福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2009年4月 7日

福岡県弁護士会会長日記

会長日記

会 長  田 邉 宜 克(31期)

【被疑者国選弁護5月21日問題について】
本年度、国選弁護対応態勢確立推進本部を設置し、被疑者被告人国選弁護人の契約者の拡大に取り組みました。未契約会員に切々たる登録依頼の手紙をお送りし、本部委員に担当を割り付けて、「しつこい!」と言われてもめげずに繰り返し面談・電話で国選契約をお願いし、国選弁護の意義や重要性を再認識していただくため、登録会員の生の声を載せた「国選弁護拡大ニュース」を発行して行きました(読めば、ぐっと来るような「声」ばかりです。HPにアップしていますので、未読の方は是非お読み下さい)。その結果、相当数の会員に国選契約を締結していただくことができましたし、新規登録者への勧誘もあって、2月6日現在で福岡部会の被疑者国選弁護人契約者数も350人に達しました。
会員間の負担の平等化の為には、なお一層、契約者の増加を目指して活動を続けて行く必要があると感じています。
さて、本題の「5月21日問題」とは、ご存じの会員も多いとは思いますが、被疑者国選弁護人選任の告知は、5月21日以降に勾留された対象犯罪の被疑者だけではなく、この日以前から勾留されている対象犯罪の全被疑者、即ち、5月21日時点で勾留満期まで後1日2日しかない被疑者(5月初めに勾留のついた者)から、5月21日に勾留された者まで全てにしなければいけないと規定されていることを指します。
仮に、5月21日一日で一挙に「告知」がなされ、対象の被勾留者が被疑者国選弁護人の選任を求めたときには、速やかに被疑者国選弁護人を推薦することは困難と言わざるを得ないため、どのような対応をとるべきかが問題となっているのです。この混乱を回避するための方策は、4月末頃からの当番弁護士出動に当たり、被疑者国選弁護対象事件については、会員各位が、5月21日問題を意識して、被疑者にもこのことを丁寧に説明し、弁護士会の刑事被疑者援助制度を利用して、被疑者弁護人を積極的に受任していただくことに尽きます。途中で国選に切り替わることがあっても手続の問題で「人捜し」は不要になります。幸い当会の被疑者援助事件受任率は他会に比べ高いので、会員各位が意識を一段と高めることで、十分に対応が可能だと考えています。是非ともご協力下さい。
【国選付添人契約の拡大について】
これまでも、任意の国選付添人制度があり、被疑者援助事件として弁護人となった会員が、付添人援助の登録はしていても国選付添の契約をしていないと、家裁から国選付添人の選任を求められても当然には推薦できませんでした。同一の弁護士が、弁護人から引き続き付添人となることが、望ましいことに異論はないので、国選未登録の会員には、その都度、国選付添人への登録をお願いしたうえで国選付添人として推薦することが少なくなく、やむを得ない場合に、別の登録会員に国選付添人をお願いする対応でしたが、速やかな対応のために、事務局には、大変ご苦労をかけることにもなっていました。 
昨年12月から犯罪被害者の審判傍聴制度が導入され、これが認められると必要的に国選付添人を選任すべきとなりましたので、この問題が一層顕在化することになります。被疑者援助を経て、家裁送致後、付添人援助となり、さらに同事件が被害者傍聴事件と決定されると途中から国選付添事件となるので、継続性の要請はより大きくなるのです。
当会では、国選付添人制度に対応する名簿搭載者の数は未だ十分とは言えず、法テラスが管理運営する付添人援助事業における付添人援助名簿と前記国選付添人名簿の登載者が一致していませんが(法テラス名簿には登載していても国選名簿には登載していない)、上記の問題を解決するには、これを一致させることが求められています。多くの会員の皆さんが付添人の国選名簿に登録していただければ、会員間の負担も平等になり、国選名簿登録者だけに「重い事件」が回ることもなくなるのですから、従前の負担感と大差はないはずです。国選付添人契約に是非ともご協力下さい。

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