福岡県弁護士会 裁判員制度blog

2008年5月20日

検察官調書

「裁判員のための法廷用語ハンドブック」(三省堂)より紹介します。(な)

検察官調書(検面調書)とは、検察官が、事件について、被疑者(容疑者)を取り調べたり、被害者その他の関係者から事情を聞いたりして、その内容を書き記したもの。

○ 「検察官の面前における供述を録取した調書」は、これまでは、検面調書と呼ばれていました。これからは検察官調書と呼ばれることが多いでしょう。
 検察官が事情を聞く対象は、容疑者だけでなく、被害者や関係者もふくまれます。検察庁内に限らず、たとえば自宅や病院、または目立たないようにホテルなどで行われる場合もあります。
 容疑者や関係者の同意を得て任意に事情を聞いた場合でも、容疑者を逮捕・勾留して取り調べた場合でも、その記録は検察官調書となります。

○裁判員裁判では、人が見聞きしたり経験したことは、原則として、法廷での証人尋問や被告人質問という形で、証言・供述してもらうという方法がとられます。ただ、例外的に法廷外での書面が証拠として採用されることがあります。その一例が検察官調書です。
 例外的に採用されるのは、次のような場合です。
? 証拠調べ請求をした相手側(たとえば、検察官が請求した場合は被告人・弁護人)が同意した場合
? 供述した人がすでに死亡し、法廷に出てくることができない場合
? 関係者の法廷での証言が前の供述と異なる場合
 ただし、?の場合は、「法廷での証言より、前の供述がより信用できるという特別な状況がある」(特信状況あるいは特信性がある)という条件が必要です。
 たとえば、検察官の事情聴取が終わったあと、公判の始まる前に、証人が誰かに脅されたなどの事情がある場合には、検察官調書作成のときに特信状況があると主張されるでしょう。

○ 検察官調書(検面調書)は、あたかもその人がスラスラと一つの物語を話し、それを検察官が書き取ったかのような体裁になっています。しかし、実際は、検察官がその人から話を聞いて、それを検察官が頭の中で整理して、その整理したものを検察官が文章にしたものです。

  • URL