて了承をいただいたのです。突然の上程であり手続上問題があることは承知しつつ、対外関係を重視して了承をいただいた常議員会の皆さんに感謝、感謝です。 この月報が発行される10月中には大連側からの回答があり、両会の安定した友好交流にむけて新しい局面が展開していくかもしれません。
<日弁連60周年に「日本の立ち位置」を考える> 日弁連60周年記念式典が東京で開催されました。偶然ではありますが、この日は「9・11」の8周年記念日でした。「日弁連は、こんな日に記念式典をやるなんてすごいですね」と言いながら記念講演をされた寺島実朗さん(財団法人日本総合研究所会長)のテーマは「世界の構造転換と日本の立ち位置」。豊富なデータを示しながらの講演で、極めて示唆に富むものでした。 まず驚いたのは、9・11以来、アメリカが引き起こしたイラク戦争等による米軍戦死者は丁度8年後の本年9月10日までに5、161名(アフガンでの死者822名を含む)に達し、累積戦費の額は実に7,119億ドル(現在でも月60億ドル以上の消耗)。昨年来のアメリカ経済崩壊の原因には良く語られるサブプライム問題のみではなく「巨大な浪費として経済の根幹を消耗させているイラク戦争」があるということです。 日本の貿易構造も大きな変化を。米国との貿易総額の比重は27.4%(90年)、18.6%(04年)、17.5%(06年)、16.1%(07年)、13.9%(08年)、13.6%(09年上半期)と年々逓減。これに対して、対中貿易比重は3.5%(90年)から20.5%(09年上半期)へと大きな伸びを示しており、今やアメリカを抜いています。その背景には、もちろん中国自身の経済成長があります。中国のGDP世界ランキングは1990年10位から2007年3位、2010年には日本を抜いて2位になる見込み。「陸の中国」(中国本土)に「海の中国」(香港・台湾・シンガポール)を加えた「大中華圏」では、2008年GDP(5.1兆ドル)で日本(4.9兆ドル)を凌駕しているそうです。 そうした中で国際的物流にも大きな変化が。2008年世界港湾ランキング(コンテナ取扱量)は、1位シンガポール、2位上海、3位香港、4位深_、5位釜山と並んでおり、福岡とも関係の深い釜山のハブ化が注目されています。私は知りませんでしたが、最近のアメリカから中国へのコンテナの大半は、九州の南方からではなく津軽海峡を通過して日本海を経由し釜山や中国の港湾に入っているそうです。そのため、日本では太平洋側港湾が空洞化し、日本海側が港湾への物流シフトが始まっており、「日本海物流時代」とも言うべき変化が起こっているとのこと。 こうした「構造転換」を前にして、寺島氏は最後に、「太平洋の先のアメリカを通してしか世界を考えられない風潮を改める必要がある」「戦後60数年が経過してもなお外国の軍事基地があることは普通ではない」「偏狭なナショナリズムではなく普通の状態の国家にするための努力をしなければ、日本は世界の人々から尊敬されない」(ドイツではベルリンの壁が崩壊後、米軍基地の撤去に関する話し合いが進められたそうです)と結びました。
<新政権の発足と弁護士会> 明日(9月16日)、日本に新しい政権が誕生します。私たちも、ようやく選挙で与党政権を退陣させるという貴重な政治体験をしました。連立政権合意文書には、「生活保護母子加算の復活」や「労働者派遣法の抜本改正」など当会の総会や常議員会で採択された会長声明等の内容が取り入れられているにとどまらず、最終節の「憲法」は「唯一の被爆国として、日本国憲法の『平和主義』をはじめ『国民主権』『基本的人権の尊重』の三原則の遵守を確認するとともに、憲法の保障する諸権利の実現を第一とし、国民の生活再建に全力を挙げる」と結ばれています。 弁護士会としても、司法制度の改善や基本的人権を擁護し社会正義を実現するという責務に照らして一層活発に社会的提言を行うとともに、それらをストレートに実現させるための政治への働きかけを行うことにやりがいを感じる時代が到来したのかも知れません。もちろん相当な力仕事であることは覚悟の上で。 (9月15日記)

