福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2009年3月 5日
伝聞法則・伝聞証拠・伝聞供述
『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○ 伝聞法則とは、だれかが法廷の外で話したことは、証拠にできないという決まりのことです。他人(ひと)が話したことを証拠にするためには、その人に法廷に来て、語ってもらうことが必要です。
○ 伝聞証拠とは、だれかが法廷の外で話したことが書面やビデオ、また聞きの証言など、間接的な方法で法廷に持ち出されたものです。伝聞法則がありますから、原則として証拠にはできません。
○ 伝聞供述とは、証人が法廷で他人から聞いた話を語ることです。その証言は伝聞証拠となりますから、相手方は異議を出すことができます。
たとえば、証人尋問のとき、証人Aが「Bさんから、『被告人がCさんを殴るのを見た』という話を聞きました」と言ったとき、弁護人は「異議があります。裁判長、今の証言は伝聞供述です」と述べることになります。
○ 他人(ひと)から聞いた話は証拠にならない
誤った判断をさせるおそれの大きい情報は、刑事裁判では証拠として使えません。
たとえば、伝聞証拠には、いわゆる「また聞き」にあたる供述証言や、他人から聞いた話を書いた書面、自分が体験したことを書いた書面、あるいは他人の話を録音したものなどがあります。書面ではなく、ビデオでも同じです。
また聞きは、話した本人ではなく、それを聞いた他人が、「○○さんが・・・・と話した」と証言するものです。AさんがBさんから聞いた話を証言したようなとき、法廷で、Bさんに思い違いなどがないかどうか、Bさん本人に直接尋ねることができません。つまり、Bさんの話がどれくらい信頼できるものかを確かめることができないのです。
○ 証拠とできる場合もある
ただし、伝聞証拠であっても、例外として証拠にできるときもあります。刑事訴訟法は、そのための条件を詳しく定めています。裁判で、これらの例外にあたるかどうかが、議論になることがあります。