福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2022年10月号 月報

「~裁判傍聴&弁護士との交流会~弁護士に会ってみよう!」企画のご報告

月報記事

法科大学院運営協力委員会 委員長 稲場 悠介(62期)

第1 はじめに

皆様は、いつ、法曹になることを志されたでしょうか?

早い人だと小学校からでしょうし、社会人になって法曹を志望される方もいると思います(私は大学生のときでした。)。

法曹を目指す切っ掛けも人それぞれだと思いますが、裁判を傍聴することや、実際に弁護士に会ったことで法曹を目指す機序になった方もいるのではないかと思います。

そういった機会を提供するため、去る8月26日(金)、当委員会において「~裁判傍聴&弁護士との交流会~弁護士に会ってみよう!」と題して、主に大学生を対象にした企画を実施しましたので、ご報告させていただきます。

第2 裁判傍聴(第1部)
1 裁判傍聴

まず、弁護士引率の下、実際の裁判を傍聴しました。コロナ禍や夏季休廷期間の時期でもあり、そんなに多くの裁判は開廷されていませんでしたが、民事裁判及び刑事裁判の両方を傍聴することができました。特に刑事裁判については、冒頭手続から判決までといった全ての刑事手続を傍聴することができました。

2 弁護士との懇談(傍聴した裁判の感想会)

続いて、実際に傍聴をした裁判について、引率した弁護士と懇談を行いました。

単に傍聴する場合、裁判は粛々と行われるため、各手続の流れやその意味については、勉強していてもなかなか理解できません。

しかし、本企画では、傍聴後すぐに弁護士から説明を受けることができるので、傍聴していたときに疑問に思ったことを、すぐに弁護士に聞くことができ、より理解を深められるのが良いところです。

実際に、参加者からは手続面から実体面の質問は勿論、検察官や弁護士の法廷での心情など、多岐に渡る質問が出ました。

実際に目の前で行われた裁判を新鮮な記憶のまま議論の素材とすることができるという経験はなかなかできません。参加者にとって貴重な経験を提供できたのではないかと思います。

第3 弁護士との交流会(第2部)

第2部は、弁護士がどういった仕事をしているのか、勤務している事務所による弁護士の仕事の仕方の相違はあるのか、さらに司法試験受験自体の体験談などを講演会方式で実施しました。

コメンテーターとして、畑田将大弁護士、井上瞳弁護士、内田鴻二弁護士など参加者層に近い年代の先生方に登壇して頂き、各自の経験に基づいたお話をして頂きました。

弁護士によって様々な業務があること、弁護士の職務が広範に及ぶこと、また所属する事務所によって働き方も異なることを、具体的な話を通じて感じていただけたのではないかと思います。

また、司法試験時代の話も多岐に渡り、漠然と「厳しい試験」「長時間の勉強を要する」「合格には特別な才能がいる」というイメージのある司法試験も、より身近に、また勉強のモチベーションのアップに貢献できたものと思います。

コメンテーターの先生方もしっかり準備して頂き、真剣な話の中に笑いもあって、良い意味で肩肘を張らずに聞けた講演会であったと思います。登壇された先生方には、この場を借りて厚く御礼申し上げます。

質疑応答の時間では、参加者から多くの質問が出ましたが、閉会後も近くにいた弁護士を捕まえて、更に質問をする姿が多くあったのが印象的でした。

第4 さいごに

本企画は、日弁連で行われている「弁護士に会ってみよう」という企画を参考に、平成30年から実施しています。令和2年はコロナの影響で実施できなかったため、今回の実施で延べ4回目の開催となります。

昨今、法曹志望者が減っているという話が聞かれます。

その理由は様々でしょうが、裁判の実際や、それに携わる私たちの仕事への理解が進めば、将来の進路選択の一つとするきっかけとなり、本企画はその一助になるのではないかと思っています。

なお、今回の参加者はZoom参加者も含めて23名でした。第1回のときは2名でしたので、地道に活動してよかったと思っており、次年度以降も実施する予定です。

法曹に興味があるという方のお知り合いがいらっしゃったら(参加者は高校生・大学生を想定しています。)是非、次年度以降の本企画へのご参加にお声掛けください。

いつの日か、この企画で法曹になることを志し、見事、それを達成してくれた方に会えることを願っています。

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