  • URL

会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記
平成21年度会 長 池 永   満(29期)

No454 その7 
<新しい息吹き、天高く想い膨れ、語り合う我ら> 9月16日~10月14日

新しい息吹きを感じる季節 9月16日、新政権の誕生とともに、法テラス・スタッフ弁護士として養成する弁護士(旧62期)が私の事務所に着任しました。会務のためほとんど仕事をしていない私だけでは鍛えることができませんので、事務所の若手弁護士を指導担当弁護士として共同で事件処理をし、12月には新たに入所予定の三名の新人弁護士(新62期)をライバルとして切磋琢磨しながら、期間は1年と短いですが可能な限り色んな経験を積んでもらい、勇躍して過疎地に赴任できるよう支援したいと思います。 9月18日は福岡修習新62期生の合同送別会。2日目の日弁連理事会を午前中だけで早退して帰福し参加しました。みんな無事2回試験を終え、笑顔で福岡に帰ってきて下さいとエールを送る。昨年は1年間で70名を超える登録がありましたが、今年は何名が福岡県弁護士会に登録し、私たち法曹の仲間として新たな1歩を切り開くことになるのか。 10月2日、NPO法人九州アドボカシーセンター(理事長/馬奈木昭雄弁護士)の合格祝賀会が開催されました。アドボカシーセンターは地域で人権のために活動する弁護士をめざすロースクール生に生きた事件から学ぶための「人権セミナー」や「自主ゼミ」の機会を無償で提供するため、法科大学院発足とともにスタートしたNPO法人です。県下四大学のロースクール学生が研究生として登録していますが、新60期1名、新61期2名、新62期4名、そして今年9月に合格発表があった新63期は8名と、倍々ゲームで合格者を出しています。所属大学も違いますのでセンターとしては特段の受験指導等はしていませんが、人権セミナー等に参加することにより、どのような法律家をめざすのかという自分自身のモチベーションを形成し維持することが勉強への励みを生み出す力になっているのではないかと思われます。 弁護士会としては、こうした法曹をめざす新しい力を積極的に受入れて、彼らが地域社会の隅々で「社会生活上の医師」として活動していけるような仕組みを編み出し、多様な受け皿作りに努力する必要があるでしょう。 あれもこれものシルバーウイーク 9月の大型連休が、5月の「ゴールデンウイーク」とともに「シルバーウイーク」とよばれて、私を誘い出そうと微笑みかけていることに気付いたのは直前のことです。実は私の手帳では9月19日から27日までは早くも4月から斜線が引かれており一切の日程を入れず封印されていました。弁護士会としての「人権救済システム等の海外調査」を予定したものです。 しかし、そのもくろみが頓挫したため、突然ぽっかりと大型連休が私の眼前に開かれたのです。そのために雑然と、あれもこれも風に、しかし楽しい日々となりました。 最初の2日は2~3の原稿書きと墓参りをしたあと、前期執行部からの引継書をチェックして今期執行部として後半戦における取りこぼしがないように検討するための執行部合宿の準備。 真ん中の連休(2泊3日)は山登り。長男夫婦とそれぞれの両親、あわせて三組6名の一行で久しぶりに久住山に遊んだ後、私たち夫婦だけで熊本県菊池の八方ヶ岳へ。もっとも狙いは山よりも付近の温泉三昧でした。 そして最後の数日は、中華人民共和国成立60周年祝賀会(9月25日)、適格消費者団体設立総会(9月26日)、そして、会務のため面会の間隔が開きがちになっている成年被後見人やその家族のお見舞いの病院巡り(9月27日)、執行部合宿と台北福岡事務所との懇親会(9月28日)と、いささかバテ気味で締めたのです。 「核兵器廃絶」を後押しするノーベル平和賞 オバマ大統領にノーベル平和賞が授与されました。まだ実績があるわけではないけれど、「核爆弾を投下した唯一の国としての道義的責任」を明言した上で「核兵器のない世界」をめざすことを誓い、国連等においても行動を開始しているオバマ氏に対する大きなエールであり、オスロの授賞式への参加も良い意味で強いプレッシャーとなるでしょう。