福岡県弁護士会コラム(弁護士会Blog)
2019年7月号 月報
福岡県弁護士会役員就任披露会のご報告
月報記事
福岡県弁護士会主任 西原 宗佑(71期)
1 はじめに
令和元年5月29日、西鉄グランドホテル2階鳳凰の間において、福岡県弁護士会役員就任披露会が開催されましたので、ご報告いたします。
役員就任披露会とは、今年度の新執行部が、法曹界のみならず、政界をはじめとした各界のご来賓を多数ご招待して、お披露目をする会となっております。
今回は、来賓143名、会員76名と大勢の方々が出席されておりました。
2 開会
まず、会のはじめに、会場前で新執行部の写真撮影が行われました。
そして、参加者が新執行部とそれぞれご挨拶を交わしながら、会場に入場しました。
全員が入場した後、前田恭輔先生と浅上紗登美先生の司会で開会しました。
次に、来賓のご挨拶としまして、小川洋福岡県知事から、新執行部に対して、祝辞が述べられました。
その後、更なる祝辞として、小林昭彦福岡高等裁判所長官から、お言葉を頂きました。
そして、乾杯の挨拶は、榊原一夫福岡高等検察庁検事長に行って頂きました。
3 新執行部のご挨拶
しばしの歓談の後、新執行部が登壇し、会長、副会長、部会長の順にご紹介がなされていきました。
山口雅司会長が主催者を代表してご挨拶をなされました。
4 新弁護士会館の紹介
新弁護士会館を設計した古森弘一一級建築士が、前方のスクリーンに映しながら、新会館の設計方法や魅力をご紹介されておりました。
山口新会長のご挨拶
古森一級建築士による新会館のプレゼンテーション
5 閉会
そして、最後に副会長兼福岡部会長である光安正哉先生より、閉会のご挨拶を頂き、会は大盛況のうちに終了しました。
6 おわりに
私はまだ弁護士になり、半年ほどしか経っておりませんが、このような法曹界だけではなく、多種多様な他業種の方々が大勢集まる会に1年目から参加できたことは、大変光栄でした。それにもかかわらず、私は、この月報に記載するための写真撮影を行う係となっていましたので、写真撮影に夢中で、多くの来賓の方々と交流をすることができませんでした。このことが本会での心残りでありますので、今後も積極的に参加して、普段関わることの少ない来賓の方々と交流を持つことを今後の目標としたいと考えております。
「子どもの権利条約批准25周年記念トーク&ライブ」のご報告
月報記事
子どもの権利委員会 委員 伊藤 裕貴(71期)
1 はじめに
1994年に日本が「児童の権利に関する条約(子どもの権利条約)」を批准し、今年で25年となりました。そこで、子どもの権利条約批准25周年を記念して、令和元年5月18日(土)、福岡県弁護士会館において、「うまれてきてくれて ありがとう」と題し、子どもの権利条約批准25周年記念トーク&ライブが行われました。
今回は、シンガーソングライターであるmonさんをゲストとしてお招きし、monさんのトーク&ライブの後に、迫田登紀子会員から子どもの権利についてご講演いただきました。
2 monさんによるトーク&ライブ
(1) monさんのプロフィール
monさんは、糸島市在住の2児の母であり、6人兄弟の末っ子として大分でお生まれになられました。叔父の「にしきの あきら」に憧れて、幼少期から歌手になることを決意され、現在は、シンガーソングライターとして、小中高等学校、ホールを中心に年間約180か所でコンサート活動を行っておられます。
また、monさんは、様々な特性をお持ちであるがゆえに幼少期にイジメを受けた経験をお持ちで、当時のエピソードを交えたお話も伺うことができました。
(2) monさんによるライブ
monさんは、開演前のリハーサルの段階から、来場者の方々に美しい歌声を披露してくださり、会場整理を担当していた私も、その歌声に聴き入ってしまい、全く仕事が手につきませんでした(笑)。
