福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2008年7月29日
勾留・未決勾留日数の算入
『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)
○ 勾留とは、判決が決まるまでのあいだ、被疑者・被告人を拘束しておくこと。裁判官が決定する。未決勾留ともいう。
○ 未決勾留日数の算入とは、量刑を決めるときに、判決が決まるまで拘束されていた日数の全部かその一部を、すでに刑を受けたものとみなすこと。
○ たとえば、弁護人は最終弁論のとき、次のように言います。
「被告人は、すでに6ヶ月以上の長期間にわたり勾留され、その自由を制限されてきました。これは、すでに刑罰を受けたと同じです。
これ以上、被告人に厳罰を科す必要はまったくありません」
また、裁判官は判決言い渡しのとき、次のように言います。
「主文。
被告人を懲役7年に処する。
未決勾留日数中150日を右刑に参入する」
○ 勾留は刑罰ではない
勾留は刑罰ではなく、被告人が勾留されているからといって、被告人が犯人であるということにもならない。
裁判所は、被告人が証拠を隠滅したり、逃亡したりすると疑われる理由があるときには、被告人の身体を拘束することができる。これを勾留という。
勾留は、裁判が適切に進められるようにするために行われるもの。もし、被告人が証拠を隠したり、逃亡してしまったりしたときには、裁判が適切に行われなくなってしまう。そこで、被告人がそのようなことをすると疑われる理由があるときには、被告人を勾留することになる。
被告人が勾留される場所は、拘置所が原則となっているが、起訴されたあとも警察署の留置場に勾留されることがある。
○ 勾留期間は刑罰にカウントできる
勾留は刑罰ではないといっても、自由を制限されていることには違いないので、懲役刑や禁固刑などの刑罰と同様の苦痛を被告人に与える。
そこで、被告人の刑の重さを決めるときには、判決までに勾留されていた日数の全部または一部については、すでに刑を受けたものとみなすことができる。
これが、未決勾留日数の算入である。