福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2021年8月号 月報

倒産業務等支援センター 委員会からのおすすめの書籍「破産法実務 全訂版」

月報記事

倒産業務等支援センター委員会委員 原田康太郎(65期)

従前、福岡における破産業務においては、福岡地裁本庁での運用と書式が記載されている「破産法実務」が広く愛読されており、会員の皆様も一度は目にしたことがあると思います。
この度、「破産法実務」が全面的にリニューアルされ出版される運びとなりました。
「破産法実務」の前回の改訂は平成22年6月のことであり、10年以上が経過していることから、時と共に制度や運用が変化し、「破産法実務」での記載内容と実際の運用が異なっている部分も増えてきました。そこで、当委員会では、有志を募り、平成27年3月、「破産法実務」の改訂PTを立ち上げることとなりました。
改訂にあたっては、単に、旧版の記載のうち、運用が異なる部分を修正するだけではなく、内容の充実度も向上させることを意識して作業を進めることになりました。
さらに、破産業務に関する基本書、実務本は勿論のこと、他県の書式集についても全国から資料を収集し適宜参考にさせていただきました。
そして、改訂PTの立ち上げから苦節6年、打合せを重ねること104回、ついに「破産法実務」の改訂が実現しました。
内容としましては、第1編「留意事項編」、第2編「書式編」、第3編「巻末付録編」、第4編「破産レター編」の四本立てとなり、その内容の充実度は大きく向上しております。
「留意事項編」は、破産申立から破産管財業務の終了に至るまでの流れがコンパクトにまとまっており、ここを通読すれば、ポイントを押さえつつ、破産に関する業務の流れが把握できます。手続の流れのみを記載しているのではなく、各業務において対応する書式の番号も挿入されており、参照のしやすさへも配慮されております。
「書式編」では、その収録数を、旧版の170個の書式から212個に大幅に増やしました。例えば、許可申請書や報告書関連の書式のパターンを増やし、より参考にしやすい書式集になっております。しかも、書式に関連して、実務上迷いがちな点をQ&A方式で適宜挿入しており、書式の利用に合わせて疑問点を解決できる作りになっております。
「巻末付録編」、「破産レター編」では、福岡地方裁判所第4民事部から出された通知を中心に、資料を取りまとめております。
旧版と比較して、約100頁の大幅な増量となっているだけでなく、上記の通り、その内容も充実度を増しております。
福岡における破産実務に即しており、 破産業務をするうえで必携の一冊と言っても過言ではありません。PTメンバーの情熱が注ぎ込まれた本作をどうぞみなさんも手に取って、今後の破産業務に生かしていただければと思います。
なお、「破産法実務」の研修会を予定しております(9月1日18時~20時ライブ研修、同月7日・13日15時~17時DVD研修、いずれもZoom併用)。改訂のポイント等を説明する予定ですので、ぜひ奮ってご参加ください。
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