monさんは、お話とお話の合間に、「短い愛の歌」、「宝物」、「ほんとはね」、「いのりのうた」、「ふなつきうた」、「千の風になって」、「日めくりのカレンダー」など、多くの歌を披露してくださり、来場者の方々も手拍子で応えるなど、普段の会館からは全く想像できない雰囲気に包まれていました。トークの時の柔らかい話し方とは対照的に、その歌声は、とても力強く、心に直接訴えかけてくるものがあり、ご来場くださった方々の中には涙を流しながら、うなづきながら、その歌の世界に入り込んでいる方も多くいらっしゃいました。
会場の様子
歌を歌うmonさん
(3) monさんによるトーク
monさんは、幼少期のお話、中学校に行けなくなってしまったお話、お姉ちゃんのお話、おばあちゃんのお話など、様々なお話をしてくださり、いずれも楽しくもあり、悲しくもあり、深く考えさせられるお話でした。私は、monさんの講演の最中、忙しいことを言い訳に普段なかなか考えることができない、自分の家族や大切な人のことを考えることができました。monさんがお話しくださった全てのお話をご紹介したいのですが、紙幅の都合上、到底ここには書ききれないものですので、私が特に印象に残ったmonさんの幼少期のお話をご紹介したいと思います。
monさんは、6人兄弟の末っ子としてお生まれになりましたが、出生後、間もなくおばあちゃんの家で育てられ、小学校に入学するまでお母さんや、他の5人の兄弟と一緒に生活をせずに、おばあちゃん宅で暮らしていたそうです。そして、小学校に入学する時に、他の兄弟が住むご実家に戻られ、これまで会ったこともない兄弟との共同生活、小学校という新しい環境での生活がスタートしました。
monさんは、小さいころからどこか落ち着きがない子で、授業中も頭に浮かんだ歌を教室で突然歌いだしたり、描きたいと思った絵をノートなどに落書きしていたそうです。そのような状況でしたので、当然、先生からは「廊下に立っていなさい!」と叱られ、ほとんど教室の中に入れてもらえなかったそうです。また、クラスメイトからは変なやつとからかわれて、登校すると上靴の裏に31個の画鋲が刺さっていたり(全部抜いて机のうえにならべて数を数えてみたそうです。)、下校中にはクラスメイトから、後ろから石を投げられ、的あてゲームの的にされていたそうです。
しかし、小学校3年生の時の担任の先生との出会いがmonさんの学校生活を一変させました。その担任の先生は、monさんがこれまで他の先生から叱られていたことを、むしろ褒めてくれて、monさんがいつものように授業中突然歌いだすと、「いい歌だね。だけど、教室の後ろの方で小さな声で歌おうか。」と教室の外に出すことなく、教室の中で歌わせてくれ、また、授業中の落書きも「とても絵がうまいんだね。」と言って、教室の掲示板にその落書きを掲示してくれたそうです。monさんは、これまでずっと叱られてきたことを褒めてもらえて、好きな歌を歌ってもいいんだ、好きな絵を書いていいんだととても嬉しく思い、それから学校に行くのが好きになったそうです。さらに、担任の先生がmonさんをそのように褒めると、不思議とmonさんをいじめていたクラスメイトの反応も変わってきて、「さっきの歌は、なんていう歌なの?」、「僕の絵も書いて!」と自分の歌や絵に興味を持ってくれるようになったそうです。このように大人の対応が変わると、周りの子どもたちの対応が変わってくる光景を目の当たりにして、monさんは「大人の力ってすごい!」と感じたそうです。
monさんは、このお話の後、ご来場くださったお子様方に向けて、「大人の力ってすごいんだよ。何かあったら頼っていいんだよ。たしかに悪い大人もいるけどね、でも良い大人もちゃんといるよ。みんな君たちのことを一生懸命守ろうとしている大人もいるんだよ。だから、頼っていいんだよ。」とメッセージを送られました。また、monさんは、ご来場くださった大人の方に向けて「大人みんなが手と手を取り合って、大きな網を作って、子どもたちを守っていきましょう。」とメッセージを送られました。
