福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2018年12月号 月報
「来たれ、リーガル女子!」~女性の弁護士・裁判官・検察官に会ってみよう!~
月報記事
両性の平等に関する委員会 石田 淳(62期)
1 はじめに
平成30年(2018年)11月3日、西南学院大学法科大学院棟にて、内閣府・男女共同参画推進連携会議・日弁連・九弁連・当会主催の、学生・保護者・教員向けシンポジウム「来たれ、リーガル女子!」~女性の弁護士・裁判官・検察官に会ってみよう!~が開催されましたので、ご報告いたします。このシンポジウムは、内閣府の男女共同参画推進事業の一環と位置付けられ、一昨年は、東京(早稲田大学法科大学院)で、昨年は大阪(大阪大学法科大学院)で、同様のシンポジウムが開催され、本年度は福岡にて九州初開催となりました。新聞の他、当日はテレビカメラ取材が入るなど、マスメディアの関心も高いイベントとなりました。また、このシンポジウムの基調講演及びパネルディスカッションは鹿児島大学、琉球大学にも中継され、それぞれの会場にも学生・保護者・教員が多数参加していたようです。
2 当日の状況
当日は、女子中高生・その保護者・教員等約100名が参加する盛況でした。「来たれ、リーガル女子!」という標題に表れているとおり、女子中学生・女子高校生をターゲットにしたシンポジウムではありますが、男子学生も参加可能でしたので男子学生も数名参加し、また、少数ながら小学生や大学の法学部生の参加(傍聴)もあり、関心の高さがうかがわれました。
第1部の基調講演(講師と聞き手の対談形式)では、講師の原田直子先生から「弁護士になって良かった!」とのタイトルで、ご自身の経験を踏まえ、弁護士になって良かったと感じたときのことや、法律家、特に弁護士になることを勧める理由などについてお話いただきました。福岡セクハラ訴訟で時代を切り開いた原田先生の目から見た、現在の我が国のセクハラ問題など、世間の関心の高い話題も多く、中学生・高校生にわかりやすかったのではないかと思います。
第2部のパネルディスカッションでは、弁護士、裁判官、検察官それぞれ1名ずつのパネリストが、職業選択の動機や、やりがい等を、お互いの職業と対比しながら説明しました。法曹が題材となったテレビドラマと実際との違い、たとえば、テレビドラマのように、法律家が1つの事件だけを1日中扱っているようなことは実際にはないといった話もあって、中学生・高校生の興味を引いたのではないかと思います。
第3部のグループセッションでは、中学生・高校生に6~8名程度ずつの、「民事・家事」、「刑事」、「国際関係」、「企業法務・組織内弁護士」、「憲法・人権」というテーマを設定した小グループに、概ね中学生・高校生の希望に沿って分かれていただき、各グループごとに、弁護士、裁判官、検察官の2名ないし3名からなる登壇者が仕事内容の紹介等をし、中学生・高校生が質疑応答できる時間を設けました。登壇者の話を熱心に聞き取り、メモを取る学生のほか、主体的に質問や発言をする学生の姿もありました。弁護士はドラマのように検察官とバチバチやっているのかとか、結婚相手は同業者が多いのかといった質問もあったようです。中学生・高校生は、将来の進路のために今何をすべきなのかという問題意識が高かったようです。
中学生・高校生がグループセッションを行っている間、保護者・教員向けに、宇加治副会長が裁判官、検察官のパネリストを交え、「法曹という職業選択について」と題する法科大学院、法曹としての就職等に関するガイダンスを行いました。中学生・高校生に負けず劣らず、保護者・教員が熱心に聞き入っていました。
3 所感
私は、両性の平等に関する委員会、法教育委員会、法科大学院運営協力委員会、対外広報委員会のメンバーからなる本シンポジウムの当会における実行委員会のメンバーとして、本年7月から準備業務に携わるとともに、第1部の基調講演の聞き手弁護士として登壇もさせていただきました。シンポジウム当日、中学生・高校生の前に座り、また、後ろから傍聴した者としては、法曹に関心を持ち、来場した中学生・高校生の真剣な眼差しや、登壇者の発言をメモに取る熱心さに驚かされました。また、学生同士の「面白かったね」との感想の会話が漏れ聞こえたという報告に接し、大変嬉しく思いました。同時に、中学生・高校生の関心、質問、発言を引き出すためにコーディネートする登壇者の必要性、重要性も認識し、この点においては学生向けイベントを定例的に実施している法教育委員会のメンバーの知見が大いに役立ったと感じています。
法曹人口における女性割合の拡大のため、また、法曹を目指す意欲ある学生の確保のために、このようなシンポジウムを開催し続け、かつ、開催していることを広く知ってもらうための広報活動が重要であることを改めて認識した次第です。