ノーベル賞の中で唯一スウエーデンではなくノルウエー国会が授賞主体になっている平和賞については、たまに首を傾げたくなるものもありましたが、今回は実にすばらしい政治判断をしたノルウエー・ノーベル委員会に拍手を送りたいところです。 その後、日本では東京落選決定を待っていたかのように、2020年に平和の祭典オリンピックを広島・長崎に招致する呼びかけが発せられ、「核兵器廃絶」にむけた想いも大きく膨らみつつあります。オバマ氏には近日中の広島・長崎訪問も期待したいところです。「自分の生きている時代には実現しないかもしれない」というような弱気を捨てて、速やかに「核兵器廃絶」を直接の議題とする国際交渉を始める力仕事の先頭に立つ決意を固めてもらうためにも。 和気あいあいに学び合う3会交流 大阪弁護士会、広島弁護士会、当会による定例の3会交流会が10月11日当会の会館ホールで開催されました。この組み合わせの3会交流は10年前後の歴史がありますが、個別の交流はそれより前から続いています。私は今から15年前、国武格先生(故人)が会長のときの副会長でしたが、当時急速に拡大しつつあった当番弁護士等の活動を支えるためにリーガルサービス基金を確立する必要があり、国武会長は破産管財人報酬からの負担金徴収の導入を決断され自ら多額の負担金を拠出されましたが、その方法は大阪弁護士会から学んだものでした。またマスコミ担当副会長であった私は、当時有料で宣伝していた当番弁護士の広告に代えて無料でかつより効果的な広報はないものかと考えていた時、広島弁護士会が当番弁護士名簿を断続的に地元新聞の記事として掲載させていることを知り、早速現物を取り寄せ福岡の司法記者クラブ加盟各紙に働きかけ、「今週の当番弁護士」欄を設けて広報してもらえるようになりました。このように、大阪会や広島会から多くのことを学んできた感謝の思いは、相手方においても共通であり、執行部が代わっても引き継がれています。今回も裁判員裁判の検証や市民窓口の運営、委員会活動活性化の方途等、全ての協議題で互いに学び合い、共鳴し合うことが多くあり、稚加榮で開催した懇親会、更に2次会まで和気あいあいの議論に花を咲かせました。 民主党議員との懇談会 既に参議院では2回可決されている取調べ過程の全面可視化法案。新政権で法務大臣に就任した弁護士の千葉景子さんは、最初の記者会見でも、日弁連への就任挨拶でも、第一に「捜査の可視化」を進めると明言しています。そうした情勢を受けて、日弁連は、臨時国会開会前に与野党を問わず全ての国会議員に対する緊急の要請活動を展開することとしました。 福岡県弁護士会も執行部が手分けして、全ての議員に要請活動を行うとともに(私は10月10日自民党の武田議員と山本議員を訪問しました)、民主党については日本弁護士政治連盟(弁政連)九州支部を通じて懇談会を申し入れることにし10月12日開催されました。懇談会には松本龍衆議院議員(民主党福岡県総支部連合代表)をはじめ県内選出の8名の議員本人と4名の議員代理(秘書)の方々に出席いただき、弁護士会からも県弁護士会、九弁連、弁政連九州支部の執行部からそれぞれ数名、合計14名が参加しました。予定の2時間びっしり使って、可視化法案の展望にとどまらず、法曹養成問題や司法改革の現状認識、新政権における政策決定のあり方など幅広く率直な意見交換をすることができました。 今回は初顔合わせで互いに集団山見せのようなものですので、今後具体的な課題毎に必要な協議の機会を設定することになりますが、松本議員も強調していましたが、国会での立法作業などを念頭に置けば政権党である民主党とだけの協議で事態が打開できるものでもありません。政治に対する働きかけは、先月号で予測したとおり、なかなかの力仕事になるように思われます。ということで、弁政連九州支部では今後自民党や公明党等との懇談会も検討されています。 (10月14日記) 

