福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2005年6月27日

会長日記〜挨拶回り

会長日記

会 長 川 副 正 敏

 17年3月28日から4月12日までの間、恒例の役員就任挨拶回りを行い、約120箇所を訪問しました。
 福岡市内とその周辺は、午前九時過ぎに会館を出発、筑後・筑豊・北九州地区は午前8時前後にバス・電車に乗り、ほぼ終日駆けずり回って、戻るのは夕方五時過ぎというスケジュール。気分だけは高揚しながらも、身体はヘトヘトで嵐のような日々が過ぎていきました。150箇所以上も回った会長がおられるのを聞くにつけ実際に自分で体験してみると、その超人ぶりに尊敬の念を超えてあきれる思いです。
 とはいえ、今回の訪問先も、裁判所・検察庁、警察、拘置所・刑務所、少年鑑別所、自治体、経済団体、労働団体、新聞社・放送局、福祉関係機関、総領事館等々、これまで弁護士会が関わりを持ってきたり今年度の会務活動に関係する機関・団体等をできるだけ網羅しました。先方は、高裁長官・地家裁所長、高検検事長・地検検事正、県知事、県警本部長を始め、ほとんどトップの立場にある人が鄭重に応対しました。
 当会が地震直後にいち早く着手した被害者への法律相談活動に対する賛辞には大いに勇気づけられました。
 儀礼的な挨拶にとどまらず、法律相談センター、当番弁護士、弁護士過疎地支援制度、高齢者・障害者権利擁護などの活動や司法制度改革の具体的課題に関する話題を出して意見交換をするようにしました。先方からも、それぞれの立場で関心のあるテーマについての見方や感想が率直に述べられ、相互理解を深めることができました。
 共通して取り上げられたのは裁判員制度でした。裁判所・検察庁では、模擬裁判の実施を含めた具体的な裁判のあり方に関する実務的な協議や市民への広報活動を協同して行うことの重要性について語り合いました。警察でも、裁判員裁判に耐えられる捜査仕法の見直しの必要性に言及しました。いずれも、取調の可視化等の個別的問題に関する見解の相違はあるものの、総論的な制度設計の議論に劣らず、各論ないし実行の難しさの認識では一致しました。
 法曹以外の方々からは、一般市民が重大な刑事事件を裁くことへの不安や「国民性と乖離」との見方、裁判に拘束されることでの仕事や私生活への支障に対する懸念など、消極的な意見が多く出されました。その一方で、長期的にみて日本の民主主義を深化させることへの期待感や裁判員体験願望を語る人もいましたが、総じて裁判員制度に対する市民の理解は得られておらず、あらゆる場で積極的に広報活動を展開していかなければならないと痛感しました。
 そのための方策として、マスコミに対しては、わが会員の登場の機会を多く作ってもらうよう要請し、経済・労働団体には会員を講師とする勉強会の開催を提案して、いずれも前向きな回答を得ました。
 自治体では、司法支援センターの準備状況を説明するとともに、地域司法の充実という観点から、引き続き地方自治体の役割が重要であることを訴えました。全国知事会会長に就任した麻生県知事からは、地方分権実現への熱い思いを聞き、地域経済やアジアとの経済交流活性化の観点から、知財高裁設置という形での司法の中央集中化の問題点にも話題が及びました。
 外国公館の総領事とは、いわゆる歴史認識問題などについての率直な意見交換をしましたが、いかにも外交官らしいウイットに富んだ語り口に接し、少しでも身に着けたいものだと思いました。
 こうして、当会への信頼と期待の大きさを肌で感じ、改めて責任の重さを噛みしめながら、わくわくするような緊張感で2005年度執行部丸は出帆しました。

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