福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2008年6月24日
最終弁論
最新の判例タイムズ(1266号)に、わかりやすい弁論の工夫が紹介されています。大変参考になります。(な)
最終弁論
最終弁論は、被告人側が冒頭陳述で予告したストーリーを証拠調べでいかに証明してみせたかを説き、裁判員に自らそのストーリーを受け入れる意思を持たせるための、口頭による最後のプレゼンテーションである。
これは、その後に続く評議に効果をもたらす最後の機会であるから、最終弁論は単なる締めくくりではなく、それまでの手続すべてを踏まえた「総集編」でなければならない。それを意識して効果的に弁論をするためには、冒頭陳述から尋問までの成果と一貫した流れを持つ、それ自体も完結したストーリーを組み立てなければならない。
構成を組み立てる際の留意点として、初頭効果と新近効果が意味をもつ。二番目に重要なことを「最初」に、一番重要なことを「最後」に配置する。
最終弁論は口頭で行われるから、口頭で述べた場合に分かりやすい構成と内容でなければならない。
最終弁論も、当然、「読む」弁論から「話す」弁論に変わる。朗読方式はすすめられない。朗読を始めただけで、マイナスイメージを持つ裁判員がいる確率は高い。
公判が集中審理であれば、直前までの審理の成果を完璧な文章に盛り込むことは不可能である。「文書の文化」から「口頭の文化」への脱皮を目ざすべきである。
口頭による弁論では、あれもこれも、ともかく網羅的に言っておく、という「文書の文化」の手法はそもそも不可能だし、できても裁判員には伝わらない。すなわち、重要な要素にしぼり、それらに集中して内容を配置する構成が望ましい。