福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)

2018年5月号 月報

あさかぜ基金だより~対馬ひまわり基金法律事務所引継式に出席して~

月報記事

弁護士法人あさかぜ基金法律事務所 弁護士 服部 晴彦(68期)

対馬ひまわり基金法律事務所の引継式

3月26日、対馬市の「対馬グランドホテル」において、対馬ひまわり基金法律事務所所長の引継式が開催されました。対馬ひまわり基金法律事務所の新しい所長は、「あさかぜ」において養成を受けてきた若林毅弁護士です。5代目の所長を退任するのは、同じく「あさかぜ」で養成を受け、3年前に赴任した青木一愛弁護士です。

対馬ひまわり基金法律事務所とは

「対馬ひまわり」のある対馬は、福岡市から北東130キロメートルにあり、韓国釜山とは約50キロの距離にある国境の島で、東アジアの国々、特に朝鮮半島との玄関口として栄えてきました。風光明媚でリアス式海岸の景色が広がり、韓国からの観光客が年間約36万人も訪れる観光の島でもあります。

対馬ひまわり基金法律事務所は、平成17年10月に開設され、若林弁護士で6代目の所長となります。3代所長の井口夏貴弁護士、4代所長の伊藤拓弁護士も「あさかぜ」出身です。事務所は、対馬市役所のある厳原地区のNTT厳原ビル1階にあり、長崎地方裁判所厳原支部まで歩いて2分ほどの距離です。

対馬には、対馬ひまわりのほかには、法テラス対馬法律事務所があります。

弁護士過疎解消への情熱

引継式は、長崎県弁護士会の山下俊夫弁護士(九弁連元理事長)の司会で進行し、小野寺日弁連副会長らが挨拶されました、青木弁護士は所長退任の挨拶の中で、赴任後の3年間について、弁護士会からの指導、援助、あさかぜの先輩後輩の支援、事務所の事務職員の協力で、任期満了を迎えることができた。対馬赴任中には、707件の法律相談を行った。家事や債務問題の相談が多かったが、明治時代の抵当権登記の抹消や境界線の確定などの土地問題があったのが印象的だった。障害者、高齢者に関する相談について、福祉、行政との連携を進めてきたが、その途上で任期が終了してしまうのが心残りだ、と述べました。

若林弁護士は、「大学卒業後に就職していた信用金庫を辞めて、四国八十八箇所のお遍路の旅に出ました。その間に、悩み事を持っておられるお遍路さんや施しをしてくれた住民の方々と話をしていくなかで、困った人を助ける仕事がしたいと思い、弁護士になろうと思いました」、「司法試験の勉強をしていく中で、弁護士過疎偏在問題の存在を知り、以前から父親が地元に弁護士が身近にいないため困っていたという話を聞いていたこともあり、弁護士になったときは、弁護士過疎の解消のために働く弁護士になりたいと思い、司法修習後にあさかぜ基金法律事務所に入所しました」と弁護士を志望した動機、弁護士過疎解消への熱い思いを語りました。さらに抱負として、「自分で6代目の所長ということで、弁護士の存在は知られるようになっているが、より身近な存在になれるように積極的に事務所の外に出て活動し、弁護士にできることがたくさんあることを島民の方に知ってもらって、島民の方の役に立てる事務所にしていきたい」と力強く決意表明しました。

引継式後の披露会には、対馬市副市長、長崎地裁厳原支部支部長をはじめ、多数の地元関係者が来賓として参加するとともに、歴代の対馬ひまわりの所長弁護士も参列して、対馬ひまわりが地域で果たしてきた役割と歴史の重さを垣間見ることができました。

引継式に出席して

私も、あさかぜに入所して3年目を迎えました。これまで、先輩弁護士の引継式、開所式に何回も出席してきましたが、若林弁護士は同期入所ということもあり、私も新天地に向けて頑張ろうという思いを強くしました。養成期間もあとわずかになりましたので、赴任に向けて準備をしっかり進めていきたいと思います。

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