福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画
2008年11月10日
福岡県弁護士会会長日記
会長日記
会長 田邉 宜克(31期)
【9月度新入会員】
9月に入会された会員の皆さんを心から歓迎いたします。
さて、この新入会員の中に今次の司法改革の申し子的な三人の会員がおられます。
佐藤哲也さんは、東京での養成期間を経て法テラス北九州にスタッフ弁護士として赴任されました。登録会員1人当たり年間14、5件といわれる北九州部会の拡大後の被疑者国選の一翼を担っていただくことになります。
上加世田嘉隆さん(現行61期)も法テラスに雇用されたスタッフ弁護士ですが、所謂新スキームでの養成事務所であるあおぞら法律事務所で、登録初年度から1年間活動された後、独り立ちしたスタッフ弁護士として他所へ赴任されます。
井口夏貴さん(現行61期)は、あさかぜ基金法律事務所で、登録初年度から1年半ほど弁護士としての経験を積まれた後に、九弁連管内の過疎地の法律事務所(ひまわり公設・法テラス4号・独立開業等)に赴任されます。
三人ともに、しっかりとした、そして、過疎地での弁護活動や刑事弁護に強い意欲を持った方ですが、弁護士経験零ないし1年の若い会員であることに変わりはありません。無論、法テラス、養成事務所、運営委員会・指導担当者がサポートしますが、会員の皆さんには更に進んで、当会の仲間として、委員会活動や事件処理を通じ、また、種々の機会に相談に乗り助言するなど、会員全体の力で育成していく積極的な意識を持っていただきたいと思います。
【新司法試験合格者発表】
9月11日に新司法試験合格者2065名が発表されました。例年、設定目標の下限付近の合格者数でしたが、これを下回ったことはなく(今年の司法試験管理委員会の設定目標下限は2100名)、かつ、受験者の蓄積もあって、合格率が33%と昨年より7%下がった点が、注目されました。また、法科大学院別の合格者数において首都圏集中、地方と首都圏の格差の問題も指摘されているところです。当然、法曹人口の問題にもリンクしますが、やはり、法科大学院の統廃合や定員整理の問題に要注意です。特に、福岡県内4校、九弁連管内7校の法科大学院については、私達に続く後輩達の養成問題として、真剣に考えていく必要があります。私は個人的には、全国的に、統廃合、少なくとも法科大学院の定員の削減は避けられないのではと思っています。合格者数上位を残して下位校を切り捨てるのか、そうなると九州はその影響を避け得ません。一律に一定率で減員するのか、地方を重視し中央の大規模校の定員整理を求めるべきではないか、今後、この問題が、どのような流れになるのか、弁護会としての意見を出すべき時期が来るものと思います。
【新検察審査会法の施行】
検察官が独占していた公訴権行使のあり方に民意をより直截に反映させるために、検察審査会法が改正され、裁判員制度と同様、平成21年5月21日に施行されます。この改正法では、弁護士の関与が制度的に予定されています。
審査会が起訴相当を議決した事案を検察官が再び不起訴処分にした場合に、審査会が再び起訴相当を議決したときは、起訴すべき法的拘束力が発生します。その起訴と公判維持は、「指定弁護士」が行います。また、審査会は、その審査を行うにあたって法律に関する専門的な知見を補うため「審査補助員」を委嘱することができるとされ、弁護士がその任にあたることになります。指定弁護士はさほどの件数はないでしょうが、補助審査員は、一定数の委嘱要請があると考えられ、弁護士会としては、適切な弁護士を推薦するため、研修や推薦名簿の要否等の検討が必要になります。犯罪被害者問題を含め、刑事司法のあらゆる面に弁護士の関与が求められる時代だということもできるでしょう。