福岡県弁護士会 宣言・決議・声明・計画

2004年5月25日

公的付添人制度の実現を求める決議

決議

 2004年5月25日   福岡県弁護士会 会長 前田 豊

 現在司法制度改革推進本部において、公的刑事弁護制度の導入及び整備について検討がなされ、同時に、少年審判手続における国費による少年の付添人制度(公的付添人制度)の導入についても検討がなされている。

 福岡県弁護士会は、当番弁護士制度発足以来、逮捕された少年にはできるだけ当番弁護士を派遣し援助を行ってきたが、さらに、2001年2月1日、日弁連及び法律扶助協会からの資金援助に加えて、会員から特別会費を徴収するなどの自助努力により、付添人の選任を希望する少年全員に対して付添人を選任するという「全件付添人制度」を発足させ、今日まで実施してきた。
 そして、福岡家庭裁判所の理解と協力を得て、2002年には、観護措置を受けた少年の54%(家裁送致時に弁護人がいたケースを含む)の少年に付添人が選任された。この割合は、福岡家庭裁判所本庁に限れば84%に及ぶ。
 付添人に選任された弁護士は、非行事実の存否に争いがある場合には非行事実が存在しないことを証明するための活動を行い、非行事実の存在に争いがない場合においては少年の立ち直りのために必要な様々な活動をしてきた。
 後者の場合、付添人は、少年に被害者の気持ちや被害者の現状を知らせ、少年が行った非行による重大な結果を認識させ、被害弁償を試み、親子の関係の修復を試み、少年が学校や職場に復帰できる環境を整えるなどして、少年が自らの力により立ち直るためのあらゆる援助、努力をしてきた。そして、多くの事件において、付添人がいたからこそ少年が更生できたり、あるいは
被害弁償ができて被害者の感情も宥和されるなどの実績をあげてきた。
 福岡県弁護士会は、これまでの実績を踏まえて、今後もこの全件付添人制度を継続して実施し、さらに充実させる所存である。

 しかし、全国のすべての少年に対し、付添人の選任を希望すれば付添人を選任することができるという制度を実施するためには、公的付添人制度が不可欠である。
 非行を犯した少年が一人でも多く立ち直ることは、当該少年にとって必要であるだけでなく、非行及び犯罪をこの国から減少させ、国民の安全を図るうえでも極めて有益であり、ここに国費を投入することは、われわれ大人の責務であると考える。
 よって、早急に公的付添人制度を発足させ、充実させることを求める。

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