福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2021年5月号 月報
「ジュニアロースクール2021春in福岡」開催!
月報記事
法教育委員会 委員 稲吉 佑紀(73期)
1 はじめに
去る令和3年3月30日、「ジュニアロースクール2021春in福岡」が開催されました。今年はコロナ禍ということもあり、私にとって初のJLSは、福岡部会初のオンライン開催となりました。
以下、当日までの準備や当日の様子についてご報告させていただきます。
2 当日までの準備
(1) 福岡県弁護士会では、平成20年以降ほぼ毎年JLSを開催しており、例年好評をいただいて参りました。そのため、当然2020年も開催しようと計画を進めていたのですが、開催予定日である3月27日が近づくにつれ新型コロナウイルスも猛威を振るい始めていたため、泣く泣く開催を断念いたしました。
そこで、今年こそはなんとか開催しようということでオンラインでの開催を決定し、また昨年準備してきたことをできるだけ活用しようということで、議論のテーマや教材等はそのまま引き継ぐことことなりました。
(2) 今年1月に執行部で企画が承認されてから開催までの3か月足らずの間に、打合せやリハーサルを計7回行い、川上キャップを筆頭に周到な準備が進められました。
対外広報としては、当会ホームページやTwitterでのお知らせ、各学校宛てにチラシを郵送、福岡市教育委員会の学校連絡箱への配布など、積極的に行い、その結果、40名余りの参加希望が寄せられました。
3 当日の様子
(1) 当日は急遽不参加となってしまった生徒さんもおり、結局39名の生徒さんが参加してくださいました。テーマは「自転車保険の強制加入の是非」という少し難しいものでしたが、保険の説明から丁寧に行い、立法の考え方を多角的に学ぶことを狙いとしました。
(2) 大まかな流れとしては、
第1部
- 自転車保険の強制加入について、予め撮影しておいた寸劇のビデオ視聴で説明(演技とは思えない酔客を演じられた甲木先生、クセ強めのおばあさんを演じられた八木先生、年齢不詳で少し怖い児童を演じられた横山先生やその児童に話しかける本江委員長をはじめ、各委員の先生方の熱演は心に迫るものがありました。)。
- 自転車保険の強制加入の是非について、グループに分かれて議論する。
- 各グループで出た意見を生徒さんに発表してもらい、全体で共有する。
第2部
- 第1部の議論を踏まえ、具体的にどのような条例を作ることが望ましいかを、再びグループに分かれて議論する。
- 各グループで出た意見を生徒さんに発表してもらい、全体で共有する。
- 逆の立場や異なる内容の条例案を示した他のグループに対し、適宜反論、再反論してもらう。
- 議論を踏まえ、自分たちの条例案で変更すべき点や維持すべき点について、グループに分かれて議論する。
- 自分たちの条例案について、変更した点を理由とともに発表してもらう。
というものでした。
開会前、最後の打合せをしている様子。
特に川上キャップ、司会の請川先生、Zoom担当田上先生など運営に携わる先生方は、直前まで緊張感あふれる入念な打合せをされていました(私はその後ろでサンドイッチを食べていました。)。
弁護士会館2階大ホールにて、ソーシャルディスタンスを確保しつつ中高生と議論する様子。
机の向きを変えるなどして、ハウリングや音声の重複にも配慮していました。
各委員に役割が振られ、皆さん真剣に取り組んでいらっしゃいます。
全体会議の様子。
多種多様な意見が出て、隣に座っていた日浅先生が時折唸っていました。
私は一時的に音声が聞こえなくなりましたが、皆さんの表情や日浅先生の唸り声に合わせて相槌を打っておりました。
4 おわりに
振り返ると、総じて大成功だったのではないかと思います。
初のオンライン開催ということで、予期しないトラブルが発生しないか不安はありましたが、本江委員長や川上キャップをはじめとするリーダーの先生方が何度も打合せを行い、入念な準備をしてくださり、また、請川先生の機転を利かせた司会や田上先生の滑らかなZoom操作のおかげで、滞りなく予定どおりに進行することができました(特に活躍できずすみません。)。
中には、Zoomの操作に慣れておらず、なかなかZoomに入れない生徒さんもいました(実は私の従弟です、ご迷惑をおかけしました。)が、全体として特に問題なく、実施後にいただいたアンケートでも大変好評をいただき、オンラインで逆に良かった、また参加したい、という意見も多く寄せられました。
また、中高生の意見の中には私が予想していなかった角度からの鋭い意見も見られ、勉強しているのがどちらなのかよくわからなくなりました。
私はまだ登録後3か月余りの新人中の新人ですが、紛争に溢れた日々の業務の中で、中高生のキラキラと輝く瞳に時折目がくらみつつも、とても癒されました。
今回、JLSのオンライン開催は十分実現可能であることが示されましたが、やはり対面の良さもあるかと思いますので、早く対面でも実施できる日が来ることをお祈りいたします。