福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2011年10月18日

裁判員裁判の判決に対する控訴の実情


『季刊刑事弁護』68号に、裁判員裁判の判決に対する控訴率が一般事件に比べて倍近く高いこと、その原因として量刑への不満が強いことがあると分析されていますので紹介します。(な)

 2011(平成23)年4月30日まで、裁判員裁判での控訴審終局人員423名中、控訴棄却331名、破棄27名、控訴棄却1名、取下げ64名となっており、破棄率は6.3%(取下げ等を除いたとき7.5%)である。2010年の全事件での控訴審による破棄率を見ると10.9%(同13.7%)となっている。全事件での破棄率は長期的に減少傾向にあるが、それにしても裁判員裁判の破棄率は一段と低くなっている。
 2010(平成22)年の全事件での控訴率は9.6%であるのに対し、裁判員対象事件では17.3%とかなり高くなっている。そのうち量刑不当を控訴理由とした被告人は、全体事件で73.2%、裁判員対象事件で79.6%となっている。被告人は、裁判員裁判の結果に対し、裁判官裁判のそれに対するよりも不満を持ちやすいこと、しかもその不満が量刑に集中する傾向がいっそう強いことが分かる。

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2011年10月19日

韓国・国民参与裁判の現状と課題

『季刊・刑事弁護』68号に、日本の裁判員裁判と似ている韓国の国民参与裁判についてのレポートが載っていますので紹介します。(な)

 国民参与裁判法は、2008年1月1日から施行され、施行4年目である。 この3年間に被告人が国民参与裁判を請求し、裁判所に受理された事件の数は1006件であり、既済となった事件が936件、未済事件が70件だった。国民参与裁判の対象事件は19,431件なので、国民参与裁判の申請率は5.2%である。
 国民参与裁判を申請したあと、被告人が自ら撤回したのが404件(受理件数の40%が撤回されたことになる)、裁判所の排除決定がなされたのが211件、実際に国民参与裁判が開かれ判決が言い渡された事件は321件だった。

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