福岡県弁護士会 裁判員制度blog
2006年11月 9日
裁判員候補者は理由なく排除されることがある
弁護人と被告人は、不適格事由などに該当する裁判員候補者について不選任請求権が認められています。これは理由を明らかにする必要があります。とくに「不公平な裁判をするおそれ」があることを理由とするときには、具体的にどういう理由で、その裁判員候補者が「不公平な裁判をするおそれ」があるのか、的確に示す必要があります。
理由付の不選任請求がなされると、裁判所は、たしかにその事由に該当すると判断したら不選任を決定しますし、そうでないと考えたらその理由付不選任決定を却下することになります。この却下決定には異議申立ができます。
裁判所も、職権で選任しないことを決定できます。
また、弁護人らは理由を言わないで原則として4人まで選任しないよう求めることができます。
弁護人が行使できる無条件の不選任請求は、原則として4人までです。仮に、検察官〜弁護人〜検察官〜弁護人という順番に無条件不選任請求が行使されるとしたら、検察官が排除するであろう裁判員候補者の予測を立てる必要があります。
というのは、検察官が二巡目に不選任請求すると思われる裁判員候補者を、弁護人が一巡目で無条件不選任請求するのは、4人までの不選任請求権の枠を一つ減らしてしまって、得策ではないからです。
そこで、弁護人は質問手続きの場において裁判員候補者の回答をよく聞き、その挙動にも十分注意を払って、その回答の言葉と態度などをすぐ的確に分析しなければいけません。(な)