福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2011年7月14日

裁判員裁判で裁判は変わったか?


 『季刊・刑事弁護』の最新号(67号)に「裁判員裁判で否認事件の裁判は変わったか」というタイトルの座談会が紹介されています。すでに15件も裁判員裁判を担当した弁護士やら、10件とか4件は担当したという弁護士の経験にもとづくものなので、大変説得力があります。
 詳しくはぜひ本文をお読みいただくとして、ほんの少しだけここに紹介します。(な)

「裁判員裁判には全体として有罪認定に慎重な姿勢がうかがわれるところがあるように思う」

「私の事件でも、裁判員が非常にいい質問をした。裁判員の事実認定能力が低いということは決してない。証言も非常によく聞いて、きちんとポイントをつかんで事実を見ていると感じた」

「裁判所もふくめて、裁判員裁判については、直接主義でやりましょうということが非常に通りやすくなったという印象がある」

「裁判員の気持ちになると、目の前にいる人から話を直接聞きたいというのが本音だと思う。裁判員裁判では、まずは目の前にいる人の話に耳を傾けようという傾向が強くなっているという印象を持っている。だからこそ被告人質問の重要性が非常に増してきている」

「否認事件に限らないが、被疑者段階の弁護活動をきちんとやりましょうということに尽きる」

「公判前整理手続の段階で、その事案に沿った争点をどこまできちんと設定するかとか、証拠調べをきちんとやらせるようにするか、が勝負どころだと思う」

「公判前段階でどこまで弁護人の主張をきちんと固めて準備しきれるかが非常に大事だと感じている。捜査段階が非常に重要だ」

「たとえば、被告人が、明らかに事実と異なる供述にこだわると、それがほかの争点すべてに影響してしまう可能性がある。それは弁護人の主張をとってもそうだ。弁護人が1つ受け入れがたい主張をするだけで、弁護側に対する信頼が失われてしまう可能性がある」

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