福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2018年10月号 月報
あさかぜ基金だより ~豊前ひまわり基金法律事務所に行ってきました!
月報記事
あさかぜ基金法律事務所 弁護士 古賀 祥多(69期)
あさかぜ所員の古賀です。8月25日、豊前ひまわり基金法律事務所に行ってきましたので、そのときのことを報告します。
豊前に行くことになった経緯
私たちあさかぜ基金法律事務所の弁護士は、弁護士過疎地域に赴任することを目的として、日々精進しています。しかし、実際に弁護士過疎地域で弁護士業務を行うために必要なことが何なのか、具体的に知る機会が少ないため、豊前ひまわり基金法律事務所の西村幸太郎弁護士にお願いし、赴任後の弁護士活動に関する研修を開いていただきました。
西村弁護士は、あさかぜ事務所で2年半近く研鑽を積んだ後、豊前ひまわり事務所の初代所長として赴任し、それから2年、豊前市にて法的サービスを提供しています。西村弁護士は、地域に根ざした法律家として、依頼者に寄り添い、最善の結果を出すために日々頑張っているとのことで、私が尊敬している先輩弁護士の1人です。
いざ、豊前へ
研修当日、私たちは、豊前ひまわり事務所に向かいました。私たちは、博多駅で特急ソニックに乗車し、小倉経由で豊前ひまわり事務所の最寄り駅である宇島駅へ向かいました。
博多から宇島まで特急で90分の道のりです。私は、車窓からの景色を眺めながら、北九州市から遠く離れた豊前市の住民にとって身近に弁護士がいることがどれだけ心強いのかと考え、弁護士過疎偏在問題を解消することの重要性を実感しました。
宇島駅には大きな天狗像が鎮座していました。豊前市と築上郡築上町の境界に位置する求菩堤山(くぼてさん)には鴉天狗(からすてんぐ)の伝説が伝えられており、豊前市のマスコットキャラクターである「くぼてん」は、求菩提山の鴉天狗にちなんでいます(豊前ひまわり基金法律事務所のマスコットキャラクターも弁護士姿のくぼてんです。)。
宇島駅からはタクシーで、豊前ひまわり事務所に向かいました。駅から車で約5分の距離にあり、徒歩でも10分程度と非常にアクセスの良い場所です。事務所は、市役所が近くにあり、町の中心に近く大きめの道路が通っていて、交通量も多いため、住民にとって相談に行きやすい場所にあると思いました。
事務所見学、そして研修
事務所に到着してから、まずは、事務所内を見学しました。私たちは、事務所のレイアウトや、備え置かれている什器備品類などを見せてもらいました。このとき、事務所の間取りから備品の内容、置き方に至るまで、西村弁護士のこだわりを強く感じることができました。事務所見学の後、研修がスタートしました。
西村弁護士の研修は、事務所を開設するに際して何をするのか、どのように開設準備を進めていくか、といったところから始まり、開業場所や事務所名の決定、設備投資や広報活動等、従業員の雇用とその内容等、経営理念等について、幅広く、私たちへの質問も交えながら進められ、色々と考えさせられる内容でした。
この中で、一番印象に残ったのは、西村弁護士の担当していた事件に関する話でした。私が西村弁護士から事件の概要を聞いたとき、どのように事件を解決するのか、すぐには思いつきませんでしたが、西村弁護士は、当該事件を受任し、一生懸命自分で考え抜いて、事件を解決したということでした。今回、西村弁護士の話を聞いて、依頼者の言い分を法的主張として整理する能力を身に付けることの大切さを実感しました。
私は、弁護士過疎地域への赴任に際し、何が必要なのか、何となく漠然と考えていたところ、西村弁護士の話を聞いて、改めて弁護士過疎地地域で事務所を開設し、経営することの難しさを知りました。普段の業務では、主として自分が担当する事件のことを考えているだけで、経営についてここまで考えることはあまり無かったものですから、とても勉強になりました。
研修の後は、事務所近くのワインバーで、懇親会となりました。おいしいワインをいただき、楽しく会話が弾みました。
気持ちを新たに
今回は、実際に豊前ひまわり基金法律事務所を訪問し、弁護士過疎地域の最前線で頑張っている西村弁護士に接して、来たるべき赴任に向け、私も気持ちを新たに頑張ろうという気持ちになりました。
今後とも精進していきますので、皆様、何卒よろしくお願いします。