  • URL

会長日記

会長日記

福岡県弁護士会会長日記
平成21年度会 長 池 永   満(29期)

No455 その8<九弁連大会やイベントの狭間、手探りで匍匐前進> 10月15日~11月12日

九弁連大会へのご奮闘とご協力に感謝!! 福岡市では18年ぶりの開催となった九弁連大会(10月23日)。 羽田野節夫九弁連大会実行委員長をはじめとする実行委員会の皆さんの長期にわたる用意周到な準備と「九弁連はひとつ」の合い言葉にふさわしい九弁連関係者の一致協力した取り組みのおかげで、シンポ、大会、懇親会、スポーツ交流や公式観光等、全てのイベントが充実した内容で大成功に終わりました。日弁連宮_誠会長を始め多くの参加者から開催県としての当会の底力をみせつけるものであったと大きな賞賛もいただきました。 関係各位のご努力に、感謝、感謝です。 今回の日記期間は、九弁連大会のみならず、各種のイベントが目白押しで、あさかぜ基金法律事務所の1期生井口夏貴弁護士を所長として送り出す「対馬ひまわり基金法律事務所」の引き継ぎ式(対馬、10月28日)、法曹三者協議としては10月7日の一審強民事部会に続く「一審強刑事部会」の開催(10月30日)、日弁連における最大のイベントである「第52回人権大会」も和歌山で開催されました(11月5~6日)。 私的には「患者の権利宣言25周年記念集会」(名古屋、10月31日)、憲法フェスタ(11月3日)、中学卒業48周年記念同窓会(11月7日)等にも顔を出し、日頃のご無沙汰を詫びつつ旧交を温める機会をもつことができました。 来年2月、大連市律師協会との交流協定調印へ 前回月報の会長日記で予測していたとおり、大連市律師協会との交流が新たな局面を迎えることとなりました。大連市律師協会から10月17日付けで当会が送付したモデル案(釜山地方弁護士会との合意書)とほとんど同一内容が記述された中国文の合意書案を添えた回答が寄せられたことを受け、10月29日の常議員会において全会一致で同会との相互交流に関する合意書を調印することが承認されました。 合意書調印のため来年の2月26日から28日までの間、大連市律師協会の張耀東会長をはじめとする代表団が福岡を訪問される予定です。詳細日程や合意書調印後の具体的な交流の進め方等については、これから国際委員会を中心として実務的協議を行うことになりますが、当会としては代表団の歓迎実行委員会(委員長・清原雅彦会員)を組織し、20年前に実施した釜山地方弁護士会との調印式の事績も参考にしながら、会をあげて歓迎に向けた準備を進めていきたいと思います。 臨時総会で補正予算を承認~福岡、北九州で相談センター拡充へ 各部会集会の議をへて10月15日の常議員会で議決した天神弁護士センター会計と北九州法律相談センター会計の補正予算案は、10月29日に開催された臨時総会において、ほぼ満場一致の賛成で承認されました。これにより、本年4月以降、野田部副会長と法律相談センター運営委員会を中心に取り組まれてきた天神弁護士センターのリニューアル大作戦は実行段階に入り、今後レイアウトの最終的な詰めを行った上で、遅くとも来年1月中には移転場所における業務開始を目指して作業が開始されます。私は来年2月に訪問される大連市律師協会代表団にも市民に対するリーガルサービスの拠点である新天神センターを是非視察してもらいたいと考えています。 北九州部会が立ち上げる豊前相談センターは、従前は月に1回の土曜日しか行っていなかった法律相談を、月曜から金曜日まで毎日実施する常設相談所として新規に開設するものであり、弁護士過疎地域である豊前地区において当面の赤字は覚悟しても市民に対する継続的なリーガルサービスを展開する拠点を創出するという画期的な試みです。 私は会長就任時に県下20カ所の相談センターを訪問させてもらいました。その際の印象から、サテライト相談所を市民がいつでも駆け込める頼りがいのあるものにするためには連日相談にのれる対応体制を作ることが不可欠ではないかと考えており、豊前相談センターの今後の推移と成果を注目したいと思います。 新人研修制度の検討開始~新人研修PTの答申を受けて 本年度執行部が重点課題としている新しい「新人研修制度」の構築を検討するため研修委員会内に設置された新人研修PT(座長・石渡一史会員)による答申が2回にわたり提出されました。