3 迫田登紀子会員のご講演
迫田会員は、まず、子どもの権利条約について、全世界で197か国が批准しているものの、アメリカ合衆国のみが批准していないこと、子どもの権利条約というのは子と向き合うために大人が考えていこうというものであり、ある種当たり前のことが書かれていることをご来場くださった方々に向けてご説明されました。
そして、迫田会員は、子どもがゲームやYouTubeで遊んでいる時に、単に「勉強しなさい。」とか「学校に行きなさい。」と注意してしまいがちだけれども、注意をする前に、「この子は何が楽しいのかな?学校は楽しくないんかな?」と考える時間を作る大切さをお伝えになられました。さらに、そのように考える時間を作ることができたら、次は、子どもと話し、見つめ合い、子どもがやりたいということをやらせてみて、それで失敗したら抱きしめてあげるというのが、大人がすべきことではないかとご来場の方々にメッセージを送られました。
4 おわりに
monさんの優しいお人柄、ほんわかとした雰囲気、力強い歌声、頭ではなく心に直接語りかけるようなメッセージを、私の文章力の稚拙さゆえに皆様にお伝えすることができず大変心苦しい思いでいっぱいです。
私は、子どもの権利条約批准25周年を機に改めて自身の家族のことや大切な人を見つめ直す良い機会を頂戴することができたことに感謝いたしますとともに、すっかりmonさんのファンになってしまいました。
今後ともmonさんの活躍に乞うご期待です!
インターネット・IT関連相談会(5月25日開催)報告
月報記事
IT委員会 委員長 瀬戸 伸一(59期)
2019年5月25日土曜日13時から16時の時間帯で、福岡県弁護士会館にて、IT委員会主催のインターネット・IT関連相談会が開催されました。
例年IT委員会ではインターネット被害110番として、電話相談のみの相談会を行っておりましたが、今回は新会館設立記念のイベントとして、電話相談と合わせて面談相談も実施することにしました。相談者に弁護士会館に来ていただいて認知してもらうということを目的としています。
電話相談は2階の会議室を利用し、面談相談は弁護士会館1階の相談室を利用して行いました。
相談者が来やすいよう、相談日を土曜日に設定したため、面談相談の受付も弁護士が行う形で実施をしました。当日は会館事務局が不在でしたが、事前に万全の準備をしていただいていたため、滞りなく相談実施ができました。
相談会とは関係のないお話ですが、当日は弁護士以外の参加者が多数訪れるイベント(研修会・講演会)が実施されており、入り口近辺に設置されたこの相談会の受付で、「エレベーターはどこか」、「自販機はどこか」という問い合わせを多数いただきました。弁護士会館の設備に関する表示について、不十分な点があると思われます。この点は既に担当副会長など執行部にもお伝えしております。
話を戻しますが、面談相談室は空調も完備され、また、防音対策もしっかりしており、非常に良い環境で相談が実施できました。
また、弁護士会館はwi-fiの使用ができ、弁護士がパソコンやスマートフォンなどを持ち込めば、インターネット利用により、法律その他の資料を自由に参照することができますので、非常に便利です。
実際の相談内容としては、電話相談では、wi-fiの契約に関するトラブルについての相談等が寄せられました。
面談相談では、情報商材の販売に関するトラブル、フィッシング詐欺に関するトラブル、インターネット上への誹謗中傷対策・予防法に関する相談などが寄せられました。
規定の相談時間(電話相談については30分程度、面談相談については30分)では、相談時間が足りない事案もあり、継続相談となるものもありました。
相談会実施後は、有志で、土日は15時から開いている地下鉄六本松駅すぐそばの居酒屋のんちゃんと言う焼き鳥店で懇親会を行い、相談会の反省その他いろいろな話をして懇親を深めました。
