福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年7月15日

情状・情状酌量

『裁判員のための法廷用語ハンドブック』(三省堂)より紹介します。(な)

情状とは被告人の有罪および罪名が決まったうえで、刑を決めるために考慮すべき具体的な事情です。

情状酌量(じょうじょうしゃくりょう)とは、被告人の有罪および罪名が決まったうえで、刑を決めるために被告人にとって有利な具体的事情を考慮することです。

○ たとえば、検察官が論告のとき、「被告人には、情状酌量の余地はなく、実刑に処すべきである」と主張します。
 また、弁護人は最終弁論において、「被告人には、以下のとおり、酌量すべき情状があり、執行猶予にすべきであると考えます」と主張します。

○ 情状とは
 情状という言葉は、被告人にとって有利な事情、不利な事情の両方を含んでいます。
 犯罪の経緯に関する事情である犯情と、それ以外の事情に分かれます。
 犯情とは、被害者との関係、動機、犯行の手段・態様、被害者の人数・状況、被害の程度、犯行の回数・地域、犯行の軽重、共犯関係(人数、役割)、犯行直後の状況(逃走経路、犯行隠ぺい)などがあります。
 それ以外の事情とは、被告人の生い立ち、性格、人間関係、職業関係、家族関係、被害者の状況、被害の回復状況、弁償、被害感情、被告人の後悔や反省の状況、被告人の身柄引受けや監督など、広い範囲にわたります。

○ 情状の検討
 被告人・弁護人が有罪であることを認めている事件では、裁判官と裁判員は被告人の情状を検討して、量刑を決めることになります。
 検察側の論告において、被告人にとって不利な情状が触れられ、弁護人の最終弁論においては、被告人に有利な情状が主張されます。
 評議では、これらの事実の有無を認定し、量刑について考慮することになります。

○ 情状酌量による刑の減軽
 情状酌量というときの「情状」は、被告人にとって有利な事情のみを意味しています。酌量すべき情状があるときには、任意的減軽事由にあたるので、刑を軽減することができます。減軽するかどうかは、裁判員と裁判官が評議で決めます。

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