福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2021年8月号 月報
「女性の権利ホットライン」のご報告
月報記事
両性の平等に関する委員会 委員 小野 佳奈子(68期)
1 はじめに
平成11年6月23日に「男女共同参画社会基本法」が公布・施行されたことにちなみ、毎年6月23日から29日は「男女共同参画週間」として様々な取組がなされています。
取組の一環として、この期間を中心に全国各地で「女性の権利ホットライン」(旧「女性の権利110番」)が例年どおり実施されました。
「女性の権利ホットライン」では、女性に対する暴力や離婚問題、職場における差別など、女性の権利一般に関する問題について無料電話相談を受け付けました。
2 当会における実施状況
当会は、福岡県と福岡市から後援をいただき、県内各所の男女共同参画センターと共催して、以下の日程で「女性の権利ホットライン」を実施しています。
6月23日
福岡県弁護士会館、ハートピアぶぜん
大野城まどかぴあ男女平等推進センター
筑後弁護士会館
久留米市男女平等推進センター
田川市男女共同参画センター
6月24日
福岡県男女共同参画センター
大牟田市男女共同参画センター
飯塚法律相談センター
6月25日 福岡市男女共同参画推進センター
6月28日 直方市男女共同参画センター
6月29日 筑後市男女共同参画推進室
6月30日 北九州市男女共同参画センター
今年は合計80件もの相談が寄せられました。
特に離婚や内縁・男女関係についての相談は全相談数の6割を超え、また女性に対する暴力については14件もの相談が寄せられており、男女間のトラブルで悩まれている方が多い印象でした。
3 当日の対応
私は、春日市にある福岡県男女共同参画センター(あすばる)を担当しました。
あすばるでは、まずはセンターの相談員の方が受電をし、法律相談にあたる場合には待機中の弁護士2名のいずれかに引継ぐという仕組みをとっていました。普通の法律相談とは異なり時間制限がなかったので、相談の内容に合わせじっくり対応することができました。
なお、私の待機中には法律相談ではないため弁護士に引き継がずに相談を終えるケースも複数あり、各センターは相談場所のない女性にとって駆込寺的役割を果たしているのだと感じました。
4 おわりに
相談員の方と雑談をする中で、コロナ以降相談量が一割くらい増したように感じるとのお話や、若い方のDV・モラハラ相談が増えた気がする等のお話がありました。コロナ禍では家庭内の問題が増えやすいと言われていますが、相談員の方の話を聞いて「女性の権利ホットライン」の重要性を改めて実感しました。
「女性の権利ホットライン」は電話相談なので、直接弁護士を頼ることができない方でも気軽に相談していただけると思います。今後も行政と連携し、一人で悩む女性が少しでも減るよう「女性の権利ホットライン」をより充実したものにしていきたいと思いました。