福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2023年9月号 月報

あさかぜ基金だより

月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 社員弁護士 藤田 大輝(74期)

もうすぐ折り返し!!

令和4年4月にあさかぜに入所(弁護士登録)して、約1年5か月がたちました。私が入所したときは5人いた弁護士も、過疎地へ赴任していって、今や2人きりで、寂しいものです。あさかぜの養成期間は、上限が一応3年と決まっていますので、折り返し地点が迫ってきていることに、我ながら驚いてしまいます。過疎地への赴任には、赴任先の過疎地を見学したうえで、応募するかどうかを決め、書類を提出すると、現地選定委員会による面接のうえでの選考と手続がすすんでいきますので、私もそろそろ赴任先を具体的に検討しないといけない頃合いです。 いい機会ですので、あさかぜでの1年5ヶ月を振り返ってみます。

この事件も初めてだな......

あさかぜは、司法過疎地域で弁護士業務を行う弁護士の養成を目的とした養成事務所ですから、養成期間に幅広い事件を経験できるような体制が用意されています。具体的には、有志であさかぜに協力している弁護士から事件の紹介を受けて共同受任をしたり、県外あるいはあさかぜ出身の先輩弁護士から事件の紹介を受けたりしています。 私も、これまでに、一般民事だけでなく、民事介入暴力への対応、交通事故、労働、遺産分割、離婚、成年後見申立、法人破産を含む各種の債務整理など、バラエティに富んだ事件を受任することができました。初めて取り扱う類型の事件も多いです。取り扱った経験のない類型の相談を受けるときは、相談者から「こういう事件の取扱い経験は何件ですか?」と訊かれないことを祈っています(もちろん、訊かれたら正直に答えるようにしています。でも、ときには話をはぐらかしたほうが良かったかと思うこともあります)。 このようにして、わたしたち所員は、養成期間中に数多くの類型の事件を受任し、きたるべき司法過疎地域で十分に要請にこたえられるよう研鑽を積んでいます。

事務所経営の勉強という名の庶務

あさかぜでは、事務所経営に必要な庶務もいろいろ経験します。まずあたったのは、弁護士法人の変更登記手続です。弁護士法人は、弁護士法上、社員の変更があったときには必ず変更登記をしなければいけません。あさかぜは弁護士法人なので、所員の交代があると変更登記手続が必要となります。そのため、私は、私が入所したとき、そして先輩所員が退所したときに、過去の申請書類を参照したり、法務局へ問い合わせたりしながら、登記申請しました。 また、事務所ホームページの更新も業者を利用せず、所員が担当します。今は、私が担当者ですから、インターネットで方法を模索しながら四苦八苦してホームページを更新しています。 さらに、必要に応じて事務員の採用もおこないます。私も、パート事務員を採用するため、ハローワークに求人申し込みをしました。また、他の所員弁護士に協力してもらいながら、応募書類を選考し、そのうえで採用面接しました。良き人材を得るというのは大変なことだと実感させられました。さらに、必要に応じて、就業規則の改訂等の労務管理もおこなっています。健康診断を受けるよう促すのは、私自身にしても、ついつい忘れてしまうので注意が必要ですよね。 事務所の税務関係でお世話になっている公認会計士・税理士とも連絡を取りあっています。決算時期には直接面談して、作成された決算資料について質疑応答して勉強になりました。 このほか、所員弁護士の採用に関する庶務、保存期間を経過した先輩弁護士の事件記録の処分、社員総会の実施・議事録の作成、書籍の購入・管理、業務関連システムの管理・導入検討、リース備品の管理など、庶務は多岐にわたります。 こうした事務所の庶務も、きたるべき司法過疎地域の赴任先における事務所運営に関わる事務を学ぶ重要な業務の1つです。なかなか大変ですが、新人弁護士には通常だったら経験できないことではないかなと思いますので、大変ありがたく感じています。

娘と親バカが生まれました

弁護士登録日に婚姻届を提出した私ですが、今年2月に娘が生まれました。子どもって可愛いんですね。この月報の依頼を受けたとき、娘のことだけで原稿を書こうかな、と本気で考えました。 子どもは成長が早く、とても驚かされます。ちょっと前まで首が座らず、台所のシンクで沐浴させていたのが、あっという間に一緒に湯船につかるようになり、首が座り、離乳食がはじまりました。この原稿が掲載されるころには「ずりばい」ができるようになっているのかな、と考えるとつい頬がゆるんでニヤニヤしてしまいます。私のデスクには、某スタジオで撮影・作成した娘の写真マグネットが貼り付けてあり、ちょっと疲れた気分のときに眺めて、気分をとり直したりしています。 子どもが生まれてから初めて知ったこと、経験したことは多く、毎日が勉強です。出生届の提出から、児童手当受給申請といった行政手続はもちろん、「お宮参り」や「お食い初め」といった行事にも無知でした。哺乳瓶の消毒、離乳食の作り方や進め方も、妻と一緒に福岡市主催の育児教室に参加して勉強しました。 娘の存在が業務にいい影響を与えていると感じることもあります。たとえば、子どもの話が依頼者と打ち解けるきっかけになるのです。小さなお子さんを抱える相談者の話は、具体的なイメージを持ちやすくなりました。 私が業務に集中できるように支えてくれる妻と妻の両親には、いつも感謝しています。また、娘の誕生に際して、複数の先輩弁護士からお祝いをいただきました。この場を借りて、お礼を申し上げるのをお許しください。

某大先輩からいただいた出産祝い
これからも頑張ります

あさかぜには、現在、72期の石井智裕弁護士と私の2名の弁護士が在籍しています。石井弁護士は、過疎地赴任に向けて各地の事務所見学等をしていますので、赴任が決まれば、私があさかぜの最年長弁護士になります。とはいえ、あまり気負い過ぎず、先輩を頼って頑張っていくつもりです。 あさかぜから過疎地に赴任している先輩弁護士を見ていると、いかにも頼もしく、私はまだまだだなと心配してしまいます。過疎地赴任までに一人前の弁護士になれるのかどうか、不安に駆られるところではありますが、あさかぜでの日々の業務を通じ、事務所経営・事件処理を学び、経験を積み重ねていきたいと思います。 未熟な点も多い私ですが、これからも引き続き、より一層のご指導・ご鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。

弁護士法人あさか ぜ基金 法律事務所エントラ ンス
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