福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年11月25日

現住建造物・非現住建造物


『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)

○現住建造物
住居として使っているか、または、中に現に人がいる建物。

○非現住建造物
住居として使っておらず、中に人もいない建物。

○たとえば
 起訴状に、現住建造物等放火のときには「被告人は平成○年○月○日○時○分ころ、○○市○○町○丁目○番○号所在のA所有及び居住にかかる木造2階建家屋1階台所において、持っていたライターで座布団に点火して火を放ち、その火を壁等に燃え移らせたうえ、現住建造物である同家屋の一部約○平方メートルを焼損したものである」と書かれ、非現住建造物等放火のときには、「被告人は平成○年○月○日○時○分ころ、○○市○○町○丁目○番○号所在のA所有の物置小屋内において、所携のライターで新聞紙に点火して火を放ち、その火を壁等に燃え移らせたうえ、非現住建造物である同物置小屋の一部約○平方メートルを焼損したものである」と書かれます。

○放火罪
放火罪とは、建物などに火を放って燃やしてしまう罪です。放火罪は、公共危険罪と呼ばれ、社会の一般的安全、すなわち、不特定または多数人の生命・身体ないし重要な財産の安全を脅かす行為を犯罪とします。もちろん、財産的侵害を防ぐ目的もあります。
社会の一般的安全という面から見ると、同じ建物に放火しても、その建物に人が居住している場合とそうでない場合とでは、危険度が異なります。そこで、刑法は、現住建造物と非現住建造物に分けて、これらを異なった犯罪の対象とし、刑罰も異なったものとしています。
現住建造物とは、住居として使っているか、または中に現に人がいる建物で、非現住建造物とは、住居として使っておらず、中に人もいない建物のことです。この場合の「人」には、放火した人は含みません。

○建造物の範囲
 放火の対象となるのは建造物や電車などです。建造物とは、家屋など、屋根があり柱で支持されているような建築物のことです。建築工事中で単に棟上げだけが終わっているような程度では建造物ではありません。

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