相談会受付
弁護士会館1F相談室
電話相談
養育費・ひとり親110番 ―本年度から毎月開催になりました
月報記事
会員 井澤 わかな(71期)
去る5月15日13時~16時、第2回「養育費・ひとり親110番」が開催されました。
福岡県ひとり親サポートセンターと福岡県弁護士会の協定に基づき、平成30年度に始まった「養育費110番」ですが、本年度から毎月開催へとバージョンアップされ、電話3台、弁護士3名体勢で対応しています。
昨年度から前回まで全て土曜日開催だったのですが、今回は初の試みで平日の昼間に開催ということで、福岡県の担当課長が「件数が伸びるか心配」と語る中でのスタートでした。
TVQの取材
5月10日に民事執行法の改正があり、利用実績が低調だった財産開示手続に関して「第三者からの情報取得手続」という制度が新設されました。これは、裁判所から、金融機関・市町村・日本年金機構等に照会をして、預貯金債権や給与債権(勤務先)に関する情報が取得されるというものです。
離婚後相手との連絡が途絶え、預貯金口座が変えられていたり、転職で勤務先が分からなくなったりして、養育費の不払いに対する強制執行を諦めていたひとり親にとって光明となることが期待される制度改正ということで、メディアの関心も高く、急遽「養育費・ひとり親110番」にもTVQの取材が入りました。
ひとり親サポートセンターのポスターなども掲示、リポーターやカメラマンの方も合流と、俄然にぎやかな雰囲気の相談室となりました。
相談結果の集計
この日の相談件数は、11件でした。
相談者のお住まいの地域も県内各所、年代もばらばら、属性も離婚前、離婚後、未婚と、あらゆる点で幅広い層からのご相談でした。養育費・ひとり親110番を知ったルートも、福岡県ひとり親サポートセンター経由の方から市報で知った方まで、様々な媒体での広報効果が出ているようです。
今回のご相談内容(複数回答あり)は、
- 離婚問題
親権 1件
養育費の取り決め方法 5件
養育費の金額 4件 - 離婚後の問題
養育費の金額 1件
養育費の不払い 2件 - その他
未婚・認知なし 2件
不貞や財産分与 1件
面会交流 1件
DV 1件
など、養育費単体のテーマから、ひとり親が抱える様々なトラブルまで、ご相談内容の幅も広くなってきているように感じます。
相談担当をやってみて
今回は、未婚・認知なしのご相談が2件あったことが印象的でした。電話の合間、福岡県の担当課長と担当者間の雑談で、未婚での妊娠・出産においては特に、認知請求にしても養育費請求にしても、相手の住所特定・調査に繋がる情報を入手しておくことが不可欠という点から、女子高生/女子大生等にそういう視点での啓蒙も必要ではないかというような話が出ました。
確かに、相手が偽名や経歴詐称であったというご相談は私も受けたことがありますが、リアルな社会生活をよく知らない、SNSやLINEといった手段でしか繋がっていない相手に対する認知/養育費請求という、時代を反映したトラブルは今後も増加が予想されるので、必要な啓蒙だろうと感じます。
また、私は、今回相談担当をやるまで知らなかったのですが、福岡市・北九州市・久留米市以外の方で更なる相談が必要な方については、県内の福岡県弁護士会の法律相談センターで60分の無料面談相談が受けられるクーポン(通称:養育費クーポン)の配布をひとり親サポートセンターから受けられます。ひとり親世帯の所得向上につながる心強い取り組みだと思います。
今回の110番でも、開始時刻からすぐにお一人目の方の電話が鳴り、3台埋まるのも早かったですし、終了までコンスタントに電話が入りました。養育費やその他ひとり親の方が抱える問題の相談需要の多さを体感すると共に、毎月養育費・ひとり親110番が開催されることで支援が行われていることへの認知度も上がり、養育費等の問題解決をあきらめている方の救済に繋がっていくと感じています。