福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2007年2月13日
法廷用語の日常語化(その2)
自白とは、自分が犯したことについて自ら話すこと。
自白の任意性とは、脅かされたり、だまされたりすることなく、自らの意志で自白すること。任意性のない自白は、証拠とすることができない。
裁判員に対しての説明として、自白に任意性があるかどうかが本件の争点と言って、任意性とは脅かされたり・・・と説明するより、検察官の提出する警察官がつくった調書は、○○刑事に・・・と脅かされて作られたものですから、証拠にはなりませんと説明したほうがよい。
自白の任意性という言葉をつかわずに内容を説明します。一般に自白というのは自分の意思でするものと思われており、自分の意志にもとづかない自白があるという考えそのものが理解されにくいのです。
任意になされていないものは一般に自白とは考えられないし、自白が信用できないという発想はなかなか受けいれられないものです。
また、犯人は自らすすんで犯したことを全部話すというイメージがあり、一部だけ自白するという概念は理解されにくいものです。
したがって、一部自白しているのを全部について自白しているかのように誤解されないため、一部自白については、認めている事実を必要に応じて厳密に特定して話す必要があります。
いずれにせよ、自白というのはまず任意性・信用性に疑いをもって見るものだという弁護人の発想は裁判員には通用しないことを十分に理解したうえで、自白という言葉をつかうべきなのです。
なるほど、犯人は自白するもの、自白したなら犯人だというのが世間の常識でしょう。でも、現実には真犯人が別にいた事件で、無実の人が「自白」したというケースはよく起きていることです。(な)