福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2009年7月24日
第1審の審理に望まれること
東京高裁の裁判官クラスが集まった研究会が『控訴審における裁判員裁判の審査のあり方』を発表しました(判例タイムズ1296号)。控訴審を担当する裁判官として一審の裁判員裁判はどうあるべきか指摘していて参考になります。(な)
○ 第1審の審理に望まれること
・ 裁判員と協働して、公判前整理手続でしぼり込まれた争点を中心に、適切に選ばれた証拠にもとづいて、必要かつ十分な審理を尽くすべきである。
審理の充実と裁判員に過度な負担をかけないこととは、ときに相対立する課題であるが、その両立に努めてほしい。
・ 公判前整理手続がもうけられた趣旨・目的に照らし、当事者の追加的立証は容易に許すべきでなく、当事者から請求できなかった「やむを得ない事由」(刑訴法316条の32第1項)の有無について厳格に審査しなければならない。
しかし、厳密な意味で「やむを得ない事由」が認められないときであっても、その証拠が判決の結論に影響を及ぼす蓋然性が高く、これを放置したまま判決すれば、あとで審理不尽ないし事実誤認といわれかねないと思われるときは、その証拠を適切に調べるべきである。必要な証拠調べであるのに、裁判員の負担を理由に取り調べないという運用は、基本的に不当と思われる。