福岡県弁護士会コラム(会内広報誌「月報」より)
2017年12月号 月報
中小企業法律支援センターだより 福岡県信用保証協会との連携覚書の締結
月報記事
中小企業法律支援センター 副委員長 碇 啓太(62期)
1 はじめに
去る平成29年9月25日、福岡県弁護士会と福岡県信用保証協会とが中小企業の法律支援に関して連携覚書を締結しましたので、ご報告をさせていただきます。
弁護士会と保証協会が中小企業の支援を目的として連携覚書を締結することは、九州では初の試みです(なお、他会では新潟県と神奈川県の弁護士会が保証協会と連携をしているようです。)。
同日、当会会長及び保証協会の理事長とで調印式が執り行われたのですが、多数の記者の方々にご列席いただき、また活発に質問がなされました。
さて、福岡県信用保証協会との連携の趣旨について、当会会員において共有をしておく必要があろうかと思いますので、記者発表の記事を引用しつつ、ご紹介させていただきます。
2 連携の趣旨
我が国の約380万の中小企業・小規模事業者は、事業者数や従業員数に占める割合、技術力等において我が国の経済や雇用の主要な担い手でありながら、これに対する法的支援が十分ではない現状があります。福岡県弁護士会は、全国に先駆けて平成22年4月に中小企業法律支援センターを開設し、中小企業支援のため、各機関・団体と積極的に連携する取組みを進めてきました。
一方、福岡県信用保証協会は、中小企業が金融機関から事業資金の貸付等を受ける際に「公的な保証人」となり金融の円滑化を図ることを目的として昭和24年に設立された認可法人で、「信用保証」による中小企業の経営の安定と繁栄及び地域経済の発展を基本理念として、中小企業の創業・ベンチャー支援、事業再生支援、事業拡大などに関わってきました。同協会の利用企業者数は6万1045社に上り、保証債務残高は8391億円となっています(平成29年3月時点)。
両者の連携によって、中小企業への情報提供やセミナーの共同開催などが活発に行われ、弁護士の存在を中小企業の経営者により身近に感じてもらうことができ、中小企業支援のさらなる充実が期待されます。
以上のような認識を前提として、福岡県弁護士会と福岡県信用保証協会とは、中小企業支援という一つの目的の下に、中小企業支援に関する連携覚書を取り交わす運びとなりました。
3 今後の具体的連携について
今後の具体的連携については、定期的に情報交換を行い、相互の担当者において協議をして、(1)中小企業への情報提供及びセミナーの共同開催、(2)相互の研修等への講師派遣、(3)地域における経済情報、動向等に関する情報交換、⑷その他中小企業の支援に寄与する事業などの企画を実施していく予定としております。
既に11月10日に、福岡市スタートアップカフェにて、日本政策金融公庫、福岡県信用保証協会、九州北部税理士会との共催で、創業支援シンポジウムを開催し、具体的な連携を深めていっております。
4 最後に(雑感的なもの)
これまで弁護士としては保証協会との関係では破産や債務整理のときに相手方という関係で関わることがほとんどでしたが、これからは中小企業の法的支援という側面において、相互に協力し、事前に中小企業の法的問題を発見・解決していくという協調関係を築いていくことになります。会員の皆様においても、今後の研修やセミナーなどの開催にあたっては、是非、積極的にご参加・ご協力を賜りたいと思っておりますので、宜しくお願い致します。