福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2009年7月22日

『控訴審における裁判員裁判の審査のあり方』

東京高裁の裁判官クラスが集まった研究会が『控訴審における裁判員裁判の審査のあり方』を発表しました(判例タイムズ1296号)。控訴審を担当する裁判官からみて、一審の裁判員裁判はどうあるべきかを指摘していますので、参考になります。(な)

○ 公判前整理手続に望まれること
 ・ 公判前整理手続における争点と証拠の整理も、基本的には当事者の主導と責任においてなされるべきであり、裁判所がみだりに介入することは控えるべきである。
   しかし、裁判所は訴訟の主宰者であるから、当事者の主張・立証の方針を明らかにするなかで、事件の核心をなす争点を的確に見抜き、釈明権を適切に行使することによって、その争点に焦点を当てた、裁判員にも理解しやすい主張・立証が尽くされるよう当事者に促すことが望まれる。
 ・ 最良証拠の選別は必ずしも容易ではなく、事件の争点、要証事実ないし証拠の性質、内容などに応じた適切な選別が望まれる。一つの事実につき一つの証拠というような機械的、固定的な選別でなく、最終の評議、判決を見通した適切な選別に意を用いるべきである。
   とくに、対象となる事実につき裁判員が十分理解できるかどうかという観点からの選別が必要であろう。
   また、合理的疑いの有無が深刻に争われるような事件においては、一般に証拠をしぼり過ぎるのは妥当でない場合が多いであろう。

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