(答申は執行部に対するもので、これから執行部案を作る際のたたき台としての性格を持つものですが、執行部としては早期に多角的な検討をすすめるためにも、そのまま関連委員会や常議員会に情報提供する取り扱いにしており、第1回答申は9月30日の、第2回答申は11月12日の常議員会でそれぞれ報告しています)。 新人研修PTの最初の答申は、新規登録弁護士に対して現に実施している倫理研修、会務研修、各種相談担当登録研修等に加えて、長期的視野に立って登録から1年間にわたり弁護士業務の基礎や基本を修得できるような新人研修プログラムのメニューのたたき台を網羅的に示したものです。 第2回目の答申は、新人研修制度を実施していく仕組みを構築するための研修規則や細則の改正案を内容とするものですが、登録から1年間にわたり一人一人の新人弁護士に対して会長が「主任指導弁護士」を選任して新人研修を促進することや、主任指導弁護士の選任手続きなどの会長事務を新人が所属する部会の部会長に委託することができる規定を設けることにより、新人研修を各部会中心に行う体制を作ること等が付加された主な点になっています。なお主任指導弁護士は新人が所属する事務所の先輩を選任することを原則としています。 執行部としては、2つの答申に加えて、新人研修制度を実施するために必要となる講師等に対する謝礼や経費をまかなうための財源をどう確保するか(そのために必要な規則改正等があればその改正案を含む)に関しての提案をまとめた上で、プログラム、仕組み、財源という3点セットを含む新人研修制度に関する総合的な執行部としての提案(たたき台)を取りまとめた上で、早ければ11月下旬の常議員会に提出して会内合意を形成するための本格的な議論を始める予定です。 リーガルサービス活動等の実情調査と有償化の検討を開始 現在、県弁の各委員会が関与して実施されている市民や団体に対するリーガルサービス活動(法律相談や講師活動等)は極めて多面的になっており、多くの会員が熱心に取り組んでおります。日弁連からの依頼等により臨時的に実施する相談活動等も急増しています。 ただ法律相談の場合でも、面談相談の場合には担当する会員に対する日当が支払われているものが大半ですが、逆に電話相談(ホットライン等)においては支払われていないものが大半です。出張しての講師活動等においても相手方から支払われるものもありますが、無償で実施されているものも見受けられます。 執行部としては、市民や団体等に対するリーガルサービス活動をいっそう活性化させるとともに、会務負担の公平性の観点や若手会員の参加を促進するためにも、リーガルサービス活動に従事する会員に対しては原則として日当を支払うシステムを確立することが必要ではないかと考え、そうしたシステムを実施する場合の予算規模や支払い基準、留意すべき事項等を検討するために、各委員会の委員長に対し実情照会を行いました。 あわせて、第3者に対するリーガルサービス活動のカテゴリーには該当しないけれども、仮にリーガルサービス活動に対して原則的に日当支払いが行われることとなった場合には、それに準じて有償化を検討すべき会務活動等の存否についても照会をしています。執行部としては現段階において会務活動一般について有償化する方針は持っておりませんが、既に大阪弁護士会等においては人権調査活動等に対する日当支払いが実施されていることなど他会の動向を考慮すれば、この際、会務負担の公平性等の観点もふまえて総合的な検討を進めるために、委員会活動の実情を正確に把握したいと考えています。 この照会結果については、第3回委員長会議(12月1日)における意見交換や常議員会等における検討を行った上で、可能な限り早期に、この問題に対応するシステムを確立したいと考えています。 あれやこれや、執行部としては来年3月の任期までに残された時間をにらみつつ、手探りで着地点を求めながら匍匐前進(?)を続けていますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。 (11月12日記)

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー