福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2024年12月号 月報
2024年11月1日からフリーランス法が施行されました!
月報記事
弁護士業務委員会 副委員長 福山 聖(64期)
1. フリーランス法の対応は万全ですか?
2024年11月1日から、「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス・事業者間取引適正化等法)(以下「フリーランス法」といいます)が施行されました。
弁護士業務委員会の経済法研究会では、施行前の同年10月22日に、フリーランス法の施行について、会員の皆様へ周知するとともに、業務に役立てていただくため、研修会をハイブリッド方式で実施いたしましたので、ご報告いたします。
当日は、「フリーランスにかかる取引の適正化について」の講演を、公正取引委員会事務総局九州事務所取引課長の幸屋健太郎氏に、「フリーランスの就業環境の整備について」の講演を、福岡労働局雇用環境・均等部指導課フリーランス就業環境整備指導員の前田佐也香氏にお話いただきました。
2. 対象となる事業者や取引とは?
フリーランス法は、フリーランスの相談者や発注事業者となる顧問先の取引だけでなく、私たち弁護士自身の取引にもかかわってくることがあります。たとえば、私たちが発注事業者として、フリーランスの通訳人に依頼するとき等です。
知識としてだけでなく、弁護士自身の取引がフリーランス法に対応できているのかを確認するためにも、まずは「対象となる事業者」や「対象となる取引がどのようなものか」等、フリーランス法をご確認いただければと思います。
3. 守るべき義務と禁止行為とは?
フリーランス法は、さまざまな業界で活動するフリーランスとの業務委託取引について、「取引適正」と「環境整備」という2つのパートに分けて、発注事業者が守るべき義務と禁止行為を定めているため、今回の研修は、それぞれ実務的な視点でお話しいただくべく、公正取引委員会と労働局から講師をお招きしました。
公正取引委員会からは、「取引適正」のパートにかかる「取引条件の明示義務」、「期日における報酬支払い義務」、「発注事業者の禁止行為(7つ)」のほか、下請法との比較について、福岡労働局からは、「環境整備」のパートにかかる「募集情報の的確表示義務」、「育児介護等と業務の両立に対する配慮義務」、「ハラスメント対策に係る体制整備義務」等の項目について、ご説明いただきました。
4. パンフレット等のご紹介
各項目(義務や禁止行為)のポイント等については、研修時に配布されたパンフレット「ここからはじめるフリーランス・事業者間取引適正化等法 令和6年11月1日施行(内閣官房・公正取引委員会・中小企業庁・厚生労働省)」が参考になります。同パンフレットは、公正取引委員会のHP中(https://www.jftc.go.jp/fllaw_limited.html)に掲載されていますので、ご利用ください。また、同HP中には、同法の特設サイトが開設されているほか、YouTube動画等の掲載もありますので、ご参考になれば幸いです。
研修資料:パンフレット表紙
5. さいごに
ご自身の取引が、フリーランス法の対象となる取引に該当していないか、対象となっている場合には義務を守り、禁止行為に該当するようなことになっていないか等、ご確認等をお願いします。
経済法研究会では、今後も、皆様の業務に役立つ研修等を企画してまいりますので、ふるってご参加ください。
研修の様子:弁護士会館にて