福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2021年10月号 月報

弁護士に会ってみよう!

月報記事

法科大学院運営協力委員会 委員 古賀 祥多(69期)

盛況でした!

2021年(令和3年)8月23日、福岡県弁護士会館にて、「弁護士に会ってみよう!」をオンラインで実施しましたので、ご報告します。

本企画は、当初、裁判傍聴をした後、会館に集まって直接弁護士と懇談するという企画で、中高大学生を対象に参加者を募集していましたが、多くの方の参加申込があり、開始前から大盛況でした。しかし、誠に残念ながら、7月下旬頃より新型コロナウイルスの感染者数が増大し、8月になっても勢いが衰えることなく、ついには8月20日より福岡に緊急事態宣言が発出されたため、裁判傍聴企画を中止し、弁護士との懇談企画もすべてZoom形式で実施するなどして、リアルでの企画をすべてオンライン企画に切り替えざるを得ないこととなりました。

ただ、急遽オンライン開催に変更になったにもかかわらず、当日は、27名の方に参加いただき、大変盛況となりました。

第1部 弁護士に聞いてみよう!

まず、第1部として、佐渡麻奈美委員の司会のもと、稲場悠介委員長、中谷正太事務局長、山之内明委員の3名の対談方式で、弁護士の仕事のことや、弁護士になるための流れ等について説明がありました。

今回の登壇者委員は、弁護士経験がそれぞれ12年、5年、2年で、若手から中堅という構成となっており、自身のこれまでの経験等から、弁護士の仕事を魅力的に語っていました。たとえば、仕事内容や忙しさについては、登壇者の弁護士経験年数や、事務所での立場(イソ弁なのかどうか等)も異なっていて、若手のときは忙しくて仕事が大変だが、ある程度弁護士として経験すると少しずつ変わっていったりするといった具体的な話もされました。

また、各登壇者から、弁護士を目指そうとしたきっかけ、弁護士を目指そうと思った時期について話があり、大学学部生のときに法律家を目指そうと思った登壇者もいれば、小学校のときや、子供の頃に弁護士を目指そうと考えたという登壇者もいて、それぞれの目指すきっかけはさまざまで大変興味深く思いました。

さらに、事務所に弁護士が何人いて、どんな感じで仕事をしているのか、といった具体的な話もされました。

途中、実際に弁護士になるための方法について、法科大学院と予備試験などの司法試験受験資格に関する制度や司法修習制度について、委員より説明がありました。アンケートを見てみると、具体的な進路のことはあまり知らなかったので、今回の企画で大変勉強になりました、というご感想がありました。

最後に、司会より弁護士はオススメの職業なのか、と聞かれたとき、登壇者全員が、オススメの職業です!とハッキリと回答していたのが印象的でした。

第2部 弁護士と話してみよう!

次に、各参加者と弁護士がいくつかのグループに分かれ、個別の小グループでの質問タイムが開かれました。私も、松井仁副委員長とともに5名の学生と話をしました。各参加者からは、なぜ弁護士になったのか、弁護士の仕事で失敗したことやつらいことはあるか、弁護士になる前にどんなことを勉強しておけば良かったと思うか、といった話や、企業内弁護士はどんな仕事をしているのか、といったことまで、様々な質問を受けました。

私は、あまり含蓄のある話ができませんでしたが、これまでの弁護士経験のなかで経験したことなどをお話しました。たとえば、弁護士は依頼者に寄り添って、依頼者に近いところで事案の問題点を探し出し、裁判官を説得する、そして説得活動が功を奏し、こちらの言い分を理解してもらうことができたときはやりがいを感じる、もちろん、ときには弁護士が一生懸命やっていても依頼者から強くあたられるときはあるが、それは自分を信頼してくれていることの裏返しと思って、自分を励まして仕事をする、というような話をしました。

松井副委員長は、非常に魅力的で、とてもためになる話をされていました。たとえば、参加者より「日弁連とは何か」という質問をされた際、弁護士自治・弁護士の独立について、他国と比較しながら、端的に、かつ、わかりやすく丁寧に説明されていました。また、松井副委員長が、これまでの実務家経験の中で、先輩の実務家から聞いた話をされて、「裁判官になるには世間を知らないといけない。世間を知らないまま裁判ができるのか。」といった話や、「負けたときに感謝される弁護士を目指しなさい」といった格言を聞くことができました。さらに、ADRのことや、組織内弁護士(企業・自治体)のことなど、弁護士が様々な場面で活躍していることを、具体的な場面に触れながら、かつ、その魅力にも触れながら話をされていて、私自身、非常に勉強になるとともに、弁護士の魅力を再確認することができました。

今度はリアル企画で!

本企画実施後のアンケートでは、参加者の方より、「普段知ることのできない弁護士の仕事を具体的に知ることができて勉強になった」「直接弁護士の方とお話ができて法曹への興味がでてきた」といったご意見を多数いただきました。きっと、今回本企画に参加していただいた皆様には、「弁護士」という仕事の魅力を知っていただけたのではないか、と思います。私も、今回、本企画に出席し、弁護士のことを知らない学生に対して自分の仕事について話をしたり、あるいは、他の弁護士の仕事のことについて話を聞いたりすることができ、あらためて「弁護士」という仕事がどんな仕事なのか、再確認することができました。

ただ、今回、緊急事態宣言により当初の企画を中止・変更せざるを得なかったのは心残りでした。特に、参加者の中には、裁判傍聴を心待ちにしていた方々が多数いらっしゃっていたようで、私が第2部で参加したグループのメンバーだった5名の方は、全員、実際に裁判傍聴をしてみたいというご意見でした。また、本企画のアンケートでも、緊急事態宣言のなかで本企画が実施されたことについて感謝の言葉をいただいた一方で、やはり直接弁護士と会って話を聞きたかった、裁判傍聴企画が実施されなかった、というご意見も寄せられました。

昨年から続く新型コロナウイルスの流行により、直接面談での企画がなかなか難しい中、オンライン会議システム等を利用して実施することにより、様々な企画を実施することができるようになりました。しかし、他方で、やはり直接会って見聞きすることができる企画には普遍的なニーズがあるものと実感しました。

今年は残念ながらオンライン開催となりましたが、新型コロナが沈静化した後、改めてリアルでの企画を実施したいと思いました。

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